同人誌

以前このような記事を書きました。

「まずなにか書いてみよう~『チ。』にインスパイアされて」

 

この分の冒頭で

「本記事はゆる会計Advent Calendar 2024への投稿となります」

との記載がありますが、この「ゆる会計アドベントカレンダー2024」が書籍の形になっております。

 

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拙文はともかく、決してゆるくない方が密度の濃い話をしておりますので、もしどこかで見かけることがあればお手にとっていただければと思います。

こうした御縁で下記の本も入手することができました。

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注文し受け取りに言ったのは横浜のメロンブックス

(公式の写真)

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いままで同人誌というものにはあまり縁のなかった私にはそれなりにハードルが高い店ですが(笑)

なんとかゲットすることができました。

 

しかし、まだ全部は目を通せてはいませんが、こうして(たぶん)儲けもなしに物好きな(失礼)出版をして、自らのノウハウを惜しげなく公開し、経理業務の発展に協力していただく姿勢は本当に頭が上がりません。自分も少しは貢献しないとなあと思わせてくれる人たちがいるのはありがたいですね。ちょっとは頑張ろ。

 

 

 

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ブラジルに行ってきました

といっても、もう一ヶ月経ってしまって、もはや本当に行ったのかどうかも記憶の彼方なのですが…

12/9-10 NRT-ORD-GRU トランジット含め27時間

12/10-12 サンパウロホテル泊

12/13-15 GRU-ORD-NRT トランジット含め29時間

という記録が残っているし、

地元の珈琲屋や

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焼きそばUFOのセールや

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ラーメンを売ってるすき家

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の写真が残っているから、行ったことには間違いない。

でもね、このへんは無理やり一人の時間をひねり出したためなんとか散歩できたのであって、スケジュール上ほぼほぼ仕事でだれかとつきっきりで、食べたものもろくに撮れてないし、そもそも一人でスマホ持って出かけるな、盗られるぞ、と散々脅されてきたので、仕事以外の記録がほとんどないのよねえ。言うてホテルの周りはそこまで治安悪い感じではなかったんだけど、それでも駐在員の方の窃盗被害はよくあるみたいなので、まあ無事帰ってきたのでよしとしますか。

 

で、行った証拠がもう一つ。24時間以上食っちゃ寝の機上生活を往復、3日間の送り迎えありの通勤を続けた結果、帰日後の血糖値が見事に爆上がりして主治医に大目玉食らったこと。やっぱり運動って効果あるのね。

 

 

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明けましておめでとうございます

いつもであれば2日か3日に山籠りから帰ってきて紅白の録画を見るところなのですが、今年の大晦日は某温泉簡易宿でテレビを見ながら過ごすという軟弱な年末年始を過ごし、元日には富士山を観ながら帰浜し、本日鶴岡八幡宮と近所の社にお参りし年が明けました。

というわけであけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

本年は出向に過ぎないとはいえ職場が変わることになりました。この歳でまだ経理として使っていただけるのは光栄の極みなのですが、半年やってみて気づいたことは、自分は思ったほど仕事が好きなわけではなさそうだということ☺

いや、今まではいろいろ文句言いながらも自分は仕事が好きなのだと思っていたんですが、案外ストレスにも弱いし、責任逃れもするし、ポジショントークもするし、なんか自分の嫌な一面を意識付けられた年でもありました。

とはいえこの歳で(しつこい)自分を見つめ直せたことは、この時期にあった海外出張(またいずれ書きます)も加えて、いい経験であったと思います。年末年始の山籠りおよび温泉三昧でStay Foolish してきましたので、また心機一転がんばりたいと思います。

今までは正月の抱負みたいなことも考えてきたような気がしますが、守れた例がないので今年は考えません。適度に旅に出て、適度に酒と食を嗜み、適度に推し、目の前食いつないでいければ満点の気持ちで生きていきたいと思いますので、本年もお付き合いのほどよろしくお願いします。Img_3643 Dsc_00912_original Dsc_0081_original Dsc_0075_original_20250113203001

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まずなにか書いてみよう~『チ。』にインスパイアされて

本記事はゆる会計Advent Calendar 2024への投稿となります。ゆる会計なのでゆるく引き受けてしまったら、直前でこれでもかとばかり密度の濃い作品を浴びせかけられて激しく後悔しております。何かを引き受けるには適切な懐疑心をもって行うことの重要性を改めて噛み締めています。

 

魚豊さんの『チ。-地球の運動について-』をご覧になっている方はいらっしゃいますでしょうか。界隈では3年前に話題になった漫画らしいのですが、漫画界に疎い私は本年になってNHKのアニメ化により初めて知った情弱です。

 

とはいえ、そんな熱烈に観ていたわけではないのですが、とある回の台詞がちょうどブログのネタを探していた私にビビビッと来た(死語)のでした    




(加工処理ご容赦ください…)

原文は「文字はまるで奇跡ですよ(中略)でも…本当に文字はスゴイんです、あれが使えると時間と場所を超越できる。200年前の情報に涙が流れることも、1000年前の噂話で笑うこともある。そんなの信じられますか?私達の人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められてる。だけど文字を読むときだけはかつていた偉人たちが私に向かって口を開いてくれる。その一瞬この時代から抜け出せる。文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってある。そんなのまるで…奇跡じゃないですか。」です。

1.時間と場所を超越できる

実はアドベントカレンダーの仕組みがよくわかってなくて、書くスペースがどこかにあるものかと思っていましたら、よく読むと場所は自力調達とこと。noteのアカウントはありますが投稿数ゼロのところに書くのもみっともない。あとはここしか…ということで、すっかり錆びついた鍵を探し出してきて、開かずの扉を開きました。

最終投稿2013年ですか。トモスズキさんは後に岸田政権の新しい資本主義をサポートする書籍を出されていますが、そもそも新しい資本主義も岸田さんもどこかへ行ってしまいましたね。

しかしまあ過去ログを改めて読み返してみるとまあ好き勝手にイキっておりますなあ。他人が大沢たかおの笑顔(画像略)で観ていると思うと余計恥ずかしい。でもそういう過去の自分の時代感と向き合える。いまなら画像や動画でできるしそのほうがシンプルなのかもしれませんが、学習曲線の傾きがすっかり水平線になってしまった自分みたいな年齢と境遇の者にとって、かつて自分が考えていた思考をたどるのはやはり文字が一番のような気がします(老害)。若気の至りを記録しておくことは将来の自分と対話することでもあるのです。

2.200年前の情報

歴史から学べるのはもちろん文字があるからですが、これは当たり前の話なので割愛しますね。

3.口を開いてくれる偉人たち

普通に暮らしていても偉人(注:ここでは生きている人を前提としています)が自分に向かって口を開いてくれることはなかなかないのですが、自分の文章が公開されていればそれが縁でコミュニケーションが始まるのは実際にあり得ることです。今考えれば錚々たる方々の当時のブログにトラックバック(死語)していたことが恥ずかしいです。

もちろんそのためには、ある程度相手にしてもらえる文章を書くことが必要になって来るのですが、そのへんの機敏はまず書くことを積み重ねることでついてきます。となれば書き始めるしかないですよね。 

4.未来を動かす

最近でも何らかのキーワードで検索すると10年以上前の自分のブログが引っかかることがあり、なんとも懐かしい気持ちになることがあるのですが、ということは見知らぬ誰かが昔の自分の文章を検索して行動を変えることがある、すなわち未来を動かしていることになります。どうしよう、いまさらびくびくして来た。本当に奇跡かもしれない。まして今この時代。自分の書いたものは生成AIに食われて未来の人間を新たな形で動かすことになるのです。

5.そして奇跡

なんて、「チ。」に煽られて文字による媒体について書いてきましたが、さっきも書いた通り音声でも動画でもいいのかもしれません。会計アドカレ参加者みたいに一万字を超える文章をすらすら書いてしまう変態はごく少数で、私含め幼少時から作文が苦手な人が多いことも知っています。しかし、いやだからこそここは文字にこだわりたい。ヨレンタにインスパイアされたオクジーの如く、少しずつでも文字を書いてくれる人が増えるといいなと思いながら書いています。そして書いていて感じたのは書く習慣が減ってかつ齢を重ねると、本当に書けなくなってきます。若くして会計系に携わる方々、まず記録してアーカイブすることから始めてはいかがでしょう(着地)。

 

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トモ・スズキ氏の講演

トモスズキというオックスフォード大学の日本人学者がいらっしゃいます。私のようなアカデミズムの端にもかからない位置にいる者にとっては海外で活躍されている学者の方の名前には疎いのですが、この方が実務家にも名前が知られるようになったのは昨年金融庁に提出されたオックスフォードレポートによるものです。

http://www.fsa.go.jp/common/about/research/20120614.html


そもそも当時の反IFRSの象徴となっていた自見金融大臣(当時)時代の金融庁の委託研究ということでいろいろ物議をかもしました。

金融庁が「詐称」を容認した学者
http://d.hatena.ne.jp/isoyant/20120903/1346598255

「オックスフォード・レポートに異議あり(週刊経営財務)」 
http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/5551.html


まあ、経歴詐称かどうかは(JICPAやその構成員にとってはともかく)私にはさしたる問題ではありません。少なくとも試験に受かって監査法人に勤務していたことは事実のようだし、退会後どう名乗っていたかについてはあまり興味がありません。

むしろ、こういったものが出てきた背景や方法論(実証会計はもちろん、制度会計系の論文とも随分毛色がちがう)に興味を持ちました。今回たまたま末席に入れてもらっている学者さんの研究会に参加させていただくことができ、講演を聞くことができました。私の筆力ではうまくまとまりませんのでメモを断片的に流すことでお許し下さい。


・私はもともと南伊豆で生まれて、周囲はほとんど大学に行かないような環境に育った。ずっと哲学をやりたかったが、カネにならないので、まず公認会計士となって、監査法人に勤務して資金を貯めてオックスフォードに渡った。

・現地では哲学をやっていたが、指導教授が通常以上にオリジナリティを要求するタイプであったので、過去の経験も踏まえてこの分野での研究も行うこととなった。

・このようなレポートを提出したため、日本では反IFRS派と見られているが、必ずしもそうではない。この手のレポートは以前に中国やインドでも出しており、中国ではコンバージェンスを勧めているし、インドでは8基準のカーブアウト前提のコンバージェンスを推奨している。国によって環境は異なる。

・とくにIAS41(農業)については東南アジア諸国のプランテーション産業にとっては大問題。公正価値評価をして価値を持ち上げて成長とともに価値が低減していく会計モデルは資金の源泉がない時期から配当のプレッシャーとタックスの不確実性をもたらすもので産業をダメにしてしまう。

・これから世界的に問題となるのは中国とインドでありだからこそレポートの対象とした。、正直言って日本の状況にはあまり興味がなかった。日本は今のままでも問題ないので(注:世界における存在感はもうないので、というニュアンスのようにも聞こえましたが)。それを動かしたのは某経済団体と某省からの訪問者。


・私の研究手法は見ていただければ分かる通り、ステークホルダーを網羅的に洗い出し、分類し、細かくインタビューを重ねていく。その積み上げを分析して書くというもの。研究方法にバイアスが入りかねない等の問題点は本人である自分が重々承知している。

・今回のレポートについても、反IFRSのバイアスが入っているのではないかという批判があるのは承知している。ただ一言言わせてもらえれば、あらゆる努力をしてIFRSにサポーティブな意見を集めようとしたが、なかなか集まらなかった、というのが現実。

・しかしながら2006年にIFRSをテーマに論文を募集したケースがあったがさっぱり集まらなかった。これは適用事例が積み上がっていなかったからだが、データ数値を収集して分析する実証的研究だけでほんとうにいいんですか?

・もともと投資家保護という概念は100年前の英国において銀行のために作られたもの。当時は投資家である銀行がビジネスチャンスを見つけてきた。銀行の繁栄が企業の繁栄であり、英国の繁栄であった。現在保護すべき投資家は誰ですか?ビジネスには興味がない短期投資家は保護に値するんですか?

・個人的には中国ではイノベーションは起きないと考えている。まだ日本のほうが継続的にイノベーションを行う土壌があると考えており、もっと投資家の資金を長期的に振り向けるようにならないか、というのが課題認識。

・今後の日本のIFRS導入についてはもっとコンセンサスを重ねていけばいいという立場。(どのような概念でコンセンサスが形成されると思うのか?という問いに)現実は何らかの形で誰かが決断を下すのだが、それに向けてのプロセスそのものが目的となりうると考えている。

・投資家向けの会計が全てではない。例えば企業が全く環境問題を顧みないような国において、環境費用を開示するというのはどうだろう。コストは殆どかからず、環境対策を促進する効果があるのではないか。そういった情報提供の役割を期待している。

日本語前提の講演ですが、熱くなってくると突然英語となる熱血講演でした。
哲学系という観点から現在の金融資本主義に疑問を持ち、IFRSはその先棒を担いでいる、というお立場かと思います。

私とは必ずしも立場を同じくしませんが、日本では守旧派と見られかねない意見がIFRS発祥の地英国在住の日本人学者から出てきた意義は小さくないと思います。もう少し自分の意見を考えなおしてみるきっかけになりそうです。

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冬休みに読みたい第三者委員会調査報告書

@tnihei先生はじめ何人かの方々が挙げていたものをメモとして…

年も押し迫ったこの時期にホント久しぶりの更新であります。

昨年ほど出席はできなかったものの、今年も怪しい研究会には何度か参加させて頂き、学習させて頂きました。その中で取り上げられることが多かった第三者委員会による調査報告書。今年もいろいろなことがありました。印象に残ったものを10点挙げる、という企画です。

なお、順不同であります。また事の性質上リンク先がいつまで持つかわかりませんのでご了承の程を。


2681(株)ゲオホールディングス

私はまだ未読でありますが、不正支出、内紛、インサイダーとなかなか話題が途切れなかった対象会社。


7733オリンパス(株)
要約版
その1
その2
その3
別紙

すでに語り尽くされていますので解説は省略しますが、5分冊という前代未聞の数量とともに、「経営中心部が腐っており、その周辺部分も汚染され、悪い意味でのサラリーマン根性の集大成であった」と突然感情を吐き捨ててしまうところが、いろいろな苦労を伺わせます。

2140クラウドゲート(株)

旧テラネッツです。経営陣主導で循環取引を行い上場審査対応やら損失補填対応を行ったとのこと。監理銘柄(審査中)


3731(株)京王ズホールディングス

常勤監査役が主導でいろいろやっていた案件。まさか監査役がと思っていたら後に7733が出てきてもう監査役制度への信頼が激しく減退。ただこうとも
「反面、渡辺監査役は、本件不正行為等に関する裏帳簿ともいうべき詳細なメモを作成していたので、当調査委員会としても不正行為の解明に渡辺メモの果たした役割には一定の評価を与えるとしてもその責任は軽減されるものではない。」


3880大王製紙(株)

これも解説不要。ただ、これも不正会計の範疇に入れられる場合が多いのですが、単なる横領であり会計の問題とされるのは甚だ不本意。ただむしろその調査の過程で発生した御曹司貸付金以外の問題のほうが会計的には興味深く。12/29付の改善報告書では下記のようにどう見ても嫌味としか思えない文章が放たれています(会社サイトでは未upの模様)

「当社は、一般に公正妥当と認められた会計基準に則って適正な会計処理を行うため、会計基準等で明確になっていない会計処理や会計上の見積り等の判断を伴う事象について、長年にわたって、監査法人と積極的に相談・報告し、監査法人の理解を得て会計処理を行ってまいりました。この結果、これらの相談や報告が、監査法人から適正意見を得るためのものとなり、監査法人の見解に依存し、当社で一般に公正妥当と認められた会計基準に則っているかどうかの判断を怠るようになっていたと考えております。」


9508九州電力(株)

これも会計ネタではないので多くは語りませんが、下記が異色ですなあ

「第三者委員会は、企業不祥事により信頼を失墜した組織の委託により、第三者の有識者等による中立的、客観的な立場からの調査を行うことを目的として設置されるものであり、その調査結果に対して、委託者である会社側が反論を公表するなどということは、調査結果に明白な瑕疵があるという場合でない限り、通常はあり得ない。ところが、九州電力は、当委員会の調査結果に関して「当社の見解」の公表を行うなどして反論を行った。」

3781株式会社 DPGホールディングス

「DPG は SP との株式交換契約の検討に際し、デュー・デリジェンスを実施していない。未実施の理由としては(i)株式交換を平成 21 年 12 月末までに完了するためには残された時間が限られていたこと(ii)チャイナクイック事業の話を持ち込んだのが DPG の代表取締役である松田氏と親しい間柄であった CVC の代表取締役である C 氏であったことが挙げられる。」


6660株式会社インネクスト

売上前倒しや循環取引の手口についてかなり詳細に報告しているのにもかかわらず、公表前に会社があぼーんとなってしまい、なんとも間の悪いタイミングでの公表となってしまった案件。

「なお,本調査報告は 2011 年 9 月 8 日の時点で完成に至ったが,対象会社が 2011 年 9月 9 日付で破産手続開始申立を行ったことにより対象会社に対する提出に遅れが生じたものである。」

3777TLホールディングス(株)


法律事務所が調査したら子会社が勝手に売り飛ばされていましたという顛末。でも支配力がなくなったことには変わりないから連結財務諸表に影響はありませんということ。

5856(株)東理ホールディングス

これについてはいろいろありますが、むしろ無罪判決が衝撃
「被告の行為に任務違背があり、東理HDに財産上の損害を加えたと認定するには合理的な疑いを入れる余地がある」

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国会決議が後発事象?について

すらたろうさんの
「本には書いてない会計実務のお話。」より


すたろうさんwrote:

税制改正法案が4月にずれ込むと
繰延税金資産は改正前の
税率のままで計算するのが原則ですが
国会決議が決算日以後~監査報告書日前ですと
これは「後発事象」、それも、
修正後発事象になるのではないかと考えられます。
この場合、改正後の税率で繰延税金資産を計算することに。

後発事象とは、貸借対象表日以後起きた事象ですが
決算前にその原因があるもので、
次期以降の財務諸表に影響を与える事象のことですね。
税制改正法案は既に国会に付議されておりますので
原因は発生しています。
次に、開示後発事象(注記のみ)なのか
修正後発事象なのかを検討すると、
税率の引き下げにより繰延税金資産の大幅な取崩が
生じますので、修正すべき重要性がある、との判断になります。

「後発事象」であることはそのとおりでしょうが、一般的には「修正後発事象」ではなく「開示後発事象」として考えている方が多いような気がします。

まず、修正後発事象であるためにはそもそも「実質的な原因」が決算日現在においてすでに存在している必要があります。税制改正法案がすでに国会に付議されていることが「実質的な原因」であるかどうかがポイントかと思います。

確かに税制改正法案が付議されていることは、今後の税率引き下げの可能性を高くする事象ではありますが、あくまで決まったことではありません。いや普通はほとんど決まっているはずなのですが、今回の民主党の体たらくを見ていると、提出したままでの法案が可決されるのが確実、とはお世辞にも言えないものがあります。したがって、このままの状態が3月末まで継続するのであれば、税率引き下げを修正後発事象として3月末の決算に織り込むことは困難であるように思えます。

それは、たまたま今年のことだからで、また小沢さんが妙な動きをしているからだ(注:上のすらたろうさんの記事は小沢さんが会派離脱をほのめかす前です)とも言えるのかもしれません。しかしながら、その時点での国会の勢力図や反乱分子の動きで会計上の測定が左右されるというのも違和感があります。したがって、「実質的原因」というのは法案の成立、少なくとも衆参両院の議決が必要であると考えています。

これ以下は(だれも支持していない)暴論となりますが、そもそも上記の立場をとるのは、個人的に「修正後発事象」をきわめて限定的に捉えているからかもしれません。
会計公準中の継続企業の公準からすれば、会計期間というのは永続する企業の実績をテクニカルに一定の期間に切っているにすぎません。決算が年1回の時代であればいざ知らず、四半期ごとに業績を公表していながら、決算末日後にわかった事象につき、これは修正後発事象、これは開示後発事象と区分することはあまり有益なことと思えません。

また、よくある修正後発事象と開示後発事象の区分に「期末日後に貸倒がわかった場合」と「期末日後に災害損失があった場合」というものがあります。後者を当年度の業績に織り込むべきでないのはそのとおりだと思いますが、前者を「本当は見積もれたはずだから」監査報告書日までに決算に織り込めというのはあまりに昨今の実務を無視しているように思えます。まして、投資家にとって株主資本の毀損が起こった、という事実は変わらないのに…。

さらに屁理屈を言わせていただくのであれば、IFRSの引当金会計の現在の流れは事象の期待値により見積もれということになっています(最近軌道修正気味ですが)。期末日以降災害が起こる可能性はゼロではないわけですから、期末日後に災害があったとしてもそれは見積もりの誤りです。貸倒損失と処理を区分する必然性はないように思えます。

というわけで個人的には「修正後発事象」全廃論者です。あとでわかったことは「すみません」と断ってしっかり開示すればすむ話ではないかと思います。いたずらに理論をこね回すことはかえって会計の恣意性をもたらすことにつながると考えています。


なお、(いつものことですが) 上記は個人的見解であり、筆者が所属する企業の見解とは一切関係ございませんので、そのおつもりで。特にわたしの出自を知っている方…

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1月のIFRS

すっかり月1でしか追えないようになってしまいましたが、今月も復習します。
なお、編集の都合で逆時系列になってしまいました。

IASB and FASB propose common solution for impairment accounting
31 January 2011

IASBとFASBが金融商品の減損について一定の方向性で合意したとの決定。そもそも、両者とも現在の発生損失モデルから期待損失モデルへの転換を志向しながら、それぞれ異なる方法を提案しておりました。今回のSupplementary document により、両者が少しずつ歩みより、金融商品会計の統一が一歩進んだことになります。ほんとに一歩だけですが。


IASB and FASB propose to align balance sheet netting requirements
28 January 2011

こちらも、IASBとFASBのコンバージェンスを目指した公開草案。特にデリバティブにおいて、資産と負債を純額表示する基準は、IFRSと比較すると、USGAAPの方が緩いようです。今回の公開草案では、基本的にはIFRSの方針が採用され、USGAAP適用企業は資産負債のグロスアップを迫られることになります。


Live webcasts on offsetting exposure draft
25 January 2011

上記の公開草案のwebcastのお知らせ。


IFRS Foundation publishes proposed IFRS Taxonomy 2011
18 January 2011

IFRS Foundation publishes IFRS Taxonomy 2010 labels in Japanese
14 January 2011

どちらもXBRL関係の記事。2011年のタクソノミの案が公表されたということと、2010年度決算用のタクソノミの日本語訳ができたとの記事。

IASB and US FASB to publish joint proposed approach to accounting for credit losses
13 January 2011

既述の期待損失モデルの統一文書が出るという予告です。


IFRS Foundation concludes pilot XBRL initiative with public companies listed in the US
13 January 2011

米国上場の海外企業についてはIFRSの適用が認められるようになってますが、その対象会社がXBRLにて報告する体制が整いつつあるようです。6月15日以降使えるようになるとか。

Trustees set out next steps on Trustee Chair and their Strategy Review
07 January 2011

IFRS Foundation のTrustee Chair の死去に伴い、新たなChairを決定するためのプロセスを次の東京でのミーティングで話し合うことに。次回は藤沼副議長ともう一人の副議長で仕切ることになります。

Trustees update timetable for Strategy Review
07 January 2011

Strategy Review のスケジュールの更新。6月までに次の10年を見据えた方針を決定し
実行していくことになります。

Africa embraces IFRSs
04 January 2011

アフリカについて前向きなことが書いてます。一ヶ月前のことです。
チュニジアの暴動はまだ大事には至っていませんでした。

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新年快乐!

新年快乐!
恭贺新年。
恭贺新禧,万事如意。
恭祝健康、幸运,新年快乐。
祝新年快乐,并致以良好的祝福。
谨祝新年快乐幸福,大吉大利。

これくらい、すらすら出てくるようになりたいものですなあ。
現実はこのへんからのパクリです。

というわけで、中華圏の皆さん、明けましておめでとうございます。
新年が2度あるというのはいいですね。1月のスタートダッシュ失敗しても2月以降やり直しが効くような気がしてきます。ただの錯覚に過ぎないとはいえ、こういう気分は重要。

なにせこの因果な商売、1月は決算で忙殺されてしまい、4-7月はさらに怒涛の日々が続いてしまいますので、2-3月になにか仕掛けないと、あっという間に1年の半分以上が過ぎてしまいます。

現在の仕事は春節とは全然関係がないのですが、一応正月休みのつもりで、遅ればせながらFacebookの設定をしてみたり、いろいろ考え事してみたりと、種を蒔こうとはしているのですが、はたしてどういう事になるやら。

IFRS側では、本年6月で完成させるべき基準をかなり絞り込んで、それ以外の基準については先延ばしする方向で既に動いています。自分についても、やりたい事とやらなければいけないことを取捨選択していかなければならないな、と強引にIFRSに結びつけたところで、春節の決意としたいと思います。


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2010年のIFRSを振り返って(後)

IASB and US FASB publish proposals to improve the financial reporting of leases
17 August 2010

そしてリースの会計基準の草案も公表されました。
ファイナンスリース、オペレーティングリースの区分を撤廃し、使用権をオンバランス。
そして貸手リースには履行義務アプローチと認識中止アプローチの二本建で臨んだ基準。
これも1年後には完成基準になっているはずですが…

Staff draft of a forthcoming IFRS on fair value measurement
19 August 2010

そして公正価値については本決まりになりつつあります。
これは3月までに完成版公表予定。

IASB and US FASB complete first stage of conceptual framework
28 September 2010

そういえばフレームワークのファーストステージが終わったのを忘れておりました。
あまり読んでいません…。個人的には識者の方々が熱く語るほどはフレームワークの
議論が好きじゃないんですわ。

IASB finalises enhanced derecognition disclosure requirements for transfer transactions of financial assets
07 October 2010

金融商品の認識中止については、いろいろと概念を考えていたのですが、次第に面倒くさくなって時間も限られているんで、
開示ですますことにしました、って感じでしょうか。

Trustees appoint Hans Hoogervorst to succeed Sir David Tweedie
12 October 2010

昨年の最大のニュースでしょう。
2011年6月で任期が切れるTweedie議長の後任がHans Hoogervorst氏に決定したとのこと。
必ずしも会計の専門家ではない氏には政治的手腕が期待されており、副議長のIan Mackintosh氏が
会計の専門家であるとか

IASB issues additions to IFRS 9 for financial liability accounting
28 October 2010

いわゆる「負債のパラドックス」問題に一応の決着が着いた形です。
信用力の低下による負債の評価益についてはその他包括利益項目となりました。
もう困ったときのdust box状態。

Conclusions of the October 2010 Trustees' meeting
24 November 2010

このミーティングにおいて、IASBのアジアサテライトオフィスが東京に設置されることが
ほぼ確実になったようです。正式決定は2月の東京でのTrustees' meetingでとの噂。
議長不在時の藤沼副議長の晴れ舞台となるのでしょうか。

IASB publishes IFRS Practice Statement on Management Commentary
08 December 2010

非財務項目である、経営者の説明についてもIASBがフレームワークを
作成しました。拘束力がないと明言してあるので読んでおりません(いかんいかん)…。


IASB proposes improvements to hedge accounting
09 December 2010

ヘッジ会計の適用要件を緩めた公開草案が出ました。
これと併せ、金融商品の会計基準全体も今年の6月には
完成予定となっています。前にも書きましたが、FASBとの差異を
今後どうして行くのかが今後注目されるところです。

Statement on the death of Tommaso Padoa-Schioppa
19 December 2010

年末の悲しいニュースでした。先に書いたとおり6月に就任したばかりなのに…

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