コカコーラ会計水増し疑惑
コカコーラが日本の高砂香料に押し込み販売をしていたとの疑惑。http://biz.yahoo.com/djus/040301/0644000369_1.html
これでSECが動き出すというのが凄い。
コカコーラが日本の高砂香料に押し込み販売をしていたとの疑惑。http://biz.yahoo.com/djus/040301/0644000369_1.html
これでSECが動き出すというのが凄い。
「3500億円プラス数百億円が限界」。再生機構側から、買取りの金額が提示されると、帆足は表情をこわばらせて食い下がった。「そんなに安いはずがない」
次の瞬間には、テーブルを立ってトイレに駆け込む。吐き気をもよおしていることは一目瞭然だった。外科手術を受けてから日が浅い帆足の体調は明らかに良くない。そこへ衝撃的な数字の提示。帆足の顔に苦悩がにじむ。
(日経ビジネス 2004.3.15 p8)
---
まるで財前五郎裁判のようなドラマ風に書かれています。
この記事を信用する限り、いままで再生機構との何の裏交渉もなく、単に公的機関だからという理由で花王より高い金額が提示されると本気で考えていたということなのでしょうかね。その理屈が通るんだったら、なんか売りたかったらすべて再生機構に持ち込めばいいことになってしまいますよね。どうも本気で考えていたとは未だに信じ難いのですが。
またこの記事での石坂副社長の言。
「手塩にかけてきた娘(化粧品事業)を差し出すのは、身を切られる思いですよ。そうまでして(本体)を再建しようとしているのに、何でマスコミに叩かれるんだ」
「日本の資本主義の勃興期に当たる明治20年(1887)年に創立し・・・そんな当社の歴史をちゃんと調べたら、あんなふうに(カネボウの再建案の批判を)言えるはずがないんだ」
「(一番苦しいのは、社員ではないか?の問いに)社員じゃないよ。一番苦しいのは我々経営者だよ。そういう正義面をするな」
(引用個所は同誌p8~p10)
記者の誘導尋問に引っかかったに過ぎない、そう考えることにしましょう。そうとでも考えないと説明つかないもの。
ゴーログへのトラックバックのおかげで、アクセスが急増しております。さすがですね。
その一方「財前五郎」でいらっしゃる方も急増しています。
「財前五郎」については、次回最終回ですので、それ過ぎたら何か書いてみましょうか。
というわけで今日の日経一面
---
厚労省、企業年金の国債時価評価を免除
厚生労働省は、企業年金が保有する国債のうち、満期償還まで保有すると決めた国債については時価評価を免除し、取得価格(簿価)で資産に計上できる会計ルールを今月中に導入する。長期金利が上昇(債券価格が下落)した場合でも評価損を出さずに済むため、長期の安定資産として国債を購入しやすくなる。企業年金の負担を軽くするとともに、国債の安定消化にもつながりそうだ。
---
このWeb上にはないのですが、本紙には図が書いてあって、国債価格の時価の下落が、「企業財務にも影響なし」と書かれています。これは不正確かと。
会計上、年金資産は公正価値で評価する旨、退職給付会計基準には書かれています。で、公正価値とは自発的な相対取引時の価格で、数理評価額は公正価値に該当しないということになっています(実務指針)。したがって、厚生労働省の方針がどうであろうが国債は企業会計上時価評価されることになるのではないでしょうか。
確かに、満期保有目的の国債を基金の会計上の評価額を変更した場合は、将来の掛金計算に影響を及ぼすためその意味ではキャッシュフローの負の影響額を一時的に回避することになるのでしょうか、それを企業財務に影響なしと言ってしまうのはいかがなものかと思います。
「米国の資本主義の凄さは、危機に際してのこうした自浄作用にある。資本主義の暴走に対する制御装置が働くのだ。少なくとも制御装置を働かせようという社会的な強い意志が発揮される(少なくとも制御装置が働いていると見せかけようとする)」(会計戦略の発想法 p136)
前回引用した木村剛氏の著書の一部ですが、似たような表現は別のところにもあります。
「ここで早房氏が唱えている常識を、建前論と割り切ることなく、「会計」のあり方を追求している(あるいは追求するフリを懸命にしなくてはならない)欧米諸国と、この程度の基本常識すら「常識」として普及していない日本の間には、かなりの距離感がある」(同著p64)
ここで言う「常識」とは一言で言うと粉飾決算はいけない、ということなのですが、ここでも「追求するフリを懸命にしなくてはならない」という表現が見られます。個人的には粉飾決算の誘惑という本音は日米で変わることはないと思いますので、「フリをする」という表現は実にリアルに感じます。
などと考えていたところ、当の木村氏がゴーログ(いや失礼、コラムでしたか)の< CSRを語る前に、内部管理体制を整備せよ [コラム] >で、「フリをする」を以下のように使っています。
---
(1) 不祥事が発覚したことに対して、当局や業界団体が、お題目ばかりの実態や実務を無視したキレイゴトのルールを策定する。
(2) 日本企業は新組織を立ち上げたりしてルールを遵守するフリをするのだが、腹の中では「人の噂も75日」を決め込む。
(3) 結局、実効性がない対応に終わるため、同様の不祥事が再び発生する。
(4) 世論の批判に迎合するかたちで、死刑宣告のような厳しい罰則ルールを導入する。
(5) ところが、現実的には厳しい罰則を適用する腹が定まっていないため、少なからぬ日本企業は再び遵守するフリをするだけに終わる。
(6) 結局、同じような不祥事が発生し、当該企業の経営者が退陣することで幕引きする。
---
ここは粉飾決算に限った話ではないのすが、先ほど引用した論調と並べると、フリをすることは日本も欧米も変わらないようなので、上の論調は日本企業だけに当てはめるのは一見矛盾するようにも見えます。では、上の論調で日本と米を決定的に分けるのはどこかというと、
:腹が定まっていないため
ここですね。これは国家レベルの話になりますが、エンロン事件に端を発しそれを75日で終わらせることなく、短期でSOActを仕上げてしまい、多額の予算を割いてSECの要員を増員して、膨大な手間隙(と金)がかかる内部統制報告書を要求する。この「腹の定まったフリのしかた」には素直に感嘆してしまいます。まあこれも程度問題なので手放しで礼賛するわけではありませんが。
休筆宣言しておきながら、あっさり復帰です。パソコンの修理期間中にうまく会社の代パソをせしめることができましたので。
で、本題。krpさん、Lotusさんが、コーポレートガバナンスのコストについて論じています。その中のコメント
:②(経営者:krp注)からすると「SECこそSO法の有効性についてアテストしてくれよー」と思うのではないか、という気がします。
ですが、実はSEC規則公表の際に、コストベネフィット分析は一応為されています。こちらを参照下さい。Benefitについては定性的な決まり文句が並んでいたり、Costでは会社あたり91千ドルという金額に疑問があったり、Auditorのアテストレポートの金額がコスとに含まれていなかったりと、Lotusさんが求めるアテストのレベルには程遠いかと思いますが、一応やっていることは評価してもいいかなと。
SECが規則を公表する際は、その規則のあとにこういったコストベネフィット分析が添付されているのが通例のようです(SEC規則に常に目を通しているわけではないので、絶対そうなのか、あるいは根拠法などがあるのかどうかはよく知らないのですが)。コストに見合わない規制は行わないという考えが徹底していることの現われかと思います。こういう国に、牛を全頭検査しろなどと要求するメンタリティーを理解しろなどということがそもそも無理なことなのでしょうね。
:今のSO法の妥当性はさておき、エンロンやワールドコムの事件を踏まえて、このようなスピードで企業から不満が出るほどの厳しさの法律を作るところがアメリカのすごいところだな、という点は本当に感心しています。
この点は本当に尊敬できます。目を見ては言えませんけど。
いまや竹中氏のブレーンの肩書きよりもゴーログ主催者といったほうが名が通る木村剛氏は著書「会計戦略の発想法」でこのように言っています。
「米国の資本主義の凄さは、危機に際してのこうした自浄作用にある。資本主義の暴走に対する制御装置が働くのだ。少なくとも制御装置を働かせようという社会的な強い意志が発揮される(少なくとも制御装置が働いていると見せかけようとする)」p136
このような趣旨の論調はいろいろな方の文章で見られるのですが、「見せかけようとする」という表現が独特でかつ秀逸で、かっこ内の文章があることによって説得力がかなり増しています。この「見せかけようとする」力は確かにかなり日米差があると思います。こんなことやったってしょうがないじゃないかと米国も本音では思っているのでしょうが、この「自浄作用があると見せかける」力のほうが大きいのでしょう。
とここまで書いて、これはさっきの牛の話と立場が逆なのではないか、とふと思いました。ってことは、そもそも牛肉の全頭検査による安心感のBenefitと資本市場の信頼性のBenefit計算に大きな日米差がある、ということでしょうか。
一週間空けた末、更に空きそうなのは事情がありまして・・・。 まず、尿管結石にかかり、しばらくはいずり回っておりまして、その薬がまた強いものだったようで、胃炎を併発してしまいました。それでも、木曜位には立ち直り、書き込みを再開しようと思いきや、パソコンに電源が入らない。泊り勤務のかたわら、サポートと連絡とりあい、修理止むなしとの結論に至る(バックアップここ暫くしてなかった・・・)。 ってのが先週の状況。パソコン復活までは、ろくに書き込めないかと思います。ブログ界が面白くなってきているのに・・・。
アクセスログをとっているのですが、最近代行返上で検索してくる方が急増しております。代行返上についてはちょっとだけ触れただけなのに、なぜかページランクが上がってしまったようです。たいした収穫がなかったであろうことを申し訳なく思います。
今月後半から来月にかけては、いわゆる過去分返上が終了することで、最終的な会計処理が迫られることで(あまりここを詳しく書きすぎると、私の出自がばれてしまうんですよね。。。)、いろいろばたばたするであろうと同時に、会社やグループ会社の経理担当者向けに、退職給付会計の講師をしたり、来月は子会社に出向いて指導に行ったりと相変わらず年金会計にはまっている状態。そんな中、こんな本が出たので中身も見ずにネット経由で注文してしまいました。
私は年金会計にはまっているだけで、運用などについては全くの素人なのですが、それでも資産配分(アロケーション)が重要(p364あたり)というのは素人なりにうなづける話です。そもそも数年前までは確かそのアロケーションに、がんじがらめの規制があり、それが段階的に撤廃されていったと記憶していますが、昔はそういったリスクがなかった、というかリスクが横並びであったということですね。
幸田氏が指摘したアロケーションの重要性を、会計基準上で指摘したのが、米国で昨年度末に公表された改訂SFAS132号であるといえます。ここでは実績資産配分率と目標資産配分率について重要情報として企業に開示を求めています。これは財務諸表上の注記であり、公認会計士の監査を必要とする項目です。SFAS132号の改訂事項は他にもいくつかありますが、この年金資産情報が改訂のメインであるようで、それだけ投資家サイドの要求が多かったということなのでしょう。
それにしても、これだけタイムリーな話をタイムリーに筆にできるというのは、さすがこの人ならでは、という感じがします。私にとっても珍しく一ヶ月に三作もの小説を読むことになりました。あと二作はって?もちろん「蛇にピアス」と「蹴りたい背中」です(笑)。
Recent Comments