キーエンスの前期、純利益48%増の352億円
:キーエンスが13日発表した2004年3月期の連結決算は、純利益が前の期比48%増の352億円と3期ぶりに過去最高を更新した。設備投資回復を受け、幅広い業種向けに制御機器やセンサーが伸びた。経費の削減も進んだ。売上高営業利益率は前の期比5ポイント高い50.4%と初めて50%を超えた。
:同社は3月21日から1年間としていた決算期を、今期は一時的に変更する。「3月21日から6月20日まで」と、「6月21日から翌年3月20日まで」の2期に分離。4月1日以降に事業年度が始まる企業が対象の外形標準課税の適用を受けるためで、これにより純利益を8億円押し上げる効果があるという。
調べようと思ってこの会社のIRページを見ましたが、まあ殺風景なこと。利益(結果)を出すことが一番のIRだということなのでしょう。うらやましい会社です。
この件についてはここに記者発表文があります。
簡単にいうと、外形標準課税というのは、9.6%であった事業税率を7.2%に引き下げ、足りなくなった財源を、会社の大きさに応じて負担してもらおうということです。
すなわち、従来税金を納めている会社は税金が(単純にいうと)7.2/9.6に減額されるかわりに、その負担の一部は、今まで損失ばかり出していて税金を払っていない図体の大きい会社に移転します。キーエンスは当然前者の会社でしょうから、外形標準課税は適用されたほうが得するわけです。
ところが、キーエンスは3月20日が決算日のようです。最近では珍しいですが、昔はこのような会社も多かったようです。外形標準課税は2004年4月1日以降に始まる年度から適用ですので、普通にやっていたらキーエンスの場合は適用が丸一年近く遅れてしまいます。これを避けるために、一旦3か月で事業年度を切って、高い事業税率がかかる所得を極力抑え、残りの9か月間は外形標準課税の適用年度とする、ということのようです。
このようなことをすれば、株主総会は2回やらなければならないし、いろいろコストもかかり、面倒なことも増えます。それを加味しても節税となるということなのでしょう。この徹底さも高収益の秘訣の一つなのでしょう。
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