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M&Aも脱「対等」の時代――セガ株、2割のプレミアム(5/24付日経金融)

:先週にサミーと経営統合すると発表したセガの株価が堅調だ。一時は統合発表直前と比べ19%上昇した。
これは、経営統合に伴いセガの株主が受け取るプレミアム(上乗せ価格)にほぼ匹敵する。米投資銀行の幹部は「持ち株会社方式で経営統合するからといって対等だとは限らない。今回は比較的大きなプレミアムがついており、サミー主導による統合であることを明確に物語っている」

「持ち株会社方式で経営統合するから対等だ」という常識がもともとあったのかどうかは知りませんが、あったとしてもそれは日本だけのことかと思います。

米国会計基準でも、国際会計基準でも、企業結合の会計基準においてプーリング法と呼ばれる方式が廃止されパーチェス法と呼ばれる方式に一本化されています。パーチェスという単語からもわかる通り、企業結合の本質は買収に他ならない、対等の企業結合などありえない、という考え方がこれらの基準の背景にあります。日本としては、国際会計基準審議会へプーリング法反対の論陣を張ってきたわけですが、それは両者対等の企業結合取引が存在するとの前提に立っていたわけで、どうもその対等の企業結合取引についての経済的合理性について他の国のご理解はなかなか得られなかったと聞いています。

経済的合理性の有無はともかく、実際にそのような取引が存在する以上、日本の企業会計審議会の基準書がパーチェス法一本化とならなかったことは、個人的には止むを得ないことかと思っています。しかし、それらの取引が本当に経済的合理性を持っているのか、持っているのであればなぜ日本においてのみそれが主張されるのか、「対等」な企業結合を行った会社についてそのフォローをしていき引き続き検討を行っていくことが、あえてプーリング法を残し、国際標準といわれる基準に異を唱えた国の責任であるかと思います。

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