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CSR会計 今夏公表(5/31日経金融)

:金融機関による企業の社会的責任(CSR)への取り組みの一つとして、三井住友海上火災保険は今夏、CSRのコストと効果を定量化して公表する初のCSR会計を公表する。同社の植村裕之社長に、同会計の位置付けと、今後のCSRビジネスの展望を聞いた。

:-環境会計とどう違うのか
「環境の場合は(汚染する)モノと直接結びつくが、CSRは社会性、倫理などを含めたもっと広い概念。だから定量化はその分難しい。しかし我々はチャレンジしていく。8月下旬にCSRリポートと合わせて公表したい。まず形を作り、外部の批判を受けながら改善していきたい。できれば同会計のデファクト・スタンダード(市場標準化)を目指したい」

CSR(Corporate Social Responsibility)については、ゴーログで有名な木村剛氏のコラムが参考になるかと思います。

CSRを数値化して、コストとベネフィットを定量化していくとのことです。確かに損保会社はCSRの推進自体がメシの種ですので、CSR推進の費用対効果を顧客に勧めていく上でこのような提案をしていくインセンティブはあるでしょう。しかし、対策を施さなかったために起きたロスを計算するのは簡単でしょうが、対策を施したために起きなかった負のロス(すなわちベネフィット)を計算することは実際に可能なのでしょうか?この道徳を貨幣価値で計算するような考え方は、どうも私にはしっくりきません。

数年前、環境会計という動き?が一大ブームになりました。この時は環境報告書を発行し、その期の環境会計と呼ばれる数値を公表することが、環境対策先進企業としての最低条件だという雰囲気がありました。おそらく現在でもこれらの企業は同じこと、あるいはさらに進化したことをやっているのでしょうが、少なくとも現在のマスコミの注目度は高くない印象があります。このCSR会計とやら、推進していくのであれば、少なくともCSR対策をやっているという免罪符の役割で終わらせないことに注意する必要があるかと思います。

ちなみにCSR会計をぐぐったところ以下がヒットしましたので参考まで

http://www.nikkei.co.jp/csr/CSR_KENKYU/index.html
http://eco.goo.ne.jp/magazine/files/interview/key_may04-3.html

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UFJショック-焦点を聞く 日本公認会計士協会会長 奥山章雄氏(5/27付 日経金融)

-「4月末時点で一旦発表した業績予想を再修正したことに中央青山監査法人(奥山氏は代表社員)の関与や責任はないのか」
「UFJに限らず、全ての事業会社について業績予想の段階で監査法人がOKを出すことはあり得ない。その後の決算監査で必ず修正事項が出てくるため、予想段階で承認すれば修正できなくなるからだ」
「銀行が自信を持って発表するならどうぞ、という話だったと思う。監査法人が数字を全く知らなかったとは思わないが、OKとは言っていないはずだ」

監査法人の立場としてはまさにこの通りなのでしょう。おそらく、銀行と監査法人間には何らかの数字のすりあわせがあったものとは思いますが、監査報告書にサインするまでは最終の数値ではないというのが監査法人の立場であり、業績予想に関しお墨付きを与えたとは絶対言わないでしょうし、会社側としても監査法人の事前のお墨付きはこの程度のものであると考えておくべきでしょう。

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欧州銀行界 IASBに反発(5/27日経金融)

:2005年からの欧州の上場企業に適応が義務付けられる国際会計基準に欧州銀行界が激しく反発している。銀行界は、新しい基準のうち、特にデリバティブ(金融派生商品)関連の基準について「決算のぶれを大きくする」と主張、基準を作る国際会計基準理事会(IASB)に見直しを求め、政治力を使って揺さぶりをかけている。意見調整の期限は6月半ばだが、難航している。

反発の具体的内容がこの記事からは詳しくわかるわけではありません。ただ、昨年どこかの国を席巻した株式の評価損は計上しなくてもいいといった低レベルの話でないことは確かなようです。

欧州銀行界の要望の一つは「キャッシュフローをヘッジするデリバティブの時価評価を自己資本とは別項目で計上できないか」というものだそうです。将来のキャッシュフローに対するヘッジ効果は、最終的にそのキャッシュフローが実現するときに表れるのであり、ヘッジに使用したデリバティブ商品を時価評価すれば、キャッシュフロー実現損益と計上のタイミングがずれてしまうため、それまではその損益インパクトを繰延べ、差額を資本の部においておこう、といったのが「デリバティブの時価評価を自己資本で計上する」ことの趣旨です。

銀行の決算、規制の内容については明るくありませんが、結局銀行はそれぞれの自己資本のレベルによりいろいろな規制を受けるようなので、このことが会計基準の問題をいたずらに複雑化しているきらいがあります。会計上の問題と銀行規制上の問題をうまく切り分けることが必要と考えます。財務諸表はある一定の基準を元に作成したものに過ぎず、全てのステークホルダーが加工なしに使用できるほど完璧なものではありませんから。

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M&Aも脱「対等」の時代――セガ株、2割のプレミアム(5/24付日経金融)

:先週にサミーと経営統合すると発表したセガの株価が堅調だ。一時は統合発表直前と比べ19%上昇した。
これは、経営統合に伴いセガの株主が受け取るプレミアム(上乗せ価格)にほぼ匹敵する。米投資銀行の幹部は「持ち株会社方式で経営統合するからといって対等だとは限らない。今回は比較的大きなプレミアムがついており、サミー主導による統合であることを明確に物語っている」

「持ち株会社方式で経営統合するから対等だ」という常識がもともとあったのかどうかは知りませんが、あったとしてもそれは日本だけのことかと思います。

米国会計基準でも、国際会計基準でも、企業結合の会計基準においてプーリング法と呼ばれる方式が廃止されパーチェス法と呼ばれる方式に一本化されています。パーチェスという単語からもわかる通り、企業結合の本質は買収に他ならない、対等の企業結合などありえない、という考え方がこれらの基準の背景にあります。日本としては、国際会計基準審議会へプーリング法反対の論陣を張ってきたわけですが、それは両者対等の企業結合取引が存在するとの前提に立っていたわけで、どうもその対等の企業結合取引についての経済的合理性について他の国のご理解はなかなか得られなかったと聞いています。

経済的合理性の有無はともかく、実際にそのような取引が存在する以上、日本の企業会計審議会の基準書がパーチェス法一本化とならなかったことは、個人的には止むを得ないことかと思っています。しかし、それらの取引が本当に経済的合理性を持っているのか、持っているのであればなぜ日本においてのみそれが主張されるのか、「対等」な企業結合を行った会社についてそのフォローをしていき引き続き検討を行っていくことが、あえてプーリング法を残し、国際標準といわれる基準に異を唱えた国の責任であるかと思います。

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ソニーなどが米国「新会計基準」を適用(2004.5.24) ---その2

②デリバティブおよびヘッジ活動(SFAS149号)

ソニーの表現を借りると「基準書第133号における他の契約に組み込まれたデリバティブを含むデリバティブおよびヘッジ活動に関する会計処理および報告基準を修正あるいは明確化するものです」とのことです。基本的には定義の明確化および一部の金融商品に関する扱いを定めたものであり、一般の事業会社にはほとんど影響がないものと考えられます。

③負債および資本の両者の特徴を持つ金融商品の会計処理(SFAS150号)

ソニーの表現を借りると「この基準書は、負債および資本の両者の特徴をもつ金融商品に関わる計上区分および測定の方法について規定しています」とのことです。まあ、そのまんまなのですが、この問題はそもそも負債とは何ぞや、資本とは何ぞやという話になりますので、非常に時間がかかっています。とりあえず、一部の金融商品についての扱いを示すにとどめ、大きな問題はこのプロジェクトの第2段階に先延ばしされています。この段階では、やはり一般の事業会社にはさほど影響がないものといえるでしょう。


④変動持分事業体の連結(解釈指針46号)

これはかなり複雑で、かつ影響が大きいものです。他の基準に関しては影響が軽微であるとしているソニーも、この解釈指針に限っては、その適用により2,117百万円の損失を計上したとしています。TDKの表現を借りると「解釈指針第46号改は変動持分事業体の主たる受益者による連結について規定しております」とのことです。

これは、エンロンがSPE(Special Purpose Entity)を駆使したスキームを使用していたことに端を発しており、SPEの範囲を広げVIE(Variable Interest Entity)と定義づけ、連結すべき会社の範囲をより大きくするのが趣旨となっています。

⑤複数の製品・サービス等を提供する取引における収益の認識(FASB発生問題専門委員会報告(EITF)00-21)

ソニーの表現を借りると「この基準書は、複数の製品・サービスや資産使用権等を提供する場合の取引をいつ、どのように会計処理するかについて規定しています」とのことです。
契約自体は一つで、対価も総額しか設定されていないが、実際にはさまざまな要素の物品譲渡あるいは役務提供があり、そしてそれがさまざまな時期に行われている場合、いつの時点でどれだけの収益を計上するべきか、ということにつき定めているものです。原則的には、一部納入したものがそれのみで価値のあるということあれば、収益計上が認められ、売価については、公正価値を基準として総売価を比例配分した金額を計上することになるようです。

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ソニーなどが米国「新会計基準」を適用(2004.5.24) ---その1

経営財務No.2673 

:平成16年3月期上場会社の連結決算がほぼ出揃った。今決算で注目されるのは、新会計基準、すなわち(固定 資産の)減損会計の早期適用状況だが、すでに米国では適用から数年を経ており、新たな会計基準がいくつも適用の運びとなっている。

:それは、米国式連結財務諸表を作成している33社が発表した連結決算短信をみると、明らかだ。ソニーやTDK、 日本電信電話などに「新会計基準の適用」といった記載で目にすることができる。会計基準のコンバージェンスが叫ばれる中、米国会計基準への関心はさらに高まることが予想される。

まるで米国の会計基準が包括的に変わってしまったかのような見出しだったので、確認してみたのですが、この一年くらいで出たいくつかの基準書をその通りに適用したという当たり前の話のようです。

この記事で書かれている、「新会計基準」というのは、以下の5基準のようです。

① 資産除却ににかかる債務に関する会計処理(米国財務会計基準書(SFAS)143号)

NTTの表現を借りると「有形固定資産の除却に関連した法的債務を負債として認識し、公正価値が見積もり可能な場合には、これらの債務発生時に公正価値で評価することを義務付けております」ということです。例えば、原子力発電所など、その設備を撤去する場合に多額の費用がかかるものがあります。この費用はあらかじめ見積もっておき、負債として計上することを要求するものです。単純にその費用が100であるとすると
有形固定資産 100 / 除却関連負債 100
といった仕訳を追加し、負債と固定資産を両立てすることになります。
有形固定資産のほうは何年かに渡って減価償却していくことになりますので、この撤去費用も撤去時ではなく、何年かに渡って費用計上されるということになります。

但し、基本的には一部の特殊な産業向けで、一般に広く適用される基準ではないと言えるでしょう。

(続く)

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今週分一気にアップ

以上、今週分一気にアップしました。最近忙しくて書き込む暇がありません。

・・って暇がないってのは何も変わっていないのですが、問題はいつもネタ整理に使っていた帰りの電車の時間が、どんどん侵食されていることにあります。

その真因は会社から貸与されているFOMA。なんといってもドラクエⅠがプリンストールされているため、ついつい帰りの電車の時間で立ち上げてしまいます。最初は立っている時間限定だったのですが、最近では通勤の時間まるまる占領するようになってしまいました。目も疲れるし、決してよくないのですがね、やめられないんですよ。

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5/21 日経金融「揺らぐ米企業年金」

6500ドルの株式売却圧力、時価会計迫られる。

「米財務会計基準審議会(FASB)の原稿基準では年金の損益は何年もかけてなだらかに償却する。しかし、時価会計になれば、決算期末毎に保有資産を時価評価しなければならない」

「『年金会計を将来の統合項目に入れるべきではないか』。四月下旬、国際会計基準理事会(IASB)とFASBの幹部がロンドンで催した会合で議論が交わされた」

「エンロン事件以降のの会計不信が、年金会計にも厳格基準を求める背景にある。批判の大きい一つは年金運用の期待収益率の高止まりだ・・・年金基金の多くが、著名投資家のウォーレン・バフェット氏よりも上手に運用できる前提で計画していることになる」

日本で米国的な年金会計を導入したのは平成12年3月期ですが、このとき既に株価はかなり下落しており、日本企業は多額の会計基準変更時差異の償却を迫られました。米国でも右肩上がりの株価にピリオドを打ってからしばらくたって、年金会計が注目を浴び始めたようです。

「時価会計」という表現が妥当かどうかはともかく、IASBでは年金資産の運用実績を即時に損益に反映させることを最終目標としているようです。(最近のエントリを参照)
FASB側は「なんら具体的合意がない」(日経金融紙)ということなので、米国ですぐさまそういうことになることはならなそうですが、将来的にはどうなるのでしょうか。個人的には「素直に賛成できる会計基準とは言いがたいのであります。」と書きましたが、米国でもこの動きは確定給付型企業年金の息の根を止める要素としてとらえられているようです。

期待収益率についても、この運用で回った前提で当期の損益を計算する指標ですので、これが株高を謳歌していた頃とあまり変わらずバフェット氏の実績より高いのだとすれば、期間損益の信頼性に疑義が持たれることになります。ここで書きました年金についての開示強化はこの流れに警鐘を鳴らしたものなのでしょう。

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日経金融 5/20 「会計士の卵 就職難深刻に」

:「公認会計士の卵が就職難に苦しんでいる。昨年10月に発表された二次試験合格者の1割、120人の就職先がまだ決まらない。合格者が増える一方、雇用と実務研修の機会を提供してきた四大監査法人の採用数が伸び悩んでいるためだ。いずれ二、三千人規模に膨らむ合格者の受け皿があるのか今から危ぶまれている。」

「・・・これまで大手監査法人の採用枠に合わせて合格者数が決められてきたため、就職難問題はほとんどなかった」

「問題が根深いのは就職できないと「会計士」になる道が閉ざされかねねい点にある。二次試験合格後、一定期間の実務経験を積み最終試験に合格しないと「会計士」資格は得られない。」


つい、2-3年前までは、四大監査法人の採用意欲は旺盛で、我々米国公認会計士取得者までターゲットを広げた採用活動をしていたものですが、短い間にずいぶん様変わりしたものです。将来的に足りなくなるから合格者を増やせ増やせと言って試験制度を変えてしまった割には、どうもおかしな状況になっているようです。

日本ではかなりの人数の方が(将来的にはともかく)一旦は監査法人への就職を前提として受験しているのに対し、米国ではかなり一般企業に浸透しています。合格者が増えていくということは、だんだんと米国型に近づく、つまり一般企業へもどんどん会計士資格保持者が流れていくことになっていくのでしょうが、その障害となっているのが、記事でも指摘している実務経験制度でしょう。

日本では、2次試験に合格してから一定期間の実務経験を受けたあと3次試験に合格して初めて会計士を名乗ることができます。その実務経験は監査法人で積むのが通例になっています。一方米国でも(州によってかなり違いますが)、いわゆる開業に必要なライセンスを取得するには実務経験が必要なのが一般的です。ただその実務経験が一般企業でも比較的認められるます。日本の制度はよく知りませんが、米国の場合ライセンス取得のため資格保持者の証明が必要な場合があります。CPAが一般企業まで浸透しているのであれば、取得は容易ですが、日本に同じ制度を持ち込んだとしても、現状では監査法人以外にサインしてもらう人を探すのはなかなか大変な状況だと思います。

ところで、従来は採用枠に合わせて合格者数を決めていたって本当ですか?かりにも国家資格の合格者数がそんなことで決まっていたとすれば問題であるような気がするのですが。。。

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FAF議長がストックオプション会計改革法に反論

NEWS RELEASE 05/17/04
Financial Accounting Foundation Chairman Responds to House Subcommittee’s Action on “The Stock Option Accounting Reform Act”


経営・会計通信
で指摘されている通り、ストックオプションオプション費用反対法案が下院を通過しています。これに対する反論が記載されています。ちなみにFAFというのはFASBの上部組織で、委員の任命や、資金管理などをつかさどっています。

“Advancing this bill in the legislative process harms the credibility of America's system for providing transparent and unbiased financial information to investors,” Denham said. “By inserting Congress into the setting of standards for accounting by publicly traded companies, H.R. 3574 would undermine the independence of the Financial Accounting Standards Board (FASB), which Congress recently reaffirmed in the Sarbanes-Oxley Act.”

要は議会の介入は、サーベンスオクスレー法で確認されたFASBの独立性を損ねるものだとして猛反発しているようです。まあ当然の意見でしょう。

それよりもこの法案自体がよくわかりません。上位4名に与えられたストックオプションのみ費用化することに、どれだけの合理性があるのか。4人目と5人目のストックオプションにつき会計処理が異なることをどう説明するのでしょうか。理解に苦しむところであります。

確かにFASBの基準において、重要性というのは常に考慮される事柄ではあります。(ちなみにFASBの基準の最後にはいつも重要性のない事柄には本則を適用しないとの注書があります。)したがって、重要性のある事柄とない事柄で会計処理が異なる例はあります。ただあくまで重要性の観点ですので、その基準はパーセンテージで規定されるのが通常です。上位何人という発想は少なくとも会計の専門家からは出てこない発想であるような気がします。そういう観点からしてもこのままでは決まらない基準といえるでしょう。

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作家の取材費はどこまで経費に

決算担当から税務担当に鞍替えすることになり、申告書作成と格闘中です。なにせ基礎知識がない状態なので、まさに「格闘」です。少し立ち止まって勉強する時間をとりたいのですが、かなわぬ望みといったところ。

税務関係の雑誌も読み始めたのですが、とてもそれに関して何かをコメントするようなレベルにはまだまだ達しません。必然的にこんなベタ記事ばかり目にとまることになります。


作家の取材費はどこまで経費に

阿刀田高委員の質問内容は「日本には、志賀直哉以来“私小説”という作家自身の生活をつづるジャンルがあり、この私小説を書く作家の中には、自分が生きていること自体が全部取材費だという方がいるが、税務上はどのような取扱になるのだろうか?」

これに対し、村上国税庁次長の回答

「例えば料亭に行かれて会食をされても、小説を書くためにどうしても必要であれば、恐らく取材費になるんだと思います。単なる遊びで行かれたら、それは駄目なんだと思います。これはしたがって個々の行為、個々のケースごとに判断せざるを得ない問題だと思います。」

見出しとしては「作家の阿刀田高氏と村上喜堂国税庁次長が“税”を切り口に熱論?」と書かれていますが、議事録を見ると、とても熱論という感じではありません。村上氏の発言は当り障りのない回答といったところです。

雑誌には載っていませんが、その次の三屋委員の発言も面白いです。
「興味ついでにお聞きしたい。いいですか。例えばプロのスポーツ選手は、体がやはり商売道具ですよね。じゃそうすると食事とかいうものはすべて必要経費として認めていただけるということなんですか。」

この方、確か下着メーカーのシャルレの社長をやられるかと思います。今後シャルレの決算に注目です(笑)

それはともかく、それでは私のような弱小サラリーマンも、生きていることから何らかは学んでいて仕事に活かしていると言えると思います。体が商売道具なのは私も一緒。上記の方々にそれだけはご理解いただきたいなと思うわけです。

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三洋電の前期、発表済み決算上方修正、米国基準、純利益134億円に

三洋電の前期、発表済み決算上方修正、米国基準、純利益134億円に

損失を過去に計上

 三洋電機は十七日、四月に公表した二〇〇四年三月期連結決算(米国会計基準)を修正すると発表した。二十八億円だった純利益は百三十四億円になった。資産評価に関し米会計基準をより厳格に適用した結果、前期に計上するはずだった損失を過去の決算期に計上することになったため。その分、過去に計上した利益は減る。

リリースはこちら

:具体的な内容は、主として、
① 投資等の評価減の認識時期
② 暖簾(営業権)の時価評価方法及び償却年数の見積もり
などについて、米国会計基準のより厳格な解釈を適用したものであります。
これらは、基本的に損失の期間配分に関わるものであり、認識すべき事業年度に遡及して修正処理したものであります。


米国基準では、過去の損益が誤っていた場合、過去にさかのぼって修正することになります。有価証券報告書などでは、2年分の貸借対照表と損益計算書が表示されますが、前年度の期首の剰余金が昨年度表示されたものから修正されることになります。
一方日本基準では、基本的に過去の損益を修正することは認められていません。当期の損益計算書に、前期損益修正という名目で表示されることになります。
一般的に米国のほうが過去を修正することに関しては極めて柔軟であるのに対し、日本では一度言ったことは変えられない、というような風土があるような気がします。個人的感触に過ぎませんが。

ところで、具体的に米国基準の何を適用した結果修正にいたったのか、その辺は明らかではありません。評価減の認識時期がそんなに基準上違うとは思えないのですが。また、営業権の償却年数の見積もりといいますが、そもそも米国基準では償却自体が認められなくなっているはずです。どうもしっくりきません。

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キーエンスの前期、純利益48%増の352億円

マネー&マーケット

:キーエンスが13日発表した2004年3月期の連結決算は、純利益が前の期比48%増の352億円と3期ぶりに過去最高を更新した。設備投資回復を受け、幅広い業種向けに制御機器やセンサーが伸びた。経費の削減も進んだ。売上高営業利益率は前の期比5ポイント高い50.4%と初めて50%を超えた。

:同社は3月21日から1年間としていた決算期を、今期は一時的に変更する。「3月21日から6月20日まで」と、「6月21日から翌年3月20日まで」の2期に分離。4月1日以降に事業年度が始まる企業が対象の外形標準課税の適用を受けるためで、これにより純利益を8億円押し上げる効果があるという。

調べようと思ってこの会社のIRページを見ましたが、まあ殺風景なこと。利益(結果)を出すことが一番のIRだということなのでしょう。うらやましい会社です。

この件についてはここに記者発表文があります。
簡単にいうと、外形標準課税というのは、9.6%であった事業税率を7.2%に引き下げ、足りなくなった財源を、会社の大きさに応じて負担してもらおうということです。
すなわち、従来税金を納めている会社は税金が(単純にいうと)7.2/9.6に減額されるかわりに、その負担の一部は、今まで損失ばかり出していて税金を払っていない図体の大きい会社に移転します。キーエンスは当然前者の会社でしょうから、外形標準課税は適用されたほうが得するわけです。

ところが、キーエンスは3月20日が決算日のようです。最近では珍しいですが、昔はこのような会社も多かったようです。外形標準課税は2004年4月1日以降に始まる年度から適用ですので、普通にやっていたらキーエンスの場合は適用が丸一年近く遅れてしまいます。これを避けるために、一旦3か月で事業年度を切って、高い事業税率がかかる所得を極力抑え、残りの9か月間は外形標準課税の適用年度とする、ということのようです。

このようなことをすれば、株主総会は2回やらなければならないし、いろいろコストもかかり、面倒なことも増えます。それを加味しても節税となるということなのでしょう。この徹底さも高収益の秘訣の一つなのでしょう。

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減損会計花盛り

各社の決算発表において、2005年3月期の減損会計のインパクトを織り込んでいるパターンが目立つようになってきました。例をあげると、JR東日本が100億円単位、中部電力が約300億円、新日鉱HDが120億円(いずれも5/13日経より)と、結構な単位で計上するようです。この減損会計、2006年3月期から強制適用なので、これらの会社は早期適用ということになります。

ところで、2004年3月期に既に減損を計上している会社もあります。スズキで174億円(5/13日経)セコム112億円(5/13日経)味の素76億円(5/15日経)などです。前段の会社も金額がわかっているんだったら今期計上したらいいのに、などという意地悪な突っ込みができそうですが、2004年3月期からの早期計上も認められているのです。原文

:固定資産の減損に係る会計基準については、今後、関係各方面の準備作業、企業側の受入準備が必要であり、これらを考慮して、平成17 年4月1日以後開始する事業年度から実施されるよう措置することが適当である。また、平成16 年4月1日以後開始する事業年度から適用することを認めるよう措置することが適当である。なお、平成16 年3月31 日から平成17 年3月30 日までに終了する事業年度に係る財務諸表及び連結財務諸表についても適用することを妨げないものとする。

なんとも回りくどい決め方です。実務界との駆け引きで、企業会計審議会固定資産部会の経過報告の発表時も適用時期については相当もめたみたいなので、その影響を引きずったものです。

こういう報道を見ていると、2006年3月期に原則どおり適用しようとしている会社は何を導入準備に手間取っているのだろうという見方をどうしてもされてしまいそうです。導入時期に3期も幅を持たすような基準の適切性もさることながら、できるだけ早期適用しないと、ネガティブインパクトを与えそうです。

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ハウスの前期、最終損益372億円の黒字(2004/05/14 13:37)

NIKKEI NET:総合企業情報

:経常利益は73%増の725億円だった。年金の運用差益などで営業外収益が113億円増えた。


日経本紙(5/14)では、「ゼロパーセントと見ていた年金資産の期待収益率が7%強で運用できたため、差益として95億円弱を営業外利益に計上した」とありましたので、気になって調べてみました。というのは、普通期待収益率は期首から決まっており、それと実績の差額は一時の損益に計上できないからです。実績を見てから期待収益率を決めるのであれば、運用がいいときは一時の利益計上、運用が悪いときは損失を繰り延べるなんてことが簡単にできてしまいます。

よくよく調べてみると、この会社も旭化成同様、昨年度に会計方針を変更し、未認識数理債務を1年で償却することにしているみたいですね。それなら、会計上間違っているわけではなさそうです。昨年も損失を一括償却しているようですし。

でも、さきに書いたとおり、やっぱり私には腑に落ちないのであります。

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旭化成の今期、年金積み立て余剰で営業益200億円上乗せ.

NIKKEI NET:総合企業情報

:旭化成の二〇〇五年三月期は、退職給付会計による営業利益上乗せ効果が二百億円前後に達しそうだ。二〇〇三年度の運用好調で年金に積み立て余剰が発生、これを今期に単年処理する。

退職給付にかかる会計処理については、その性質が極めて長期にわたることから、退職給付用に積み立てた資産の一時的な運用の結果を、短期的に損益に反映させるのでなはく、長期間に渡り平準化させる処理が認められています。予想収益と実際収益の差額は、平均残存勤務年数以内の一定期間にわたり、毎年定額で償却するのが原則となっています。

旭化成は、この一定期間を「1年」と定めています。したがって、1年前の運用結果が、翌年度の損益にそのまま跳ね返ってきます。昨年は株式市場の復活もあり、どの年金基金もプラス運用となったようですから、この影響が今年度の損益に出てくるわけです。

国際会計基準では、現在ここまでの処理は求められていないものの、プロジェクトの進捗状況をみますと、平準化処理は認めない(The Board tentatively agreed that actuarial gains and losses should be recognised
immediately,)というのが現在の目標点のようです。したがって旭化成の処理はそれを先取りしているともいえます。

このような処理が強制されますと、年金基金の運用の巧拙により企業の損益が大幅にぶれることになります。それを防ぐために基金の解散や、確定拠出制度への移行がますます加速すると思われます。企業のリスク管理としては正しい方向なのかもしれませんが、単なる一従業員でもある私にとっては、素直に賛成できる会計基準とは言いがたいのであります。


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債務超過での適正意見

経営・会計通信: 東証マザーズ上場

:まず、直前期の監査意見が「継続企業の前提」に抵触しつつも、「無限定適正」意見をつける監査法人がいるか、です。原則としては、会社側の情報開示が適正であれば、「無限定適正」になりえるはずですが、実際そういう事例があるかは判りません。


継続開示会社であれば、例えばこんな会社
、有名どころではこんな会社なんかが債務超過で継続企業の前提に疑義がつきながらも無限定適正意見が出ています。
また債務超過ではありませんが、こんなゴタゴタが起きているこんな会社
などは営業キャッシュフローのマイナスということで継続企業の前提に疑義がつきながらも無限定適正意見が出ています。(この会社のIRページは目次を見ているだけで笑えますね。笑ってはいけないんでしょうけど)

もっとも、これらは継続開示会社であるからであって、それよりはるかに厳しい監査が行われるIPOの際に、既に債務超過であり、合理的な解消計画を開示し、適正意見を得るという状況は、やはり考えにくいように私も思います。


(EDINETに直リンを試みたのですが、できませんでした)

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あっぱれ、福田さん@昼休み中

これで菅さんは完全に手詰り。だから言ったのに。。。

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GW明け

もともと短い今年のゴールデンウィーク。メーカーなのに30日が休みになっていないもの、ですから暦どおりの5連休、そのうち2日出勤してましたから、正味3日間のゴールデンウィーク。週末に毛が生えた程度のものでした。

そんな中でも、山梨の某所にキャンプを張り、温泉に山登りと、短いなりに充実した時間をすごし、普段の家族に対する不義理も解消してきたわけです。

3日間、新聞も読まず、ネットにも触れずだったのですが、その間にGoogleはIPOを発表しているわ、人質となった2人は記者会見してるは、いろいろなことがあった模様。

とくに、人質について最近のblogをあさってみると、最近は彼らに同情的な意見が多数派の模様。つい最近までは自己責任論一色であったのが、あっという間に様変わり。パウエルさんのせいかルモンド紙のせいか、あるいは柏村議員のせいか虐待米人のせいか、はたまた私みたいなヘタレが増えたのか。どちらにしても世論は移ろい易いもの。最初から変わらないこんな方は例外か。

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