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100%子会社の監査免除特例、導入見送りの公算(6/4日経)

:法制審議会(法相の諮問機関)の専門部会が進めている会社法制の見直しについて、要綱案の原案から「100%子会社の監査免除特例」が削除されていることが3日、明らかになった。2003年10月に公表した素案には盛り込まれていたが、監査厳格化の流れを背景に一転して導入が見送られることになった。

:この特例に対し日本公認会計士協会などは、監査を免除すると100%子会社のチェックが甘くなり、監査全体の精度が下がると主張。子会社の債権者を保護する観点からも導入見送りを求めていた。

「監査を免除すると精度が下がる」という主張はやや変ですね。連結財務諸表の監査であれば、当然その構成要素である子会社の財務諸表も監査対象ですから、精度が下がる危惧があれば追加の手続きをとればいいだけですし、それが妨害されるのであれば、意見差し控えという手段もあります。

ただ、追加の手続きをとるためには、当然追加のコストがかかります。結局そこが問題なわけで、「監査を免除すると精度が下がる」というのは、「今のフィーのままでは」という言葉を補って読む必要があるかと思います。

もし原案通り導入されれば監査法人としては約1000社(今回の記事によると)のクライアントを失うことになります。失った分を親会社が満額払ってくれるかというと決してそんなことはないはずで、会計士協会としては今回の案に必死に抵抗したことでしょう。「監査厳格化の流れ」とはまた別の力学が働いていたことと思います。

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