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カネボウが毛布で損失500億円の構造

週刊東洋経済 中吊り

東洋経済が「旧カネボウ 「宇宙遊泳」で毛布取り引き巨額損失の全貌」とのタイトルで、詳細に興洋染織との取引を記載しています。原文が手許にないのですが、記事を信用する限りにおいて(そして私の記憶する限りにおいて)、会計の角度からみた論点がいくつかありました。

1.毛布の「宇宙遊泳」による売上計上
毛布という商品がら、売上には季節変動が出てしまいます。工場生産の平準化を図るため、興洋染織はコンスタントに商社に売上をたて、一旦商社に在庫を持ってもらいました。しかし、商社が在庫リスクを負うわけではなく、売れ残り製品は再び興洋が引き取っていました。興洋の決算期が4月であるのをいいことに、決算期に在庫が見えないように調整していたようです。商社が手を引き始めると、カネボウがとって代わるようになりました。こうしてユーザーの手に渡るまで、毛布が行き先を転々としているさまを記事では「宇宙遊泳」と呼んでいます。興洋はこの遊泳している取引を売上と仕入で処理していたようです。しかしながら、実態は仕入れではなく売上戻入ですので、売上が過大であった可能性が高いことになります。また、そもそも返品を引き取る義務があるのであれば、書店のように返品調整引当金を計上し、あらかじめ返品リスクを顕在化しておく必要があった可能性があります。

2.営業権の計上
カネボウは興洋を丸抱えするため、旧興洋を解散し、新興洋を設立しました。旧興洋を解散するにあたり、営業権70億円を新興洋に譲渡し、損失処理の原資としました。新興洋の資産に計上された70億円の営業権は5年の期間にわたり償却されたようです。しかしながら、そもそも瀕死の会社に70億円の評価に値する営業権が本当にあったのか?あったとしてもこのとき既にカネボウに頼っていた会社の営業権をカネボウ主導で顕在化させていいものなのか?いったい評価は誰がしたのか?疑問はつきませんが、非上場の(おそらく)監査対象外の会社のやることですから、誰の目にも止まらなかったのでしょう。

また、私の記憶では新興洋はカネボウの休眠子会社を利用して設立された旨の記載があったかと思います。一方帰宅してから調べてみると、カネボウ15%以下保有のカネボウ物流のさらに15%以下保有の会社との報道になっており、このあたりのスキームがいまいちはっきりしません。もし休眠とはいえ、子会社の子会社(つまり孫会社)であれば当然連結の問題が出てきます。

まだ不明な点は多いですが、今後詳細については経営浄化調査委員会とやらが公表してくれるでしょうから、それを待ちたいと思います。

また、くどいようですが今のところ記憶に頼って書いていますので、明日再度読み直し改めるべき点があれば訂正します。

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