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少数株主損益【日エンター、中国事業撤退(6/10 日経金融より)】

:携帯電話用有料情報提供の日本エンタープライズ(4829)が中国での配信事業から先月、撤退した。ネットに接続する携帯の普及を見込み、他社に先行して進出したが、立ちはだかったのは外資規制に起因した会計処理の問題。中国事業が好転するほど損失が増える結果を招いたのはなぜか。

:日エンターが四月に発表した2003年6月-2004年2月期の連結最終利益は前年同期比66%減の1,300万円。別会社の「ネットワークテクノロジー」の収益計上については、「直接出資関係がなくても人的なつながりが深いため連結対象とみなすべき」と監査法人から指導を受けていた。増収・経常増益だったにもかかわらず、最終段階で大幅減益になったのは、直接の出資関係がない同社の税引利益約5千万円を「少数株主損失」として、差し引いたことによる。

:この処理に基づくと今後さらに中国での携帯用情報発信が好調でも、連結決算上は最終段階で常にマイナス要因となる。

「事業が好転するほど損失が増える」? いくら最近の会計が難解でも、それはあり得ません。

「直接出資関係がなくても人的なつながりが深いため連結対象とみなすべき」というのは確かです。数年前より実質支配力基準というものが導入されており、連結決算に含めるべき会社の範囲は拡大されています。この中国の会社は現地子会社の社長が現地資本で設立したもののようで、資本関係がなくても実質的に(日エンターが)支配をしている会社と判断したのでしょう。

この実質支配力基準を導入した趣旨は、形式的には無関係の会社に強引に棚卸を押し込み販売したり、借入金を付け替えたりといった会計操作を防ぐことにあります。相手の会社が連結対象になれば、その会社に対する売上は連結決算上消去されますし、借入金も連結グループ全体の借入金が表示されますから、隠すことができなくなります。

しかしながら、会社の(営業利益でも、経常利益でもなく、最終的な)当期利益とは、ありていに言えば稼いだうちで出資者の持分がどれだけ増えたの?という質問に答えるものです。そういったときに、100%子会社であれば、その会社の稼いだものはすべて親会社が配当として受け取る権利がありますので、最終的に親会社株主のものと言えますが、資本関係のない子会社がいくら小金を貯め込もうとも、その小金はあくまで稼いだ会社の株主(親会社といえど株主ではない)のものであって、それを親会社が要求する権利はありません。

したがって、その子会社の稼いだ部分は連結決算上の当期利益から控除することになります。それが「少数株主損益」とよばれるものです。この会社の例で行けば、中国事業でいくら稼いでも当期利益への反映は0となるわけです。

もっとも、それは0になるだけであって、マイナスになることはあり得ません。中国でいくら儲かっても当期利益への影響はありません、ということにすぎません。当期利益が減益となったとすれば、それは単に他の事業が落ち込んでいるか、他の特殊事情によるものと思われます。決して中国事業が繁盛しているから利益が減ったという理由は成り立ち得ないものと考えます。

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