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国際会計基準が中小企業用会計基準に関する討議資料を公開

IASB Publishes Discussion Paper on Standards for SMEs

例によって端折った意訳です。

The International Accounting Standards Board (IASB) published today a Discussion Paper on its proposal to develop a separate set of international accounting standards for small and medium-sized entities (SMEs). The Discussion Paper sets out the IASB’s preliminary views on aspects of the proposal and invites comments on them by 24 September 2004.

SME、すなわち中小企業ですが、IASBはSME向けの会計基準を作成することについての討議資料を公開しました。

The Discussion Paper does not include proposals for specific financial reporting standards for SMEs. That will come later. Instead, the Discussion Paper focuses on the Board’s approach to the project.

ただし、具体的な会計基準の提案ではなく、このプロジェクトに対する方針に焦点をあてたものです。

Introducing the Discussion Paper, Sir David Tweedie, IASB Chairman, said:
In most countries, many or even all entities have a legal obligation to prepare financial statements that conform to a required set of accounting principles that are generally accepted in that country. Those statutory financial statements are normally filed with a government agency and are available to creditors, suppliers, employees, government and others. The great majority of those entities are small or medium-sized entities—no matter how you define ‘small’ or ‘medium-sized’. Few countries require those entities to prepare financial statements that comply with the full requirements of the IASB’s standards developed primarily for use in international capital markets. Consequently the IASB is looking for ways to simplify its standards for use by SMEs. At the same time, it will take care to adhere to the basic concepts that underlie those standards.
To assist in the development of its proposals, the IASB has set up an advisory panel whose members can provide views and comments on specific issues. Also, because a number of the IASB’s preliminary views on standards for SMEs require an assessment of the needs of users of financial statements of SMEs, an informal user advisory group has been set up.

企業のうち大多数は中小企業であり、主に国際資本市場で要求されている国際会計基準に準拠するよう要求している国は少ないため、IASBは中小企業用の簡便な方法につき検討することにしたわけです。そして公式非公式のアドバイザリーグループを立上げ、プロジェクトを推進していくことにしました。

討議資料で掲げた論点は以下の通りです。

1.Should the IASB develop special financial reporting standards for SMEs?
そもそも中小企業用の報告基準を作成すべきなのか

2.What should be the objectives of a set of financial reporting standards for SMEs?
中小企業用の報告基準の目的は何か?

3.For which entities would IASB Standards for SMEs be intended?
そもそも中小企業とは何ぞや?

4.If IASB Standards for SMEs do not address a particular accounting recognition or measurement issue confronting an entity, how should that entity resolve the issue?
中小企業用の基準が認識測定の問題について言及しないならば、中小企業はどのようにその問題を扱うべきか?

5.May an entity using IASB Standards for SMEs elect to follow a treatment permitted in an IFRS that differs from the treatment in the related IASB Standard for SMEs?
中小企業用の基準と異なる国際会計基準の扱いを選択することが許されるか?

6.How should the Board approach the development of IASB Standards for SMEs? To what extent should the foundation of SME standards be the concepts and principles and related mandatory guidance in IFRSs?
中小企業用の基準はどのように作っていけばよいか。既存の国際会計基準の概念原則と関連する指針との関係をどのようにすべきか。

7.If IASB Standards for SMEs are built on the concepts and principles and related mandatory guidance in full IFRSs, what should be the basis for modifying those concepts and principles for SMEs?
もし中小企業用の基準と既存の国際会計基準の概念原則などとよって立つものが同じなのであれば、その修正はどのようなものをベースに行われるべきか

8.In what format should IASB Standards for SMEs be published?
発行の方法はどのようにすべきか。

なお、現在公開されているのはIASBに会費を払っている会員のみであり、一般公開は7月5日からのようです。
公開されたら改めて読んでみたいと思います。

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重要なリスク開示 30社が「注意喚起」(6/29 日経)

:日本経済新聞社の集計によると2004年3月期決算短信で企業の存続にかかわる重要なリスク情報(ゴーイングコンサーン)を開示し、投資家に注意喚起を促した企業(新興市場を除く)は30社だった。新たに開示したのは、三菱自動車など7社。上場企業全体の収益力は回復してきたが、重大な経営リスクを抱えながら業績不振にあえぐ企業は少なくない。

:前期決算でこのリスク情報を開示した企業の数は2003年9月中間期(30社)と同じで、新たに7社が加わった。多額のリストラ損を計上した佐田建設、繰り延べ税金資産を取り崩した中央ビルト工業はそれぞれ債務超過に転落したためだ。

記事全文を読みますと9月も30社で3月で新たに加わったのが7社なのに、外れた企業は6社になっています。また30社が「少なくない」と断言できるのか、いろいろ突っ込みどころはあるのですが、それはさておき、

7社のうちいちばん有名なのは、記事にも載っています三菱自動車ですね。これは大幅な当期純損失を計上したことによると記載がされています。

そのほかの4社は以下の通りです。

駿河屋
(10期連続経常損失を計上したことによる)

ハネックス
(多額の利益剰余金のマイナス。ン?前期もあるぞ。それに今期は「重要な疑義」とは書いていない)

ナカノフドー建設
(当期純損失の計上)

粟村製作所
(売上高の大幅な減少)

ハネックスについては疑義があるとは書いていませんが、EDINETに公表されている有価証券報告書に添付されている監査報告書によると、明確に継続企業の前提に疑義がある旨の判断がなされています。

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カネボウが毛布で損失500億円の構造

週刊東洋経済 中吊り

東洋経済が「旧カネボウ 「宇宙遊泳」で毛布取り引き巨額損失の全貌」とのタイトルで、詳細に興洋染織との取引を記載しています。原文が手許にないのですが、記事を信用する限りにおいて(そして私の記憶する限りにおいて)、会計の角度からみた論点がいくつかありました。

1.毛布の「宇宙遊泳」による売上計上
毛布という商品がら、売上には季節変動が出てしまいます。工場生産の平準化を図るため、興洋染織はコンスタントに商社に売上をたて、一旦商社に在庫を持ってもらいました。しかし、商社が在庫リスクを負うわけではなく、売れ残り製品は再び興洋が引き取っていました。興洋の決算期が4月であるのをいいことに、決算期に在庫が見えないように調整していたようです。商社が手を引き始めると、カネボウがとって代わるようになりました。こうしてユーザーの手に渡るまで、毛布が行き先を転々としているさまを記事では「宇宙遊泳」と呼んでいます。興洋はこの遊泳している取引を売上と仕入で処理していたようです。しかしながら、実態は仕入れではなく売上戻入ですので、売上が過大であった可能性が高いことになります。また、そもそも返品を引き取る義務があるのであれば、書店のように返品調整引当金を計上し、あらかじめ返品リスクを顕在化しておく必要があった可能性があります。

2.営業権の計上
カネボウは興洋を丸抱えするため、旧興洋を解散し、新興洋を設立しました。旧興洋を解散するにあたり、営業権70億円を新興洋に譲渡し、損失処理の原資としました。新興洋の資産に計上された70億円の営業権は5年の期間にわたり償却されたようです。しかしながら、そもそも瀕死の会社に70億円の評価に値する営業権が本当にあったのか?あったとしてもこのとき既にカネボウに頼っていた会社の営業権をカネボウ主導で顕在化させていいものなのか?いったい評価は誰がしたのか?疑問はつきませんが、非上場の(おそらく)監査対象外の会社のやることですから、誰の目にも止まらなかったのでしょう。

また、私の記憶では新興洋はカネボウの休眠子会社を利用して設立された旨の記載があったかと思います。一方帰宅してから調べてみると、カネボウ15%以下保有のカネボウ物流のさらに15%以下保有の会社との報道になっており、このあたりのスキームがいまいちはっきりしません。もし休眠とはいえ、子会社の子会社(つまり孫会社)であれば当然連結の問題が出てきます。

まだ不明な点は多いですが、今後詳細については経営浄化調査委員会とやらが公表してくれるでしょうから、それを待ちたいと思います。

また、くどいようですが今のところ記憶に頼って書いていますので、明日再度読み直し改めるべき点があれば訂正します。

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羽黒灘(羽黒洋またはナダッチ)有罪

いまだにナダッチ経由でこられる方もいらっしゃいますので、数ヶ月前の記事の続報です。

元幕下力士・羽黒洋に有罪判決 偽ブランド品所持事件

:ルイ・ヴィトンやエルメスなどの偽ブランド品を販売目的で所持したとして、商標法違反の罪に問われた無職田中大介被告(29)=東京都墨田区=に対し、東京地裁は21日、懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。田中被告は、元幕下力士の「羽黒洋」で、02年に引退した。上岡哲生裁判官は「積極的に犯行に加わった
が、罪を認めて反省している」と量刑の理由を述べた。

:判決によると、田中被告は知人の男性=有罪確定=と共謀し、インターネットで販売する目的で、偽のブランド商標をつけたバッグなど751点を所持していた。

まあ、初犯で起訴事実について争いがなければ妥当な量刑なのでしょう。私とは惜しくも袖すりあうところまで行かなかった方ですが、まっとうな道を歩んでくれることを期待しております。

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ベイサイドマリーナ<off-time>

この土曜日も自転車でひとっ走り。ベイサイドマリーナ・アウトレットへ向かいました。私が履いている革靴のあまりのみすぼらしさに元上司があきれ返ったのを見て、さすがにまずいなと決断。サイクリングがてら、靴を仕入れに行ったのでした。

もともと、クルーズをやる方の港であるベイサイド・マリーナの隣にできたものです。私などとは無縁の世界なのですが、ここにいるだけでひょっとしたら自分も船のオーナーになった気分になれるのではないか?などど気分のいい勘違いをさせてくれるところです。

ショッピング自体、私はあまり好きではないのですが、輪をかけて嫌いなのがわが愚息。ついて数分もしないうちに帰ろう帰ろうの連発。先週の金沢公園とはずいぶん態度が違う。気分治しに、クライミングチャレンジに挑戦させる。善戦むなしく、途中でリタイア、命綱に宙ぶらりんとなる。それでも回りからは拍手喝采。彼は有頂天で機嫌を直す。この子、ほんとに山男になってしまうかもしれない。。。。

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EU、国際基準適用2年延期(6/24)日経金融

日本の会計基準が2007年までは欧州内で使える見通しとなった。欧州連合(EU)は、来年から域内で活動する企業に国際会計基準の適用を義務付ける方針だったが、作業の遅れなどで外国企業への適用が先送りとなった。日本企業が欧州での資金調達ができなくなるという危機は当面回避されたが、日本の会計の国際的認知度はまだ低いまま、課題はなお残っている。

コメントは別途作成します。とりあえず今日のところはお知らせまで。

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FASBが公正価値測定に関する提案を公表

FASB Issues Proposal on Fair Value Measurements

The Exposure Draft seeks to establish a framework for measuring fair value that would apply broadly to financial and nonfinancial assets and liabilities, improving the consistency, comparability, and reliability of the measurements. The fair value framework would clarify the fair value measurement objective and its application under other authoritative pronouncements that require fair value measurements. Thus, the Exposure Draft would replace any current guidance for measuring fair value in those pronouncements. Since the Board added the project to its agenda one year ago, the staff and members of the Board have consulted with valuation experts and other interested parties. “An important aspect of this project is to provide guidance for measuring fair value that can be generally understood and consistently applied by preparers, auditors, and valuation professionals,” said Linda A. McDonald, FASB Project Manager.

:この公開草案は金融資産やその他の資産の公正価値を測定する上でのフレームワークを提供するものであり、一貫性・比較可能性および信頼性を改善するものです。このフレームワークは、公正価値測定を求めている他の会計基準下での公正価値測定の目的とその適用について明らかにしています。したがってこの公開草案は従来の公正価値測定の指針を改訂するものです。1年前にこのプロジェクトがアジェンダに加わって以来、FASBは価値評価の専門家や利害関係者と意見交換を行いました。「財務諸表作成者、会計監査人そして価値評価の専門家それぞれが理解でき、かつ継続的に適用できるような公正価値測定のガイダンスを提供することに、このプロジェクトの重要性があります」FASBプロジェクトマネージャーのリンダ女史は語っています。


最近、FASBでもIASBでも会計基準上でやたらとFairValue測定を求めるものが目に付きます。しかしながら、「Fairvalue」とは何ぞやという定義、およびその測定方法については各基準それぞれで決められているため、会計基準としての一貫性がないというのが現状のようです。このつかみ所のない「FairValue」という概念を正面から捉え、内容を定義し測定方法を規定しようという、ある意味大胆な試みです。今日は酔っているのでこの辺にとどめておきます。

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会計基準に国際的な信頼を 藤沼会計士協次期会長に聞く(日経6/22)

:「中期的には監査実務の充実、なかでも十分な監査時間を確保することが必要だ。欧米と監査時間を比較すると、日本の二倍、三倍の時間をかけている。日本でも会長任期中の今後三年のうちに二倍程度に増やしたい」

世の中、書店に行けば仕事術、時間術の書物があふれています。会社に行けば、残業時間増はむしろ評価を下げられる対象となっています。こんな時代の中、なぜかこの業界では時間をかけろかけろと喧しい。会長自ら倍増の公約をしてしまいました。まあ、時間かけるのは構いませんよ。でも倍のフィーを払う余裕はありませんよ(笑)。

米国で監査に時間がかかり、その結果フィーが高止まりしてるのは、監査契約を受諾することそれ自体大きな訴訟リスクにさらせれているからです。日本ではそのような訴訟リスクは当然あるのでしょうが、米国ほど顕在化しているわけではありません。したがって訴訟リスクの低い分、会社は費用を払いたくないし、監査法人は安値受注してもなんとかなる、こういったところではないでしょうか。

今後粉飾決算の発生および会計士の訴追などがどんどん増えてくるようになると、監査法人側で安値受注のリスクが高まり、したがって相場も高めに推移していくことになると思います。それは制度と市場が決めることであって、決して会長が「ニバイニバイ(古)」といって鼓舞する性質のものではないと考えています。

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会計に日本基準は必要か(6/22 日経金融【複眼独眼】)

本当は全文引用しないとミスリーディングになる可能性があるのですが。。。

:母国基準を捨て、国際基準を採用した場合の利点は分かりやすい。まず、独自の基準を作成するために膨大な人的資源を投入する必要がなくなる。代わりに優秀な人材を国際会計基準理事会(IASB)へ送り込み、国際基準そのものに影響を与えるよう努力すればいい。もっと重要なのは、企業が母国基準と国際基準を使い分ける必要がなくなる点だ。

:日本国内で日本基準の廃止論を唱える向きは皆無といっていいほどだ。会計基準の国際的調和で国際資本市場の使い勝手を向上させることよりも、母国基準を作る仕事がなくならないようにするほうが重要だからだろうか。

それでは、いっそのこと法律作成も米国議会に委託しましょうか。そうすれば国会や法務局に「膨大な人的資源」を投入する必要がなくなります。それをしないのは立法業務が国会議員の失対事業だからでしょうか?

それともいっそのこと円をドルリンクにしてしまいましょうか?日銀に「膨大な人的資源」を投入する必要がなくなりますが、それをしないのは為替介入業務がなくならないようにするほうが重要だからでしょうか?

とはいえ、独自基準を捨て、国際基準に委ねるという記者氏の方向性もそれはそれで選択肢のひとつではあり得ます。大げさかもしれませんが、国のあり方をどう考えるかということです。米国は自らがスタンダードと信じている国で、黙っていれば国際会計基準のほうが擦り寄ってくると思っています。欧州各国はEUという経済圏の競争力確保という視点から、国際会計基準審議会をあたかもEU内の一組織であるような感覚で接しているように見えます。シンガポールなどはそういった面倒なインフラ作りはお任せというスタンスを取っています。日本では性能は優れているが独自規格製品(会計基準のこと)を作り上げ、その優秀性を世に問うています(成功しているかどうかは別問題)。記者氏は独自性を持ったシンガポール型を主張しているようですが、スポーツ界を少し見渡せばわかる通り、ルールを自らの有利なように設定するということについてこの国はかなり不得手ですので、それも試練の道であるように思えます。

しかし現在独自基準作成のために「膨大な人的資源」を投入しているとはとても思えないのですが。。。。

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FASBが条件付資産撤去義務に関するガイダンスの公開草案を公表

FASB Publishes Proposal to Clarify the Accounting Guidance for Conditional Asset Retirement Obligations

以下の訳はざっと意訳したものですので、細かな突っ込みはご遠慮ください(笑)

The Financial Accounting Standards Board (FASB) has published an Exposure Draft, Accounting for Conditional Asset Retirement Obligations, an Interpretation of FASB Statement No. 143, in response to the diverse accounting practices that have developed with respect to the timing of liability recognition for conditional asset retirement obligations. The proposal seeks to provide more consistent recognition of liabilities relating to asset retirement obligations and more information about future cash outflows relating to these obligations.

:FASBは基準書143号の解釈指針の公開草案を公表しました。条件付資産撤去義務についての会計実務が混乱していたことに呼応するものです。

The exposure draft clarifies that a legal obligation to perform an asset retirement activity that is conditional on a future event is within the scope of Statement No. 143. Under the Board’s proposal, an entity would be required to recognize a liability for the fair value of an asset retirement obligation that is conditional on a future event if the liability’s fair value can be estimated reasonably. The ability of an entity to indefinitely defer settlement of the obligation or the ability of an entity to sell the asset prior to its retirement does not relieve an entity of the obligation. Uncertainty surrounding the timing and method of settlement that may be conditional on events occurring in the future would be factored into the measurement of the liability rather than the recognition of the liability. The proposal would be effective no later than the end of the fiscal years ending after December 15, 2005 (December 31, 2005 for calendar-year enterprises).

:この公開草案は、法的資産撤去義務は、それが将来の事象しだいで発生が左右されるものであったとしても、それは基準書143号の範囲内であることを明確にしました。こういった債務は合理的に見積もることが可能な限りにおいて、公正価値にて計上する必要があります。たとえ企業の判断でその義務が無期限に延期できるとしても、また撤去前に売却することができても、そのこと自体債務計上を免除するものではありません。不確定要素については、認識の局面ではなく、測定の局面において考慮すべきものとしました。2005年12月15日以降終了する事業年度より適用となります。


ここでいう基準書143号は、2001年6月に公表されています。原子力発電所を例にとりますと、建設に100かかったとして、将来の撤去に30かかるとします。その場合最初から固定資産130を計上して、耐用年数にわたって償却していく、ということを規定しています。(実際には30は現在価値で測定されます)。実際に30支出するときには、費用は発生しないことになります。

この義務がはっきりしないときにどうするかを定めようというのがこの草案のようです。原則的に義務が合理的に見積もれるのであれば、それは負債に計上すべきということです。たとえその発生確率が必ずしも高くないとしても、それは計上するしないの判断に影響させるのではなく、負債の金額を決定する際に考慮する(すなわち期待値を計算する際の確率を変動させる)ことになります。

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「幸せのメロンパン」と金沢動物園

土曜日の外出前、昼食代わりに「幸せのメロンパン」を、主婦や女子高生に混じって並んで購入。恥をしのんで並んだ甲斐がありました。これはいけます。2個で300円なり。

日曜は、金沢動物園http://www.city.yokohama.jp/me/green/zoo/index.htmlに自転車を走らせてきました。コアラがいることで有名。たまたまユーカリ交換の時間にあたったため、動くコアラを見物。普段はほとんどナマケモノと一緒で動かないとのこと。

しかし、日曜だというのに人はまばらです。2年前ズーラシアに行ったときもがらがらで唖然とした記憶がありますが、最近動物園は人気がないのでしょうか。

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JUSCPA総会

6月19日はJUSCPAの国際会計基準専門部会と総会に参加。

今回より、専門部会の開催場所は変わったのであるが、場所の地図を忘れるという失態を犯し、一旦職場により、メールを印刷してからの参加。結局定刻より45分遅れの到着。いくらタイムマネジメント本を読み、実践しようとしても、こういったことをまずなくさなければ何の意味もないと、つくづく反省。

専門部会は、排出権(Emission right)について。二酸化炭素排出枠のやり取りにつき、どのように会計処理すべきかという問題。なにせ45分遅れであるのに加え、前提となる知識が必要で、最終的にキャッチアップできず。そもそも会計以前の問題が山積みであるのに、会計論は時期尚早といった感じ。

総会といっても、前半の報告事項と短い講演のあとはただの立食パーティーと化すわけです。結局旧知の方としか話していないような気がします。こういったところもつくづく反省。

まあ楽しかったのですけどね。

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転機の事業再編

2chからいらっしゃった方、電車男で検索してこられた方、はじめまして。
あまり有用な情報に至らなかったかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします。

さて、日経新聞が、「会計ビッグバン 転機の事業再編」と題した連載をしております。
krpさんが、きれいにまとめられています。

経営・会計通信: 転機の事業再編

:もし、社長一族を1つの会社と置き換えると、グループ内の再編ですから、持分プーリング法が妥当に見えます。個人株主が共通の場合はグループ間とは認めず、パーチェス法だとしてどのような会計処理になるのでしょうか。メルコホールディングが株式交換時に、旧メルコの資産を時価で取得したとして処理するのでしょうか?これが旧バッファローと旧メルコの合併だった場合どうなるのでしょうか。

会社と「緊密な者」とで議決権の過半数を保有していれば、被保有会社は会社の子会社となります。
「緊密な者」には「自己(注 会社のことです)の役員、または自己の役員が議決権の過半数を所有している会社等」が含まれます。

「マキスホールディング」の実態がよく分かりませんが、仮に牧社長の支配下にあるとすれば、現在でもメルコホールディングとメルコは親子関係にあるかと思います。
したがって、これはグループ内の再編にあたり、新会計基準でもプーリング法が適用されるのではないでしょうか?
(間違っていたらどなたかご指摘を)


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転機の事業再編(下)

NIKKEI NET:総合企業情報

:札幌市の中心部近くにある複合商業施設のサッポロファクトリー。十一年前に鳴り物入りで開業したものの、集客は苦戦が続いている。サッポロホールディングスは二〇〇三年十二月期に、同施設が抱える含み損百八十億円をグループ会社同士の合併により損益計算書を通さず、目立たないように処理した。

記事ではこのあと、三井住友銀とわかしお銀、ニチメンと日商岩井の例をあげて、子会社合併のスキームを使った損益計算書を通さない損益処理について解説しています。トーンはかなり批判的です。これらのスキーム報道の時点では少なくとも日経紙面には批判的なコメントはなかったと記憶しています。おそらくその後勉強したのでしょう(笑)。おおむね的を射た記事だと思います。そもそも子会社どうし合併して連結決算実績が変わるのはおかしいという感覚を持っていただきたいと思います。(税負担が変わることはあるでしょうが。。。)

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転機の事業再編(中)

NIKKEI NET:総合企業情報

:経営再建中の東急建設は二〇〇四年三月期に、三百八十五億円の連結最終赤字となった。昨年十月、会社分割で旧東急建から引き継いだ建設事業の営業権(のれん代)六百八十一億円を一括して損失処理したためだ。

:新基準ではのれん代の価値は時間の経過とともに減価するため、二十年以内で規則的に償却する。だが、何年で償却するかで利益は大きく変わる。
:米国会計基準や国際会計基準ではのれん代の規則的な償却はせず、大幅に価値が低下した場合にのみ、損失計上するルールになっている。

のれんの会計処理についても日米(および国際会計基準)差が残ったものです。この件についても、個人的には日本の処理がしっくりきます。確かに償却年数によって損益が大きく左右されることになりますが、それではDCFによる回収可能性判定がそんなに恣意の入らない立派なものなのか。大いに疑問なのであります。もっとも最長20年というのは長すぎという気がしますが。。。(旧米国基準は40年でした。気の長い話です)

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転機の事業再編(上)

いまさらBack-datedで申し訳ないですが、日経に連載されていました「転機の事業再編」について。

「・・・十月に発足する持ち株会社、セガサミーホールディングスには,セガの会長を兼任する里見社長を除けば両社から三人ずつが取締役に就任する。会計面でも両社の資産を簿価のまま合算する『持分プーリング法』を使う方針だ」

セガとサミーについては、以前も日経金融に記事が載ったときに取り上げました。今回の場合、統合後の議決権比率は、旧サミー側のほうが上ですので、米国基準や国際会計基準ではサミー側が明確な取得者としてパーチェス法を適用することになります。日本の新基準適用後も同様です。

記事のトーンはプーリング法を残したことで、その拡大解釈により「日本の会計は世界の中で信用を失いかねない」と書かれています。個人的には以前書いたように必ずしもプーリング法を否定しません。但し、記事で書いてある「会計制度の変更で経営者はM&Aの成果に対する説明責任をより厳しく問われる」のは事実であり、プーリング法を適用した場合は、単に会計基準で認められているからいいではないかというのではなく、そもそも対等合併の正当性とその成果を明確に説明する必要があるかと思います。

ちなみに、パーチェス法はacquisition methodと改名される運命にあるようです。元ネタはこちら

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監査役の権限

木村剛氏が、監査役について書かれています。これを見まして、私もぜひ一言書いてトラックバックしようと、一応文章らしきものを纏め上げて、さあアップロードしようと準備しようとしたそのとき、isologueにおける磯崎さんの監査役に関する二つの記事を目にしました。

・・・

アップロードを諦めました。私の書こうとしていたことが、豊富な専門知識をバックに、そして圧倒的な筆力で表現されています。しかも、自分の文章の切り札として用意していた最高裁の国民審査との比較までされているとは。何年か先には私もこれくらいの専門知識と筆力を備えたいものです。険しい道ですが。

実をいうと、つい先日まで決算業務担当だった私には、密かな異動希望がありました。それは監査役室スタッフです。制度を知れば知るほど、監査役という役職、その気になればかなりの権限があることが分かってきます。そこのスタッフに就いて、監査役本人を焚きつければ、会社を思うように動かすことができるはず。費用は妥当性を証明さえすれば会社に請求できる。そしてスタッフであるうちは、一時的責任は監査役が負ってくれる。これが、正攻法では社長になれそうもない一経理スタッフの野望でありました。

ところが敵もさるもの。異動希望の部署リストには現在会社にあるありとあらゆる部署が載っていましたが、なぜか監査役室は載っていませんでした。はじめからそのような不埒な考えをもつ人間は排除される仕組みにあるようです(笑)。

:経営陣自らが監査機能の重要性に気づくか、機関投資家や再生ファンドなどがガツーンと「監査役に弁護士と公認会計士(レベルの人)を入れろ」とか言わないと、変わらないと思うですよ。

現状でも弁護士が監査役となっている例は多数あるかと思いますし、米国ではサーベンスオクスリー法により、監査委員会における財務専門家の任命を半ば義務付けていることを考えると、監査役について従来の名誉職的意味合いは徐々に薄まっていくとは思います。しかしながら、「会計士が変わった」直接の原因は「責任追及がきちんと行われる」ようになったからであり、日本の金融危機やエンロン事件などにより訴訟リスクが顕在化したことによるものです。現行制度上で監査役が変わるにはやはり訴訟リスクにさらされる必要があるかと思います。監査役が何をどこまでやれば責任を回避できるかについては商法に明文がない以上、社会通念と監査役監査基準等の自主ルールのバランスで決まっていくものだと思います。だとすれば、「株主総会に足を運んで質問したり、委任状によるとしても議案ごとに議決権を行使したり、株主としての責任を、積極的に果た」すことも、社会通念を変えるという意味ではあながち間違った方向ではないかと思うのですが、遠回り過ぎですかね?

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入試問題

ココログさん、お願いです。あまり高度な機能はいらないから、
まず「書き込める」weblogサービスをお願いします。

さて、土曜は息子の小学校の参観日、日曜は近所の某進学塾の体験テストの付き添いと珍しく教育パパになりきってきました。まだ3年生なのに進学塾とは、田舎出身で塾など知らずに社会人になってしまった私には想像を絶する世界なのですが、まあ無料なので参加してきたわけです。

塾の先生いわく、最近は詰め込み教育ではなく、自ら試行錯誤し、考える問題が増えているとのこと。

典型的な問題

「日本とアメリカ、日本と中国には貿易を通じた深い結びつきがあります。そして、アメリカと中国はその他の関係でも日本と深く結びついています。貿易以外にはどのような点で結びつきがあるのか、どちらか1つの国を選んで、簡単に説明しなさい」
「上で答えた国についてもっとくわしく知りたいと思います。どのように調べていくか計画を立ててください。調べたいことがら、調べ方についてあなたの考えを書きなさい」

前者はともかく、後者は難問ですね。私などは一言「ぐぐる」で片付けてしまいそうな問題です。

さあ、大人の皆さんなら何と答えるでしょう。塾の模範解答はまた後日。

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少数株主損益【日エンター、中国事業撤退(6/10 日経金融より)】

:携帯電話用有料情報提供の日本エンタープライズ(4829)が中国での配信事業から先月、撤退した。ネットに接続する携帯の普及を見込み、他社に先行して進出したが、立ちはだかったのは外資規制に起因した会計処理の問題。中国事業が好転するほど損失が増える結果を招いたのはなぜか。

:日エンターが四月に発表した2003年6月-2004年2月期の連結最終利益は前年同期比66%減の1,300万円。別会社の「ネットワークテクノロジー」の収益計上については、「直接出資関係がなくても人的なつながりが深いため連結対象とみなすべき」と監査法人から指導を受けていた。増収・経常増益だったにもかかわらず、最終段階で大幅減益になったのは、直接の出資関係がない同社の税引利益約5千万円を「少数株主損失」として、差し引いたことによる。

:この処理に基づくと今後さらに中国での携帯用情報発信が好調でも、連結決算上は最終段階で常にマイナス要因となる。

「事業が好転するほど損失が増える」? いくら最近の会計が難解でも、それはあり得ません。

「直接出資関係がなくても人的なつながりが深いため連結対象とみなすべき」というのは確かです。数年前より実質支配力基準というものが導入されており、連結決算に含めるべき会社の範囲は拡大されています。この中国の会社は現地子会社の社長が現地資本で設立したもののようで、資本関係がなくても実質的に(日エンターが)支配をしている会社と判断したのでしょう。

この実質支配力基準を導入した趣旨は、形式的には無関係の会社に強引に棚卸を押し込み販売したり、借入金を付け替えたりといった会計操作を防ぐことにあります。相手の会社が連結対象になれば、その会社に対する売上は連結決算上消去されますし、借入金も連結グループ全体の借入金が表示されますから、隠すことができなくなります。

しかしながら、会社の(営業利益でも、経常利益でもなく、最終的な)当期利益とは、ありていに言えば稼いだうちで出資者の持分がどれだけ増えたの?という質問に答えるものです。そういったときに、100%子会社であれば、その会社の稼いだものはすべて親会社が配当として受け取る権利がありますので、最終的に親会社株主のものと言えますが、資本関係のない子会社がいくら小金を貯め込もうとも、その小金はあくまで稼いだ会社の株主(親会社といえど株主ではない)のものであって、それを親会社が要求する権利はありません。

したがって、その子会社の稼いだ部分は連結決算上の当期利益から控除することになります。それが「少数株主損益」とよばれるものです。この会社の例で行けば、中国事業でいくら稼いでも当期利益への反映は0となるわけです。

もっとも、それは0になるだけであって、マイナスになることはあり得ません。中国でいくら儲かっても当期利益への影響はありません、ということにすぎません。当期利益が減益となったとすれば、それは単に他の事業が落ち込んでいるか、他の特殊事情によるものと思われます。決して中国事業が繁盛しているから利益が減ったという理由は成り立ち得ないものと考えます。

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Livedoor Finance

アクセスログから、見慣れないリンク先を発見したどってみると、LivedoorFinanceに着きました。

このサイト、基本的にはYahoo!Financeと作りは同じようなのですが、特徴として各銘柄のページに関連blogのコーナーがあり、銘柄の名前が入っているログが作成されると、ここに表示されるようになっているようです。もっとも最新5つしか残らないので、メジャーどころのはすぐ消えてしまいますが、スカイマークキーエンスなどで、私のblogが残っています。

ってことは、これからこの手の記事に上場会社名を入れることによって、Livedoorの社長さんが、私のblogを宣伝してくれることになるわけですな。これはいい、どんどん企業名を入れよう。提灯記事もどきしか書けなくなるかな。

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企業会計基準委 包括利益協議に参加 IASBにスタッフ派遣(6/5日経)

:企業会計基準委員会は4日、国際会計基準理事会(IASB)が手がけている「包括利益」の導入協議に積極参加することに決めた。6月中にIASBに専門家を派遣する。包括利益導入案は日本が懸念を表明しているにもかかわらず欧米主導で協議が進んでいる。会計基準委は専門家を送り込むことで、実務レベルから日本の意見を反映させたい考えだ。

:・・・ところがIASBは、米財務会計基準審議会(FASB)との間のみで包括利益の協議を進める方針を表明。日本の会計基準委は基準作り協議に公式参加できなくなることから、専門家をIASBスタッフとして派遣し、実務段階で協議に加わることを決めた。

IASBの「包括利益」プロジェクトについて語りだすとかなり長くなります。分からない方は、とりあえず現在の損益計算書の形を抜本的に変えようとするプロジェクトくらいに思っておけばいいかと思います。

記事だけ読むと、日本だけが反対しているのに全く無視されて、欧米主導でどんどん話が進んでいて、日本が電車に遅れまいと必死、というように読めます。そのような側面を全く否定するわけではないですが、やや説明が足りないように思います。

ASBJのサイト中に書かれている通り、「包括利益」プロジェクトのもともとのスケジュールは2003年中に基準の公開草案を公表するというものでした。この時点で公開しなければ、2005年のEU内企業の強制適用に間に合わないからです。しかしながら、2003年春に行われたフィールドビジットにおいて慎重論が根強く、いまだこのプロジェクト、目立った成果があげられず、サンセットレビューの対象となりました。サンセットレビューというのは、プロジェクト発足後2年経って目立った成果がないプロジェクトは継続について再検討するというものです。

再検討の結果継続することに決まったものの、このまま進めても合意に至ることが難しいことから、一旦仕切り直しをして、英米を(欧米、ではない)中心として幅広く人を集め、アドバイザリーグループを組織し、突っ込んだ討議をしようという狙いです。現状、必ずしも米英の思い通りに進んでいるわけではないということのようです。

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100%子会社の監査免除特例、導入見送りの公算(6/4日経)

:法制審議会(法相の諮問機関)の専門部会が進めている会社法制の見直しについて、要綱案の原案から「100%子会社の監査免除特例」が削除されていることが3日、明らかになった。2003年10月に公表した素案には盛り込まれていたが、監査厳格化の流れを背景に一転して導入が見送られることになった。

:この特例に対し日本公認会計士協会などは、監査を免除すると100%子会社のチェックが甘くなり、監査全体の精度が下がると主張。子会社の債権者を保護する観点からも導入見送りを求めていた。

「監査を免除すると精度が下がる」という主張はやや変ですね。連結財務諸表の監査であれば、当然その構成要素である子会社の財務諸表も監査対象ですから、精度が下がる危惧があれば追加の手続きをとればいいだけですし、それが妨害されるのであれば、意見差し控えという手段もあります。

ただ、追加の手続きをとるためには、当然追加のコストがかかります。結局そこが問題なわけで、「監査を免除すると精度が下がる」というのは、「今のフィーのままでは」という言葉を補って読む必要があるかと思います。

もし原案通り導入されれば監査法人としては約1000社(今回の記事によると)のクライアントを失うことになります。失った分を親会社が満額払ってくれるかというと決してそんなことはないはずで、会計士協会としては今回の案に必死に抵抗したことでしょう。「監査厳格化の流れ」とはまた別の力学が働いていたことと思います。

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電車男

金曜の晩、深夜1時30分に帰宅。会社で見た梅田望夫さんのblogで語られていた、電車男が気になり、アクセスしてみた。

・・・・・

夜が白むまで一気に読んでしまいました。確かに「読むべし」です。なんかいろいろなものがこみ上げてくること請け合いです(まあ2ちゃんねるに目を通したことのある方限定でしょうが、該当しない方はほとんどいないかも)。

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大船フラワーパーク

900iのドラクエがやっと終わりました。
週末一気アップの習慣は今週で何とか終わりにしたいものです。反則ぎみですしね。

で、週末一気アップとはいえ、専門ネタを書くことがだいぶ習慣づいてきましたので、
今度は週末にはノンジャンルで書いていこうかなと考えています。

でタイトルにもかかわらず、数ヶ月ぶりの鎌倉ネタ。

先週愚息が病気しまして、楽しみにしていた小学校の遠足が行けずじまいになりました。かわいそうなので、家族で目的地に改めて連れて行くことにしました。この目的地が大船フラワーパーク

有料なのですが、高校生以下が無料ということで、この近辺の遠足のメッカになっているようです。
大きな敷地の中に、多くの花が植えてあり、温室もあり、一年を通じて何らかの花が楽しめるようになっています。昨年ロンドンに行ったときキューガーデンという植物園に行きましたが、スケールはちがうものの、そんなイメージがあります。なかなか、のんびりできるところであります。

で、帰りは大船の「ジンギスカン」へ。確かに汚い。でもそれなりに美味しくて、安い。ホッピーでハッピー。大満足な一日でした。

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金融庁、監査の定義明確に 簡便な「レビュー」と区別(日経金融6/3)

:「監査とは何か?」金融庁が答えを探している。同庁は近く、監査やより簡単なレビューなど、会計士による財務諸表のチェック業務について、それぞれの社会的な位置づけを既定する方針だ。簡易なレビューについても、点検の内容や手順に厳しさが求められる見通しで、会計士業界に与えるインパクトは意外に大きいかもしれない。

:東京証券取引所などが上場企業に四半期開示を求めたことで、日本にもレビューによる財務開示が広がっている。・・・今後レビューの質が定義されれば、投資家は従来よりも安心して各社の開示内容を比較できるようになる。

:一方、会計士はレビューが「消極的保証」としての水準を満たしていなければ「レビューという保証を実施した」とサインすることは許されない。・・・監査に対する会計士の責任は増す。

ASBJ(企業会計基準委員会)の発足で、すっかり影が薄くなってしまった企業会計審議会ですが、監査基準を設定するという機能はまだ残されており、最近では保証業務についての議論を進めているようです。

ここで出てくるいわゆる「レビュー」ですが、米国では四半期報告の際に義務付けられており、簡易な監査として定着しています。しかしながら日本では、少なくとも正式にレビューについて規定した基準はなかったかと思います。(レビューによる開示が広がってるという表現は正確ではないはずです。)強いて言えば、東証マザーズが四半期財務諸表の開示を義務付けた際に「東京証券取引所のマザーズ上場企業の四半期財務諸表に対する意見表明業務について」という研究報告を日本公認会計士協会が発表していますが、この報告で規定する「意見表明業務」が限りなくレビューに近いものとして扱われているようです。

このレビューですが、一定水準の保証を果たすものとして認識されていはいます。しかしながら、レビュー報告書に記載される結論は「・・・に関する有用な情報を表示していないと認められる事項は発見されなかった」(前記研究報告より)というものです。すなわち「まあ見たことは見たけど、違ってるところは見つからなかったよ」というレベルのものです。おそらくレビューの定義が明確になっても、この文言と大差ないものになると思います。日経金融紙はずいぶんと期待しているようですが、個人的にはエクスペクテーションギャップがむしろ広がるのではないかと危惧します。

また、既に存在する独特の制度「中間監査」との位置関係をどうするかという問題も抱えています。中間監査報告書の文言はレビューよりも強い保証を示すものであることから、並存させると日本の財務諸表には3種類の保証が行われることになります。レビューを導入するのであれば、中間監査の位置づけを再検討すべきだと思います。

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「減損会計」導入で「地価」再下落か(週刊新潮 6月10日号)

珍しく週刊誌ネタです。週刊新潮にはあのイラク人質事件報道以来激しい嫌悪感を抱いてますので、購入せずに、記憶を頼りのネタ振りです。

趣旨としては、「減損会計はもともと米国の経営者が交代する際に資産の評価損を出し、その後の回復を演出する行為に歯止めをかけるために導入されたもので、そんなことが起こらない日本において適用するのは無理がある。こんな基準が全面適用となったら、土地の評価損を計上する企業が続出する。これは税務上損金にならないから、税金は払わなければならない。したがって、無理やりにでも売り払って企業は損失を実現させる。地価は下落する、税収は減るで経済ぼろぼろ」、こんな内容だったかと思います。

このような議論を展開しているのは、昨年度の時価評価凍結論争のときに、一貫して凍結側の論陣を張っていた某大某教授です。

確かに米国で減損会計が導入された経緯については、上記のようなものがあるようです。しかし「そんなこと」が日本で起こらないか、というと決してそんなことはなく、最近日本の会社で「そんなこと」行ったといわれる(もちろん合法の範囲という位置付けですが)代表的な方はこの方です。

また、確かに減損をしても法人税法上の損金にはならないケースが圧倒的だとは思いますが、そもそも固定資産の減損は資金流出を伴わない損失であり、納税資金上問題が起きる話ではないので、損金処理するために無理やり売却するという動きに直結するとは考えにくいです。強いて言えば、最近の監査委員会報告の改訂により、減損損失に係る繰延税金資産の計上は難しくなったため、実現損失にしたほうがまだ多少繰延税金資産の計上の可能性がある、という面はあるかもしれませんが。

それにしても、そんな収益を生まない土地を塩漬けにしておくよりは、有効活用できるところに売却したほうが、のちのちの税収のためにはいいと思うのですが。

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厚年基金が「代行返上」を返上? 運用改善で事態変化(6/2 日経金融)

:厚生年金の将来の代行部分資産を返上した厚生年金基金から「返上をやめたい」という声が出始めている。株価上昇で代行部分の資産運用が改善したほか、今国会で審議している年金改革法案が実現すれば、代行部分に積立不足が発生する要素が少なくなるからだ。

本音としては分かりますが、あまりに虫のいい主張・・・・

もともと、厚生年金基金が本来国が行うべき代行部分を請け負っていたメリットは、資産運用での規模の利益が追求できたということがあります。もともと厚生年金は5.5%の運用ができることを前提に制度設計されていましたから、それ以上の運用水準を確保すれば、その分は企業側のベネフィット(直接企業の損益改善とはなりませんが、それを原資とした掛金の減額等で享受できる)となりました。また事実、過去の右肩上がりの成長時代にはそれなりの運用は容易でした。

ところが、最近運用がうまいこと回らなくなってきました。運用が5.5%で回らないと、不足分はいずれ企業が負担することになりますので、将来のキャッシュアウトリスクが高まります。それでもまだ簿外であるうちはよかったのですが、退職給付会計導入以降は運用の失敗分を何年間かにわたって損失認識しなければならないことになりました。この負担を重荷と感じている企業が中心となって動いた結果、代行部分の返上が制度上可能となったわけです。それを株が上がって、今期はメリットが享受できそうだからやめたいとはあまりに近視眼的な主張だと思います。

もっとも、年金改革法案の成立により、確かに代行部分におけるリスクが低減したことは言えるようです(私の理解不足により詳細は今のところ書けませんが)。したがって、そこまで考えて、未だ返上の手続をとっていない基金が、返上について再考するということは、当然ありだと思います。

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会計士協会 販売用不動産の監査基準厳格化 「減損会計逃れ」を防止(6/1 日経新聞)

:日本公認会計士協会(奥山章雄会長)は、企業が持つ販売用不動産の監査基準を厳しくした。従来は不動産の時価が簿価を50%以上下回った場合に限って損失処理させる対応にとどまっていたが、所有区分を固定資産から流動資産に移し変える際にも減損会計による処理手続きを新たに義務付けた。これで固定資産の減損会計逃れを狙った区分変更は事実上できなくなる。

おそらくこれは、4月上旬に出された、【監査委員会報告第69号「販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い」の改正について】を指しているのかと思います。なぜこの時期に突然記事になったのかよくわかりません。

もともとこの「監査委員会報告第69号」とは、販売用不動産の価格が下落した際の扱いを定めたものです。販売用不動産ですから、不動産会社等が販売するために保有している棚卸資産としての不動産が対象です。企業会計原則には、「時価が取得原価より著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。」ともともと書いてありますので、これをちゃんと適用しているかしっかり監査しなさいね、というのがこの報告の最初の趣旨です。

この報告後、これを適用されたらたまらんということで、時価の下落した販売用不動産を固定資産へと振替える処理が横行したようです。この振替についてもこの報告では「監査人は、販売用不動産等及び固定資産の保有目的の変更に際しては、変更時点において取締役会等によって承認された具体的かつ確実な事業計画が存在していることを確かめるとともに、その変更理由に経済的合理性があるか否かを検討する必要がある。」との歯止めを設けていますが、逆にいえば合理的理由さえ整えれば振替可能ということだったのでしょう。当時は固定資産の減損会計の導入の動きこそ見えたものの、適用はまだ先という雰囲気でしたので、とりあえず当座しのぎに固定資産に振替えることが可能であれば、評価減は免れ得たことになります。

今般固定資産に関して減損会計が適用されることになります。固定資産である不動産を棚卸資産に振替えるときは、減損損失の計上の要否を確認して、必要であれば減損損失を計上した後に振替なさいということになり、減損会計逃れを防止しようというのが今回の改訂の趣旨のようです。固定資産なら減損損失計上の必要があり、棚卸資産ならば評価減の必要がない案件というのがどれだけあるのか、私にはよくわかりませんが、振替の乱用を防止するという意味では当然の規定であると思います。ただ、減損会計強制適用までまだ間がありますので、その間に乱用される可能性はありますね。

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