監査役の権限
木村剛氏が、監査役について書かれています。これを見まして、私もぜひ一言書いてトラックバックしようと、一応文章らしきものを纏め上げて、さあアップロードしようと準備しようとしたそのとき、isologueにおける磯崎さんの監査役に関する二つの記事を目にしました。
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アップロードを諦めました。私の書こうとしていたことが、豊富な専門知識をバックに、そして圧倒的な筆力で表現されています。しかも、自分の文章の切り札として用意していた最高裁の国民審査との比較までされているとは。何年か先には私もこれくらいの専門知識と筆力を備えたいものです。険しい道ですが。
実をいうと、つい先日まで決算業務担当だった私には、密かな異動希望がありました。それは監査役室スタッフです。制度を知れば知るほど、監査役という役職、その気になればかなりの権限があることが分かってきます。そこのスタッフに就いて、監査役本人を焚きつければ、会社を思うように動かすことができるはず。費用は妥当性を証明さえすれば会社に請求できる。そしてスタッフであるうちは、一時的責任は監査役が負ってくれる。これが、正攻法では社長になれそうもない一経理スタッフの野望でありました。
ところが敵もさるもの。異動希望の部署リストには現在会社にあるありとあらゆる部署が載っていましたが、なぜか監査役室は載っていませんでした。はじめからそのような不埒な考えをもつ人間は排除される仕組みにあるようです(笑)。
:経営陣自らが監査機能の重要性に気づくか、機関投資家や再生ファンドなどがガツーンと「監査役に弁護士と公認会計士(レベルの人)を入れろ」とか言わないと、変わらないと思うですよ。
現状でも弁護士が監査役となっている例は多数あるかと思いますし、米国ではサーベンスオクスリー法により、監査委員会における財務専門家の任命を半ば義務付けていることを考えると、監査役について従来の名誉職的意味合いは徐々に薄まっていくとは思います。しかしながら、「会計士が変わった」直接の原因は「責任追及がきちんと行われる」ようになったからであり、日本の金融危機やエンロン事件などにより訴訟リスクが顕在化したことによるものです。現行制度上で監査役が変わるにはやはり訴訟リスクにさらされる必要があるかと思います。監査役が何をどこまでやれば責任を回避できるかについては商法に明文がない以上、社会通念と監査役監査基準等の自主ルールのバランスで決まっていくものだと思います。だとすれば、「株主総会に足を運んで質問したり、委任状によるとしても議案ごとに議決権を行使したり、株主としての責任を、積極的に果た」すことも、社会通念を変えるという意味ではあながち間違った方向ではないかと思うのですが、遠回り過ぎですかね?
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