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3メガバンク徹底比較3 財務体質(7/22 日経)

「三菱東京の財務の健全性は、四大銀行グループの中で抜きんでている。・・・自己資本の質を見ても支払った税金の戻り分を見込んで資本に計上する税効果会計への依存度は17%とかなり低い。・・・例えばUFJの税効果依存度をその水準まで下げるには、一兆円を超す税効果資本の取り崩しが必要。仮に実行すればUFJの自己資本比率は現在の9.2%から、国内銀行の基準である4%ちょうどまで落ち込む計算だ」

私は見ていないのですが、同趣旨の記事が日経金融に載ったらしく、磯崎さんがもの申しております。記者氏は磯崎さんのblogを読んでいなかったらしく、日経新聞で恥の上塗りをしてしまいました。

記事に対するコメントは磯崎さんのblogに詳しく書いてあり、何ら異論はありませんのでここでは省略します。

で、「この記事を書かれた記者の方の繰延税金資産に対する理解がちゃんとしてらっしゃるのかどうか、ちょっと不安になってきます。」とのことですが、この記事に限らずどうも日経における銀行の税効果会計関係の記事を読むと違和感を持つことが多いです。たとえ、その記事の趣旨が間違っていない場合でも。

その違和感がどこから来るのかと考えているのですが、どうも銀行関係の記事を書かれる記者諸氏は、銀行の会計の目的はBIS規制に使用する数値の計算を行うことであると(無意識のうちにかもしれませんが)とらえているからではないか、と思っています。全ての仕訳はTire1を計算するためにある、という発想ですね。

そうではなくて、資産と負債を会計のルールに従って評価した結果、その差額が資本の部である、あるいは、収益と費用を適正に計算し、資本取引を考慮した結果が資本の部の増減である、そのような感覚がどうも乏しいような気がしています。

例えば日経のやさしい経済用語の解説で、「税効果資本」(この用語自体個人的に違和感がありますが)とは「将来もどってくるはずの税金をあらかじめ資産と見込んで、それに見合う分だけ膨らんだ自己資本のことを指します」とのこと。「膨らんだ自己資本」という表現が悪意プンプンですが、税効果会計自体が自己資本計算上のテクニックに過ぎないという思想がにじみ出ているように思えます。(「将来戻ってくるはずの税金」という表現もloss carrybackの制度が凍結されている現在では不正確なのですが、とりあえずそれはおいておいて)

ちょっと話はそれますが、10年位前にとある零細企業の経営者の話を聞いたことがあるのですが、その話の中で出てくる経費を全て0.5掛けして話しているのに非常に興味を覚えたことがあります(100万円の請求書の話をしていたはずなのに、いつのまにか50万円の負担という話で進んでいったような感じです)。当時の実効税率はまさに50%くらいであったかと思いますので、その経営者殿は全ての費用を税引き後で話していたわけですね。

今考えるとこれが、税効果会計の原点ですね。100経費を支払ったら50だけ税金が減る。たとえ当期の税金が減らない場合でも、来期以降の税金が減るのだから、当期利益ベースでは50税金を減らしておく、これが通常の会計の感覚なのかなと思います。

ところが、この税金減額効果の特徴として、1.将来課税所得を出さなければならない、2.その将来は5年(現在は7年)以内でなければならない、という制約があります。この制約に基づいて、その効果を再評価しましょうというのが、監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」というわけです。

つまり、通常の会計の感覚で計算した資産を減額した結果、資本の部が減少するというのが実態で、決して所与の資本を税効果会計によって膨らます、という発想は根本的から間違っていると思うのです。もちろん、適正な発想をしていれば、「三菱基準」の税効果比率などという発想が出てきようがありませんね。

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