ネット企業 個人情報漏えいの恐れ リスク情報に記載相次ぐ(7/27 日経金融)
:インターネット関連企業の間で、業績に影響を及ぼす恐れがあるリスクの開示情報として「個人情報の漏えい」を決算短信などに記載する動きが広がっている。個人情報保護法の来春施行やヤフーBBの漏えい事件をきっかけに、データ流出が大きな損失につながるとの認識が浸透してきたのが背景にある。
まあ、間違ってはいないかもしれませんが、順番から言えばそもそも有価証券報告書等にリスク開示情報を記載することが義務付けられたのが今回からであり、ネット企業におけるリスクは何かと考えてみたら個人情報の漏えいであった、というのが実際のところかと思います。
ちなみに、この記事で紹介されていたのはカカクコム、サイバーエージェント、ヤフーですが、ヤフーはかなり詳細なリスク情報を公開しています。ここまで書いている企業は日本では数少ないかと思います。
以下タイトルのみ引用します。
(1)当グループ事業に関するリスクについて
①Yahoo! BB事業
(イ)加入促進業務とインセンティブ手数料について
(ロ)ADSLインフラ及びインターネット接続サービスについて
(ハ)ブロードバンド・ポータルサービスについて
(ニ)競合他社の動向について
(ホ)特定の販売先への依存について
②オークション事業
(イ)損害賠償について
(ロ)違法行為について
(ハ)「Yahoo!ペイメント」サービスについて
(ニ)競合他社の動向について
③インターネット上の広告に関するリスク
(イ)広告メディアとしてのインターネット利用について
(ロ)インターネット広告の性格について
(ハ)特定の広告会社への依存、特定広告主との大型商談について
(ニ)広告営業体制について
(ホ)競合他社の動向について
(ヘ)スポンサーサイトによる広告売上拡大について
(2)インターネット市場・環境からの影響について
①インターネットの普及への依存について
②インターネット接続環境への依存について
(3)そのほか事業全般にかかわるリスク
①ヤフー・インクとのライセンス契約、「ヤフー」ブランド及び海外との協調について
②事業内容の多様化と新規事業への取り組みに伴うリスクの増大について
③技術革新への対応の必要について
④外部の第三者への依存について
⑤個人情報について
⑥売上債権の回収について
⑦不特定多数の顧客を対象とすることによる各種リスクについて
⑧役職員の継続勤務などについて
⑨社内管理体制ならびに人的資源について
⑩連結グループ運営に関するリスク
⑪株式分布について
⑫国際紛争・テロ事件・大規模自然災害等による影響
⑬法的規制・訴訟・知的所有権関係
(イ)法的規制の適用の可能性について
(ロ)訴訟の可能性について
(ハ)インターネット技術及びビジネスプラン特許について
⑭会計基準の変更について
⑮決算発表等で公表する業績見通しについて
引き合いに出して恐縮ですが、同じ「ヤ」のところにあったヤマダ電機では
(1)出店地域の拡大による経営成績への影響
(2)出店に関する規制について
これで終わりです。日本では標準の部類でしょう。
米国ではかなりこの部分をくどくど書くのが標準です。一種の訴訟対策なのでしょうが、詳細に書かれている反面、書きすぎてむしろ本当のリスクが見えてこない面もあるような気はしますが。
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