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引越しの手伝い<off-time>

この暑さの中、親戚の引越しの手伝いでした。

引越しの事情は、詳細にはかけませんが、要は妻の実家が介護問題にゆれているということ。

で、感じたこともやはり詳細には書けないのですが、
こういうときは息子よりも娘のほうが頼りになるなぁ、ということ。

大丈夫か>うちの息子。

。。。。と、同じことをいま田舎で暮らす両親は思っているんだろうなぁ。

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IASBが金融商品の開示に関する公開草案を公表

IASB publishes Exposure Draft on Financial Instrument Disclosures

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The International Accounting Standards Board (IASB) today published proposals to improve disclosures about financial instruments in financial statements. The proposals are set out in an Exposure Draft of an International Financial Reporting Standard (IFRS) ED 7 Financial Instruments: Disclosures. If adopted, the proposed IFRS would apply to all entities. However, the extent of disclosure required would depend on the extent of the entity’s use of financial instruments and of its exposure to risk.

国際会計基準審議会は公開草案第7号(D7)、「金融商品:開示」を公表した。全企業に適用されるが、適用範囲は企業の金融商品の使用度や、リスクの程度により決定される。

The proposed IFRS would require entities to provide disclosures in their financial statements that will enable users to evaluate:

(a) the significance of financial instruments for the entity’s financial position and performance;

(b) the nature and extent of risks arising from financial instruments to which the entity was exposed during the period and at the reporting date; and

(c) the entity’s capital.

この公開草案において、金融商品の開示にあたって、以下の項目が評価できるように行われることが要求されている。
(a)企業の財務状態および財務成績における金融商品の重要性
(b)報告期間および期末日において、企業がさらされているリスクの内容と範囲
(c)企業の資本

The IFRS would replace IAS 30 Disclosures in the Financial Statements and Similar Financial Institutions and the disclosure requirements in IAS 32 Financial Instruments: Disclosure and Presentation. In doing so, it would remove some disclosure requirements that are regarded as too onerous and would simplify other disclosures. ED 7 also proposes to locate in one place all disclosures relating to financial instruments.

このIFRSはIAS30号およびIAS32号を全面改訂することになる。これにあたっては従来の基準で開示することが負担であったものを消去し、また開示の簡素化を行う。また金融商品関連の開示を一ヶ所にまとめることにしている。
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金融商品の開示に関する公開草案です。金融商品トータルの会計基準については、現存の基準ですら適用するかしないかですったもんだしている状態ですので、ましてIASBが目標としているらしい全面時価会計についてはまだ道筋は見えない状況にあります。しかしながら、財務諸表に影響を与えない開示の部分に関しては比較的合意が得易いようで、討議が先に進む傾向があるようです。現存の基準であるIAS32号(開示)、IAS39号(認識および測定)でも同様に期日が前後して適用されています。

で、まだ草案自体一般公表されていないのですが、以下がサマリーのようです。

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The IFRS would require:

disclosure of the significance of financial instruments for an entity’s financial position and performance and would incorporate many of the requirements previously in IAS 32.

開示の規定についてはIAS32号で要求している多くの項目を織り込んでいる。

qualitative and quantitative disclosures about exposure to risks arising from financial instruments. The qualitative disclosures describe management’s objectives, policies and processes for managing those risks. The quantitative disclosures provide information about the extent to which the entity is exposed to risk, based on information provided internally to the entity’s key management personnel. Together, these disclosures provide an overview of the entity’s use of financial instruments and the exposures to risks they create.

金融商品により発生するリスクエクスポージャーに関する定性的および定量的開示が求められる。定性的開示については、リスクマネジメントの目的、方針、プロセスが開示対象となる。定量的開示については、企業のキーパーソンが内部的に入手した情報を元に、リスクエクスポージャーの範囲について開示する。これらの開示を総合して、企業の金融商品の使用の実態およびそれによるリスクにつき情報を提供することになる。


specified minimum disclosures about credit risk, liquidity risk and market risk (including interest rate risk).

信用リスク、流動性リスク、マーケットリスク(利子率変動リスクを含む)について開示対象とする


disclosure of qualitative information about the entity’s objectives, policies and processes for managing capital, quantitative data about what the entity regards as capital; whether during the period it complied with any capital targets set by management and any externally imposed capital requirements; and if it has not complied, the consequences of such non-compliance

「資本」管理に関する企業の目的、方針およびプロセスに係る定性的情報、加えて企業が何をもって「資本」と見なすかに関しての定量的情報。経営の目標または外部的に設定された目標に達しているか否か、達していなければその影響。
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どうやら「資本」という概念が重要のようです。何らかの目標を設定し、それに達しているかどうか開示を求められているようです。確かに社債等発行する際に財務目標が外部から設定されるのは珍しいことではありませんが、そういったものがない場合は何を開示すればいいのでしょうかね。
全文が公表されていませんので、具体的内容はわかりませんが、どうも財務分析に属する分野の項目が、金融商品の開示基準に組み込まれていくようで、なんとなく違和感を感じます


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四半期開示 法制化ニーズを調査 金融庁、投資家らを対象(7/29 日経金融)

:金融庁は今年度の重要課題の一つに掲げていた四半期開示の制度化について、慎重に検討を進める方針だ。すでに東京証券取引所など取引所が独自ルールによる開示を義務付けており、庁内では「(法を整備しなくても)今のままで十分」との声が出始めた。迅速開示は投資家のためになるとの視点から生まれた制度化の議論だが、流れは変わりつつある。

:仮に開示が法制化されるようになれば、取引所に上場していない企業も四半期開示の対象となる。

「・・・対象となる」って断言してますが、なりませんって。金融庁が検討しているのは証券取引法上の規制であり、基本的には株式を公開している(あるいはしようとしている)企業を対象とするものです。非上場の企業にも開示の規制はありますが、それは商法上のものであり、四半期はおろか半期の開示制度もありません。しかもかなりの部分守られていないのが現実です。

それはともかく、四半期開示制度が取引所の自主ルールに任されるというのであれば、それはそれでよい方向かと思います。すでに有価証券報告書や半期報告書で最低限の開示ルールは担保されているわけですから、手取り足取りしてあげなくてもあとは民間のルール(東証も大証も民間企業なわけですから)間の競争に委ね、最適解を求めるというのは一つのやり方ではないでしょうか。すくなくとも今までの金融庁の発想からは出てこなかった考え方で、本当であれば流れが変わってきているのは確かかもしれません。

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原油埋蔵量見積もり 監査法人に依頼 SEC、会計基準見直し(7/28 日経金融)

:米証券取引委員会(SEC)は、石油会社の原油埋蔵量の推定を独立した監査法人に依頼するよう義務付けるなど、会計基準の部分的な見直しに着手する。

:SECは「あいまい」との批判もある埋蔵量推定の基準も明確にさせる方針。監査法人を監督する米上場企業会計監査委員会(PCAOB)と会計基準の改正について話し合う。

よく、会計士の苦労話として耳にする中に、石油会社の実地棚卸があります。普通の会社と違い、商品を数えるのではなく、石油タンクの中身を測らなければなりません。コンビナートの大きな石油タンクに登って行って、高いところから石油の量を測ったというのが話のタネになっています。

上記の記事によると、それには止まらず、油田の埋蔵量まで会計士は測りに行かなければならないようです。会計士の中東出張が激増しそうです。

。。。なんてことにはなるわけはありません。監査法人にはおそらく油田埋蔵量推定のノウハウはありませんから、ノウハウのある会社に委託することになります。そういった専門家の証明をもらうことにより、実際の監査に変えることになります。現在でも、土地を減損する際の鑑定士の評価や、退職給付債務を計算する上での年金数理人の計算結果など、専門家に計算を依頼する局面は多々ありますが、それにもう1つ加わる、ということではないでしょうか。となれば、「会計基準の部分的な見直し」というよりも「監査基準(あるいは実務指針)の見直し」というのが実態に近いのではないでしょうか。油田を適正に評価するということについてはおそらく変更がなく、その評価の適正さを証明する方法が厳格になる、ということかと思われますので。


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ネット企業 個人情報漏えいの恐れ リスク情報に記載相次ぐ(7/27 日経金融)

:インターネット関連企業の間で、業績に影響を及ぼす恐れがあるリスクの開示情報として「個人情報の漏えい」を決算短信などに記載する動きが広がっている。個人情報保護法の来春施行やヤフーBBの漏えい事件をきっかけに、データ流出が大きな損失につながるとの認識が浸透してきたのが背景にある。

まあ、間違ってはいないかもしれませんが、順番から言えばそもそも有価証券報告書等にリスク開示情報を記載することが義務付けられたのが今回からであり、ネット企業におけるリスクは何かと考えてみたら個人情報の漏えいであった、というのが実際のところかと思います。

ちなみに、この記事で紹介されていたのはカカクコム、サイバーエージェント、ヤフーですが、ヤフーはかなり詳細なリスク情報を公開しています。ここまで書いている企業は日本では数少ないかと思います。

以下タイトルのみ引用します。

(1)当グループ事業に関するリスクについて
①Yahoo! BB事業
(イ)加入促進業務とインセンティブ手数料について
(ロ)ADSLインフラ及びインターネット接続サービスについて
(ハ)ブロードバンド・ポータルサービスについて
(ニ)競合他社の動向について
(ホ)特定の販売先への依存について

②オークション事業
(イ)損害賠償について
(ロ)違法行為について
(ハ)「Yahoo!ペイメント」サービスについて
(ニ)競合他社の動向について
③インターネット上の広告に関するリスク
(イ)広告メディアとしてのインターネット利用について
(ロ)インターネット広告の性格について
(ハ)特定の広告会社への依存、特定広告主との大型商談について
(ニ)広告営業体制について
(ホ)競合他社の動向について
(ヘ)スポンサーサイトによる広告売上拡大について

(2)インターネット市場・環境からの影響について
①インターネットの普及への依存について
②インターネット接続環境への依存について

(3)そのほか事業全般にかかわるリスク
①ヤフー・インクとのライセンス契約、「ヤフー」ブランド及び海外との協調について
②事業内容の多様化と新規事業への取り組みに伴うリスクの増大について
③技術革新への対応の必要について
④外部の第三者への依存について
⑤個人情報について
⑥売上債権の回収について
⑦不特定多数の顧客を対象とすることによる各種リスクについて
⑧役職員の継続勤務などについて
⑨社内管理体制ならびに人的資源について
⑩連結グループ運営に関するリスク
⑪株式分布について
⑫国際紛争・テロ事件・大規模自然災害等による影響
⑬法的規制・訴訟・知的所有権関係
(イ)法的規制の適用の可能性について
(ロ)訴訟の可能性について
(ハ)インターネット技術及びビジネスプラン特許について
⑭会計基準の変更について
⑮決算発表等で公表する業績見通しについて

引き合いに出して恐縮ですが、同じ「ヤ」のところにあったヤマダ電機では

(1)出店地域の拡大による経営成績への影響
(2)出店に関する規制について
 
これで終わりです。日本では標準の部類でしょう。


米国ではかなりこの部分をくどくど書くのが標準です。一種の訴訟対策なのでしょうが、詳細に書かれている反面、書きすぎてむしろ本当のリスクが見えてこない面もあるような気はしますが。

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会計大学院拡大へ(7/26日経夕刊)

:公認会計士などの会計専門家を養成するための「会計専門職大学院」の開校が相次ぐ。早稲田大学や青山学院大学など9校が来年4月に開校する予定。2006年4月以降を含めると、18校が開設に向け準備や検討を進めている。企業活動のグローバル化や会計制度の改革で会計専門家の育成が急務になっている。

:会計専門職大学院を終了すると、新会計士試験の一部が免除になるため、入学希望者が増えると大学側は期待している。

新会計士制度について、いろいろ検索して調べてみているのですが、どうも分かりにくい。

まず日本公認会計士協会を探ったのですが、詳細はなかなか出てきません。日本における公認会計士試験制度に(注:平成15年の公認会計士法改正に伴い、平成18年度(2006年度)から試験制度は変わります。)と記載されている程度のように見えます。

次に、試験制度を取り仕切っているはずの公認会計士・監査審査会にも、新制度についての言及が見当たりません。

金融庁ですが、公認会計士試験規則を改正する内閣府令(案)及び公認会計士法第二十八条に規定する研修に関する内閣府令(案)の公表についてというコメント募集をしていました。これは私も見逃していました。そもそも3月5日に発表して、11日までにコメントをくれというのは、あんまりでは?そして、この(案)の現在のステータスはよく分かりません。

その他、受験予備校のページなどを見ているのですが。。。。

いや、実務経験による科目免除もあったかと思うのですが、私の実務経験がどれだけに値するか調べたいっていう個人的興味だけなのですが、いまのところわかるサイトが見つかりません。ご存知の方は私までご一報を。

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書評:混沌 新・金融腐蝕列島

Amazon.co.jp: 本: 混沌 新・金融腐食列島 上

(以下、前作「再生」を読んでいない方には何のことやら分からない書評となっています)

清水麻紀キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

容姿端麗、仕事優秀、そして上司に積極的に迫り、地雷化の危険なし、そして鮮やかな引き際。おじさん側から見てこれだけ都合のいい女はいるわけないだろう、っと突っ込みながらも彼女の登場シーンだけはなぜか熱を入れて読んでしまう。そんな彼女が帰ってきました。よっぽどリクエストが多かったのでしょうか。

第一章は、主人公竹中と彼女の偶然の再会と「本物のデート」に割かれています。まあ、勝手にやってくれという感じなのですが、やはり熱心に読んでしまう自分のおじさん度に深く反省。

そして第二章以降からは、第一作から続く鈴木天皇と斎藤会長の確執に、前作ラストで突然登場した阿川社長の苦悩、そして竹中とライバル杉本の関係を中心に話が進んでいくようですが。。。。。立ち読みの私は、そこで書を置きました(笑)。なにせ上下刊合わせて3,400円。おいそれとは払えません。

でもネットなら清水麻紀のために衝動的に買ってしまうかも。これからしばらくは、ネット書店アクセス禁止かな。

(結局書評というより脳内妄想になってしまったことを深くお詫びいたします)


(2004.9.28)
ずっと金融「腐食」だと思ってました。「腐蝕」だったのですね。おわびして、タイトルのみ訂正します。
でも、アマゾンのタイトルバーは「腐食」となっているんだけど。。。。

金融腐食列島 の検索結果 約 2,810 件中 1 - 10 件目 (0.68 秒)
金融腐蝕列島 の検索結果 約 4,330 件中 1 - 10 件目 (0.27 秒)
意外と拮抗しています。

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3メガバンク徹底比較3 財務体質(7/22 日経)

「三菱東京の財務の健全性は、四大銀行グループの中で抜きんでている。・・・自己資本の質を見ても支払った税金の戻り分を見込んで資本に計上する税効果会計への依存度は17%とかなり低い。・・・例えばUFJの税効果依存度をその水準まで下げるには、一兆円を超す税効果資本の取り崩しが必要。仮に実行すればUFJの自己資本比率は現在の9.2%から、国内銀行の基準である4%ちょうどまで落ち込む計算だ」

私は見ていないのですが、同趣旨の記事が日経金融に載ったらしく、磯崎さんがもの申しております。記者氏は磯崎さんのblogを読んでいなかったらしく、日経新聞で恥の上塗りをしてしまいました。

記事に対するコメントは磯崎さんのblogに詳しく書いてあり、何ら異論はありませんのでここでは省略します。

で、「この記事を書かれた記者の方の繰延税金資産に対する理解がちゃんとしてらっしゃるのかどうか、ちょっと不安になってきます。」とのことですが、この記事に限らずどうも日経における銀行の税効果会計関係の記事を読むと違和感を持つことが多いです。たとえ、その記事の趣旨が間違っていない場合でも。

その違和感がどこから来るのかと考えているのですが、どうも銀行関係の記事を書かれる記者諸氏は、銀行の会計の目的はBIS規制に使用する数値の計算を行うことであると(無意識のうちにかもしれませんが)とらえているからではないか、と思っています。全ての仕訳はTire1を計算するためにある、という発想ですね。

そうではなくて、資産と負債を会計のルールに従って評価した結果、その差額が資本の部である、あるいは、収益と費用を適正に計算し、資本取引を考慮した結果が資本の部の増減である、そのような感覚がどうも乏しいような気がしています。

例えば日経のやさしい経済用語の解説で、「税効果資本」(この用語自体個人的に違和感がありますが)とは「将来もどってくるはずの税金をあらかじめ資産と見込んで、それに見合う分だけ膨らんだ自己資本のことを指します」とのこと。「膨らんだ自己資本」という表現が悪意プンプンですが、税効果会計自体が自己資本計算上のテクニックに過ぎないという思想がにじみ出ているように思えます。(「将来戻ってくるはずの税金」という表現もloss carrybackの制度が凍結されている現在では不正確なのですが、とりあえずそれはおいておいて)

ちょっと話はそれますが、10年位前にとある零細企業の経営者の話を聞いたことがあるのですが、その話の中で出てくる経費を全て0.5掛けして話しているのに非常に興味を覚えたことがあります(100万円の請求書の話をしていたはずなのに、いつのまにか50万円の負担という話で進んでいったような感じです)。当時の実効税率はまさに50%くらいであったかと思いますので、その経営者殿は全ての費用を税引き後で話していたわけですね。

今考えるとこれが、税効果会計の原点ですね。100経費を支払ったら50だけ税金が減る。たとえ当期の税金が減らない場合でも、来期以降の税金が減るのだから、当期利益ベースでは50税金を減らしておく、これが通常の会計の感覚なのかなと思います。

ところが、この税金減額効果の特徴として、1.将来課税所得を出さなければならない、2.その将来は5年(現在は7年)以内でなければならない、という制約があります。この制約に基づいて、その効果を再評価しましょうというのが、監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」というわけです。

つまり、通常の会計の感覚で計算した資産を減額した結果、資本の部が減少するというのが実態で、決して所与の資本を税効果会計によって膨らます、という発想は根本的から間違っていると思うのです。もちろん、適正な発想をしていれば、「三菱基準」の税効果比率などという発想が出てきようがありませんね。

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やはり連結決算??

特集 ダイエー最後の審判 タイムリミットは9月!(週刊ダイヤモンド 7月24日号)

Part 2 再建計画の必達を迫られる経常利益底上げのカラクリ

:2004年2月期、ダイエーは単体決算で再建計画の目標を上回る経常利益166億円を計上した。しかし、この166億円にはカラクリがある。完全に合法でありながら、経常利益を底上げする“仕組み”を徹底分析した。

「単体決算では企業の実態を表さない。これからは連結決算の時代」
あまりに陳腐化してしまった言葉ですが、この記事は改めて思い出させてくれました。

当記事で指摘している「仕組み」とは大きく次の3つです。

1.連結子会社のダイエーリーシングカンパニー(DLC)からのテナント料
2.OMCカードのインセンティブ
3.関係会社向けの短期貸付金の増加

1は、テナント管理をDLCに任せ、DLCからは固定の賃料を受領。テナントが入らないリスクはDLCが負うというもののようです。DLCの赤字額は50億円とのことで、本来はこの分ダイエー本体が負担すべきであるという議論のようです。DLCは連結子会社のようですから、連結決算には含まれていることになります。

うちの近所のダイエーでもよくやっていますが、OMCカードの入会促進キャンペーンに関わるものが2です。ここで会員を獲得した場合、OMCカードがダイエーに対してインセンティブを支払っており、カード保有者の優待セールの割引分もOMCが負担していることことです。OMCカードに対するダイエーの出資比率は27%程度のようですが、間接保有を含めると50%超の出資比率のようで、やはり連結子会社となっています。したがってこのOMC負担分も連結決算では織り込まれていることになります。(もっとも出資比率が50%台のようなので、半額弱程度は少数株主が負担しているということになりますが)。

3は関係会社に対するファイナンスを行っていた子会社を取り込んだことによるもののようです。関係会社貸付金が膨らんだために受取利息が増加したとのことです。子会社向けであれば当然連結決算で消去されることになります。

これらがどこまでが意図的なもので「仕組み」であるのかは分かりませんが、単独決算としては確かにリスクを子会社に移転している分だけ利益が上がるのは間違いではありません。ただ、その情報にどこまでの意味があるのか問われると難しいですね。すくなくとも、これで与信を判断する資金提供者はなさそうですし。

結局単独決算というのは、連結決算の基礎資料、そして税務申告の添付資料という地位になってしまうのでしょうか。単体決算締めるのはそれはそれで大変なので、ちょっとさびしい気がします。感傷論ですが。

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火曜ドラマ終了

ソウルを舞台とした恋愛物語。チェ・ジウ演じる主人公が自らの純愛をつきとおそうとするが、美形で金持ちのライバルの妨害に会い四苦八苦。そのうち、交通事故→記憶喪失といった悲劇をたどる。。。

いえ、「冬のソナタ」ではありません。20日までTVK(テレビ神奈川)でやっていた韓国ドラマ「真実」(スカパーでもやっているらしいが)。

冬ソナのユジンさんとは異なり、ふらふらせずに思いは一途なのですが、邪魔者はこれだけではなく、このライバルの尻馬に乗って一山当てようとするユジンさんの元カレ、3人のDQNママ、そして政治的思惑などが複雑に絡み合う、昼メロばりのどろどろした進行に、途中からすっかりはまってしまいました。

結局勧善懲悪で終わるのですが、なぜか最終回は悪のほうばっかり目立って、主役交代の感がありました。

冒頭に書いたとおりネタは冬ソナそっくりなのですが、コテコテ度から言えば、こちらもお勧めです。
ただ、女優はユジンさんなのでいいですが、男優はミニョンさんやサンヒョクさんよりは落ちるかも・・・・

見たい方はこちら
ストーリーは毎日がキャバリアに詳しいのでご参考まで。

で、あー終わってしまったと思いきや、来週からはやはり韓国ドラマの「Happy together」とのこと。「JSA」のイビョンホンに「猟奇的な彼女」のチョンジヒョンとなれば。。。。やっぱり見ちゃうんだろうな。

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ある米国公認会計士の白馬山頂への挫折(3)

夜中は、激しい雨が断続的に降り続いていた(らしい。私は完全に爆睡の世界)。しかし、あとは下山するだけで、道も大したことはない。睡眠十分で、すっかり元気を取り戻したわれわれパーティーをキヌガサの花が、見送ってくれた。
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下山して一時間ほどで、猿倉まで戻る。妻と息子が車を取りにふもとの二股駐車場までバスで向かう。そしてさらに一時間ほどで、全員が車に乗り込むことができた。車で移動しながら、二股駐車場までは結構な距離があり、ここを歩いてしまったことが結局最後まで尾を引いていたな、と実感する。ぜひ次回はリベンジを、と思う。

二股駐車場近くにあるのが大日向の湯。なぜ山に登るのかと聞かれると、下山後の温泉が至福のときだから、と私は答えるのであろう。(完)

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ある米国公認会計士の白馬山頂への挫折(2)

白馬山観光局のサイトより
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向かうのは登山口は猿倉というところである。しかし、朝5時ごろ行く手の道路には、突然、「豪雨により通行止め」との文字が出没しゲートが閉まっている。豪雨とはいっても昨日の話で、現在空は明らかに白んできている。しばらくしてやって来た村の係員の話によると、この道路の担当は国交省で、現在担当者への連絡が取れないので、しばらく待ってほしいとのこと。

しかし、何時までたってもやってこない。7時半の時点でしびれをきらし、猿倉登山口まで歩くことを決意。近くの二股臨時駐車場に車を回し歩き始めると、なんとものの10分もしないうちに、ゲートは開かれ、次々と車が登ってくる。呆然としながら、ひたすら登山口までの坂を登り続ける。本来車で10分のところを一般道を一時間以上歩き続けてようやくスタートラインの登山口に到着。この時点で9時。既に4時間遅れ。それでもぎりぎり頂上にはたどり着けると信じていた。

登山届やら、トイレやらで登山口を出発したのは結局9時半。それでも、白馬尻までは大したことはなく、ほぼコースタイム通りに進む。「ようこそ大雪渓へ」の岩が出迎えてくれる。


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ここでしばし休憩を取り、20分ほど山道をさらに進むと大雪渓が姿をあらわす。ふもとはアイゼンをつける人々でいっぱいである。いよいよ雪山(ってほどではないが)に踏み出すのだ、という妙な緊張感が体を走る。

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早速我々もアイゼンをつけ始める。が、なにぶん全員初めて。自分の分はともかく、義父、義母そして愚息の分Gな時間がかかる。こういうことは事前に練習しておかねば、と反省。

この大雪渓は2時以降は先に進むことが禁止されている。すなわち、2時を過ぎると山小屋までたどり着くのが難しいということである。普通より明らかに劣っている我々のパーティーが出発できたときは12時を既に回っていた。どうも一つ一つの出来事の回り方がよくない。頂上征服に黄信号が灯った。

それでも、まだ前に進むことは諦めていなかった。雪渓を踏みしめ一歩一歩登っていく。アイゼンをつけているとはいえ、それなりにスリップする。
しかし、愚息の様子がおかしい。少し歩くたびにアイゼンが外れるのだ。周りの人や、下山する人に教えを請うも、
どうも子供用の靴のサイズとは合わないことが原因と分かってくる。外れるたびに付け直しているのでは到底先に進めないので、結局アイゼン抜きで先に進むことにする。かなり滑ります。愚息を引き上げながら登るので、こちらもややばて気味となる。

なんとか2時間ちょっとで大雪渓の上まで到達。しかし、今度は義父が待てど暮らせど登ってこない。どうもかなり消耗しているようだ。大雪渓の上は強風。待っているこちらは段々体が冷えてきて、余力がない状態となってくる。妻が下まで降りて、義父を連れてくるが、義父の顔色が体力の限界を訴えていた。現在3時前。ここから頂上まで普通に行っても3時間近くはかかる。このパーティーではその時間をキープすることも無理であろう。まして頂上はかなりの突風で、体を固定するのが大変な状態であるらしい。決断のときであった。

「撤収」

なぜか、下山となると皆元気となる。義父はさっさと先頭に立って下山していくし、愚息にいたってはスキーの真似事をしながら降りていく。手をつないでいるこっちが逆に転倒するありさま。下山となって、それぞれがそれぞれのやり方で雪渓を楽しむことができるようになった。

5時ごろ、「ようこそ」の案内板があった近辺(白馬尻)の山小屋に宿泊を申し込み、同時に山頂の宿にキャンセルを入れる。こういったことは日常茶飯事なのか、宿の対応も手馴れたものである。手続を待っている間の景色は絶景。雪渓も楽しめたし、撤収はしたものの、来てよかったかなと思う。

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ある米国公認会計士の白馬山頂への挫折(1) 

「あ、あああ」

1万円近くを残していたハイウェイカードをレンタカーのカーナビの隙間にはさんでおいたところ、私の叫び声とともに、それがずるずるとカーナビの内部にもぐっていき、取り出し不能となった。出発早々、運転席と助手席の確執が始まった。
(ちなみに、運転手がカミさん、助手席が私)

狩人の歌で有名な(え、知らない?)白馬山頂を目指した、7月17日の夜。メンバーは私、妻、愚息、義父、義母の5人。思えば、このときから挫折への序章は始まっていたのだった。

この時点で既に当初の予定より2時間近く遅れていた。

(つづく)

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ご紹介ありがとうございます。

お疲れさまです☆

ご紹介ありがとうございます。

今年はじめにblog書き始めた頃は、芸能ネタや、ドラマネタなど好き勝手に書いていたのですが、最近は会計関係のネタと週末のプライベートネタにあえて絞り込んで書いています。

理由は簡単で、単にどの分野でもいいので、「目立ちたかった」からです(笑)。

芸能ネタは、私よりはるかに造詣の深いかたが多数いらっしゃって、それこそ無数のblogがあります。よっぽどの工夫か、文才がないとまず埋もれてしまいます。会計ネタでも、米国公認会計士ネタでも、やはり私より造詣が深く、大活躍されている方は無数にいらっしゃいますが、そういう方のblogへの進出はまだあまりされていないようなので、多少難しい漢字がごろごろしていても、そっちで目立つほうが手っ取り早いかなとおもったわけです。(ちなみに、難しい漢字は鉛筆持たないからこそ書けるのでは?)。一度目立ってしまえば、あとは多少専門外のことを書いてもみんな耳を傾けてくれるのかな、と思ってたりしています。

てなわけで、少しずつですが読んでくださる方が増えている手ごたえを感じていますので、肩のこらない文章も徐々に加えていきたいと思っています。Myはてなにkoneko04さんのblogも加えておきます。今後ともよろしくお願いいたします。

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2商社が年金資産の返還

伊藤忠、年金積み立て大幅強化 141億円の返還受ける(7/14 日経)

:伊藤忠商事は13日、同社が設定する厚生年金基金などが抱える年金資産の積み立て超過部分の一部141億円を、同日付で基金などから返還を受けたと発表した。

:日本の会計基準では、年金資産の返還を受けると利益計上できる。・・・本業と関係ない年金資産の取り崩しで利益を増やせるだけに、議論を呼びそうだ。

:米国基準を採用している連結決算では、年金資産の返還などの概念がない。単体での会計処理は連結決算に影響しない。連結決算では年金資産の増加に伴って年金費用が減るだけで業績予想には折込済み。

丸紅に年金資産返還 今期積み立て超過で(7/15 日経)

:丸紅は14日、年金資産で生じた積み立て超過額の大部分の150億円を6月29日付で厚生年金基金から会社本体に現金で返還を受けたと発表した。・・・2005年3月期の単体決算で150億円の特別利益を計上する。

:米国基準を採用している連結決算への影響はなく・・・

記事を見ると、また日本の会計基準の不透明性で米国基準が健全であるかのように読み取れるのですが、必ずしもそうとは言い切れない面があります。

(なお、以下は推測です。まるで勘違いしているかもしれません)

日本基準では、「・・・年金資産が企業年金制度に係る退職給付債務を超えることとなった場合には、当該超過額を資産及び利益として認識してはならない」と規定されています(退職給付に係る会計基準注解1)。

(まず、年金上の数理債務を即時償却する場合を仮定します)
これは、どういうことかというと、例えば退職給付債務が100であるのに対して、運用がよくなって年金資産が120になったとすると、退職給付関係でネット20の資産があることになりますが、日本基準ではこの20を資産計上して、利益計上することはできません。それは「一般的に年金資産の払い戻しには制限があることから、企業への当該超過額の払戻しが行われない限り、これを利益として認識することができないこととした(退職給付に係る会計基準の設定に関する意見書 四4)」からだそうです。

逆にいえば、企業への当該超過額の払い戻しが行われれば、利益として認識することができるといえるわけで、この2社はこれに基づいて利益計上したものと思われます。

一方米国基準にはこのような制限は、なかったように記憶しています。したがって、20の資産計上がそのまま利益計上されることになります。したがって、20の利益は既に計上されており、本体に現金を返還したとしても、それにより利益計上が行われることはありません。米国基準では影響がないというのはそういう意味であると思われます。

なお、実際には数理債務は即時償却されるわけではありません。上記では20の利益計上が行われると書きましたが、実際にはその20が数年間にわたって利益計上することになるかと思います。したがって、例えば償却期間が5年である場合、最初の1年で利益計上できる金額は4となります。ここで年金資産の返還が行われた場合、日本基準では20の利益が計上されるのに対し、米国基準では4だけの計上が行われることになり、結果として米国基準の方が保守的になるのは確かです。


余剰の20の会計処理
米国基準→償却期間5年の場合、1年間に4ずつ資産計上する
日本基準→資産の返還がなされない限り資産計上はされない。

つまり、年金資産に余剰が生じた場合の会計処理については(資産の返還というイレギュラーな事象がないかぎり)むしろ、日本基準のほうが保守的であるといえるのです。この2社の事例をとって日本基準をあげつらって批判することは、あまりに一面的な見方であると思います。

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UFJ、三菱東京と統合へ

UFJ、三菱東京と統合へ

:UFJグループは13日、三菱東京フィナンシャル・グループと経営統合に向けた交渉に入る方針を固めた。週内にも臨時取締役会を開き、正式に申し入れる。

あまりに大きすぎて、手におえない話題でありますが、

会計の側面から見ると、今までの銀行再編との大きな違いは、MTFGが米国会計基準適用会社であるということです。
したがって、UFJHDの合併(が有力だそうですが)となると、パーチェス法が強制適用になるかと思います。
野次馬的にはこれも興味深いものがあります。

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経営・会計通信: 外食からおにぎりまで

経営・会計通信: 外食からおにぎりまで

:現在のam/pmジャパンの株主は新日鉱ホールディングですが、そちらには一銭も入らず、レインズインターナショナルが投資する171億円はすべてam/pmジャパンの事業に使えます。新日鉱ホールディングはいずれは株式を売却する意向のようですが、それがいくらで売れるかもレインズ次第となります。

7月13日付日経金融によると、am/pmは25億円の債務超過に陥っているそうです。これが時価そのものだと仮定しますと。。。

まず新日鉱HDですが、現在のam/pm株式の連結決算上の評価額は持分比率90%とのことなので、△25億×90%=△22.5億となります。増資後のam/pmの純資産は△25+171=146億円。増資後の新日鉱HDの持分比率は33.7%ですので、評価額は146×33.7%=49億円となります。新日鉱HDは何もせずに、70億ばかりの評価益(持分変動益)が転がり込むことになります。

一方レインズ側では171億円かけて得たものは、25億円の債務の62.6%分です。171億円払った結果16億債務が増えてしまったわけで、のれんが187億生じることになります。一体どう処理するのでしょうか?

と、見える数字だけから想像をたくましくしています。実際にはいろいろ見えてないものがあるかとおもいますので姿は変わってくるでしょうが、実績が出るのを待ちたいと思います。

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IFRICがキャッシュバランスプランのガイダンスを提案

IFRIC publishes proposed guidance on cash balance plans

The International Financial Reporting Interpretations Committee (IFRIC)* today released for public comment a draft Interpretation D9 Employee Benefit Plans with a Promised Return on Contributions or Notional Contributions giving guidance on the accounting for cash balance plans. These are employee benefit plans with benefits that depend on future returns on assets.

:国際財務報告基準解釈委員会(IFRIC)は、本日、キャッシュバランスプランの会計処理のガイダンスを示した解釈指針案D9を公表した。将来の資産の運用により給付が決まる給付制度のことである。

キャッシュバランスプランは、こちらの解説を参照ください。定義は、個人の仮想口座を設定し、拠出額に一定の利率を乗じた金額を給付額とするものです。年金資産の運用実績が低くても直接は給付額に影響しないため、従来の確定給付型の延長線上で語られますが、一方で「一定の利率」を市場金利に連動させることで、低金利下のリスクをうまく従業員に移転させ、企業としてのリスクを軽減できるため、最近採用する企業が多いようです。

と、理解しているのですが、These are employee benefit plans with benefits that depend on future returns on assets. と書いているのが気にかかります。資産の将来の運用が給付に直接影響するかのような表現をしています。ひょっとすると私が考えているキャッシュバランスプランとは別物が出てくるのかもしれません。

公開草案全文は9日公開予定となっていますが、今のところまだUPされていないようです。UPされたら改めまして読んでみようかと思います。

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本日休暇(笑)

本日一週間分UPの予定でしたが、
選挙速報は見なければなりません。

てなわけで、更新は明日以降で。。。。

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国際会計基準が中小企業用会計基準に関する討議資料を公開(3)

ある米国公認会計士の鎌倉からロンドンへの道: 国際会計基準が中小企業用会計基準に関する討議資料を公開

前回の続きです。

5.May an entity using IASB Standards for SMEs elect to follow a treatment permitted in an IFRS that differs from the treatment in the related IASB Standard for SMEs?

Full IFRSと中小企業の会計基準が異なる扱いを示している項目について、中小企業の会計基準を適用している企業が、当該項目に関しFull IFRSを適用することを否定するものではないとのことです。ただし、その場合はstandard by standard アプローチによるべきとの暫定的見解を示しています。すなわち、例えばIAS○号の第1項、第2項、第3項に中小企業用に簡便的扱いを認めている場合において、第1項につき原則的扱いを適用した場合は、第2項および第3項についても原則的扱いを適用する必要があるとのことです。

6.How should the Board approach the development of IASB Standards for SMEs? To what extent should the foundation of SME standards be the concepts and principles and related mandatory guidance in IFRSs?

これは、中小企業の会計基準を白紙の状態から作り上げるべきか、それともFull IFRSを出発点として、それを修正する形で行うのか検討した結果、Full IFRSを修正するアプローチで作成していくとの考え方を示しています。

7.If IASB Standards for SMEs are built on the concepts and principles and related mandatory guidance in full IFRSs, what should be the basis for modifying those concepts and principles for SMEs?

前段では、中小企業の報告基準はFull IFRSを修正していく形で作成していくこととしたので、どういった原則に基づいて修正していくのかという論点です。その修正の原則は「中小企業の財務諸表の利用者のニーズ」および「コストベネフィット分析」であるとしています。この原則により修正されるのは表示および開示の部分が中心であり、原則として資産負債の認識測定の原則については修正しない方向で考えているようです。大企業で資産であり、中小企業では資産ではないというのは原則的におかしいという考え方からです。

8.In what format should IASB Standards for SMEs be published?
発行の方法はどのようにすべきか

中小企業用の会計基準はどのような形になるのか、ということです。これについては、中小企業用の会計基準として別に1冊の形にするようです。そして、ナンバリングは既存のIFRSに従うものとしています。今後は、まず既存のIFRSについての中小企業用の扱いを定めた1つのIFRSの草案を公開し、基準にしていくとのことです。

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国際会計基準が中小企業用会計基準に関する討議資料を公開(2)

ある米国公認会計士の鎌倉からロンドンへの道: 国際会計基準が中小企業用会計基準に関する討議資料を公開

6/30付エントリの続編です。
討議資料が公開されていますので、改めて内容について紹介したいと思います。

内容については「IASB(国際会計基準審議会)は中小企業用IFRS(国際財務報告基準=国際会計基準の新名称)を作るぞ」という宣言と、「作るにあたってはこういう方針で行きますけどどうでしょう??」というもので、具体的な会計基準の変更について示しているわけではありません。

論点は以下の通りです。

1.Should the IASB develop special financial reporting standards for SMEs?

そもそもIASBには、完全なIFRS(Full IFRSと言っています)が全ての企業にとって最適な会計基準である、というポリシーがあります。しかしながら対がを中小企業とした場合、利用者、利用方法などの点で、Full IFRSを作成する場合の大前提とは異なっています。加えて、IASBが統一した中小企業の会計基準を作成しないとなると、世界に何種類かの中小企業用の基準が存在することになり、比較可能性に問題が生じることになることになります。これらのことを考えると、IASBが中小企業の会計基準を作成することは決して上記ポリシーに反することではないとしています。ただし、中小企業の会計基準を適用したのであれば、IAS1号に基づき、その旨を開示する必要があるとしています。

2.What should be the objectives of a set of financial reporting standards for SMEs?

中小企業の報告基準は以下のようであるべきとしています。
・高品質、理解可能かつ強制力のある、中小企業に適したグローバルな会計基準であること。
・中小企業の財務諸表の利用者のニーズを満たすことに焦点を当てること
・IFRSと同じフレームワークに基づくものであること
・グローバルスタンダードに準拠しようとする中小企業の負担を減少させること。
・Full IFRSに簡単に移行できるものであること。

経営管理情報や、税務に関するニーズは今回の中小企業用報告基準の目的ではないとしています。


3.For which entities would IASB Standards for SMEs be intended?

中小企業用会計基準といっても、適用範囲を企業の規模の大小で判断することはしないとの考えを示しています。まず第一に公的説明責任(public accountablity)がある企業は中小企業の会計基準を適用できないとしています。公的説明責任のある企業としては、上場企業、公益企業、金融機関などがあげられています。また、株主全員が賛成しないと中小企業の会計基準は適用できないこととされています。公的説明責任のない企業は潜在的な中小企業の会計基準の適用者となりますが、最終的などのような企業に適用可能とするかは各国の規制当局が定めるものとしています。

4.If IASB Standards for SMEs do not address a particular accounting recognition or measurement issue confronting an entity, how should that entity resolve the issue?

設問が分かりにくいのですが、中小企業用の報告基準が言及していない問題があった場合は、その問題に限りFull IFRS に従うものとしています。

(続く)

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企業会計審議会 論点整理及び意見書(公開草案)の公表について

16.6.24 企業会計審議会 論点整理及び意見書(公開草案)の公表について

従来、海外の会社が日本に上場する場合において、自国の会計基準で財務書類を使用する場合は、金融庁が、公益又は投資者保護に問題がないか個別審査することになっていました。そしてその開示は日本語によるものとされていました。

この公開草案では、公益又は投資者保護の審査には「我が国会計基準との同等性の評価を行うことによることが考えられる」とのことです。したがって、個別審査ではなく、会計・監査・開示の基準を日本の基準と比較し「同等性の評価」を行うことで判断しよう、すなわち、一定の会計基準などを使用して自国で開示を行っている企業については個別審査なしにその開示を日本においても認めようということです。日本語での開示については、不要との明文はないものの、前後関係から解釈すると、どうも不要というのが趣旨のようです。翻訳費用が外国企業のかなりの負担であったとの指摘があり、それに応えたものと思われます。

なお、自国で上場していない場合は、原則として日本の基準に従うべきとの考えですが、例外的に個別審査したもの、また「同等性の評価」を受けた各基準を適用したのであれば、海外の基準により日本で上場することも認めてよいとの見解を示しています。

とはいえ、激減している上場外国企業の数を考えると、どこまで効果があるのか、心もとありません。どうも、若いというだけでちやほやされていた時代には何もせずに、もう若くなってしまってから焦っている、そんな印象がぬぐえません。

一方日本企業の国際会計基準適用に関しては、現状では時期尚早との構えを崩していないようです。

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財務情報等に係る保証業務の概念的枠組みに関する意見書(公開草案)

日本基準のフォローが遅れていますので。。。。

財務情報等に係る保証業務の概念的枠組みに関する意見書(公開草案)

前回書きました企業会計基準委員会では「概念フレームワーク」でしたが、企業会計審議会では「概念的枠組み」と言うようですね。全くどうでもいい話ですが。

「概念的枠組み」ですので、基準そのものではなく、「保証とは何か」、「監査とは何か」といった、ある意味哲学的な文章が並んでおります。公認会計士が関わる業務といっても、いろいろなレベルがあるため、まずその業務を「保証業務」と「非保証業務」に分類し、「保証業務」の中で、「監査」および「レビュー」を位置付けています。

で、「保証業務」とは「主題に責任を負うものが一定の規準によって当該主題を評価又は測定した結果を表明する情報について、又は、当該主題それ自体について、それらに対する想定利用者の信頼の程度を高めるために、業務実施者が自ら入手した証拠に基づき規準に照らして判断した結果を結論として報告する業務をいう」のだそうです。なんと難解な...

これを「監査」に当てはめますと、「主題」というのは、企業の財政状態、経営成績およびキャッシュフローの状況であり、「責任を負うもの」が経営者、「一定の規準」が会計基準、「評価又は測定した結果を表明する情報」は財務諸表、「想定利用者」は投資者、「業務実施者」が監査人と読み替えれば何となくイメージは湧いてきます。

その保証業務はさらに、「合理的保証業務」と「限定的保証業務」に分類されます。「合理的保証業務」では「業務実施者が、当該業務が成立する状況のもとで、積極的形式による結論の報告を行う基礎として合理的な低い水準に保証業務リスクを抑える」のに対し「限定的保証業務」では「合理的保証業務の場合よりは高い水準ではあるが、消極的形式による結論の報告を行う基礎としては受け入れることができる程度に保証業務リスクの水準を抑える」のだそうです。私の日本語の理解力を既に超えています(笑)。

まあ要は信頼性のレベルという面で「合理的保証」>「限定的保証」であり「監査」は合理的保証業務、「レビュー」は限定的保証業務である、と結論付けたいようです。「レビュー」という「消極的形式による結論の報告」とは「すべての重要な点において、一定の規準に照らして適正性や有効性がないと考えられるような事項が発見されなかったかどうかを報告する」のだそうです。そして「一般に、限定的保証業務であるレビューでは、主に分析的手続及び質問によって、レビューにおいて求められる十分かつ適切な証拠が得られると考えられている」のだそうです。

もっとも、このあたりは、米国公認会計士試験では必須の部分です。日本の会計士試験のことは知りませんが、おそらく大方の会計士さんの頭の中にはある話でしょう。それを今般権威ある方々(企業会計審議会の委員)議論を通して、明文化したものだと考えています。

ともあれ、日本の監査基準でもレビューは「質問」と「分析的手続(簡単に言うと、数値の増減を見ておかしなところがないかチェックする手続)」で行って、報告書は「話を聞いて、数字をなめてみたけど、おかしなところは見つけられませんでした」という形式になる、というコンセンサスができたことになります。業界の方以外にこのへんが理解していただけるかどうか、いささか不安であります。

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討議資料 「財務会計の概念フレームワーク」の公表

財団法人 財務会計基準機構-企業会計基準委員会

 :企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)では、わが国の会計基準を開発・設定していくにあたり、いわゆる概念フレームワークを明文化する必要性が各方面から指摘されたのを受け、平成15年1月に、外部の研究者を中心に一部の委員や事務局メンバーが加わる基本概念ワーキング・グループを組織して、基本概念を整理した研究レポートの公表に向けての検討を委託いたしました。
 基本概念ワーキング・グループは、合計46回に及ぶ会議で検討を重ねた成果を当委員会に報告し、これを受けて当委員会は、それを今後の議論の素材とするために討議資料として公表することにつき、平成16年6月22日の第59回企業会計基準委員会で承認いたしました。

「いわゆる概念フレームワーク」といわれても、何が「いわゆる」だかわからない方が多いと思います。少なくとも一般会社で実務やっていてこんな言葉を聞くことはほとんどないですから。
手許に資料がありませんので、正確な定義はできませんが(この討議資料自体、説明なしに概念フレームワークという言葉を使用しています)、概念フレームワークとは会計基準を策定する上での基礎的な概念を示すことを目的としたものです。この討議資料は、以下の論点について整理されています。

1.財務報告の目的
(まあ、これは読んで字の如し。討議資料では、「投資家の意思決定に資する」ことが目的とされています)

2.会計情報の質的特性
(上との関連から、会計情報は意思決定を行うにあたって有用なものであることが求められます。意思決定に有用であるためには、意思決定に関連した情報であること、内的整合性のある会計基準によって作成されていること、一定の水準で信頼できる情報であることが求められます)

3.財務諸表の構成要素と
(構成要素とは、具体的に資産、負債、収益、費用などで、それぞれがどういうものなのかを定義しています。ちなみに資産とは「過去の取引または事象の結果として、報告主体が支配している経済的資源、またはその同等物」を言うのだそうです。)

4.財務諸表における認識と測定
(認識の問題とは、資産、負債、収益、費用などに計上すべきか否か、という問題であり、測定の問題とは、「認識」する場合、何円で認識するか、という問題です。)

とてもこんな夜中に目を輝かせて読めるものではありませんので、詳細は後ほど(と言いつつ書かない可能性が高い)

米国FASBも、国際会計基準も独自の概念フレームワークを持っています。国際会計基準に同等性を認めてもらおうとしている日本としては、明確なポリシーをもって会計基準策定を行っているということをアピールするためには、敵さんの理解可能性という意味で独自の概念フレームワークを持つことは有用な手段であると思います。とはいえ、ここまでいろいろ詳細な会計基準ができてから、それらに一貫した概念を見出していくということは、相当な困難な作業であるかと思います。おそらく2-3年では完成しないでしょうね。

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誰か誘って!mixiまたはgree

友達いないんです(笑)!
体験してみたいんです、ご迷惑をかけませんから、誰か誘って下さい。
(メールはプロフィールを参照)


何ができるのか、よく分かっていませんが。。。。。

<7/6 追伸>
言ってみるもの。ご親切な方に招待を受けました。ありがとうございました

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妻が実家に帰った<Off-Time>

そして、次の日帰ってきました。
近くなんで時々フラッて帰ってしまうのです。

土曜日は突発的に仕事に行ってしまって、日曜は家族サービスのつもりだったのですが、
日曜がまるまる空いてしまいました。でも、どうも外に出る気にならず、ひねもすネットサーフィン(死語)や2chウォッチで過ごしてしまいました。本性はきっと引きこもりなのでしょう。

せめて突然帰らないで、メール一本入れくれればいいのに。そうすれば貴重な休日を有効に使えるのに、とも思ったりしました。しかし、こういう突発事象をいかに有効に使えるかで結構大きく差がつくのでしょうね。「中曽根は将来総理大臣となると早くから明言し、総理大臣になったらやりたいことを、何冊ものノートに書きとどめていた」話や、代役に抜擢されたことから有名になった人たちの話を聞いて、常にやりたいことを準備しておかなくては、いざというとき実現しないのだ、というのはわかっているつもりだったのですが、今回改めて実感しましたね。

って、妻子抜きでやりたいことって何だ??>自分

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欧州企業 国際会計基準対応急ぐ(7/2日経)

欧州企業 国際会計基準対応急ぐ

:英通信大手のBTグループなど欧州上場企業が2005年から適用を義務付けられる国際会計基準(IAS)の対応に乗り出した。現行制度と違って年金の積み立て不足や合併処理などで時価基準の厳密な情報開示を求められ、これまで表に出てこなかった損益などが決算書に出てくるため、企業行動や株価にも影響を与えそうだ。

まあ、とっくに乗り出しているでしょう。2005年から適用といっても、通常少なくとも1年前の比較情報は求められますから、2004年の実績もいずれはIASで作らなければないことになります。今から乗り出しておかないと、とても間に合わないかと思います。

ただし、この記事(紙面本文)で上げられている国際会計基準の特徴は常識的なものであり、英国などではすでにちゃんとした会計基準があることですし、それほど大きな相違点は多くないはずです。

むしろ、大変なのは似ているけど微妙に違う部分です。ちょっと会計基準の言い回しが異なるだけで結論が異なるというのはよくある話です。また、注記による開示については、国際会計基準はかなり細かく定めており、またこの手のものは国によって要求するものが微妙に違うのがむしろ当然なのであって、いちいち合わせていくのは地道で大変な作業であると思います。

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IFRIC2つの公開草案

IFRICとは国際会計基準の解釈指針を検討するところですが、今回2つの解釈指針案を公開しました。


IFRIC publishes proposed guidance on members’ shares in co-operative entities

これはすでに一般公開されています。協同組合のいわゆる出資金をどう扱うか、という問題を扱っています。具体的には、たとえば生協の出資金は生協にとって負債になるのか、資本になるのか?という論点のようです。この回答は、出資金の返還を要求する権利がないのであればそれは資本、あっても拒否できる無条件の権利があったり、法律上返還が制限されていたりすれば、それは資本。返還を要求できるのであれば、その部分は負債、という結論のようです。

もうひとつ
IFRIC publishes proposed amendment to the scope of SIC-12

これも、かなりテクニカルな内容です。会計基準の適用範囲の話なので、たいへん分かりにくいのですが、まとめるとおおよそ以下のことを言っているようです。

・SIC-12号(いわゆるSPEの連結について扱っている基準)では、報酬に関する制度(年金基金などを想定している)については、IAS19号で扱い、SIC-12としては取り扱わない旨の規定がある。

・ところが、IFRS2号(株式報酬、いわゆるストックオプションの会計基準)では、報酬に関する制度についてIAS19号は適用範囲外ということに改訂している。

・したがって、これらの制度が持っている自己株式はIAS32号(金融商品の開示の会計基準)で扱われることになり、自己資本から控除され、不合理な結果となる。したがってSIC-12の扱いの範囲をもっと明確にしてこのような制度も範囲内にして欲しい

いまいち理解不足ですが、要は年金制度が持っている自己株式のせいで、資本の部が減少したらたまらないので、それに対して対応したというところのようです。

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