中小企業に「会計参与」 税理士台頭に警戒感も(8/19 日経金融)
:法制審議会(法相の諮問機関)は7月末、公認会計士や税理士が中小企業の財務諸表の作成にかかわれる新制度を提案した。外部監査を受けていない中小企業の会計への信頼性を高めるのが狙いだ。だが、背後には公認会計士と税理士のの長年の職域争いも垣間見える。税理士の業務拡大への警戒感から、会計士業界から「有効性に疑問も残る」とけん制が聞こえてくる。
:現在、外部監査を受けるようでは法律で定められている会社は資本金5億円以上か負債総額200億円以上の大会社。・・・一方でそれ以外の中小企業となると財務諸表をチェックする仕組みが無く「信頼性が高いとはいえない」(金融機関)。
:日本税理士会連合会は「株主・会社債権者の保護が図られる」として会計参与に「全面賛成」の意を表明。日本公認会計士協会も「中小企業の計算書類の正確性を高める効果が期待できる」と前向きに評価するコメントを出した。ただ現場の会計士たちの本音は別。建設的とは言い難い制度批判が出るのは税理士業界の台頭へのけん制であり、自らの職域である監査こそが実効性を持つという自信の裏返しであろう。
「長年の職域争い」の側面から見ると、やや税理士寄りの記事に読めます。
そもそも「中小企業と財務諸表をチェックする仕組みが無く」といいますが、それは義務が無いだけで、会計監査を受けることは可能です。このような法的義務付けのない監査を一般に「任意監査」とよびますが、上場企業と同じような手続で会計監査を委託することができます。
また「接する機会の多さからコスト面から見れば税理士になるのが普通」(記事より)というのであれば、税理士の先生を監査役にする方法もあるかと思います。その方法に関する税理士側のリスクとしては鳥飼法律事務所の記事の通りかと思いますので、リスクをひきうけてもらうためにはそれなりのフィーが必要でしょうが、それは会計参与でも同じことでしょう。
要は経営側のやる気次第で財務諸表の信頼性を高めることは現制度下でも十分可能ではないかということです。ではどこにこの制度のニーズがあるのかと考えると、結局税理士側の「職域拡大」あるいは「監査役を引き受けてもリスクの割にフィーは期待できないが、会計参与ではそれなりのフィーが期待できる」という本音が透けて見えるようでなりません。
税理士を監査役にしているところは現在でも数多いのでしょが、それでも会計参与がなければ信頼性を保てないというのであれば、それは監査役制度の方に問題があるということでしょう。現在の監査役でも(おそらく)会計参与並みの法的責任を負っているはずですから、屋上屋を重ねているだけのような気がします。
と、まあ私などは資格はないものの、環境からいって明らかに「会計士側」の人間であり、意見も「建設的とは言い難い」のかもしれません。今後の議論を見て私も勉強していきたいと思います。
(参考)
会計参与については
「経営・会計通信」会計参与?
また、「職域争い」についての読み物。「会計プロフェッションのあるべき姿と今後の対応(中間報告)」
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