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初の退職時株式支給制度を導入 三洋電機の社員処遇改革(9/1 フジサンケイビジネスアイ)

:三洋電機(大阪府守口市)が社員処遇制度の改革を加速している。成果主義の導入で成果をあげた同社の改革は、いよいよ仕上げの段階に入ったようだ。

:そこで、来年四月から業界では初の試みとして、現行の退職金に上乗せする形で、全社員に同社株1050株を支給する退職時株式支給制度をスタートさせることになった。
「ESOP」と呼ばれる自社株運用の従業員持ち株制度で、勤続年数や勤務成績に関わらず15年間、毎年70株分のポイントが加算され、退職時に一括して1050株を手にできる。株価が上がれば成果配分が増えることから、経営への参画意識も向上できる。

「業界では初の試み」というより、日本ではあまり聞いたことがないような気がします。

これも会計処理が気にかかります。ESOPが古くから定着している米国では会計基準が定めれらています。手許に詳細な資料がないのですが、Web上で検索したところ、AICPA SOP(Statement of position:米国公認会計士協会の実務指針、とでもいいましょうか)93-6という会計基準があり、自己株式を各個人のアカウントに割り当てたときに、公正価値をもって費用認識することとされているようです。ちなみに、その会計基準が制定される前は、制度への拠出時に費用認識していたようですね。

三洋電機は米国基準適用会社ですので、連結決算上はこれにならった処理をすることになるのかと思います。

ただし、米国基準適用会社といえども、商法上の単独決算は日本基準によらざるを得ません。ESOPは日本に存在しないといってもほぼ間違いのない制度ですので、それに特化した会計基準は当然存在せず、会計処理をどうするかは一つの論点になるかと思います。

現在検討中であるストックオプションの会計基準が適用される範囲は、「自社株式又はこれをこれを原資産とするストック・オプションを対価(報酬)として用いる取引」とのことです。したがって、この会計基準が完成した暁には、それを用いることになると思うのですが、その平成18年4月以前まではどのように処理するのでしょうか?

「退職給付」の定義である、「一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に従業員に支給される給付」には該当しそうです。確定拠出型の退職給付は拠出時に費用処理することになりますが、確定給付型では退職給付にかかる会計基準が適用されることになります。
確定拠出型と認められるためには、拠出時に負担した後の追加負担が生じないという要件が必要となります。このESOPの場合、詳細なスキームはよく分かりませんがおそらく何らかの制度を設立し、会社が一定額を拠出していくものと思われます。株価の急激な上昇や、退職率の上昇などのリスクは会社が負担することになるのでしょうから、確定拠出とはいいがたいような気がします。

では、確定給付型として会計処理するのでしょうか。だとすると、通常の退職給付債務の計算にさらに株式のボラティリティーを加味した計算が必要となってきます。文系の私などは天を仰ぐしかない計算となりそうです。

もっとも、ストックオプションが現在費用として認められてない以上、ESOPによる給付も費用ではないと考えることもできるかと思います。というよりそのほうが現在においてはまっとうであるかと思いますが、それでは自己株式を買い付けるために制度に拠出した金額の性質は?会計処理は??と考えると難しいものがありますね。どなたか教えていただければ幸いです。

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