【本】「小説ザ・外資」高杉良
以前金融腐蝕列島の新刊についてエントリしましたが、未だに新刊を定価で買う気にはなれず、かわりに文庫となった新刊(といっても5月発売ですが)を購入しました。
クレスベール証券事件と、旧長銀の破綻→リップルウッドへの売却を架空の主人公と、限りなく実名に近い登場人物を交えて描き出しています。おそらく金融腐蝕列島同様、綿密な取材の元に書かれたものと思われます。
正直「懐かしいな~」というのが感想。「あーこんなこともあった、あんなこともあった、そのとき自分は何してたっけ?」と回想する楽しみはありました。しかしながら、あまりに事実に即しすぎたいるために、新聞記事の後追いを読まされているみたいで、小説としての面白さにやや欠け、かといって事実の掘り下げがそう深いわけでもない、中途半端な感じが否めません。
また、あまりにもハゲタカ外資論を声高に振り回しているため、逆に著者の意図が空回りし、むしろ説得力を欠いている要因にもなっています。言いたいことはわかるのですが。。。。
ちなみに小説じゃないものとしては最近『ハゲタカが嗤った日 リップルウッド=新生銀行の「隠された真実」』
などというものも出ているようです。読んでいませんがタイトルからして本書と同趣旨なのでしょう。
あと、いちいち登場人物に「金融腐蝕列島を読んだか」「金融腐蝕列島という映画を見たか」と言わせるのはいただけません。小説内で自分の小説の宣伝をされると鼻が白みます。大小説家はもっとでんと構えていてほしいものです。
ちなみに、書中に出てくる外資のドンは「人の心もマネーで買えると私は思っている」と語っています。最近同じようなことを聞いたような気が。。。
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