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"大制裁"時代の情報開示(東洋経済12/4)

:では、現時点での情報開示の実態はどうか。リスク情報の開示に注目して、今年6~7月にかけて提出された3月期決算会社の有価証券報告書を見ると、企業の取り組みはまだまだ不十分で、会社間にも大きな格差がある。また、開示に積極的な会社でも、何をリスクと考えるか、その内容にもバラつきがある。

10ページ以上にわたってリスクを挙げている三井住友フィナンシャルグループやヤフーのような会社がある一方で、事業等のリスクについて「特筆すべき事項なし」といった表現で何も書いていない企業が東証1部で15社ある。

「事業等のリスク」の開示については、以前『だれが「本」を殺すのか』(佐野眞一)とリスク情報開示(その2)で、角川ホールディングスの例を挙げて、書いたことがあります。16年3月期の有価証券報告書からの適用ですので、前に書いたとおりライバル企業の書き方を探りつつ、開示内容に差があるのはある程度仕方のないことではないかと考えます。

だからといって、「特筆すべき事項なし」という大胆な会社が東証1部で15社もあったというのはびっくりです。リスク情報に関する開示が強制されているのに対し、自分の行っている事業にリスクはありませんと堂々と宣言してしまうのは非常に勇気のあることだと思います。ぜひどの会社か知りたかったのですが、残念ながら記事ではそこまでの言及はありませんでした。

(written on Dec.5)

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IASBとFASB 業績報告で共同組織(11/29 日経金融)

国際会計基準理事会(IASB)と米財務会計基準審議会(FASB)は企業の業績報告の枠組みを考えるため、外部の学識者などで構成する共同の助言組織を発足する 。新しい利益概念である「包括利益」などが検討項目に含まれ、日本の会計基準にも強く影響する。世界の二大会計基準を作る両機関が協調することで、会計統合論議が加速する可能性がある

最大の焦点になっているのは「包括利益」と呼ばれる利益概念。企業の長期保有の株式の時価変動を利益に反映させる考え方で、昨年までIASBが経営の透明性が高まるとして導入を目指した経緯がある。ただ、FASBは長年使い慣れた当期利益の継続利用を崩さず、日本を含む産業界からの反発も相次いだことで、棚上げを迫られた。

2005年に欧州上場企業に強制的に適用が求められている国際財務報告基準(IFRS)。そのIFRSを設定する機関であるIASBと米国の会計基準設定機関であるFASBが共同歩調をとるというニュースです。IASBとFASBは2002年の合意以来既に共同歩調をとっており、一見とくに目新しい動きでもないように思えます。

しかしながら、業績報告に関しては米国とIFRS側ではスタンスを異にしています。上記の記事では若干不正確ですが、米国にも既に包括利益の概念はあります。しかしながら米国では従来の損益計算書のほかに包括利益計算書を作成する必要があります(双方をあわせて1つの表にすることは認められていますが)。位置付けとしては、包括利益はあくまで旧来の当期利益の補完的な使われ方をしています。一方IFRSでは従来の損益計算書での計算結果である当期利益の概念をそもそもなくしてしまい、包括利益を業績のメインの数値と位置付けようとしています。しかも旧来の損益計算書のフォーマットをドラスティックに変えるものであり、各方面からの反発も相当あったようです。当初は2005年の強制適用にあわせて新しい業績報告のフォーマットを導入するはずだったのですが、現在はまだ導入の目処は立っていません。

IASB側でも独走しすぎた反省もあり、改めて各国の代表を集めて意見集成を行おうとしているのでしょう。日本国内の財務報告に超短期に影響を与えるものではないですが、全世界的にどのような財務報告のフォーマットが望まれているかについて議論するわけですから、今後の動きに注目したいと思います。

なお、この件に関するプレスリリースはこちら。 日本からは松下電器産業の山田浩史氏、法政大学の八重倉孝教授がメンバーとなっているようです。


(written on Dec.5)

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【本】一冊の手帳で夢は必ずかなう(熊谷正寿)【内容なし注意】

【本】一冊の手帳で夢は必ずかなう(熊谷正寿)

いまさら説明するまでもない、今年度のベストセラーに数えられる一冊です。
そして著者の熊谷氏もいまさら説明するまでもない、GMO社の社長です。


・・・操作ミスでこれ以降のログが消失してしまいました・・・今日は書き直す気力がありません・・日を改めて・・・

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古牧"ゴールドマン・サックス"温泉!?

地方の観光企業、投資会社が再建支援(日経11/26 夕刊)

投資会社や投資銀行が観光関連企業を支援する動きが広がっている。投資会社カレイド・ホールディングス(東京・港、川島隆明代表取締役)は12月、観光施設「日光江戸村」(栃木県藤原町)などを運営する大新東に約180億円を出資、再建に乗り出す。ゴールドマン・サックス証券グループは古牧温泉渋沢公園(青森県三沢市、杉本正行社長)を事実上買収する。集客難に悩む地方の観光企業などが投資会社の支援を仰ぐケースは今後も増えそうだ。

仰天しました・・・

岩手~青森を生活の拠点としていた私の子供時代からすると、古牧温泉は実に身近な観光地でありました。今から考えるとそんな高級なところではなかったかと思いますが、当時の私の家庭からすれば、「ちょっと奮発した家族旅行」にはまさにうってつけのところであり、とくに大岩風呂などをみてますと、まさにベタな日本の象徴というべきリゾート地(という言葉が似合わないほどベタなのであるが)であります。

まあ、そこがよりによって現在の私にとっての外資の象徴的存在であるゴールドマン・サックスに再生を委ねるとは。私の少年時代以来の価値観がまた一つガラガラと崩れた瞬間なのでした。

(written on Nov.28)

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日銀の会計基準の変更(続)

昨日の続きです。

まず、私は銀行(というより金融業)の財務諸表が大変苦手です。「預金」が貸方に来るだけで思考停止を起こしてしまいます。また、マクロ経済学というものも十数年前に少しかじったような気もするのですが、全くもって覚えておりません。まして金融論なんて。。。

という、言い訳をつらつら述べた上で。。。

低価法から償却原価法に変更したということですね。
低価法というのは確かに現在の民間の会計基準にあるわけではないですから、「金融商品に係る会計基準」等を踏まえ、というのも一応辻褄は合っています。

で償却原価法にすれば、保有有価証券を時価評価する必要がありません。短期に金利がぶれたとしてもそのインパクトを財務諸表上認識する必要はない。これも確かにその通り。

ただ、償却原価法にするには、その有価証券が満期保有目的である必要があります。つまり、その証券を満期まで手放さないという意思表示をする必要があります。満期保有目的で保有している有価証券の一部を売却した場合は、その有価証券の満期保有目的は全て否定され、それ以後は時価評価を行っていく必要があります。

日銀って、保有有価証券は売却しないんでしたっけ?というのが疑問。
超基本的なことなのかもしれませんが、私はよく知りません。
というわけで後日の課題!


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タイマグラ経由?

そう言えば、昨日からタイマグラばあちゃんがらみのアクセスが急増しているのですが、何かあったのでしょうか?

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日銀の会計基準の変更

米経済の当面の拡大、統計でほぼ裏付けられた=日銀総裁

:一方、福井総裁は、日銀の国債保有リスクについて、今年度から会計基準を変更したため、長期金利に変動があっても決算上の期間損益で評価損失が計上されることはない、と説明した。その上で、含み損発生の可能性について、「普段から試算しているが、10年物国債の金利が仮に1%上昇し、他の期間の金利も同じ割合で上昇するケースを想定すると、日銀の保有している長期国債について、約1兆4000億円程度の含み損が発生する」と述べた。

日本銀行業務概況書(平成15年度)より(p306~)

:(有価証券の評価基準及び評価方法)
第13条 有価証券の上半期末及び事業年度末における評価は、次のとおり
とする。
(1)国債及び外貨建債券の評価は、取引所の相場のある
場合は移動平均法による低価法により行うこととし、その他の場合は移動平均法による原価法により行う。

(引用注:本文取消線部分は引用にあたり削除しました、また下線部は引用者)

:(注)日本銀行は、平成15年5月1日、政策委員会において、「金融商品に係
る会計基準」等を踏まえ本行財務の明瞭性向上を図る観点から、16年度
307
より日本銀行が保有する国債の評価方法を償却原価法に、外貨債券の評価
方法を時価法に変更することを決定している。この決定と本章第1節およ
び第2節の変更とにより、16年度以降、会計規程第13条(有価証券に
係る評価基準及び評価方法)の規定は以下のとおりとなっている。

:(有価証券の評価基準及び評価方法)
第13条 有価証券の上半期末及び事業年度末における評価は、次のとおり
とする。
(1)円貨建債券及びコマーシャル・ペーパーの評価は、移動平均法によ
る償却原価法
により行う。

(引用注:下線部は引用者)

時間がないので、とりあえずメモのみ。

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『女子大生会計士の事件簿』プレゼント当選!

webook主催のプレゼント企画に当選いたしました。

かねてから、気にしていたシリーズでしたが未読でした。
会計のことがこれだけ柔らかく表現できるということで、多少のやっかみがあったのかもしれません。
これを機にシリーズをできるだけ読んでみたいと思います。

webookのしんのすけさん、そして(少なくとも私にとっては有名人である)著者の山田さん、ありがとうございました。

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新潟中越募金「祭」

ガ島通信で、新潟中越募金「祭」を企画しています。募金の呼びかけまたは自分の募金を記事にしてトラックバックするというもの。

いい機会ですので、趣旨にのっとり募金させていただきます。
今まで募金する気はあっても怠慢こいてた自分への自戒も込めて。。。。

こちらがBIGLOBEのキャンペーン画面

bokin.jpg

募金手続の最終画面はこちら。

bokin2.jpg

本当は募金したことがはっきりわかる画面がよかったのですが、いまいちいいのがありませんでした。
ちゃんと購入ボタンを押したことをここに誓います。

なお、なぜココログなのにBIGLOBEで募金するのかなどという細かいことを聞いてはいけません。
いろいろ事情があるのです。
ちなみにNiftyの募金画面はこちらです。

最後に被災地の一刻も早い復旧を祈念いたします。

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三重の“罪”を犯した西武鉄道(11/17 読売社説)

三重の“罪”を犯した西武鉄道

:それを隠すため、コクドが実質保有する株式の名義を、個人など別の名義と偽り、有価証券報告書に記載していた。

:有価証券報告書は、株式投資の基礎となる重要な資料だ。信頼の回復に、虚偽記載への罰則強化も必要になる。

その通り!
さすが日本を代表するマスコミである読売新聞。いいこと言いますなぁ。。。


(written on Nov.23)

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子供の誕生会

今日は9歳になる子供の誕生会(ちょっと遅れ気味の日程ですが)。
準備をしながら、たまっていたブログ書きを少しずつ進める、ばたばたした日。

これがぶきっちょ父子でこしらえたケーキ。
2004_1121_151839AA2.JPG

見栄えはどうしようもなく悪いですが、それなりの味はしました。

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JUSCPAセミナー

20日はJUSCPAのセミナーに参加。
NYSE(ニューヨーク証券取引所)の東京事務所の方から、日本企業のNYSE上場メリットなどのお話。
まあ、営業ですな。ここ2年くらい日本企業の上場がないと言っていました。

まあ以前ならともかく、現在ではSOX法により相当のコスト増が予想されますので、よほどのメリットがないと上場はペイしないかと思います。なにせ経営者に懲役25年リスクがありますから、マネジメントの理解を得るのも大変。

(written on Nov.21)

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西武社長、東証上場廃止を謝罪――ジャスダック上場に総力

西武社長、東証上場廃止を謝罪――ジャスダック上場に総力

:その上で「株主の利便性と投資家保護を最優先するため、ジャスダック市場への上場申請を開始する」と述べた。「当社株を市場で取引できなくなる期間を可能な限り短縮するため、2005年3月期末までのジャスダック上場の実現を目指す。体制整備や上場申請準備に会社の総力をあげて取り組む」という。

既に旧聞に属し、さんざん語り尽くされているところではありますが。。。。。

この記事を見まして、感じたのは自分の発想の貧困さでした。東証があるならジャスダックがあるさ、このような発想は私の平凡な頭脳と常識の範囲を出ない思考法からは出てくるものではありません。この提案をした方は「世話になっている弁護士」(日経金融11/17)とのことで、この常識にとらわれない発想に感服するものであります。

と、思いきや

:「もし、ジャスダックに上場申請すると言い出したら、どう対応しよう」。西武の東証上場廃止の流れが決まった先週末、ジャスダックを運営する日本証券業界の首脳はこんな「アタマの体操」をしていた。(日経金融11/18)

とのことなので、識者には考えうるシナリオだったと言うことですね。

さて、この発表後、株価は急進したらしいですが、いろいろな意見を見る限りでは、「本末転倒」「脱力」といった評価が一般的のようです。私個人としては、私の世代ならきっと知っている堤義明氏の名言をここに送りたいと思います。

「やりたいのなら、どうぞ」

さて、「どうぞ」とは言っても、今回赤っ恥をかかされたジャスダック側の審査が通らなければ再上場は不可能です。これについては、

ジャスダック社長「西武鉄道上場、法令違反解決が先」
西武からはジャスダック側に直接、上場意向は伝えられておらず、現時点で市場運営者として発言する立場にないと強調した上で、「証券会社や監査法人の指導のもと、会社側がコーポレートガバナンス(企業統治)や情報開示体制の課題を解決するのが先決。上場はその先の話で(年度内の上場意向の発言は)順序が逆だ」と話した。また、「上場の準備は引受証券や監査法人が進め、上場申請するかどうかは彼らが判断する」との見方を示した。

と、(私の感覚で見て)極めて常識的なことが語られています。


さて、実際の(形式的な)上場基準ですが、Grande’s Journal に詳しくまとめられています。

ただし、
:・監査意見
 「直前2事業年度の監査意見を必要とし、かつ直前期は無限定適正であること」


についてですが、これについては個人の会計監査人の無限定適正意見が既に出ています。今回の訂正報告書の範囲は、あくまで監査対象外の部分であったはずなので、この無限定適正意見というのは今でも有効であると考えます。したがって(しつこいようですが、形式的には)上場申請にあたっての新任の会計監査人の新たな意見は必要ないのではないでしょうか?

ただ、実際には上場申請にあたっては、財務諸表マターについても新たにデューデリをぎりぎりやることが想定され、そういったことに今まで意見表明してきた個人の会計監査人が耐えられるかというと、実務的に困難なように思えます。

では、結局名前があがっている中央青山監査法人が2期分の財務諸表に対し意見表明をすることになるとすれば、1からの監査を2年分やって適正意見を表明するまでにどれくらいかかるかということです。私は監査実務者ではないので、見積もることは困難ですが、とてもじゃないけど2005年3月上場に間に合わすことなど無理であることは想像に難くありません。そもそも虚偽記載が原因で上場廃止となった会社の監査を引き受けること自体かなりのリスクを背負い込むことになりますので、そのリスクを治癒するためには、かなりの監査手続が必要でしょう。

事実、この件に関して西武側から中央青山に対するラブコールと、この記事に呼応した中央青山叩きはよく見かけるのですが、中央青山側の公式見解はもちろん出ていませんし、私の見る限り中央青山側に立った憶測記事すら見かけていません。

これは、上場とは関係なく、個人の会計士ではコンプライアンス上問題があるから大手監査法人に変更するという意味合いで中央青山側にオファーがあったものの、即時の上場申請の話は中央青山側にとって寝耳に水で、すったもんだしている最中であると私は憶測しているのですが、実際のところはどうなのでしょう。

(written on Nov.21)

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減損算定方法で隔たり 割引率の根拠か、開示を(11/18 日経金融)

:2006年3月期の義務付けを前に減損会計の適用が広がる中、企業による算定方法の違いの大きさに投資家やアナリストが戸惑っている。割引率や資産のグルーピングなど企業側の裁量余地が大きく、算定方法しだいで損失額に大きな差が出ることは以前から指摘されていた。市場では早くもより詳しい情報開示などを求める声が出ている。

:減損会計は固定資産の価値を、資産が生み出す将来キャッシュフロー(現金収支)を現在価値に割り引いた回収可能価格か、売却可能価格で評価する。企業が設定する割引率によって、資産価値は大きく異なる。10年後の百億円を現在価値に割り引く場合、割引率2%なら82億円だが、割引率10%なら38億円にしかならない。

別に減損会計に始まったことではなく、既に退職給付会計でも同じようなことが起きています。退職給付会計では割引率を高めに見積もれば、将来キャッシュフローの割引現在価値が小さくなりますので、負債を小さく見せることにより損失を小さく見せることができますが、減損会計の場合は将来キャッシュフローの現在価値が小さければ固定資産の価値が小さくなりますので、逆に損失が大きくなることになります。

もっとも退職給付会計の場合は「安全性の高い長期の債券の利回りを基礎として決定しなければならない」と規定されていますので、それほど大きな差は生じない(はず)なのですが、減損会計の場合は会計基準で、「貨幣の時間価値を反映した税引前の利率」としており、これは企業の信用力等によって大きく異なることになります。

この減損会計、導入までにかなりすったもんだしたので、いろいろ不備はあるかと思います。しかしとにかく導入できたことに意義があり、まだ早期適用期間中なのでこれから運用で改善していけばいいかと思います。

ところで

:資産の売却価格は不動産鑑定評価や路線価、公示地価などから選べる。ある食品会社は、東京都心部の遊休地を周辺の取引事例より低い路線価で評価した。経理担当者は「決算が好調なので損失を多く計上したかった。貯金のようなもの」と打ち明ける。

こらこらこら。。。。
もともと米国で減損会計が導入されたのは、経営者が交替した場合、一旦巨大な損失を計上して、それからV字回復を印象付ける、いわゆるビックバスと呼ばれる手法の制限にあったと言われています。日本では損の先送り防止としての効果が強調されていますが、このように損失が過度に前倒して計上されていないかという側面から注視していくことも必要と考えられます。

(written on Nov.21)

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「敗軍の将 兵を語る」 帆足 隆氏[元カネボウ会長兼社長]

日経ビジネス 2004年11月8日号「親を斬った中嶋は許せない」

日経ビジネスの先週号ですが、これは凄いです。
元カネボウ社長が赤裸々に本音を語っています。
まさに「敗軍の将、兵を語る」という皮肉めいたタイトルにふさわしいインタビューであります。

文章の一部を紹介することで
この方に、少しだけ同情を示すとともに、このような方をトップに擁かざるを得なかったカネボウ社員の多くの無念を慮り、カネボウおよびカネボウ化粧品の復興を心から祈念いたします。


:僕が指名した、あの野郎(中嶋社長)には、もう本当に怒り心頭でね。子供が親を殺すようなものですよ。先輩をぶった斬るというのは、これはもう常識では考えられない。無礼千万だ。まさかそんなバカじゃないだろうと思っていましたが、そんなのをよく社長に推挙したなと、悔やんでいます。

:それで借入金ばっかりで、(たまっていく)在庫の処理がすぐにはできなかったので、(本社と販社で物品を回遊させる)「低稼働」でずっとやってきたと、こういうことですよ。当時は「粉飾」とはいっていなかった。そんなのは低稼働ですよと、過去からずっと変な仕組みがあった。こういう会社の風土にしたのも伊藤さんの責任でしょうね。

:腹に据えかねたのは今年の6月末の株主総会で我々の責任を問うた(前名誉会長の)伊藤ですよ。

(編注:これは正当な批判かも)

:それで今度は後輩が先輩をやる。もう何かが狂っちゃったんだ。本当に残念です。こんなの、再生機構と一緒になって赤ん坊みたいなことをやっているだけだよ。さらけ出してきれいにすることは誰でもできるわ。

(編注:それが一番難しい)

これらの発言が、日経記者の誘導に引っかかった結果であることを祈ります。
。。。って文章前も書いたような記憶がありますが。

(written on Nov.21)

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金融庁に動き

金融庁にいろいろ動きが出てきているようです。

■ディスクロージャー・ホットラインの設置について


:証券取引法上の開示義務違反等に係る情報収集を行うため、金融庁では、本日、ディスクロージャー・ホットラインを設け、一般の方から情報の受付を開始することとしました。

金融庁がタレコミを受け付けるとのことです。

■ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応について

:(1)  来年7月から有価証券報告書等の虚偽記載等に係る検査・報告徴求権限を関東財務局から証券取引等監視委員会に移管する。これに伴う審査体制全体のあり方を金融庁総点検プロジェクトの一環として検討する。

 東証による西武の上場廃止措置ばかりが話題となっていますが、そもそも有価証券の虚偽記載の疑いがあった場合は、提出先である金融庁、およびその業務を代行している各地方財務局がもっと怒らねばならないはずです。しかしながら現状の各地方財務局では検査能力に限界があると思われますので、これを証券取引等監視委員会に移管し権限を強化することは効果的かと思います。これで日本版SECに一歩近づくかも。

:(3)  開示書類に係る分析能力の向上に向け、EDINET(有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)の機能充実、特に、XBRL(財務情報を効率的に処理するためのコンピュータ言語)化に向けた動きを加速する。このため、関係諸団体による「EDINETの高度化に関する協議会」を発足させる。

まず「高度化」よりも、もう少し使い勝手のいいシステムにしてください。。。。

:(4)  全開示企業に対し、株主の状況等についての開示内容を自主的に点検し、必要があればすみやかに訂正報告書等の提出を行うよう、各財務局を通じて指示する。

99%の企業は、株主書換業務を第三者に委託しているから大丈夫、という常識を日テレが見事に打ち破ってくれたため、こんなことになってしまいました。これによって訂正報告書がぼろぼろ出てくるようであれば、代行業者が非難轟々になりかねませんね。


:(1)  財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者による評価と公認会計士等による監査のあり方

あー、ついに来ましたか。サーベンス・オクスレー法の物まねが。これが入ったら実務は大変だ。会計士の就職難対策の打開策ともなりえます。

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西武鉄道の配当金の会計処理

以前に、日テレの配当金がどう処理されているのか、税務上は疑問点だらけと書きましたが、西武とコクドの関係については、ダイヤモンド誌(11/20)が、次のように書いています。

:だが、国税の本当の狙いは、コクドやプリンスホテルが実質保有していた個人借名株に対して西武鉄道が支払ってきた配当金にあると見られる。

:配当金は、名義を借りた個人に対して支払われたわけではなく、コクドが一括して受け取った上で、所得として申告したという。西武鉄道側は「コクドから税の問題はないという報告を受けている」と説明するが、果たして適正に処理されているのか。総会屋への利益供与、有価証券報告書の虚偽記載と立て続けに不正が発覚しただけに、にわかには信じがたい。

信じる信じないはともかく、どのように処理すれば「税の問題はない」と報告できるのでしょう?
コクドが配当として申告していれば、子会社からの配当となりますので、かなりの部分が益金不算入、すなわち税金がかからないことになります。「名義は個人だけど、実質はコクドが受け取っているから税金払わないよ」といわれて「はい、そうですか」と簡単に国税が答えるわけはないと思うのですが。

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増富温泉

瑞牆山のふもとから少し降りたところにあるのがこの増富温泉

旅館の立ち寄り湯に入れてもらおうとするが、宿泊客が満杯のようで余りいい顔をされませんでした。世の温泉疑惑にも関わらずこの辺は繁盛しているらしいです。立ち寄り湯としては、増富の湯を勧められます。


ここは湯船がいくつもあるが、名物は源泉です。27度の湯船はこの時期勇気が要りますが、一旦入ってしまえば、そう寒いものではないです。27度に数分使ってからの33度の源泉は十分に暖かく、登山での疲労を酵素のように分解してしまう威力がありました。

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瑞牆山

11月13日、瑞牆山に登って来ました。

正直この山の名前、最近まで全く知りませんでした。知ったのは、白馬登頂に挫折した日、通りすがりの人に「ここは面白いですよ」と勧められたのがきっかけです。少なくとも登山をしない方にとってはあまりなじみのない名前ではないかと思います。しかしながら、しっかり百名山にも選ばれており、通には有名な山のようです。

本来は紅葉の時期に訪ねる予定だったのですが、台風による天候不順のため断念。今回の登山はそのリベンジとなります。

コース概況などは他サイトに任せ、一言感想を述べるならば「確かに面白い」。なだらか過ぎず、かといって危険度は低い。通常の体力であれば3時間そこそこで登頂でき、その割に天気がよければ最高の眺望が楽しめる。ちなみに最少年齢9歳、最高年齢67歳の我々5人のパーティーの片道所要時間は約4時間でした。

紅葉、石楠花、積雪と、それぞれの時期にそれぞれの魅力があるようで、何度でも訪れてみたい、そう思わせる山でした。

(よりによってデジカメを忘れました。。。。)

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日本テレビ株式の名義書換手続と所得税(2)

(長いので分割しました)

■株式の税金

(中略)

(配当金に課せられる税金)
株式の配当金は総合課税が原則ですが、一定期間以下の特例が設けられています。
   
1. 源泉徴収税率の特例の概要
  期間
(支払確定日) 上場株式等の会社 非公開会社
15年4月1日

15年12月31日 A. 大口個人株主を除く株主 10%
B. 大口個人株主 20% 20%

  (注)1. 大口個人株主とは、発行済株式総数の5%以上の株式を有する個人株主をいいます。
2. 上場株式等の会社、非公開会社の判定は決算(中間)の基準日で行います。
   
2. 一定の上場株式等の配当金
  配当金額にかかわらず、平成15年12月31日までに支払いを受ける配当金について、10%の源泉徴収のみ(申告不要)で納税を完了させるか、10%の源泉徴収による総合課税とするかを選択することができます。(大口個人株主は確定申告が必要です。)

個人的な興味のメインはここなのですが、

・そもそも、法人が受け取る配当金は課税所得の計算上原則益金不算入となります(といいつつ不算入となる部分は減らされてきていますが…)。個人が受け取った場合は全額課税となります。どちらが受け取るかで課税関係はまったく異なってきます。

・上記に書いてある通り、2003年度より上場株式にかかる配当金の源泉徴収率は大口個人株主を除き10%となっています。もし株主名簿も渡辺氏の名義になっているとすれば、渡辺氏は立派な大口個人株主となりますので、どちらが受け取るかで源泉徴収率が異なることになります。

・大口個人株主は配当所得につき確定申告する必要があります(2003年度以前もそうだったと思いますが)。実際に受け取っていない渡辺氏が確定申告するとは思えませんが。

などと、税務面では疑問点だらけなのです。

と思いきや、週刊文春11月18日号では、「日本テレビ株所有で国税・東証が徹底調査 渡辺恒雄会長に「個人資産267億円」を緊急直撃!」とのことです。やはり国税が発端なのでしょうか?(記事は未見です)

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日本テレビ株式の名義書換手続と所得税

ふぉーりん・あとにーの憂鬱の47thさんから、トラックバックをいただきました。ありがとうございます。

で、改めて思い知らされたのが、私が株主名義書換について無知であったことです。やはりオンラインミニ株取引しかやったことのない似非投資家では馬脚を現してしまいますね。

それでは、自らの勉強のため、名義書換手続きについて調べてみます。

中央三井信託銀行 


 ■名義書換 

名義書換に必要なもの
1. 株券
2. 株式名義書換請求書兼株主票

なお、相続等によって株式を取得された場合にも名義書換が必要になります。
この場合、上記のほかにその権利関係を証明する書類(戸籍謄本等)の提出が必要になります。

株式名義書換請求書兼株主票

これを見る限りでは、株券と印鑑さえあれば名義の書き換えは可能なように見えるのですが、それで正しいのでしょうか。異動理由などは特に問うていないようなので、これでは極端な話、拾った株券を持って行っても名義の書き換えはできそうに見えるのですが。

もしそうであれば、渡辺氏(の代理人?)が、読売からちょっと株券を拝借して名義書換をすることはきわめて容易なことと思えます。実務ではおそらく別の手続きがされているのでしょうが、基本的にはノーチェックというのが本質なのでしょうか。

■ 配当金
配当金のお受取には、銀行等の預金口座に直接お振り込みする方法と、「郵便振替支払通知書」または「配当金領収証」によりお受取いただく方法があります。

1. 銀行等預金口座振込
  あらかじめ配当金振込指定書をご提出いただき、銀行等の預金口座への振込をご指定いただきますと、その口座に直接お振り込みいたします。
あらたにこの方法をご希望の方、お振り込みの口座を変更される方は、配当金振込指定書をご提出ください。
配当金のご入金は、配当の都度送付されます「配当金計算書」及び「お振込先について」等によりご確認いただけます。

ご留意事項
・ 配当金振込指定書には必ず発行会社(名義書換代理人)へのお届出印をご使用ください。
・ 発行会社の決算日または中間配当基準日までに会社(名義書換代理人)へ届くようにご提出ください。
(中略)

2. 郵便振替支払通知書・配当金領収証
  口座振込を指定されていない株主の方には、「郵便振替支払通知書」または「配当金領収証」を送付いたしますので、 払渡または支払期間中に最寄りの郵便局または銀行へご持参の上、お受取ください。
なお、郵便局または取扱銀行での払渡または支払期間は、通常配当金の支払開始日から翌月末となっておりますので、 お早めにお受取ください。(会社によって払渡期間は異なりますのでご留意ください)

なるほど。「発行会社の決算日または中間配当基準日までに会社(名義書換代理人)へ届くようにご提出ください」ということは、名義書換手続きと口座指定手続きは同期されていないのですね。特に本人確認をしている様子もないので、上記の名義書換手続きがされた後も、配当金の振込口座が読売になったままということはあり得るわけですし、渡辺氏が読売の口座を指定することもできそうに見えます。

なお、

■配当金に係る告知(本人確認)制度

一定額以上の株式配当金をお受取になる株主の方は、健康保険証などの公的書類を発行会社(名義書換代理人)に提示して、ご氏名・ご住所を告知していただくことが必要になります。

というのがありますが、逆に健康保険証さえあればいいということでしょうか。

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株主構成を監査すべき方は?

「経営・会計通信」のkrpさんからトラックバックをいただきました。ありがとうございます。

経営・会計通信: ここは開き直っている

:もうひとつわからないのは、kohさんのご指摘がある通り、日本テレビ放送網は名義書換代理人に中央三井信託銀行を使っています。同行は何をみて株主名簿の管理をしていたかということです。「大量保有報告書では共同保有者になっている」ということで通るんであれば、有価証券報告書はなんなの、ということになります。

中央三井信託が管理している株主名簿は当然正しいものでしょうから、有価証券報告書ではその株主名簿を組替えて使用していた可能性が高いかと思います。
であれば、その株主名簿との照合作業をすればこの「記載の不一致(読売側の表現)」は当然発覚することになります。
株主構成の部分は監査報告書の範囲外であるので、会計監査人にはその照合作業を行う義務はないと言えるかと思います。

しかしながら、現在有価証券報告書のみクローズアップされていますが、大株主の構成はれっきとした営業報告書の記載事項でもあります。(商法施行規則第103条

この部分も、会計に関する部分ではないので会計監査人の商法上の監査報告書の監査対象範囲外です。(商法特例法第13条②二

でも、ここで会計監査人の監査対象範囲外としているのは、この部分を監査する義務のある方が別にいらっしゃるからですよね。。。。。

(本日はとりあえずここまで。このまま完了するかもしれませんが。)


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ストックオプション会計と米国議会の動き

米国財務会計基準審議会(FASB)のストックオプションの費用化義務付けの動きに対し、ストップをかけようとする動きが米国議会内にあることが何回か報道されています。自分のの米国議会制度の理解不足と、「可決」の文字が何度も舞ったことから、自分の中でも混乱した部分があったのですが、季刊「会計基準」第7号に川西安喜氏(ASBJからFASBに派遣中)の寄稿にまとめられていますので、私の備忘も兼ねて紹介しておきます。

○改革法案の要約(p140より抜粋)

・最高経営責任者(CEO)および報酬上位4名の役員に対して付与したストック・オプションについて、付与日における公正価値に基づき費用を認識する

・ストック・オプションの価値の算定にあたり使用するボラティリティは0とする

・ストックオプションの付与日における公正価値に基づく費用の認識を全面的に強制した場合の雇用、研究開発活動、経済成長、国際競争力等に対する影響についての調査が終了するまで証券取引委員会(SEC)はストック・オプションに関する会計基準を「一般に認められた」基準として認識してはならない。

○下院可決までの経緯(p140~p141)

2004/5/12 資本市場・保険政府系企業小委員会 可決
2004/6/15 金融サービス委員会 可決

商業・貿易・消費者保護小委員会 審議
エネルギー・商業委員会     審議

2004/7/20 下院本会議 可決
(312:111 かのOxley議員も賛成)


文中では、5名分のみの費用計上や、ボラティリティ0の仮定に対し、かのバフェット氏の反論が載せられています。曰く「私は62年間投資を行ってきたが、価格が変動しない株式をいまだかつてみたことがない」とのこと。

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【NHK杯将棋】佐藤棋聖×中井女流王将・倉敷藤花

いや、惜しかったです。中井女流時の棋聖をあと一手まで追い詰めました。

私と将棋のつながりは、こちらに書いたとおりです。私が将棋をやっていた子供の頃、同じように小さかった中井少女も今では3人の子持ちママだそうです。

私が将棋に熱中していた頃、そもそも女流棋士と男性棋士が対戦する場自体ほとんどなかったと記憶しています。しかも当初は新人王戦のみでした。その後ぽつぽつと女流棋士が参加できる棋戦が増えていき、男性棋士に対して初勝利を上げたのは、平成5年、11年前のことですね。(参考資料
その後、いちいちニュースにならないほどちょこちょこ男性に勝利をあげるようになってきたようです。

しかしながら、テレビの視聴者の前で、時の男性タイトルホルダーに対し、ほとんど勝利を手中にするまで迫ったことはやはり画期的な出来事であったようです。

現在の私の知識では、これ以上書けないのですが、今回解説の先崎八段が週刊文春でエッセイを連載していますので、しばらくしたらそこでネタにされると思います。

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日テレが有価証券報告書訂正、渡辺・読売会長名義株で

日テレが有価証券報告書訂正、渡辺・読売会長名義株で

日本テレビ放送網は5日、過去5年分の有価証券報告書を訂正したと発表した。同社株を6.4%(3月末時点)保有する渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長名義の株式が、筆頭株主である読売新聞グループ本社の実質保有だったとする内容。他の読売グループ2社も合わせると読売新聞側の保有比率は8.5%から17%に上昇する。

読売トップによる名義貸しは「両社の親密性のシンボル」として、故・務台光雄氏が読売新聞社社長に就任した翌年の1971年から始まった。

まあ、市場流通株式数に変化はないようですので、西武ほどは罪深くないのでしょうけど、それにしても「両社の親密性のシンボル」という理由はまったくもって意味不明ですね。本来の意図はなんだんったんでしょうか。

不思議なのは、西武鉄道にかかる「読売新聞」の既報で、

西武鉄道による有価証券報告書の虚偽記載問題を受けて、東京証券取引所が、株主名簿の書き換えなどの株式事務を自社で行っている西武鉄道など上場3社に対し、事務を代行会社に委託するよう要請したことが25日、わかった。3社とも要請に応じる方向だ。

 東証が要請したのは西武鉄道と同鉄道グループの伊豆箱根鉄道(東証二部)のほか、大和自動車交通(同)の計3社。

というのがありますが、これとの関係はどうなっているのでしょうね。上場会社で自社で株式事務を行っていたのはこの3社ということなので、日テレは株式事務を外部に委託していたことになりますが、ではこの委託機関が渡辺氏名義の配当を読売新聞の口座に振り込んでいたことになりますね。オーナー企業にはありがちなのかもしれませんが、このような事務が横行しているのだとすれば、東証の要請もあまり実効性がないことになりますね。

しかしながら、

東京証券取引所からの監理ポスト割り当て通知に対して

今回の事態については厳粛に受け止めますが、監理ポスト移行の措置は、従来の東証の実務運用と大きくかけ離れており、青天の霹靂ともいえる通知に戸惑いは隠せません。

ということですが、

伊豆箱根鉄道の割当てに至る経緯・割当ての理由の詳細

同社は、本日、平成12年3月期から平成16年3月期までの有価証券報告書等の訂正の必要が生じている旨について開示した。

この訂正は、同社役員等の個人名義株式について、実質的には同社グループ数社により所有されているものがあり、大株主として記載すべき者に誤りがあったという事実等が判明したことによるものである。

当取引所としては、(1)この訂正の内容が、訂正命令を受ける場合と同等とみなされるものであると認められる相当の事由があると判断するとともに、(2)同社の株式事務の体制等が投資者の保護を損なうおそれがあると考えられ、今後の審査いかんによっては株券上場廃止基準に該当することとなるため、そのおそれがある銘柄として監理ポストに割り当て、投資者の注意を喚起するものである。

これと何らかわらない状況なので、「実務運用と大きくかけ離れており」というのは筋違いではないかと思います。

あと興味深いのは、なぜ発覚したのかですね。以前のエントリにも書いたのですが、この名義貸しの分の受取配当がどのように処理されているかですね。有報上渡辺氏の名義になっている株式の配当は実際受け取っていない渡辺氏は当然申告していないでしょうから、その辺に税務調査が入れば簡単に発覚することになります。逆になぜ長期間発覚しなかったのでしょうかね。

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高まる会計士不信 西武・コクド問題を機に(11/4 日経金融)

:10月13日に発覚した西武鉄道によるコクド株の有価証券報告書への過小記載問題-。ガバナンス(企業統治)の欠落や、オーナー経営の特異性などさまざまな要因が指摘されているが、「企業の監視役」という観点で、公認会計士が適切な役割をはたしたのか、疑問の声が出始めている。行政当局は当面、事態を注意深く見守る構えだが、今回の問題を機に新たな制度議論が盛り上がる可能性がある。

:自民党の小委では「この際、会計士に業務監査もさせるべきではないか」「米国の仕組みを見習って(企業内の情報伝達の仕組みなど)内部統制の監査も義務付けてはどうか」など、会計士の業務拡大を求める意見が多く出た。

:金融庁も来週から、会計士による内部統制の監査をどう考えるかについて、金融審議会(首相の諮問機関)で議論を始める方針。新たな制度整備に向けた議論の機運が徐々に高まっている。ただ、監査項目を増やすような制度が実現すれば会計士の負担も増える。監査報酬の引き上げなど論点が膨らむのは必至で、会計士業界の出方次第では審議会の議論が空転する可能性もある。

「会計士不信」といいながらも、「会計士の業務拡大を求める意見が多く出た」ということは、不信感の対象は会計士ではなく、会計士制度にあると解釈してよいのでしょうか。会計士の業務範囲を拡大すれば、会計士不信が解消するということなのでしょうか。全文引用は避けますが、どうもこの記事、何をどうしたいのかいまいちぴんときません。

監査項目が増えること自体は、会計士業界は歓迎なのではないでしょうか?折りしも、協会あげていろいろなところで報酬上げろキャンペーンを行っている中、業務範囲の拡大は報酬増大の絶好のチャンスと捉えられるかと思います。むしろ議論空転は企業側の出方次第にかかっているかと思います。監査費用以外にも、内部統制監査に耐えうるだけのガバナンスを構築するだけでとんでもない費用と手間がかかりますから。

しかし会計士の業務監査とは、考えもしませんでした。監査役は何をすればよいのですかね。。。。

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「IAS共通化を」 IASB議長日本基準に要望(11/4 日経金融)

:国際会計基準理事会(IASB)のデービッド・トウィーディー議長は、日本経済新聞のインタビューに応じ、日本基準と国際会計基準(IAS)の共通化に関連して、「作業が進めば欧州連合(EU)による(日本基準がIASとほぼ同等になるという)同等性評価を気にしなくてもよくなる」との認識を示した。

「日本基準と国際会計基準(IAS)の共通化」に関しては当ブログのこちら
「同等性評価」についてはこちらを参照ください。

同じになれば、比較の意味はない。当たり前のことを言っているだけで、インタビューとしての価値が乏しいですね。欧州での上場維持のタイムリミットである2007年までに共通化が本当に可能と考えているのか、時間的に厳しいのであれば同等性評価にどのような影響を与えるのか、その辺をもう少し突っ込んでほしかったです。まあEUに関することはトウィーディーさんの任にあらず、ということなんでしょうが。

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堀江氏を草葉の陰に追い込んだ財務分析資料は何処?

NPBの公式見解

:審査された6項目の判断(日経 11/3)より

①球団経営の継続性や発展性 楽天に○

親会社として経常利益、総資産、売上高で勝っている

⑤親会社と球団の経営状況の分析 楽天に○

球団赤字を補填する親会社の経常利益で楽天(145億円)がライブドア(51億円)を上回る。ライブドアの収益源はネット証券に集中。楽天はネット通販と金融事業の2本柱でより安定的。

まず、総資産・売上高・経常利益ですか。そしてセグメントの広範さが決め手のよう。三菱商事あたりが球団経営に最適ということですな。で、金融事業集中は不安定ということでいいですね、宮内さん。

公式見解では、結局財務数値がものを言ったようですが、その割には検討内容がシンプル。「監査法人による財務分析資料」という割にはEDINETで5分も検索すれば分かるような判断材料しか出てこない。まあ、企業秘密の制約もあるのでしょうが、もう少し判断の根拠を示してもらわないと、草葉の陰の堀江さんも浮かばれないでしょう。

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審査報告書 楽天の財務力評価

11/2 日経より

:これは「初年度四十億円の赤字が出た場合」を想定して分析されたもので、ライブドアの経常利益見通し約五十億円の場合は「赤字の影響度は八○%」と指摘。楽天は同百四十五億円の見通しのため「影響度は二十七.六%」にとどまるとした。


なんてシンプルな分析・・・。

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