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「西武」と「カネボウ」と「三井鉱山」と「UFJ」の違い(その2)

一方三井鉱山とUFJは多少事情が異なると考えます。誤解を恐れずに言えば虚偽記載の意図がなかったと考えられ、悪質さは前2社よりは(今のところ)低いと考えられるからです。


三井鉱山の「事業計画の概要」によると、

「旧計画が前提としていた損益状況について、修正を要する事項(水処理部門における追加原価、粉粒体事業における仕掛品の評価損等、関係会社の棚卸評価損等)の存在が判明した。これらの事項に基づき、旧計画に比して三井鉱山の損失見込額は9,586百万円増加する。」

とのことなので、問題は追加原価と棚卸(仕掛品)評価損です。追加原価はあくまで将来の損失のことなので、過去の文書の虚偽記載を構成することはありません。問題は棚卸評価損なのですが、貸借対照表によると、三井鉱山における仕掛品の評価は原価法になっています。日本の会計基準では棚卸資産の評価は原価法と低価法の選択が認められており、原価法を選択している場合は時価の下落による損失を計上する必要はありません。

もっとも、原価法を選択している場合でも、時価が著しく下落した場合は棚卸資産を時価で評価し、損失を計上する必要があります。しかしながら、時価の計算が難しい、あるいは税法の基準が厳しい等の理由から、投げ売りまたは廃棄の意思決定をするときに初めて評価損を計上する場合が多いようです。

したがって、15年3月末(この時点で既に債務超過ですが)の財務諸表は会計基準に沿ったものであり、経営陣に有価証券報告書に虚偽記載があるという認識はないということになります。

さて、できればコメントを避けたいUFJです。ここは16年3月に多額の貸倒引当金を積み増したことを指しているのかと思います。貸倒引当金自体は所詮見積りの世界であるため、結果にある程度の幅が出てしまうのは止むを得ないことかと思います。15年3月の見積りがコストとベネフィットを考量した、ベストの手続により見積もられたことが証明できれば通常は虚偽記載の嫌疑は免れうると思います。

ところが、今まさに司直の手が入り、また組織ぐるみの検査忌避が報じられる状況となると、そもそも15年3月決算時に既に貸金に対する毀損を認識しながらそれを隠蔽していた疑いが生じるわけです。まして、三菱東京の傘下に入ることにより、泣く子も黙るSEC(米国証券取引委員会)の目もあるわけで、今後過去数値の訂正という局面が生じることも十分考えられるかと思います。

結局、現在整理ポスト入りしている西武鉄道とそれ以外の会社については、有価証券報告書の意図的な虚偽記載が確定しているか否かという面で明確な線引きができるかと思います。以前紹介した「あの」読売新聞の社説(現在は消えていますが)の通り、「有価証券報告書は、株式投資の基礎となる重要な資料」なので、意図的な虚偽記載が明らかになれば、当然断固たる処分が必要になると考えられます。

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