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5/21 日経金融「揺らぐ米企業年金」

6500ドルの株式売却圧力、時価会計迫られる。

「米財務会計基準審議会(FASB)の原稿基準では年金の損益は何年もかけてなだらかに償却する。しかし、時価会計になれば、決算期末毎に保有資産を時価評価しなければならない」

「『年金会計を将来の統合項目に入れるべきではないか』。四月下旬、国際会計基準理事会(IASB)とFASBの幹部がロンドンで催した会合で議論が交わされた」

「エンロン事件以降のの会計不信が、年金会計にも厳格基準を求める背景にある。批判の大きい一つは年金運用の期待収益率の高止まりだ・・・年金基金の多くが、著名投資家のウォーレン・バフェット氏よりも上手に運用できる前提で計画していることになる」

日本で米国的な年金会計を導入したのは平成12年3月期ですが、このとき既に株価はかなり下落しており、日本企業は多額の会計基準変更時差異の償却を迫られました。米国でも右肩上がりの株価にピリオドを打ってからしばらくたって、年金会計が注目を浴び始めたようです。

「時価会計」という表現が妥当かどうかはともかく、IASBでは年金資産の運用実績を即時に損益に反映させることを最終目標としているようです。(最近のエントリを参照)
FASB側は「なんら具体的合意がない」(日経金融紙)ということなので、米国ですぐさまそういうことになることはならなそうですが、将来的にはどうなるのでしょうか。個人的には「素直に賛成できる会計基準とは言いがたいのであります。」と書きましたが、米国でもこの動きは確定給付型企業年金の息の根を止める要素としてとらえられているようです。

期待収益率についても、この運用で回った前提で当期の損益を計算する指標ですので、これが株高を謳歌していた頃とあまり変わらずバフェット氏の実績より高いのだとすれば、期間損益の信頼性に疑義が持たれることになります。ここで書きました年金についての開示強化はこの流れに警鐘を鳴らしたものなのでしょう。

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日経金融 5/20 「会計士の卵 就職難深刻に」

:「公認会計士の卵が就職難に苦しんでいる。昨年10月に発表された二次試験合格者の1割、120人の就職先がまだ決まらない。合格者が増える一方、雇用と実務研修の機会を提供してきた四大監査法人の採用数が伸び悩んでいるためだ。いずれ二、三千人規模に膨らむ合格者の受け皿があるのか今から危ぶまれている。」

「・・・これまで大手監査法人の採用枠に合わせて合格者数が決められてきたため、就職難問題はほとんどなかった」

「問題が根深いのは就職できないと「会計士」になる道が閉ざされかねねい点にある。二次試験合格後、一定期間の実務経験を積み最終試験に合格しないと「会計士」資格は得られない。」


つい、2-3年前までは、四大監査法人の採用意欲は旺盛で、我々米国公認会計士取得者までターゲットを広げた採用活動をしていたものですが、短い間にずいぶん様変わりしたものです。将来的に足りなくなるから合格者を増やせ増やせと言って試験制度を変えてしまった割には、どうもおかしな状況になっているようです。

日本ではかなりの人数の方が(将来的にはともかく)一旦は監査法人への就職を前提として受験しているのに対し、米国ではかなり一般企業に浸透しています。合格者が増えていくということは、だんだんと米国型に近づく、つまり一般企業へもどんどん会計士資格保持者が流れていくことになっていくのでしょうが、その障害となっているのが、記事でも指摘している実務経験制度でしょう。

日本では、2次試験に合格してから一定期間の実務経験を受けたあと3次試験に合格して初めて会計士を名乗ることができます。その実務経験は監査法人で積むのが通例になっています。一方米国でも(州によってかなり違いますが)、いわゆる開業に必要なライセンスを取得するには実務経験が必要なのが一般的です。ただその実務経験が一般企業でも比較的認められるます。日本の制度はよく知りませんが、米国の場合ライセンス取得のため資格保持者の証明が必要な場合があります。CPAが一般企業まで浸透しているのであれば、取得は容易ですが、日本に同じ制度を持ち込んだとしても、現状では監査法人以外にサインしてもらう人を探すのはなかなか大変な状況だと思います。

ところで、従来は採用枠に合わせて合格者数を決めていたって本当ですか?かりにも国家資格の合格者数がそんなことで決まっていたとすれば問題であるような気がするのですが。。。

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FAF議長がストックオプション会計改革法に反論

NEWS RELEASE 05/17/04
Financial Accounting Foundation Chairman Responds to House Subcommittee’s Action on “The Stock Option Accounting Reform Act”


経営・会計通信
で指摘されている通り、ストックオプションオプション費用反対法案が下院を通過しています。これに対する反論が記載されています。ちなみにFAFというのはFASBの上部組織で、委員の任命や、資金管理などをつかさどっています。

“Advancing this bill in the legislative process harms the credibility of America's system for providing transparent and unbiased financial information to investors,” Denham said. “By inserting Congress into the setting of standards for accounting by publicly traded companies, H.R. 3574 would undermine the independence of the Financial Accounting Standards Board (FASB), which Congress recently reaffirmed in the Sarbanes-Oxley Act.”

要は議会の介入は、サーベンスオクスレー法で確認されたFASBの独立性を損ねるものだとして猛反発しているようです。まあ当然の意見でしょう。

それよりもこの法案自体がよくわかりません。上位4名に与えられたストックオプションのみ費用化することに、どれだけの合理性があるのか。4人目と5人目のストックオプションにつき会計処理が異なることをどう説明するのでしょうか。理解に苦しむところであります。

確かにFASBの基準において、重要性というのは常に考慮される事柄ではあります。(ちなみにFASBの基準の最後にはいつも重要性のない事柄には本則を適用しないとの注書があります。)したがって、重要性のある事柄とない事柄で会計処理が異なる例はあります。ただあくまで重要性の観点ですので、その基準はパーセンテージで規定されるのが通常です。上位何人という発想は少なくとも会計の専門家からは出てこない発想であるような気がします。そういう観点からしてもこのままでは決まらない基準といえるでしょう。

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作家の取材費はどこまで経費に

決算担当から税務担当に鞍替えすることになり、申告書作成と格闘中です。なにせ基礎知識がない状態なので、まさに「格闘」です。少し立ち止まって勉強する時間をとりたいのですが、かなわぬ望みといったところ。

税務関係の雑誌も読み始めたのですが、とてもそれに関して何かをコメントするようなレベルにはまだまだ達しません。必然的にこんなベタ記事ばかり目にとまることになります。


作家の取材費はどこまで経費に

阿刀田高委員の質問内容は「日本には、志賀直哉以来“私小説”という作家自身の生活をつづるジャンルがあり、この私小説を書く作家の中には、自分が生きていること自体が全部取材費だという方がいるが、税務上はどのような取扱になるのだろうか?」

これに対し、村上国税庁次長の回答

「例えば料亭に行かれて会食をされても、小説を書くためにどうしても必要であれば、恐らく取材費になるんだと思います。単なる遊びで行かれたら、それは駄目なんだと思います。これはしたがって個々の行為、個々のケースごとに判断せざるを得ない問題だと思います。」

見出しとしては「作家の阿刀田高氏と村上喜堂国税庁次長が“税”を切り口に熱論?」と書かれていますが、議事録を見ると、とても熱論という感じではありません。村上氏の発言は当り障りのない回答といったところです。

雑誌には載っていませんが、その次の三屋委員の発言も面白いです。
「興味ついでにお聞きしたい。いいですか。例えばプロのスポーツ選手は、体がやはり商売道具ですよね。じゃそうすると食事とかいうものはすべて必要経費として認めていただけるということなんですか。」

この方、確か下着メーカーのシャルレの社長をやられるかと思います。今後シャルレの決算に注目です(笑)

それはともかく、それでは私のような弱小サラリーマンも、生きていることから何らかは学んでいて仕事に活かしていると言えると思います。体が商売道具なのは私も一緒。上記の方々にそれだけはご理解いただきたいなと思うわけです。

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三洋電の前期、発表済み決算上方修正、米国基準、純利益134億円に

三洋電の前期、発表済み決算上方修正、米国基準、純利益134億円に

損失を過去に計上

 三洋電機は十七日、四月に公表した二〇〇四年三月期連結決算(米国会計基準)を修正すると発表した。二十八億円だった純利益は百三十四億円になった。資産評価に関し米会計基準をより厳格に適用した結果、前期に計上するはずだった損失を過去の決算期に計上することになったため。その分、過去に計上した利益は減る。

リリースはこちら

:具体的な内容は、主として、
① 投資等の評価減の認識時期
② 暖簾(営業権)の時価評価方法及び償却年数の見積もり
などについて、米国会計基準のより厳格な解釈を適用したものであります。
これらは、基本的に損失の期間配分に関わるものであり、認識すべき事業年度に遡及して修正処理したものであります。


米国基準では、過去の損益が誤っていた場合、過去にさかのぼって修正することになります。有価証券報告書などでは、2年分の貸借対照表と損益計算書が表示されますが、前年度の期首の剰余金が昨年度表示されたものから修正されることになります。
一方日本基準では、基本的に過去の損益を修正することは認められていません。当期の損益計算書に、前期損益修正という名目で表示されることになります。
一般的に米国のほうが過去を修正することに関しては極めて柔軟であるのに対し、日本では一度言ったことは変えられない、というような風土があるような気がします。個人的感触に過ぎませんが。

ところで、具体的に米国基準の何を適用した結果修正にいたったのか、その辺は明らかではありません。評価減の認識時期がそんなに基準上違うとは思えないのですが。また、営業権の償却年数の見積もりといいますが、そもそも米国基準では償却自体が認められなくなっているはずです。どうもしっくりきません。

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キーエンスの前期、純利益48%増の352億円

マネー&マーケット

:キーエンスが13日発表した2004年3月期の連結決算は、純利益が前の期比48%増の352億円と3期ぶりに過去最高を更新した。設備投資回復を受け、幅広い業種向けに制御機器やセンサーが伸びた。経費の削減も進んだ。売上高営業利益率は前の期比5ポイント高い50.4%と初めて50%を超えた。

:同社は3月21日から1年間としていた決算期を、今期は一時的に変更する。「3月21日から6月20日まで」と、「6月21日から翌年3月20日まで」の2期に分離。4月1日以降に事業年度が始まる企業が対象の外形標準課税の適用を受けるためで、これにより純利益を8億円押し上げる効果があるという。

調べようと思ってこの会社のIRページを見ましたが、まあ殺風景なこと。利益(結果)を出すことが一番のIRだということなのでしょう。うらやましい会社です。

この件についてはここに記者発表文があります。
簡単にいうと、外形標準課税というのは、9.6%であった事業税率を7.2%に引き下げ、足りなくなった財源を、会社の大きさに応じて負担してもらおうということです。
すなわち、従来税金を納めている会社は税金が(単純にいうと)7.2/9.6に減額されるかわりに、その負担の一部は、今まで損失ばかり出していて税金を払っていない図体の大きい会社に移転します。キーエンスは当然前者の会社でしょうから、外形標準課税は適用されたほうが得するわけです。

ところが、キーエンスは3月20日が決算日のようです。最近では珍しいですが、昔はこのような会社も多かったようです。外形標準課税は2004年4月1日以降に始まる年度から適用ですので、普通にやっていたらキーエンスの場合は適用が丸一年近く遅れてしまいます。これを避けるために、一旦3か月で事業年度を切って、高い事業税率がかかる所得を極力抑え、残りの9か月間は外形標準課税の適用年度とする、ということのようです。

このようなことをすれば、株主総会は2回やらなければならないし、いろいろコストもかかり、面倒なことも増えます。それを加味しても節税となるということなのでしょう。この徹底さも高収益の秘訣の一つなのでしょう。

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減損会計花盛り

各社の決算発表において、2005年3月期の減損会計のインパクトを織り込んでいるパターンが目立つようになってきました。例をあげると、JR東日本が100億円単位、中部電力が約300億円、新日鉱HDが120億円(いずれも5/13日経より)と、結構な単位で計上するようです。この減損会計、2006年3月期から強制適用なので、これらの会社は早期適用ということになります。

ところで、2004年3月期に既に減損を計上している会社もあります。スズキで174億円(5/13日経)セコム112億円(5/13日経)味の素76億円(5/15日経)などです。前段の会社も金額がわかっているんだったら今期計上したらいいのに、などという意地悪な突っ込みができそうですが、2004年3月期からの早期計上も認められているのです。原文

:固定資産の減損に係る会計基準については、今後、関係各方面の準備作業、企業側の受入準備が必要であり、これらを考慮して、平成17 年4月1日以後開始する事業年度から実施されるよう措置することが適当である。また、平成16 年4月1日以後開始する事業年度から適用することを認めるよう措置することが適当である。なお、平成16 年3月31 日から平成17 年3月30 日までに終了する事業年度に係る財務諸表及び連結財務諸表についても適用することを妨げないものとする。

なんとも回りくどい決め方です。実務界との駆け引きで、企業会計審議会固定資産部会の経過報告の発表時も適用時期については相当もめたみたいなので、その影響を引きずったものです。

こういう報道を見ていると、2006年3月期に原則どおり適用しようとしている会社は何を導入準備に手間取っているのだろうという見方をどうしてもされてしまいそうです。導入時期に3期も幅を持たすような基準の適切性もさることながら、できるだけ早期適用しないと、ネガティブインパクトを与えそうです。

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ハウスの前期、最終損益372億円の黒字(2004/05/14 13:37)

NIKKEI NET:総合企業情報

:経常利益は73%増の725億円だった。年金の運用差益などで営業外収益が113億円増えた。


日経本紙(5/14)では、「ゼロパーセントと見ていた年金資産の期待収益率が7%強で運用できたため、差益として95億円弱を営業外利益に計上した」とありましたので、気になって調べてみました。というのは、普通期待収益率は期首から決まっており、それと実績の差額は一時の損益に計上できないからです。実績を見てから期待収益率を決めるのであれば、運用がいいときは一時の利益計上、運用が悪いときは損失を繰り延べるなんてことが簡単にできてしまいます。

よくよく調べてみると、この会社も旭化成同様、昨年度に会計方針を変更し、未認識数理債務を1年で償却することにしているみたいですね。それなら、会計上間違っているわけではなさそうです。昨年も損失を一括償却しているようですし。

でも、さきに書いたとおり、やっぱり私には腑に落ちないのであります。

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