:企業会計基準委員会(斎藤静樹委員長)は25日、国際会計基準理事会(IASB)との会計基準共通化に向けたプロジェクトの第一段階の対象として、「海外子会社との基準統一」など六項目を選定した。三月上旬にも第一回会合を開き、IASB側に提案する。
:また、日本では会計基準の対象ではない、経営陣の報酬総額の開示を盛り込むか否かも検討する。
企業会計基準委員会(ASBJ)のサイトでは何ら公式の発表がないようです。日経の記事を参考にしますと、今回の対象項目は6項目で、それは、以下を含むということのようです。
・海外子会社との基準統一
・棚卸資産の評価
・セグメント情報
・投資不動産の評価
「海外子会社との基準統一」については、日本公認会計士協会監査委員会報告第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する当面の監査上の取扱い」により「在外子会社の会計処理についても、本来、企業集団として統一されるべきものであるが・・・当面親会社と子会社との間で統一する必要はないものとする」と規定されています。単に実務上の便宜であって論理的根拠はありませんから、見直しの俎上に上がっても当然ですね。ただ実務的には大変です。各国の子会社から日本基準に関する情報を収集しなければなりませんので。
「棚卸資産の評価」では、日本基準が原価法を認めていることが最大の相違点として浮上してくることが予想されます。また取得原価の算出方法として、最終仕入原価法などが実務で散見されますが、これも国際会計基準では認められません。
「セグメント情報」では地域別と事業別の開示を求める点では、日本基準と大きな差異はなかったものと記憶しています。ただし、開示の内容として「セグメント別負債」の開示が規定されていたかと思います。資金調達を全社一本で行っている場合は、それを何らかの形で分割する必要があります。(Feb.4 MOさんの指摘により削除)
「投資不動産の評価」については、国際会計基準では公正価値もしくは原価+公正価値の開示という形での表記が求められています。日本では通常の固定資産どおり原価により貸借対照表に表示されますので、IASに合わせるとすると、公正価値の開示が新たに求められることになります。
あと、「日本では会計基準の対象ではない、経営陣の報酬総額の開示」ってのは何でしょうね?国際会計基準でも会計基準の対象ではないと思ってますが。これは規制当局のポリシーの問題であって、会計基準設定主体が議論することではないのでは?
(Feb.4 MOさんの指摘により追加)
経営陣の報酬総額の表示はIAS24号にて規定されています。
(written on Jan.30)
Recent Comments