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「IR虚像実像」減損会計、経営姿勢を反映(2/?日経金融)

最近揚げ足とりが多いような気がしますが、この記事もずいぶんと足を揚げていただいております。

:2006年3月期決算から減損会計の適用が義務付けられるのに先だち、現在、減損会計の早期適用を発表する企業が増えている。ただし、過去に実施された事例を見る限り、減損方法には企業の裁量が入り込む余地が大きいと考えざるを得ない。

そもそも公正価値評価を原則としたこの手の会計基準で企業の裁量を排除するのは不可能です。公正価値というのがどういうものか、多少なりとも計算に携わった人なら分かりますよね。一番恣意性を排除できるのは取得原価であると思いますが、それじゃ実態がわからないと公正価値評価を求めたのはあなたがたアナリストです。

:・・・IRミーティングでは「これで財務上の含み損は一掃された」としきりに強調する。しかし、そういう説明をしていた企業が何年かたって再び、大きな減損を計上することがある。最初に行った減損は含み損一掃には程遠かったと考えざるを得ない。

この記事の冒頭で言っている通り、現在の減損会計は早期適用段階です。適用開始から「何年かたって」もいません。

確かにかつて金融機関が何度も不良債権を一掃したりしたことはありましたので、そのこと等を批判するのであればそれもよいのですが、減損会計適用方法の批判とするのはいささか筋違いかと。

:ところが、販売用不動産で巨額の減損を発表した翌年に、一転して巨額の販売用不動産の売却益を計上する企業がある。

販売用不動産は、「販売用」ですので棚卸資産ですよね。この批判自体はまっとうかもしれませんが、やはり減損会計をタイトルにした文章としてはあさっての方向を向いています。

:含み益を温存したまま含み損だけ減損する企業もある。損失認定を行う資産のグルーピングに企業の裁量が入り込む余地が大きいことがそうした処理を可能にしている。含み損の存在する資産だけをグルーピングして減損を実施する一方、含み益の存在する資産は別事業としてグルーピングすれば、含み損と含み益が相殺されない。

それはその通り。では含み損と含み益はできるだけ相殺させた方がいいとお考えなのでしょうか?

減損会計は、固定資産を全て売却価値で評価しようとする考え方ではありません。あくまで当初の投資額を回収しきれそうにない資産につき、回収可能額にて評価しなおそうとする処理です。減損損失と含み益との相殺という考え方は、そもそも減損会計の性質自体を履き違えているような気がします。

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