ストックオプションにまつわるエトセトラ3
○所得税の扱い
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じたものでも、労務や役務の対価でもなく、更に資産の譲渡等による対価でもない一時的な性質の所得をいいます。
一時所得は、その1/2に相当する金額を他の所得、例えば給与所得などと合計して総所得金額を求め、確定申告によって納める税金を計算します。
給与所得とは、サラリーマンなどが勤務先から受ける給与、賞与などの所得をいいます。
給与所得は、その支払いの際に源泉徴収されていますが、原則として、その他の所得、例えば不動産所得などと合計して総所得金額を求め、確定申告により税額を計算することとなります。
・現在の日本の扱い。
(ストック・オプション-税制のまとめ(大和総研制度調査部))
◆ ストック・オプションに対する課税は税制適格か税制非適格かによって異なる。
◆ 税制適格ストック・オプションは権利行使時には課税されない。税制非適格ストック・オプションは、経済的利益を受けたものとして権利行使時に課税される。
非適格の場合
所得税法基本通達
23~35共-6(H8/6)
(1)新株等を取得する権利を与えられた場合の所得は、一時所得とする。ただし、当該発行法人の役員又は使用人に対しその地位又は職務等に関して当該新株等を取得する権利を与えたと認められる場合には給与所得とし、これらの者の退職に基因して当該新株等を取得する権利を与えたと認められる場合には退職所得とする。
23~35共-6(H10)
令第84条第1号又は第2号に掲げる権利を与えられた取締役又は使用人がこれを行使した場合 給与所得とする。ただし、退職後に当該権利の行使が行われた場合において、例えば、権利付与後短期間のうちに退職を予定している者に付与され、かつ、退職後長期間にわたって生じた株式の値上がり益に相当するものが主として供与されているなど、主として職務の遂行に関連を有しない利益が供与されていると認められるときは、雑所得とする。
23~35共-6(H14)
2) 令第84条第3号に掲げる権利を与えられた者がこれを行使した場合発行法人と当該権利を与えられた者との関係等に応じ、それぞれ次による。
イ 発行法人と権利を与えられた者との間の雇用契約又はこれに類する関係に基因して当該権利が与えられたと認められるとき (1)の取扱いに準ずる。
(注) 例えば、措置法第29条の2第1項((特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等))に規定する「取締役等」の関係については、雇用契約又はこれに類する関係に該当することに留意する。
(注) (1)及び(2)の取扱いは、発行法人が外国法人である場合においても同様であることに留意する
したがって、現在の実務からすれば平成17年01月25日 第三小法廷判決は妥当。
問題は?
(鳥飼法律事務所)
(1) 過去に遡る課税を容認したこと
この点について、当事務所は、訴訟においては、「仮に「給与所得」であるとしても、信義則に違反する」という主張をしてきました。信義則違反の主張とは、納税者が課税庁の見解(指導)を信頼して行動したにもかかわらず、その信頼に反する処分がなされ予測可能性が害されたことです。
(2) 給与所得の概念を明確にしなかったこと
しかしながら、ストック・オプション訴訟においては、全く雇用関係(ないし委任関係)もない外国親会社から付与されたストック・オプションが問題となっているのです。
ストック・オプション課税、最高裁判決の影響(大和総研制度調査部)今回の判決の経緯のまとめ
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