EU、企業決算情報の追加開示求める・「日本基準は不十分」(4/28 日経)
:欧州連合(EU)の証券規制委員会は27日夜、EU市場に上場する日本企業に対し、2007年から追加的な決算情報の開示を義務付けるよう求める中間報告を正式発表した。企業の合併・買収にかかわる会計処理などで日本基準と欧州企業の利用する国際会計基準に違いが大きいと判断したため。
公私共に多忙で、会計関係の書き込みをすっかり怠っていますが、そろそろ追いつかなければ。。。
で、一度ネタ帳よりで取り上げたこの記事ですが、原文はこちらになります。
おおむねは日経の記事どおりですが、もともとこのレポートは対日本だけではなく、カナダおよび米国の会計基準についても同等性を比較したものであるため、プレスリリースでの要点の書き方は以下のとおりになっています。
That companies which have subsidiaries such as Special Purpose Entities (SPEs) which are not consolidated for third country GAAP purposes, but are required to be consolidated for the
purposes of IFRS, report a pro-forma balance sheet and profit and loss account on their local
GAAP basis, but including the unconsolidated subsidiaries.
That companies reporting under Japanese GAAP which have either accounted for mergers by the pooling of interest method and/or have consolidated subsidiaries on the basis of GAAPs which are not consistent with either IFRS or any of the third country GAAPs, report a pro-forma
balance sheet and profit and loss account on the basis of IFRS covering business combinations
and consistent accounting policies, respectively.
That Japan and the US adopt accounting policies for the expensing of stock options on a basis equivalent (i.e. not necessarily identical) to IFRS, for implementation on or before 1 January 2007. CESR understands that Japan is indeed considering proposals to adopt such a standard according to this timetable and the US has recently adopted such a standard.
That in respect of certain specified IFRS standards there may be additional disclosures of
sometimes a descriptive nature and sometimes a quantitative nature.
つまり、第1項目において述べているのは、SPE(特別目的会社)等の連結について、国際会計基準で連結の必要があるにもかかわらず、自国の会計基準において連結されていない事業体がある場合には、その事業体について連結した財務諸表につき追加開示するように求めていますが、その要求はカナダ、米国、日本の3国に対して等しく行われています。それに対して、第2項目においては日本に対してだけの要求として、持分プーリング法を使用した企業結合会計、および海外子会社の会計基準の不統一(日本では、海外子会社について、現地の会計基準に基づいた会計処理をすることを認めている)につき、国際会計基準と整合した財務諸表を追加開示するように求めています。この第2項目の部分が米国(カナダ)の基準との大きな差異になっているというわけです。
その他第4項目において追加の開示が求められているのは、3国とも同じです(もちろん内容はそれぞれ異なりますが)。
持分プーリング法については、米国、国際会計基準とも認めない流れの中、あえて日本だけは認める基準を確信犯的に制定しているため、こういう結果はある程度見えていたものと思います。この追加開示がいつ以降の企業結合まで遡及されるのかはよくわかりませんが、持分プーリング法の適用を大幅に制限した新企業結合基準の適用後(H18年4月)からでよいのであれば、それほど影響は広範囲にならないかと思います。というより、欧州で資金調達するような企業は持分プーリング法による会計処理を行うな、ということでしょうね。
会計基準の不統一については理論的には反論の仕様がないのですが、実務的にはなかなか難しいところですね。もともと日本基準が国際的には弱い立場にあったために、なかなか他国には強制できなかったという面があるなか、他国に強制できないから国際基準になりえない、という話になると議論が巡回してしまいます。
ちょっと時間が限られてきましたので、今日はここまで。追って日本の会計基準について述べられたところにつき読んでいきたいと思います。
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