« April 2005 | Main | June 2005 »

貴ノ花関

小学校高学年くらいでしょうか。東北北奥の田舎町に住んでいた私の家の近所には神社があり、その神社にはなぜか大きな土俵がありました。年に1、2回くらいは使用しているのを見たことがあるのですが、大半は空いており、子供たちの絶好の遊び場となっていました。

折しも、現相撲協会理事長の横綱北の湖の全盛期。ところが北の湖は「江川、ピーマン、北の湖」と並び称されるほどの不人気横綱。今見ればどことなく愛嬌のある顔も、当時は無敵の強さもあいまって、ふてぶてしく見えたのでしょう。

そんな、北の湖全盛時代に、痩身ながら果敢に向かっていったのが当時の大関貴ノ花でした。決して磐石の強さではなかったですが、いや逆に、ハラハラしどうしの相撲だったからこそ、端正な顔立ち、恵まれない体格とあいまって、判官贔屓の対象となり、大人気でした。

当時の子供たちの人気が、貴ノ花に集中したのも致し方ないことでしょう。私もそのクチで、場所が始まると、貴ノ花の勝敗の結果をまず調べて一喜一憂する(結構一憂が多かった・・・)。遊び場の土俵でも、土俵際で逆転の技をかけようとする。貴ノ花の横綱昇進を夢見て、自分で雲竜型の土俵入りを真似てみたり。。。。

結局、横綱昇進の夢は夢で終わってしまいましたが、その夢が息子二人によって実現されたのは、周知の通りです。しかし、私としてはそれよりも、貴ノ浪、貴闘力、安芸ノ島といったゼニの取れる力士を育てた功績を評価したいです。若貴ブームの中、彼らも後半戦の土俵を沸かせました。そして、彼らが土俵を去るにつれて、わたしもテレビ桟敷席から徐々に離れていくことになってしまいました。

晩年(という歳でもないですが)は息子兄弟、そして元おかみさんとの人間関係でかなり心を磨り減らしたようです。それが今回の病気の遠因だとすれば、あまりに悲しいことです。

またひとつ、私の昭和が終わりました。

合掌。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

瀬川さん、プロ棋士へ道

日本将棋連盟、アマ強豪の瀬川さんに試験対局を実施へ

日本将棋連盟は26日、定時総会(棋士総会)を開き、プロ入りを求める嘆願書を提出していたアマチュア強豪のNEC関連会社社員、瀬川晶司氏(35)に対し、特例として試験対局を実施することを決めた。合格すればプロ入りが認められ、「フリークラス」に編入される。試験の詳細は同日選出された新理事会で早急に協議する。

ひとまずは、おめでとうと言いましょう。
どのような試験が実施されるかは不明ですが、ぜひとも頑張ってほしいものです。

ただ、私はこれが特例措置であるというのがいまいち引っかかります。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、プロの将棋指しになるには、養成期間である奨励会に入会し、昇級、昇段を重ねていき、四段に昇進する必要があります。そして、何ヶ所か年齢制限のハードルがあり、それに引っかかると退会処分となります。四段昇段は年四人。これが少ないか多いかは議論が分かれていますが、少なくとも30代以上の人間には閉じられた世界であります。

こういった勝負の世界ですので、若年の方が将来の見込みがあるのは事実かと思います。ただ、だからと言って、その時点でのアマチュア強豪を、年齢の一点で門前払いしてしまうという現在の制度には私は疑問をもっています。実力の世界を標榜するからには、それ以外のファクターはできる限り排除するのが筋であると考えます。今後の棋界の発展という面を考えれば、門戸の開き方において若年層を優遇するのは政策的にありうるかと思いますが(現在の司法試験がこんな感じでしたかね?)、どんな年齢においても可能性を0でなくする制度というのは必要かと思います。

この点については、

アマ強豪のプロ編入に関する規定そのものを新たに設けるかどうかについては、同連盟の理事会で今後1年かけて検討する。

とのことなので、前向きに検討していただけることを期待しております。
夢を追う人は応援したいですからね。

(written on June 1)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

情報ソフト関連企業 会計処理にルール(5/27 日経)

情報ソフト関連企業 会計処理にルール


会計処理の基本ルールを定める企業会計基準委員会や経済産業省はIT(情報技術)関連企業を対象に、情報ソフトウエアや関連システムの売上高計上などに関する会計指針の策定に着手した。会計処理の基準を明確にし、売上高の水増し計上などを防ぐ。

紙上では、情報ソフト関連企業の会計の問題点と検討ポイントと題して、以下の項目を挙げています。

・ソフトウェアは無形で、取引があったのか確認が難しい
・正式な契約が結ばれていないのに、開発中のシステムを資産に計上
・追加コスト発生に備えた引当金を積んでいない。
・納品の確認がないのに、売上高を早期に計上する。
・契約を仲介しただけなのに製品の総額を売上高に計上する。

見る限り、1番目はともかく、それ以降は「情報ソフト関連企業」(そもそもこの定義ってどうよ、という話があるのですが)に限った話のようには思えません。

未契約で仕込みを行うことは、有形資産の場合でも同様ですし、有形資産の場合も追加コスト発生はありえます。売上高の早期計上は古くからの粉飾決算の常套手段ですし、製品総額の売上高計上は今でも商社が行っていることです。

理想は理解できるのですが、一体どのような基準を作ろうとしているのでしょうか。業種を限って基準を作成するのも何か奇異ですし、包括的に収益計上基準を改めようとするのであれば、記事にあるような9月では到底間に合わないでしょう。9月までにどのような成果を目指すのか、いまいちピンと来ません。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

平成17 年3 月期 利益処分案の見直しに関するお知らせ(株式会社アトム)

平成17 年3 月期 利益処分案の見直しに関するお知らせ(株式会社アトム)

本日の当社取締役会において、平成17 年5 月20 日に決議いたしました利益処分案を以下の
通り見直す旨の決議を行いました。 

・・・

平成17 年5 月20 日の当社取締役会において、別途積立金を850 百万円取崩し、期末配
当金を普通株式1 株につき5 円00 銭とする旨の第34 期利益処分案を決議いたしました。しかしながら、同日別途公表致しました「平成18 年3 月期の業績予想とその対策としての増資等の検討に関するお知らせ」に記載の増資等の検討を進めて行く中で、別途積立金を全額取崩し、かつ期末配当金についても見送らせていただく必要があるとの結論に達し、本日の当社取締役会において、次頁の通り利益処分案を改め損失処理案とする旨を決議いたしました。

この時期に及んでの利益処分案を修正です。

私はたまたまこのプレスリリースに気づいたのですが、実際には少し前からこの会社プレスリリース連発しまくりです。

ます、固定資産の除却損の発生等を主要因とする業績予想修正を発表したかと思うと、すぐに大量の第三者割当増資の発表。唐突に新たな潜在株主が出現したとたんに、社長の首を切るわ、会計士を飛ばすわ、そして配当の取りやめ。派手に動いています。

ところで、この時期での利益処分案の修正って、商法上どのようにしてクリアしているんでしょう。
株主総会は6月24日だそうなので、計算書類の会計士への提出はその8週間前、ということは4月29日。そこから4週間だとすれば、会計士の監査報告書受領のタイミングまであと1日しかありません。

私が実務で知る範囲内では、会計士への提出後も計算書類のミスが発覚することはままあり、細かなテクニックで対応しているようですが、ミスのような絶対的修正事項ではなく、配当額のような100%会社の意思決定である問題について、監査人に提出した後の計算書類の修正をどのように正当化しているのか。少なくとも条文にはないと思いますので、何らかのテクニックで対応しているものと思いますが、そこまでの知識は私にはありません。

どなたかお分かりになる方、教えていただければ幸いです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

紡績7社、軒並み増益(5/25 日経)

紡績7社、軒並み増益(5/25 日経)

紡績大手7社の2006年3月期の連結経常利益は軒並み増加する見通しだ。各社とも繊維事業のリストラが一服し、クラボウを除く6社が増収となる。

純利益は3社が減益を見込む。・・・ダイワボウ、富士紡績は持ち株会社の移行に伴い固定資産評価損が発生し、特別損益が悪化する。

「持ち株会社の移行に伴い、固定資産評価損が発生」というくだりがよくわかりません。

まず「固定資産評価損」というのは、いわゆる減損損失の計上のことですかね?だとすれば、減損会計基準は今年度からは強制適用ですので、いままで計上していなかった損失が発生することはあるかと思います。持ち株会社への移行は何の関係もありませんね。

それとも、いわゆるパーチェス法の時価評価のことですかね。それでも、単なる持ち株会社の設立であれば、取引が連結内で完結しているので損益への影響はないかと思います。 

と思いつつ、プレスリリースを見てみました。

ダイワボウのプレスリリース

本分割は、全額出資の完全子会社への新設分割および吸収分割であるため、連結業績への影響はありません。

固定資産の話は全く出てきません。

富士紡績のプレスリリース

分社型新設分割及び分社型吸収分割であり、承継会社がいずれも完全子会社であるため、当分割が連結業績に与える影響は軽微であります。 

なお、承継会社に対する固定資産の譲渡にあたり、平成18 年3月期において、固定資産評価損2,025 百万円を特別損失に計上する予定であります。

これは前者のようですね。分割による損益の影響は軽微といいながら、20億円の評価損を計上するということは、この20億円の評価損は分割による損益の影響ではないということですね。もともと減損会計の強制適用で出てくるべき損失が、たまたま分割時に出てくるということに過ぎないようです。だとすれば、日経の書き方はミスリーディングですね。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

オックス情報 今期一転最終赤字に(5/24 日経)

オックス情報 今期一転最終赤字に(5/24 日経)

倒産リスク算出ソフトのオックス情報の2005年9月期連結最終損益は2億6000万円前後の赤字(前期は2億5100万円の黒字)となる見通しだ。従来予想は3億3000万円の黒字。監査法人が研究開発に使うソフトなどを資産でなく費用とみなし、従来のように3―5年間で定率償却できない見通しとなったため5億円強を一括償却する。

 ソフト開発会社にとって生産設備に当たる製品開発・改良用ソフトを「資産」と見なさない今回の会計方針が広がれば、新興市場に上場するソフト開発会社を中心に業績修正を迫られる例が相次ぐ可能性もある。

なんか、微妙に論点がずれている気が。。。

まず「研究開発で使うソフト」を費用とみなした根拠が気になります。
第一感は以下の基準です

「特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等を取得した場合の原価は、取得時の研究開発費とする」(研究開発費等に係る会計基準注解1)

これに該当するのであれば、費用になるのかなと思います。ただ、ソフト開発会社において「特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない」ソフトとはどのようなものか。ソフトの場合完成した後の通常の機能改良とかバージョンアップ等の費用は(著しい改良とならない限り)製造原価となりますので、そういったものには使わないソフトということになるかと思います。理論的には理解できますが、実際どのようなものがあるのか想像はつきません。

あるいはこれか
「社内利用のソフトウェアについては、完成品を購入した場合ように、その利用により将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められる場合には、当顔ソフトウェアの取得に要した費用を資産として計上しなければならない」

つまり、「収益獲得または費用削減が確実である」と認められなかった場合。この場合も完成品を購入した場合は一般的に資産計上が認められますので、自社で作成した自社利用のソフトウェアについて資産性を否認されたということでしょうか?でも実際使っていたからこそ定「率」償却(本当?)していたんですよね。あ、それとも今後開発する自社利用ソフトについての建設仮勘定への計上を否認されたということか?それならわかるような気がする。

どちらにしろ「生産設備にあたる製品開発・改良用」ソフトは当然「資産」であって、それの費用化までは求められていないのではないかと思うのですが。。。

| | Comments (3) | TrackBack (0)

東証の適時開示情報

ちょっと待ち時間。

仕事ついでに、5/20付けの東証の適時開示情報をつらつら眺めていました。

これはなかなか面白いですね。いままでは必要に迫られてしか見ることがありませんでしたが、
暇を見つけて無目的で眺めてみると、これはけっこうネタ元として使えそう。
ダイレクトリンクが面倒くさそうなのが残念ですが。

ニッポン放送決算短信

>>親会社等の名称 株式会社フジテレビジョン(コード番号:4676) ほか1社


「ほか1社」ですかそうですか。

普通社債「福岡ソフトバンクホークスボンド」発行に関するお知らせ

>>14. 資金使途 借入金返済資金に充当予定  

王さんは応援したいですが、あそこの資金繰りに使われると思うと。。。
まあ、もとのホークス保有者ではできなかった技ではありますが。

東京証券取引所市場第一部指定承認に関するお知らせ(GMO)

これはいつ手帳に書いたのでしょう。


臨時株主総会招集に関するお知らせ
(ペイントハウス)

あいかわらず迷走中のようですが、それにしてもこんなわけの分からないプレスリリース。

ここは、日ごろ愛読していますhetaregumaさん、もといhataさん(初めまして)の遠征報告を楽しみにしたいと思います。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

“ヘイブン”ご存知でした?

“ヘイブン”ご存知でした?

先日、国際課税関係のあるセミナーを受講しました。その際、講師の先生が「私が国際課税を勉強し始めた頃、タックス・ヘイブンのヘイブンを“パラダイス” とか“天国”だと思っていました。税金天国ですね。」とおっしゃいました。「それでいいんじゃないの。」と思ったのも束の間、「この『ヘイブン』は天国の意味ではなかったんですね。嵐に遭うなどで船が港に一時寄港する意味で、税金天国と思っていた私は恥ずかしくなりました。」とおっしゃいました。

 20年弱、ヘイブンが「天国」であると毫も疑っていなかったこちらは、もっと恥ずかしいやら、びっくりするやらで顔から火が出るような思いでした。

・・・

税金天国、税金パラダイスと思っていた読者の方は多いのではありませんか?

はい、すみません。けっこう最近まで「税金天国」だと思っていました。
どのくらい最近かというと、それはもう言えないくらい最近です。
(この記事で知ったのではないことが救いですが)
ええ、もちろんUSCPA取得後です(恥)

だって、会社の内部資料にもしっかりHeavenって書いてあったし
日本人はきまってヘブンって発音するし、
そう聞くとこの世代は松田聖子の♪Kiss in blue heaven~を口ずさんでしまうし。。。
しょうがないじゃん。

まあ、こんな私でも実務やっています、ということで。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

有価証券報告書等の記載内容の適正性に関する確認書

西武鉄道のせいで、開示書類等の信頼性を向上する目的で、東証は上場企業の代表者に、「有価証券報告書等の記載内容の適正性に関する確認書」の提出を義務付けました。

もともとは、経営者が記載の適正性を確認した旨を表明した書類を有価証券報告書とともに提出する制度があるのですが、それが現在のところ任意適用であること、また企業内容等開示ガイドラインによると「財務諸表等が適正に作成されるシステムが機能していたかを確認した旨及びその内容」を記載することになっており、これがなかなか難しいことから、制度として定着しているとはいえません。

そこで、東証が経営者に提出書類の適正性を確認した旨を(もう少し緩めた表現で)記載させるものが当該確認書です。

この確認書は、1月(中間)決算にかかる有価証券報告書(半期報告書)から提出が義務付けられています。
最初に義務付けられた不幸な会社群を抜粋してみました。その開示例は以下の通りです(順不同 トレードマークにリンクされています)。先駆例として参考にしていただければと思います。





(イムラ封筒)

 
(モロゾフ)

(トーホー)

(シーイーシー)

(積水ハウス)

(内田洋行)

(東京ドーム)
稲葉製作所
(うまくトレードマークがリンクできず)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

FASB Issues Proposal on the GAAP Hierarchy

FASB Issues Proposal on the GAAP Hierarchy

In connection with its effort to improve the quality of financial accounting standards and the standard-setting process, the Financial Accounting Standards Board (FASB) has published an Exposure Draft, The Hierarchy of Generally Accepted Accounting Principles.

USCPA受験者なら聞いたことはあるであろうGAAP Hierarchyの話です。要は会計基準の中で一番初めに参照すべきものは何で、次は何で、基準が何もないときは例えばこれこれを参照しなさい、といった順位付けのことです。この順位付けが変わるとなると、試験問題に多大な影響が出てくるに違いない、と思って読み進めていくと、

The Exposure Draft carries forward the GAAP hierarchy as set forth in SAS 69, subject to certain modifications that are not expected to result in a change in current practice.

あら?とくに実務的に影響はないであろうと明言しております。

公開草案を斜め読みすると、今のGAAP hierarchyには以下の問題があるということです。

1.監査人向けに作られており、財務諸表作成者向けに作られているのではないこと。
2.複雑すぎること
3.概念基準書(SFAC、いわゆる概念フレームワークと呼ばれるものです)が、デュープロセスを経ているにもかかわらず、その他大勢と同格になっていること。

今回は1に対応して、GAAP hierarchyを監査基準だけではなく、会計基準として発表することを目的としているようです。財務諸表の作成の責任は経営者にあるとさんざん監査報告書に書いているからには当然のことでしょうね。

2.は会計基準の簡素化プロジェクト(うーむ、微妙に訳が違うかもしれない)、3.はフレームワークプロジェクトで対応するとのこと。

というわけで、今回は発行主体が変わるだけで、順位には特に影響しないようです。受験生の方、ご安心を。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

さて、体勢を立て直してと

また、だいぶ穴をあけてしまいました。
職場異動に伴うものとご理解ください。

先週後半は、送別会と歓迎会の3連荘。
アルコール耐性がすっかり弱っていた私にはかなりつらい。
最近は失礼することにしていた二次会も、今回ばかりは
サボるわけにも行かず、ということで実に3日とも乗り過ごし。
タクシー会社の上得意に。

そして今週は新職場での仕事となったわけですが、
部下が忙しすぎて相手にしてくれず(笑)。
比較的早く帰っているわけですが、不思議なことに、
1時に帰宅すると3時まで起きていられるのに、
22時に帰宅すると24時が限界というのはこれいかに?

もうちょっと時間さえあればもっとブログが書けるのに、
と思っていましたが、現実にはそうではない模様。

てなわけで、明日からはもう少し書きましょうという
決意表明でした。表明しないとずるずる自然消滅
してしまいそうなので。。。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

EU、企業決算情報の追加開示求める(2)

前回の関連記事として

イトーヨーカ堂が持ち株会社設立「脱カリスマ経営へ布石」(東洋経済5/14

ヨーカ堂が持ち株会社を急いだのは別の要因もある。来年4月から適用される企業合併・統合に関する会計基準では、今後、企業は時価による統合(パーチェス法)が原則となり、簿価での引継ぎ(持分プーリング法)は難しくなる。もしパーチェス法で統合すれば、セブンを時価評価することで莫大なのれん代が発生する。その額は「1兆円に近い」(氏家専務)

なるほど。1兆円ののれんと言えば20年で償却したとしても500億円。パーチェス法の適用を避けたいという気持ちは分からないでもないです。ヨーカ堂はかつてNASDAQ登録をしており米国会計基準での開示を行っていたのですが、そのNASDAQ登録を廃止し、日本の会計基準に特化したという経緯を持ちます。それがここまで見据えたものだったとすれば大したものです。米国会計基準ではパーチェス法の適用は免れませんから。

ただし、前回書きましたとおり、国際会計基準の適用が義務付けられる欧州市場において、日本の会計基準で開示を行う場合において、持分プーリング法を適用している場合は、それをパーチェス法適用に組替えた財務諸表が必要という提案がなされています。ヨーカ堂はユーロネクストに上場していますので、その影響をまともに受ける可能性があります。

もっとも、この9月に予定されている結合にもその適用が強制されるかどうかは不明です(というより、この提案自体がどうなるかも分からない状態ですので)。ただ2つの財務諸表を作成し続けることのコスト増については米国上場を廃止されたヨーカ堂が一番分かっているかと思いますので、その辺の対応がどうなるのか、非常に興味ぶかいです。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

七面山登山

5月3日~4日は、セレブなプライベートキャンプ場を抜け出し、七面山登山へと行ってきました。

知識としては知っていたのですが、ここはもともと信仰の山。日蓮宗の方々、とりわけ立正佼成会や霊友会系の方々が多く訪れるそうで、われわれのようないかにもな登山客姿は少数派で、白装束に身を包んだ集団に圧倒されます。その集団が「南無妙法蓮華経」を唱えながら歩く姿を実際に目の当たりにすると、信心の心浅いわれわれは多少心細くなるのでした。

こういう性格の山なので、この山以外には登らないだろうな、と思える方々が多く、赤ん坊を背負いつつ、携帯メールを打ちながら、山道を駆け下りていくお母さんを見たときなど、こちらがひやひやものでした。

正直に感想を述べますと、登っていてあまり面白くない山といえます。とにかくコースが単調で、同じ調子の登山道を延々と登らなければなりません。登りの最中に下りがあり、なだらかな道ありというのが通常の登山ですが、
決して低い山ではないのに、一辺倒の上り坂というのは精神的に疲れてしまいます。

で、面白くなさの圧巻は頂上。これだけ登山者がいながら頂上まで登る客が少ない山も珍しいのですが(大抵の信者は頂上まで行かない模様)、なにせ頂上から何も見えない。私もここ最近いくつか山を登っていますが、これだけ眺望の悪い頂上も珍しいです。

DSCF0133


ところで、頂上手前の敬慎院という寺で宿泊できるようになっており、今回はそこにご厄介になりました。勤行に参加しなければなりませんが、これを義務ととるか権利ととるかは参加者次第。たまにはお勤めをするのもいいものです。別当と思われる坊さんに体を撫でてもらいました。こんなときばかりは何かご利益がありそうな気がするのが不思議です。

食事はなまぐさ物厳禁ということで全て精進料理。ご飯と味噌汁は好きなだけ食べられますが。疲れているときはむしろこの方がいいかもしれません。

そして起床は4時半ですが、ここからの御来光がすばらしい。今までの不満が吹き飛びます。これは運に恵まれたと言えるでしょう。頂上の眺めは悪いですが、寺からであれば富士山の眺望も見事です。

DSCF0138

| | Comments (0) | TrackBack (0)

EU、企業決算情報の追加開示求める・「日本基準は不十分」(4/28 日経)

EU、企業決算情報の追加開示求める・「日本基準は不十分」(4/28 日経)

:欧州連合(EU)の証券規制委員会は27日夜、EU市場に上場する日本企業に対し、2007年から追加的な決算情報の開示を義務付けるよう求める中間報告を正式発表した。企業の合併・買収にかかわる会計処理などで日本基準と欧州企業の利用する国際会計基準に違いが大きいと判断したため。

公私共に多忙で、会計関係の書き込みをすっかり怠っていますが、そろそろ追いつかなければ。。。

で、一度ネタ帳よりで取り上げたこの記事ですが、原文はこちらになります。

おおむねは日経の記事どおりですが、もともとこのレポートは対日本だけではなく、カナダおよび米国の会計基準についても同等性を比較したものであるため、プレスリリースでの要点の書き方は以下のとおりになっています。

That companies which have subsidiaries such as Special Purpose Entities (SPEs) which are not consolidated for third country GAAP purposes, but are required to be consolidated for the
purposes of IFRS, report a pro-forma balance sheet and profit and loss account on their local
GAAP basis, but including the unconsolidated subsidiaries.

That companies reporting under Japanese GAAP which have either accounted for mergers by the pooling of interest method and/or have consolidated subsidiaries on the basis of GAAPs which are not consistent with either IFRS or any of the third country GAAPs, report a pro-forma
balance sheet and profit and loss account on the basis of IFRS covering business combinations
and consistent accounting policies, respectively.

That Japan and the US adopt accounting policies for the expensing of stock options on a basis equivalent (i.e. not necessarily identical) to IFRS, for implementation on or before 1 January 2007. CESR understands that Japan is indeed considering proposals to adopt such a standard according to this timetable and the US has recently adopted such a standard.

That in respect of certain specified IFRS standards there may be additional disclosures of
sometimes a descriptive nature and sometimes a quantitative nature.

つまり、第1項目において述べているのは、SPE(特別目的会社)等の連結について、国際会計基準で連結の必要があるにもかかわらず、自国の会計基準において連結されていない事業体がある場合には、その事業体について連結した財務諸表につき追加開示するように求めていますが、その要求はカナダ、米国、日本の3国に対して等しく行われています。それに対して、第2項目においては日本に対してだけの要求として、持分プーリング法を使用した企業結合会計、および海外子会社の会計基準の不統一(日本では、海外子会社について、現地の会計基準に基づいた会計処理をすることを認めている)につき、国際会計基準と整合した財務諸表を追加開示するように求めています。この第2項目の部分が米国(カナダ)の基準との大きな差異になっているというわけです。

その他第4項目において追加の開示が求められているのは、3国とも同じです(もちろん内容はそれぞれ異なりますが)。

持分プーリング法については、米国、国際会計基準とも認めない流れの中、あえて日本だけは認める基準を確信犯的に制定しているため、こういう結果はある程度見えていたものと思います。この追加開示がいつ以降の企業結合まで遡及されるのかはよくわかりませんが、持分プーリング法の適用を大幅に制限した新企業結合基準の適用後(H18年4月)からでよいのであれば、それほど影響は広範囲にならないかと思います。というより、欧州で資金調達するような企業は持分プーリング法による会計処理を行うな、ということでしょうね。

会計基準の不統一については理論的には反論の仕様がないのですが、実務的にはなかなか難しいところですね。もともと日本基準が国際的には弱い立場にあったために、なかなか他国には強制できなかったという面があるなか、他国に強制できないから国際基準になりえない、という話になると議論が巡回してしまいます。

ちょっと時間が限られてきましたので、今日はここまで。追って日本の会計基準について述べられたところにつき読んでいきたいと思います。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

帰宅→明日は新職場挨拶

>ne2さん

セレブなキャンプ場はやっぱり、電波はむりなのでしょうか……。

はい、無理でした(笑)
車で移動中ところどころで電波をキャッチしたものの、書き込み時間はとれずでした。

3~4日は登山。その後家族を置いて一足先に電車で帰宅。
5日は出勤。その後は久しぶりの友人たちとカラオケへ。。。

足はガクガク、喉はガラガラ。

明日、新職場への顔見せなんですけど。。。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« April 2005 | Main | June 2005 »