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金融庁、会計基準の同等性について物申す

CESR(欧州証券規制当局委員会)の「特定第3国会計基準と国際会計基準(IAS)との同等性に関する助言案」へのパブリック・コメント・レターの発出について

1.金融庁は、5月27日付けで、CESR(欧州証券規制当局委員会:EU加盟各国の証券規制当局で構成)が2005年4月27日に公表した「特定第3国会計基準と国際会計基準(IAS)との同等性に関する技術的助言案」に対して、パブリック・コメント・レターを発出しました。

4.今回の金融庁のパブリック・コメント・レターは、我が国会計基準のIASとの同等性が認められるための取組みの一環として、引き続き、国内の関係者と緊密な連携を図りつつ、我が国会計基準に求められている一定の補完措置の解消や縮小に向けて、CESRの助言案に対して意見を述べるため、発出したものです。

金融庁の原文はこちらになります。CESRの案が公表されてからの1か月で、(お役所が)これだけのコメントを纏め上げるのはなかなか大変であったと思います。そして、日本語版

24. 我々は、CESRが我々の見解を真剣に考慮してくれるとありがたく思う。

に代表されるような出来栄えであるため、最初から英文で作り上げて、あとでやっつけ仕事で日本語訳をしたようです。事実、このコメント内で、

It would not be easy for non-English countries like Japan to make comments on such technical and voluminous papers as the CESR Draft. We hope that CESR will pay due attention to this matter in the future.

などと、愚痴をこぼしています。

茶々入れはこれくらいにして、内容を見て見ます。

まず Ⅱ.Positive Comments on the CESR Draft において、日本基準の同等性を大筋で認めてもらったことを評価しています。その上で Ⅲ.Major Problems of the CESR Draft: Significant Differences and Remediesとして問題点を3点挙げています。

(1) Problem regarding the General Approach of the CESR Draft
(2) Problem regarding Remedies
(3) Problem regarding Assessment of Significant Differences

(1) をサマリーすると、

We cannot help but have the impression that the CESR assesses technical differences as significant differences not in view of the real world outcome of investor behavior (see paragraph 7) but in view of
accountants. 

・・・

The CESR should, fully in line with the Concept Paper, focus its assessment only on truly significant differences from the viewpoint of investors.

・・・

Residents in Japan issued foreign bonds of approximately 5.1 trillion yen in 2004, and almost 90 percent were issued in the EU capital markets.

The CESR should take a practical outcome-based approach by seriously considering what kinds of impact the CESR's rather theoretical assessment would have on the behavior of market participants, namely economic impacts.

「われわれは投資家を相手にしているのであって、会計士の言うことなど聞きたくない。 細かいこと言わんと、重要なところだけ見てればいいんだよ。あんまり理屈ばかりこねると、5.1兆円の9割を調達している日本が市場から出て行くけど、それでもいいんだな?」


(2)は

Supplementary statements in the form of pro-foma statements would result in forcing Japanese issuers to prepare two sets of financial statements and thus cause huge costs and burden for issuers.

There is a also concern with large costs and burden to be caused by additional quantitative disclosure requirement under the remedies of Disclosure C. In particular, additional disclosures of net of tax effect of the differences on the profit and loss or on the shareholders' equity under Disclosure C would cause no less burden than Supplementary statements

The CESR should strictly limit applications of additional quantitative disclosures and supplementary
statements, and in principle limit remedies to Disclosure A or Disclosure B.

「追加情報って簡単に言うけど、結局2つ財務諸表作るのとそんなに変わんないよ。またDisclosure Cだって、財務諸表作ってみないとインパクト分かんないし。そんなことやってられないっちゅーに。DisclosureAかBで勘弁してちょうだいよ。」

(3)
There are many items which are assessed as significant differences despite the fact that the differences are technical in substance and would not be significant for investor decisions. The detailed comments on each item are provided as attached.

「あんたらが重要だと騒ぎ立てている項目の中でも、実質的に大差ないものがいっぱいあるよ。添付した表を見てごらん」

とまあ、あえて意地悪く意訳するとこんな感じでしょうか。あまり分のある戦ではないような気がします。

とはいえ、日本はあえて自ら民間による企業会計基準委員会を立ち上げ、最善と思われる会計基準を制定しているわけですから、国際会計基準との違いがその会計基準の質を落としているのだと指摘されれば、堂々と反論する義務があります。今回即座に反論したことは当然の行為だと思いますが、その内容が「会計士の言うことは聞きたくない」「負担に耐えられない」などでは、弱いのではないかと思います。自らの会計基準の正当性を主張することがまず先決ではないでしょうか。 特に「but in view of accountants」のくだりは、経団連が言うことではあっても金融庁が言うことではないはずです。

(これも追記)

と、ここまで思ってから改めて調べると、企業会計基準委員会も同日にコメントを出しているようです。当然お互い連絡とりながらやっているはずですが、あえて相手のコメントについては言及していないようです。政治的な動きは金融庁、理論的反論は企業会計基準委員会という役割分担をしているようですね(こちらはまだ読んでいませんが)。

ちょっと長くなってしまったのでまた後日。

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