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のれん代、一括償却認めず(2)

>では日本企業は本当に「のれん代の償却負担が重い」のでしょうか?

というあたりで先週はとめておきましたが、今回はその続きを。

日経記事によると、三木谷氏の意見に対するASBJ側の反論としては、米国では毎年の減損評価にかかるコストが大きいとか、米国と日本ではのれんに含められる金額に差があるため、一概に日本が不利とはいえないというものだったかと思います(手元に資料がないのでうろ覚えですが)。それ一つ一つはそれぞれ正しいのでしょうが、日本でののれんの償却負担感を軽くさせている大きな原因、それは「特別損失」項目の存在ではないか、個人的にはそう思っています。

日本では、ある損失が「特別損失」として扱われた場合、その項目は「経常損益」の計算には含めません。通常報道されたり、分析対象となる損益は「経常損益」ですから、その金額はのれんの償却費を含まないことになります。ちなみに、楽天の投資家情報を見ますと、経常損益は順調に成長していっているものの、最終の損益である当期損益はここ5年間1度も黒字だったことはありません。このあたりはもっと注目されてしかるべきところではないかと考えています。


一方、前にもどこかで書いたような記憶があるのですが、米国会計基準には「特別損失」は存在しません。いや、確かに教科書ではextraordinary lossというものが存在してはいます。しかしながら、2001年9月に起こったdisasterによる損失すら、extraordinaryとは認められませんでした。したがって、extraordinaryである事象など存在しないといっても言いすぎではないでしょう。

したがって、米国でのれんの減損が発生したとしても、それは当然ながら「特別損失」としては扱われません。「経常損益」と「税引前損益」の区別がありませんので、のれんの減損があった場合はそれを含んだ損益が大々的に報道されるわけです。

ちなみに、やや古い話ですが、AOLとタイムワーナーと合併した際、のれんを一括償却していますが、そのときの$455億の損失は、すべて営業利益の中に含まれていることが、アニュアルレポート(p69)を見ると確認できます。

米国と同じ制度にすることを要求する三木谷氏、百億円の単位にのぼる、のれんの一括償却を営業損失として処理する勇気があるでしょうか?

 
 

 

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