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リース・年金債務 米、簿外処理巨額に(6/22 日経金融)

米証券取引委員会(SEC)は、上場企業が簿外で処理するリース債務や年金債務の総額が巨額で、企業財務の実態把握が難しくなっていると指摘する報告書を議会に提出した。SECは「企業の十分で公正な情報開示」が財務の透明性を高めると訴え、米財務会計基準審議会(FASB)に会計処理基準の見直しを促している。

現行の会計基準では不動産などのリース債務は脚注に記載すればよく、貸借対照表上での負債を少なく見せる効果があった。また年金の支払いや積み立て年金の運用損益についても財務諸表に記載する時期を将来に繰り延べすることを認めており、企業は変動の大きい年金財政の会計を調整することができる。

SECは特にリース会計処理の見直しには企業からの強い反発が予想されるとみている。報告書は企業が保有する金融派生商品を時価評価することもFASBに提案しているが、評価時期の特定などが難しいことから議論は難航しそうだ.

やや旧聞となってしまいましたが、原文はこちらになります。120ページほどありとても全部読んでいる暇はないのですが、サマリーだけでも読んでみます(また宿題だ)。

ただ頭出しとして、この記事に対するコメントだけつけさせてもらいます。

原文を斜め読みした感じでは、会計基準の細かい規定の間を突いてうまく負債をオフバランスとしてしまう手口に関して何とかしなければ、という問題意識があるように見えますが、この記事を読むとそもそも基準自体に大穴が開いているように読み取れます。

例えば、「不動産などのリース債務は脚注に記載すればよく」というのはかなり不正確な表現であり、「原則としてリース債務は負債に計上する必要があるが、一定の要件を満たしたリース(いわゆるオペレーティングリース)に限っては脚注に記載することで足りる」とするのが正確な表現でしょう。日本の会計基準のように、ほとんどのリースをオフバランスとすることを容認しているのとは異なります。

また「企業が保有する金融派生商品を時価評価することもFASBに提案」とは意味不明。金融派生商品とはいわゆるデリバティブのことですが、これは数年前から時価評価の対象です。おそらくデリバティブをつかってリスクヘッジをした際の時価評価の繰り延べなどのことを言っているのかと想像できますが(中身読んでいないので・・・)だとすれば、時価評価されていないのはあくまで一部の例外のみで、その例外の範囲をさらに縮小しようとしているのだということを明記すべきかと思います。

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Comments

お久しぶりです♪

日本経済新聞の記事を読み、なんかおかしいなと思ったのですが、こうして解説を拝読して納得しました。

英語の訳が正確ではなかったのね。

日本経済新聞に限らず、アサヒのネット新聞を読んでいても、肝心のところを誤訳していたり、勝手に記者の感想を原文の一部であったかのような取り上げ方をしていたりするので、日本の新聞は信用ができないと思っていました。

今回の記事を書いた記者というのは、米国の会計基準についてどの程度の理解をお持ちなのでしょうかね?最低限、USCPAは持っていないと、SECやらFASBなどのリリースを読んでも内容を理解できないでしょうね。

Posted by: koneko04 | 2005.07.05 04:07 AM

こねこさん、ごぶさたです。
コメントが遅くなりすみませんでした。

アメリカの新聞がどこまでのものか、私には論ずるほどの知識はないのですが、こと日経についてはご指摘のような面があることは否定できないでしょう。

問題は、自分たちの専門分野では、日経の「虚偽表示」(意図的であるか否かを問わず)は容易く見破ることができるのですが、専門外の分野に関しては「日経に書いてあったから」とそのまま鵜呑みにしてしまうことがよくあるのでということで、その辺は認識しながら記事を読んでいく必要があると思います。

(日経を名指ししたのは、日経が一番ひどいと言うわけではなく、他の新聞が専門的には論外であるからです)

Posted by: KOH | 2005.07.10 07:16 AM

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