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欧州上場の域外企業に追加開示義務付け・EU委報告(7/6 日経)

欧州上場の域外企業に追加開示義務付け・EU委報告

欧州連合(EU)証券規制委員会は5日、欧州市場に上場する域外企業に対し、2007年から追加的な決算情報の開示を義務付ける最終報告をまとめ、欧州委員会に提出した。日本基準を採用する企業には海外子会社の会計基準など26項目について開示を求めた。将来も定期的に同等性を調べる方針を示している。

今年から域内企業に国際基準の適用を義務付けたEUは、07年からは域外企業にも国際会計基準の考え方に沿った基準の利用を義務付ける。日米カナダの基準を調べてきた証券規制委は報告書で「全体として同等」と評価しながらも、差異の目立つ項目に追加情報を求める前提条件を付けた。

以前公表された公開草案の最終版がEUに提出されたということです。原文はこちらですが、例によって重いし、英文141pもあります。で、この件に関してはやたらと仕事が速い金融庁の要約を見ていきたいと思います。

技術的助言のポイントですが、

1. 日本・米国・カナダの各会計基準は、いずれも全体として(taken as a whole)国際会計基準(IAS)と同等(equivalent)であると評価。

まずとりあえず全体として同等であるとの評価は得られているようです。細かく見ていけばいくらでも差異は出てきますが、投資家を惑わすほどではないということでしょう。この評価は素直に受け取っていいのかなと思います。

ただし、補完措置を求められるのは公開草案のときと変わっておりません。

・ 非連結の適格特別目的事業体(QSPE)を連結させた補完計算書(仮定計算ベースの要約財務諸表)の作成(日・米・加)

公開草案のときは、SPEの連結に関しては全て国際会計基準に従って連結を行うような案であったかと思いますが、今回の最終報告ではQSPEの連結のみに限定されて求められていることが一定の成果であるようです。(こちらの要約参照)

が、比較をしてみると、

(公開草案のプレスリリース)
That companies which have subsidiaries such as Special Purpose Entities (SPEs) which are not consolidated for third country GAAP purposes, but are required to be consolidated for the purposes of IFRS, report a pro-forma balance sheet and profit and loss account on their local GAAP basis, but including the unconsolidated subsidiaries .

(最終報告のプレスリリース)
That companies which have subsidiaries such as Qualifying Special Purpose Entities (QSPEs) which are not consolidated for third country GAAP purposes, but are required to be consolidated for the purposes of IFRS, report a pro-forma balance sheet and profit and loss account on their local GAAP basis, but including the unconsolidated subsidiaries .

たしかに、SPEがQSPEに変わっているようですが such as の内容が変わった、すなわち例示の内容が変わっただけで根本はまったく変わっていないような気がするのですが、何か変わったのでしょうかね?こちらには「・SPE(特別目的事業体)については非連結の適格SPEの連結化に限定(日・米・加共通)」と謳っていますがそこまで言っているということなのでしょうか?

・ 企業結合(持分プーリング法)及び在外子会社の会計基準の統一に係る各差異についての補完計算書の作成(日)

やはり、これは消えないでしょうね。
在外子会社の会計基準の統一(日本基準、米国基準、国際会計基準のいずれかにする)はすでにASBJで議論が始まっているようなのでいいのですが(いや、実務は大変ですけど)、持分プーリング法の差はいつまでも残りそうですね。

・ ストック・オプションの費用化の2007年1月1日以前の実施(日・米)

まあ、これもしょうがない。「負債と資本の中間」でもいいのか、というあたりには目をつぶってもらっているということですか。

・ その他特定の基準に係る差異についての定性的又は定量的な追加開示(開示A及び開示B)。
(以上合計で、日本基準26項目、米国基準19項目、カナダ基準14項目)

公開草案時27項目であったものが26項目に減少したそうで、これもひとつの成果らしいです。

ちなみに減った1項目というのは、固定資産の減損についてのもので、

B. Guidance to Japanese GAAP stipulates that a “significant” decline in an asset’s market value which constitutes an indication of an asset’s impairment should be interpreted as a 50% decrease in value. The requirement is to look at other indicators as wel but such a “rule base” indicator might be used as the most significant indicator for impairment

50%価値が減少したら減損の兆候のひとつだというが、こういう数値基準は一番重要な基準として扱われがちだ、
ということで

B. It is still early in practice, as actual experiences on application of impairment under IFRS need to determine whether or not this will result in a significant difference. Also if actual practice would be that the other indicators for impairments are given as much attention as the 50% rule, this issue might not create a significant difference. At this point in time we consider it to be a significant difference, however if all indicators are given equal attention, in practice this lead to immaterial differences for specific entities

その50%基準が他の基準と同等に扱われないのであればそれは重要な差異として扱う、というものであったのが、最終案に際しては、

B. It is still early in practice, as actual experiences on application of impairment under IFRS need to determine whether or not this will result in a significant difference. As indicated by the JFSA and ASBJ all indicators are given equal attention, in practice. This leading to immaterial differences for specific entities

金融庁と企業会計基準委員会が同等だといっているので、重要な差異ではないと判断した、ということのようです。

ということで、公開草案時からはさしたる変更はない、というのが印象です。

今後ですが、

(1) 今後、EC(欧州委員会)において、同等性評価の最終決定(2005年末又は2006年初め)に向けて検討。
(2) 引き続き、国内関係機関と緊密に連携・協力して、適切に対応。

とのことです。テクニカルな部分では結論が出たということで、あとは政治判断の問題といえそうです。一番望み薄な分野ですが。

(Uploaded on July 17)

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