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のれん代、一括償却認めず(7/16 日経)

企業会計基準委員会はM&A(企業の合併・買収)で発生する「のれん代」について、一括償却を原則禁止するルールを2006年4月から導入する。のれん代の会計処理をめぐっては、楽天の三木谷浩史社長など新興企業から業績への影響が一年で済む一括償却を認めるよう要望が出ていた。会計基準委は経営陣による利益操作を招く余地があると判断、一括償却を認めないことにした。7月末にも「実務指針」として公表する。

いろいろな論点を含んだ問題ではありますが、個人的には企業会計基準委員会(ASBJ)寄りの意見を持っています。

まず「経営陣による利益操作を招く余地がある」かどうかは、異論が多いところかと思います。今度適用される基準では、20年以内の年数で償却することになっています。逆に言えば、20年以内であれば何年でもいいわけです。もちろん合理的な年数であることが条件ですが、合理性を説明することは困難であり、また監査人が会社の決定した年数を非合理的であると判断することはこれまた困難でありまして、事実上は会社の決定した年数で償却できることになってしまいます。であるとすると、2-20年の償却年数の幅があるわけでして、楽天の219億というのれん(日経記事による)を考えると、11億-108億の利益の振れ幅があるわけです。一方償却年数を1年と決めてしまえば、結果の合理性はともあれ恣意性はまったく入らないことになります。

では、償却年数が1年とすることに結果の合理性があるかということですが、これはないと思います。極端な話、買収金額が高かった部分はどぶに捨てたのと同じ会計処理をするわけです。219億円をどぶに捨てたら経営責任を問われますよね。どぶに捨てないまでも無駄遣いしたら経営責任を問われますよね。そういうことです。

三木谷氏の言い分は「日本企業はのれん代の償却負担が重く国際的競争で不利だ」とのことで「一括償却か償却しないことを認めるよう主張した」とのことですが、「一括償却か償却しない」というのはB/Sからみると、「価値は0円か219億円かどちらかにしろ」と言っているわけでかなりむちゃくちゃな議論です。

では日本企業は本当に「のれん代の償却負担が重い」のでしょうか?

と、いったん問題提起しておきます。続きはいずれ(ちょっと先になるかもしれませんが)

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Tracked on 2005.07.30 at 03:02 PM

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