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企業会計基準公開草案第6号 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準(案)(3)

まあごちゃごちゃ書いてきましたけど、この変更、財務諸表だけではなく、経営指標にも影響を与えそうです。

一番メジャーなのはROE。株主資本(自己資本)利益率かと思います。

もともとは、自らが出資した金額および稼いだ金額を元手として、それだけの利益を今期得ることができたかを計る指標です。したがって、従来のROEの定義は 当期純利益/株主資本ですし、これは 当期純利益/純資産と書いても同義でした。金融商品会計基準が整備され、その他有価証券の評価差額金が資本の部に繰り入れられるようになった後も、ROEは 当期純利益/株主資本=当期純利益/純資産でした。有価証券の評価差益は元手に算入されていたわけです。

ところが、この公開草案が適用されるようになりますと、株主資本≠純資産となります。ROEをどのように計算するかが難しくなります。

企業内容の開示に関する内閣府令(いわゆる開示府令) 第2号様式 (25)(i)によりますと

(j)自己資本利益率(当期純利益金額を純資産額で除した割合をいう)

と記載されたいますので、このまま改正されなければ株主資本利益率の分母は純資産ということになります。ということは少数株主持分や繰延ヘッジ損益などが算入されるわけで、従来との連続性が阻害されることになります。

一方東証の定義に従うと株主資本が分母となります。この公開草案によれば有価証券評価差額金は株主資本を構成しません。従来は上記の通り有価証券評価差額金を含んだ純資産を分母としていたので、やはりこれでも連続性が途切れることになります。

連続性を保持するには、当期利益/(株主資本+有価証券評価差額金)という定義にならざるを得ませんが、有価証券評価差額金だけ盛り込むのもいささか奇異な気がします。

個人的には、元手から稼いだ利益、ということを考えると分母は実現した利益にとどめておくべきかと思いますので、(新)株主資本を分母にするのが一番しっくりきます。そして過去分は修正再表示(計算すれば済む話なので)。これが妥当かなと考えています。

少なくとも開示府令と東証で扱いが異なるような状態となることは勘弁願いたいです。

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