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ボッシュ 経常益1%増(8/27 日経)

ボッシュが26日発表した2005年6月中間期の連結決算は、経常利益が前年同期比1%増の150億円だった。主力の燃料噴射システムの販売低迷を変速機部品などの伸びで補い売上高は拡大したが、低採算品の売り上げの比重が高まり利益は伸び悩んだ。12月期通期の経常利益は前期比1%減の300億円と従来予想を据え置いた

・・・負債圧縮による支払利息減少も寄与し経常微増益を確保した。前期中に累積損失を一掃し税負担が増したため、純利益は28%減の151億円だった。

経常利益は前年同期比微増であり、純利益は前年同期比減少とのことです。その理由は記事によると「前期中に累積損失を一掃し税負担が増したため」としていますが、この記述何かおかしいです。

確かに累積損失、正確に言うと税務上の繰越欠損金があるうちは税金支払の負担は発生しません。しかし、税効果会計が適用となっている現在では、当期の実績に対し本来支払うべき税額を「法人税等調整額」として計上する必要があります。そして過去に損失を発生させたときに計上した繰延税金資産を取り崩すことにより、当期の費用とするわけです。

順番を逆にすると、損失を計上した期は法人税の支払も還付も生じませんが、その損失分は将来の税額を減少させる効果があるため、税引前損益が△100でも税金に+50が発生し、当期損益は△50となります。そして実際に税引前損益+100を計上し、損失を相殺することにより税金の減額効果があった期に、税金△50を発生させるわけです。

このように、税効果会計を適用していれば、当期の現金ベースでの税金負担が増加しようが減少しようが、それほど会計上の税率がぶれることはありません。

実際にボッシュのを見てみますと、16pに繰延税金資産の内訳が載っています。ここで注目していただきたいのは評価性引当額です。約194億円減少しています。評価性引当額は、計算上の繰延税金資産に対し、回収可能性を考慮した減額分ですから、一昨年度まで回収可能性がないと見られていた繰延税金資産を昨年度に回収可能性ありと判断して多額に計上することで、会計上の税額のマイナスが多額になり、当期利益を大きく改善させた効果があったようです。

過去の業績の推移を見ていると、利益体質になったのはここ2-3期の話でそれまでは連続で欠損を計上している会社であったので直前まで繰延税金資産の計上ができなかったのでしょう。業績が安定してきたため、昨年度より繰延税金資産が計上できるようになったということのようです。

と考えると、当期損益の悪化理由は、「前期に繰延税金資産の回収可能性を見直したことによる法人税等の減少というイレギュラー要因がなくなったこと」になるかと思います。日経の説明のほうが通りはいいのでしょうが、不正確です。

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