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粉飾など不正 会計士に通報義務(8/2日経)

粉飾など不正 会計士に通報義務(8/2日経)

金融庁は監査法人や公認会計士に対し、会計監査の過程で粉飾決算などにつながる不正を発見したり、不正の疑いを持った際に、証券取引等監視委員会などへの報告を義務付ける方向で検討に入る。悪質な場合は検察などへの通報を求める。監視委や捜査当局が速やかに実態の解明に着手できるようにし、不正の早期発見につなげる。2007年度の実現を目指す。

監査法人や会計士が企業の会計監査に携わる際の手順などを定めた「監査基準」の見直しに着手する。企業会計審議会(金融庁長官の諮問機関)で来年初めにも議論を開始し、必要があれば公認会計士法も改正する。対象となる監査は上場企業のほか、資本金5億円以上の株式会社など非上場も含めて合計約1万社。

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現在は監視委や捜査当局への通報義務はない。会計士や監査法人が不正を発見した場合、経営者や監査役などに伝えることになっている。会社側が不正を改善しなければ、監査法人は有価証券報告書に「不適正意見」として記載する。ただ経営者が粉飾を意図的に隠すケースもある。カネボウの場合は会計士が不正の疑いを持っても全貌を解明するのは困難で、発覚が遅れたとの見方も出ている。

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米国では会計士が明確な法律違反を発見した際、米証券取引委員会(SEC)などに報告する義務がある。欧州連合(EU)は疑いを持った場合でも通報義務を課している。金融庁などにはEUのように疑わしい場合も報告を義務付けなければ実効性を確保できないとの見方もあるが、会計士からは「報告が必要な基準が明示されなければ判断が難しい」との指摘が出ており、慎重に検討を進める。

長々と引用しました。

要は会社は金を払って「ちくり屋」を雇えということでしょうか。

会計士からは「報告が必要な基準が明示されなければ判断が難しい」との指摘が出ており、って当然でしょう。たとえば私が100円記帳もれしたことを告白した場合は会計監査人としてはどうすればいいのでしょう。2ちゃんねる的に「通報しますた」と言われなければならないのでしょうか。そしてたとえ100円でも大目に見てくれた会計監査人は何らかの処罰を受けなければならないのでしょうか?100円なら大丈夫?じゃあ100万円なら?1億円なら?不正の意図がなければ大丈夫?じゃあ意図の有無はどうやって判定?

そして、たとえ不正の通報を義務付けたからといって、「経営者が粉飾を隠」して「全貌を解明するのが困難」であれば、そもそも発見できないわけだから、通報を義務付けたとしてもカネボウのようなことは防止できない。むしろ、情報が出にくくなるから逆効果ではないのか?監査が余計困難になるのでは?

それとも逆か?疑い持ったら何でもかんでも当局にぶん投げて調べてもらって、なにもでなかったら適正意見、なんか出てきたら意見差し控えって?それは楽ちんだ。監査報酬丸儲け。

なんて毒の一つもはきたくなるような制度ですね。こんな制度作るんだったら監査報告書の意義っていったい何なんでしょ。

 

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