企業会計基準公開草案第6号 貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準(案)
企業会計基準公開草案第6号
「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準(案)
近年、資本の部に対する考え方の変更や中間区分の設定が見られる中、企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)から平成16年12月に公表された企業会計基準公開草案第3号「ストック・オプション等に関する会計基準(案)」では、ストック・オプションに対応する金額の貸借対照表上の表示について、負債の部と資本の部の中間に独立の項目として計上することを提案しております。しかしながら、このような項目の性格については論争が多く、また、個別財務諸表に新たに中間区分を設けることについては慎重な検討が必要という意見も多いことから、ストック・オプションに対応する金額の表示区分について引き続き議論することとしておりました。
当委員会では、この問題について、貸借対照表表示検討専門委員会を設置し、当該専門委員会での討議を含め、検討してまいりましたが、平成17年8月5日の第86回企業会計基準委員会で標記の企業会計基準及び適用指針の公開草案(以下「本公開草案」という。)の公表が承認されました。
私が夏休みで遊び呆けている間に公開されたようです。
短い割には今までの会計的な常識を大きく変えるものであると考えています。
この公開草案の趣旨は以下の条文に凝縮されています。
4.貸借対照表は、資産の部、負債の部および純資産の部に区分し、純資産の部は、株主資本と株主資本以外の各項目(第7項参照)に区分する。
今までの常識的な貸借対照表では、借方に資産の部、貸方に負債の部と資本の部が表示されるというものでしたが、今回の公開草案はこの資本の部を「純資産の部」と変更することにあります。
「純」というと、少し前までは「冬ソナ」に代表される純愛ブーム、最近では自分の頑なまでの信念に基づいて、遮二無二解散に突き進んでいった首相を思い出すようにある意味「純粋」であり「美しい」というイメージがあるかと思います(私だけか?)
ここでいう「純」資産とは、総資産から控除すべき項目、すなわち負債を控除した金額ということになります。「純粋な資産の額」といえば、聞こえはいいですが、単なる差額概念とも言えます。純粋どころか、ゴミだめになりかねない概念です。
従来はこの差額=株主資本、すなわち株主のものであったのですが、この公開草案では、その差額を「株主資本」とゴミ、もとい、「株主資本以外の各項目」に区分するとのことです。「純資産」と「株主資本」を明確に区分したところが新しい考え方といえるでしょう。
(学説的には昔からある考え方なのかもしれませんが、少なくとも実務的には斬新な考え方といえるでしょう)
ここで突然ですが、日産の前期末の連結貸借対照表です。
この例で行きますと(少数株主持分)以下の表記が変わります。
(少数株主持分)と(資本の部)が一体化し、(純資産の部)となります。
そして、その内訳として
1. 株主資本
資本金
資本剰余金
利益剰余金
自己株式
株主資本合計
2. 評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
為替換算調整勘定
評価・換算差額等合計
3. 少数株主持分
純資産計
このようならびになると思われます。
まあ、これだけであれば従来負債でも資本でもないという扱いを受けてきた少数株主持分の位置が定まって、若干区分が変わったくらいの影響しかないようにも思えますが、実はこの会計基準案、ドサクサ紛れに扱いを変えている項目がまだあります。
(続く・・・予定)
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