会計士の「指南」
飲み会などで2-3日空けているうちに、すっかり出遅れてしまったカネボウ問題ですが、遅ればせながらろじゃあさんのコメント
すんごく、基本的な質問で恐縮なのですが、弁護士先生への弁護士相談だと、ある特定のスキームの法的問題を相談すれば、○○が××なら法的には大丈夫だと思うんだけど・・・って相談に対する見解が示されると思うんですが、会計士法の会計士の業務との関係では、○○は××だから会計上は△△だと思うんですがどうでしょう?という問いかけに対して確かにそうですが××が×2×2の場合にはちょっと問題があるかもしれません・・・という見解を顧問先からの相談に対してなすことは問題があるのでしょうか?なんか今回の「指南」の概念が抽象的過ぎてこの辺までちょいとよくわからなくなってるのが門外漢の感想の実際だったりします。
について感じているところを書きたいと思います。
まず、「問題があるのでしょうか?」という質問については、「今のところまったく問題ない」と言っていいのではないかと思います。何か新しい取引をするときには、必ず会計士に相談していましたし、その手続きを省略し自分の判断で走った結果大失敗し、上司から大目玉ということも2度3度・・・
まあ自分の経験はともかく、改正された公認会計士法で、会計監査人に要求される独立性が厳格化されましたが、監査に直接関連して行われる助言・指導業務を行うことは禁じられておりません(こちらを参照)。ろじゃあさんが想定されている質問は、監査に直接関連して行われる助言・指導業務にあたるかと思います。
ただ、じゃあどこまで「監査に直接関連して」いるかという問題があって、例えば金融機関が新しい商売を検討する際に、会計上の影響を検討するために会計士に質問し、その結果その商売を断念した場合、それが「監査に直接関連して」となるのかどうか、明確な線引きはできるのか、ということです。
それでも日本の場合、こういった質問をクライアントがしても、まあよっぽどのことではない限り無償で答えていただけます。しかしながら米国は「作業した時間分だけフルチャージできる」世界ですので、難しいスキームを相談した際などは、確実にフィーがランクアップすることになるのかと思います。そうなった場合、金もらってコンサルティングする業務といったい何が違うんでしょうね?ということになるわけです。
てなわけで、今の日本ではまだ事前に会計監査人にお伺いを立てるというのはごく普通の行動ですし、問題はないはずなのですが、今後そういったコミュニケーションに会計監査人の方が消極的になると、非常に仕事がやりにくくなるな、というのが正直な感想だったわけです。
とまあ、上記は単なる感想であって、監査論の最新の議論とか、米国の実務の最新動向とか、フォローできておりませんので、そこんとこご理解いただきたいともに、誤認がありましたらどなたか修正していただきたくお願いいたします。
(written on Sep.19)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 日興の不正会計課徴金5億円命令(1/6 日経)(2007.01.17)
- 12月の新聞記事より(3)(2007.01.09)
- 12月の新聞記事より(2)(2007.01.08)
- 12月の新聞記事より(1)(2007.01.08)
- 米、過剰規制を見直し・企業改革法緩和へ(12/1 日経)(2006.12.01)
Comments
うわっ、引用していただいていたのに見落としてました。すいません。
やっぱり問題ないと思うんですよね・・・そんでなかったら会計士の先生って専門家としてコメントできないと思うんですよ。○×試験の採点者じゃないんでしょうから。
いずれにしろおっしゃるとおり線引きは本当は相当微妙なはずで犯罪構成要件という観点からは報道の再度もよくお勉強してから書くべきだと思うんですけどね。
Posted by: ろじゃあ | 2005.10.01 02:28 AM