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公認会計士4人を逮捕 カネボウ粉飾決算事件で(2)

いつも愛読しています法律家の方々のblogにおいて、今回の中央青山のカネボウ関与社員逮捕のニュースを取り上げています。

グループ会社運営の実務への影響はどうなる?・・・カネボウ事件で会計士が逮捕とのこと(ろじゃあさん)


中央青山監査法人に試練の時(toshiさん)

自分のことしか考えておらず、かつ文章力のない私などは、「あー、また仕事がめんどっちくなるなぁ」などというエントリしかできないのですが、さすが法律の専門家だけあってもやっと思っていた問題点を指摘してくださっています。痴漢で逮捕されてもまず確実に新聞には載らない私が、確実に新聞沙汰になるお二人にトラックバックするのは恐れ多いのですが、ご容赦いただきたく。

(ろじゃあさん)
この「関連会社などの株を取引先に保有させる手法」というのが問題で、実際にはそんな保有関係になかったのに専ら急遽事態を打開させるためだけの目的で保有「させる」ことにしたとかのケースを考える限りにおいては判断がやりやすいのかもしれないけれども、実際に実務においては○になるケースと×になるケースというのは結構微妙なんだろうなあ・・・などと門外漢なりに考えてしまうわけであります。

おっしゃるとおりで非常に微妙だと思います。あげられている「もっぱら急遽事態を打開させる」ためであったとしても、取締役会の議事録に「債務超過を回避するために取引先に株式を無理やり押し込むことを決議した」などと書くバカはいないわけでして、「子会社の再建をする上で取引先の出資を仰ぎ、親会社からのしがらみを断った上で独自営業の開拓に活路を見出すため」とかなんとか理由がつくのでしょう。そういった外観が整っている場合、会計士は何をもって×だというのでしょうか。今回は「指南」したらしいですから論外だという意見もあろうかと思いますが、たとえ「指南」したのだとしても、実質的な支配というものの有無をどのように判定するのかが非常にグレーである以上、なにをもって「指南」がクロといえるのか、非常に難しいのではないかと思います。「連結債務超過を隠すために取引先に株式を持ってもらった」と「子会社の再建のために取引先に出資を仰いだ結果、支配力が弱まり連結の基準を外れた」(これは犯罪ではないでしょ)との間にはどのような線引きができるのでしょうかね。

(ろじゃあさん)
会計士が「うん」と言えばいいんだ・・・そんな姿勢が企業にあったかどうかはわからないんだけど、その前提にあるのは会計士の先生は「うん」といった以上間違ったことは言わなかった訳だ・・・ということではないというのは少なくともここ5・6年ではむしろ当然の前提になりつつある中で、じゃあ誰に確認したらいいの?という悩みを組織として抱えている企業というのは結構いるんじゃないかなあ・・・とろじゃあは思うのであります。

自分の会社の財務諸表に間違いがあったことについて、監査法人に損害賠償を求めるといきまいた社長がいたことから考えても、「当然の前提」となるのは今までではなく寧ろこれからで、監査法人との距離のとり方にみんな悩んでいくだろうなぁ、というのが私の前回のエントリの趣旨なのです。会計士と仮定の話もできないのであれば、非常にやりにくいなと。

(toshiさん)
親子会社間での親会社保有商品の売買なんですが、連結ベースでは利益はまだ発生していないのですが、親会社に売上がある以上は単体ベースでは親会社は税金を支払う必要があり、(でも将来的には子会社が在庫商品を売却することが予定されていますので未実現の利益があるということで)そこに「繰り延べ税金資産」が計上できるわけです。この繰り延べ税金資産であれば、銀行などで一時問題になっていました「将来の利益発生可能性」や「将来の保有している有価証券の値上がり予想」などの曖昧な評価の問題もなく資産を計上できます。税効果会計導入後、カネボウはこの「未実現利益による繰り延べ税金資産」を利用して債務を圧縮していたようで、2000年3月から2003年3月までの間に、144億円ほどまで繰り延べ資産を膨らませ、在庫商品も2倍にまで膨れ上がっています。2003年ころから、ホームページで「これはおかしいぞ!」と訴えておられた会計士さんもいらっしゃいます。

マニアックですなぁ。会計基準に照らせば確かにおっしゃるとおりかと思います。しかしながら、一方で未実現利益にかかる繰延税金資産は、実際に税金を支払った額を限度として計上することになっています(正確に言うと、将来減算一時差異は課税所得の範囲で計上できる、ということになりますが)。この年度、カネボウは約120億円の法人税等をP/Lに計上(個別ベース)していますので、大雑把に言えば120億円の税金を払って120億円の繰延税金資産を計上していることになります。未払税金と繰延税金資産の両建てなので連結債務圧縮の手段に限ればあまり効果がなく、「指南」に値するスキームにはなりえないのではないでしょうか。

ただ、証券取引法違反になるのはあくまで虚偽記載であり「指南」ではないですよね。積極的にけしかけたことを立証する必要はないはずです。となれば、連結外しで攻めるよりも、連結から外した会社に対する貸付金に必要な貸倒引当金を計上しなかった不作為を証明するほうがむしろ簡単であるような気がします。貸付金に関しての貸倒引当金計上の必要性を考慮するのは監査において必要とされる手続きですし、計上しないことに合理的な理由があったことを説明することは難しいような気がします。

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Comments

KOHさんへ
TBありがとうございます。
すんごく、基本的な質問で恐縮なのですが、弁護士先生への弁護士相談だと、ある特定のスキームの法的問題を相談すれば、○○が××なら法的には大丈夫だと思うんだけど・・・って相談に対する見解が示されると思うんですが、会計士法の会計士の業務との関係では、○○は××だから会計上は△△だと思うんですがどうでしょう?という問いかけに対して確かにそうですが××が×2×2の場合にはちょっと問題があるかもしれません・・・という見解を顧問先からの相談に対してなすことは問題があるのでしょうか?なんか今回の「指南」の概念が抽象的過ぎてこの辺までちょいとよくわからなくなってるのが門外漢の感想の実際だったりします。
また遊びに来させてくださいませ。ではでは。

Posted by: ろじゃあ | 2005.09.15 at 01:15 AM

はじめまして。TB、コメントありがとうございます。「未実現利益による繰り延べ税金資産」の件、ご教示ありがとうございます。論の展開をみて「法学士」の資格をもっておられるのがよく理解できます。
「不作為の証明」という点につきましては、すこしばかり実務家として思うところがありましたので、また続編を書かせていただき、TBさせていただきました。今後ともよろしくお願いします。

Posted by: toshi | 2005.09.15 at 03:11 AM

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