エクソンモービル資本金1億円に減額 外形標準課税適用外に(11/15 日経夕刊)
米メジャー(国際石油資本)の全額出資日本法人、エクソンモービル(東京・港)は12月22日に資本金を現在の500億円から1億円に減らす。499億円は「その他資本剰余金」に振り替え、資本準備金や利益準備金も減額する。同社は「資本構成を最適化し、配当原資を増やすのが狙い」と説明している。
資本金が1億円を超える企業には外形標準課税が適用になる。同社は今回の措置で適用外になるが「節税が目的ではないが、結果的に税を含む管理コストを低減させる効果がある」としている。
エクソンモービルの日本法人は有限会社のようですね。有限会社のことについてはまったく持って無知なのですが、資本金500億円とは尋常ではない金額ではないのでしょうか。沿革についてはよく知りませんが、おそらく2つのメジャーと、ゼネラル石油の寄り合い所帯ですので、何回か再編を繰り返すうちに資本金が膨れ上がってしまったのでしょう。
で、今回の資本金の減額。「配当原資を増やすのが狙い」と言えば聞こえはいいですが、いざとなれば1人株主総会を開いて有償減資を決議できる100%子会社においてはあまり説得力のある理由には聞こえません。たしかに有限会社で500億円の資本金は大きいですが、じゃあ499億円の「その他資本剰余金」なら適正なのかといわれるとあまり変わらないような気がします。
やはり外形標準適用除外が主目的なのでしょうか?500億円も資本金があればそれだけで0.2%の税率がかかりますので、1億円が流出することになります。これが節約できれば確かに大きい。
しかし、大丈夫なんでしょうかね。isologueではDESに関してのエントリの中で
確かに登録免許税が安くなったり外形標準課税の対象にならなかったりするわけですが、もともと未公開で債務超過(または債務超過寸前)のような会社の資本金が何十億円、という方が実態からしてヘンなわけで、「資本金が数千万円」といった見かけにとどめるのは、課税を回避する以外の合理的な理由があると思います。
税務署も、「DESして増えすぎた資本金を減資しても、ちゃんと株主総会で減資等の決議された事実があれば、まあいいでしょう」と、決議や登記は、それなりに尊重していただける対応をしていただいているようですので。
と書かれていますが、今回の場合は総会の決議は当然あるにしても、外形標準課税節約以外の合理的な理由が説明つかないような気がします。500億円の出資(資本金の科目ではなくても)が厳然としてあり、それに対して課税されないのは不自然であるような気がします。
現在有限会社であるエクソンモービル日本法人の財務状態は(少なくとも無料では)手に入りにくいのですが、上場会社東燃ゼネラルの親会社でもあるため、東証の既定により12月決算の財務諸表はいずれかの段階で開示されることになります。そのときには多少中身が見えるかもしれません。
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