棚卸資産の評価基準に関する論点の整理(1)
企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)では、近年整備されてきた他の会計基準との整合性や国際的な会計基準との調和の観点から、棚卸資産の評価基準において、原価法と低価法の選択適用を見直し、低価法を唯一の評価基準とすべきかどうかについての検討を行っております。 今般、評価基準を低価法とした場合に生ずる論点やその周辺の論点について、一通りの検討を終えたことから、これらを論点整理として公表し、広く一般から意見を求めることを目的として、平成17年10月14日の第90回企業会計基準委員会において、標記の論点の整理(以下「本論点整理」という。)の公表が承認されました。
サボっている間にずいぶん古い話題になってしまいましたが、棚卸資産の評価基準に関するASBJの論点整理です。あっさりといってしまえば、棚卸資産の評価に低価法を取り入れることについての理論武装をどうするかといったところでしょうか。
そもそも、この議論が始まったきっかけが、国際会計基準とのコンバージェンスを目的とした会議にあります。したがって、国際会計基準が原則とする低価法を導入するということは既定路線であり、どのように導入するか、ということが主題になっているのも当然のことなのでしょう。
「低価法」・・・すなわち棚卸資産について、取得価額と時価と比較して低いほうの金額で評価しようということです。言い換えると、取得した当初は取得価額で評価して、その後時価が下落したら、時価まで評価を切り下げて、差額を損失に計上するという会計処理です。現在は適用は任意となっており、時価下落後もずっと取得価額で評価することも可能です。
もっとも、現在でも時価が著しく下落し、回復の見込みがない場合は、時価で評価することが企業会計原則で強制されています(強制評価減)。したがって、価格下落についてまったく手当てされていないわけではありません。したがって、「固定資産に減損会計があるのに、棚卸資産にはない」との批判は当てはまりませんし、国際会計基準と大きな差があるのか、と問われると文面ほどの大きな差はないのではないか?と思っています(厳密に適用されていれば、という前提ですが)
この「論点の整理」、8つの論点について取り上げているわけですが、以下にその論点を取り上げていきたいと思います。
(続く)
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