インボイス、純利益99%減(11/29 日経)
インボイスが二十八日発表した二〇〇五年九月中間連結決算は純利益が前年同期比九十九%減り四百万円にとどまった。本業の通信料金一括請求事業は順調だったが、低利用の電話加入権を減損処理し、二億円の特損を計上したため。
電話加入権については、「総務省 電話加入権の税制改正要望を取り下げ~NTT施設設置負担金は当分現行維持する方針」という記事で取り上げられている通り、当分は廃止という状況にはなりそうにもありません。しかしながら、取得時72,000円であった単価が現在36.000円、実売価格は5,000円以下という現状ですので、税務上の扱いにかかわらず評価減を行う企業は結構あります。
ただ、インボイスの場合は「低利用の」電話加入権を「減損」した、ということです。これまでの「評価減」は全電話加入権を対象として一律評価減をしたところが多いかと思いますが、こちらはあくまで「減損」です。減損判定の手続きを踏んで計上したものと思われます。
当社グループにおける集合住宅向けの通信統合サービスを提供している寮、社宅などの減少により、遊休となった電話加入権について帳簿価額と正味実現売却価額まで減額し、当該減少額の215,393千円を減損損失として特別損失に計上いたしました。なお、グルーピングについては、セグメント単位にしております。
グルーピングはセグメント単位とのことです。同社のセグメントは
①企業向け通信統合サービス事業
②集合住宅向け通信統合サービス事業
③不動産関連事業
④その他の事業
このうち、集合住宅向け通信統合サービス事業に減損の兆候があったことになります。しかしながら、セグメント情報を見ますと、売上高は前年比微減、営業損益はむしろ向上し、半期だけで前年度の年間利益に近い水準となっています。長期的にはともかく、減損が必要なセグメントには見えません。
このことは、減損損失の計上が電話加入権のみ行われていることからも伺えます。セグメント全体に減損の兆候があるのであれば、セグメントに属する主要な資産もキャッシュが生み出せないのが普通。減損金額がもっと多額になるはずです。それがまったくないということであれば、まだまだ十分な利益を上げることができるのでしょう。
このグルーピングで電話加入権だけ取り出して減損することは可能なのでしょうか?使っていない電話加入権の減損、これだけ取り出せば健全な処理で文句のつけようがないのですが、ルールからは外れているようにも見えます。追記あり
(12月6日追記)
よく考えると、遊休資産は独立したグルーピングをする、という規定がありました(手元に減損の実務指針がないのですが、確かそのような規定があったはず)。これで遊休の土地などは減損をしなければなりません。電話加入権も同じように考えれば、遊休のものはそれだけグルーピングして減損するというのもありなのでしょう。ただまったく同じ権利を表象するもので、どこのセグメントに属するかで帳簿価額が違うってのが、感覚的にはしっくりきません。
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