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IASB業績報告プロジェクト(2)


日経の誤訳?

そのSegmentAの論点は、以下の通りとなっています。

1. Whether to require a single statement of comprehensive income, that includes a subtotal similar to the concept of “net income from continuing operations” or “profit and loss”

2. Convergence on the required primary financial statements

3. Convergence on the number of years required to be presented in comparative financial statements and related disclosures in the notes to the financial statements

4. Whether presentation of the direct method should be required for the statement of cash flows (編注:4.はその後Segment Bへ移管)

これらの訳らしきものが、11/17の日経金融「国際会計基準 次の焦点 下 包括利益」の中に載っています。

・包括利益計算書に、当期利益などの項目を導入すべきか
・どういう財務諸表が必要か
・何年分の比較財務諸表が必要か

1行目の訳がポイント。ここをどうも日経は誤訳している節があるのが、ピントはずれの原因のように見えます。私の貧弱な語学力からはいまいち自信が持てないのですが、ここの論点はあくまでStatementをひとつにまとめるかどうかであって、その中に当期利益を含んでいることは既に前提となっているように読めます。

そしてこのことは、下記のように、後の2005年4月の会議の一時的な結論として追認されています。

To require a single Statement of Earnings and Comprehensive Income that presents a total for non-owners’ changes in financial position (comprehensive income) and a required subtotal for net income/profit or loss.

つまり、(当面の対応として)業績報告計算上に当期純利益の表示を残すことはすでに4月に確定しており、今回の結論は、それを1つの報告書でまとめるか、2つの報告書に分割するかという論点につき、双方選択可能という方針を決定したに過ぎないことになります。
日経の報道のニュアンスとはかなり異なりますね。

このSegment Aのは今後IAS1号の改訂という形で近日中に公開草案が公表され、コメントが求められ、それを踏まえ最終決定という流れになるかと思います。

近未来的な話
では、理想を目指すSegment Bの論点はどうなっているかといいますと、

1. Whether there is value in the notion of “recycling” items between the subtotals of net income and other comprehensive income and, if so, the basis for the types of transactions and events that should be recycled and when recycling should occur

2. Whether to develop consistent principles for disaggregating information on each of the required financial statements

3. Which totals and subtotals should be reported on each of the required financial statements (that might include categories such as business and financing)

1は特殊なので飛ばして、2、3です。どの情報を分割して、どの情報の小計を表示するかというのが論点となっています。最終的に当期利益の扱いがどうなるかはこのプロジェクトで扱うことになります。当期利益も3でいうsubtotalのひとつになりますので。ただ、Segment Aの結論が出てからということになるのでしょうから、結論が出るのは相当先ではないでしょうか。ただでさえ何度か挫折している議論ですから。


以上が、MOさんのコメントを元に私が理解した内容です。8割くらいは合っていますでしょうか>MOさん。


(参考文献 Performance Reporting

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IASB業績報告プロジェクト(1)

MOさんからコメントをいただきました。いつもすみません。

Segment Aは、当期純利益をとりあえず残す前提で、まず包括利益の表示方法を明確化しようとしたものであり、最終的に当期純利益を残すかどうかはSegment Bで決定される予定になっています。したがって、今回の暫定合意で当期純利益が残っているのは当然のことで、Segment Bの結論がこれと異なったものになる可能性はまだ残っているものと考えられます。

日経の記事を鵜呑みにしてはいけないと常に肝に銘じているのですが、今回もそうですか。いや、最近の動向を英文でチェックする作業をしていなかった、私の怠慢によるものでもあるのですが・・・

今回の決定事項

反省のもと、今回のIASB UPDATEが出ているようなので、早速見てみますと、日経の大はしゃぎが嘘のように、業績報告プロジェクトについてはほんの片隅に数行載っているだけです。

The Board discussed its tentative decision to require a single statement of recognised income and expense. The Board expressed its view that a single statement presenting all income and expenses is the conceptually correct presentation. However, it decided that the Exposure Draft of Proposed Amendments to IAS 1 Presentation of Financial Statements would allow the presentation of income and expenses in a single statement or in two statements (an income statement and a statement of recognised income and expense that would begin with profit or loss for the period). The Basis for Conclusions to the Exposure Draft will make clear the Board’s preference for a single statement. All other tentative decisions of the Board in relation to Segment A of the project will be included in the Exposure Draft

これだけです。あくまで業績報告書は1つにまとめるのが理想だけど、まあ今回は2つでもいいよ、そんなニュアンスが伝わってきます。

ところで、1つと2つの違いは何かといいますと、上の文章から「2つの報告書=従来の損益計算書+損益計算書上の当期純損益を出発点に有価証券評価差額等を加えた包括利益計算書」(かなり補足していますが)というのが読み取れます。「2つの報告書」では明らかに当期純損益は表示されることになります。

では「1つの報告書」では当期純損益は表示されないのか?それは現在日本として阻止すべきものなのか。日経が言うとおり、2つの報告書が認められたのは日本の勝利なのかというところなのですが。


プロジェクトの経緯

ここで、そもそもこのプロジェクトの経緯に立ち戻りますが、本プロジェクト当初はIASBが理想とするかなり画期的な(そして作成者側から見れば、かなり奇抜な)業績計算書の提案をしてきたのですが、なかなか周囲の理解を得られず、プロジェクトが立ち往生してしまった経緯があります。

こういったとき、プロジェクト自体が頓挫しないようにする常套手段として、まず各国が合意できるところからやっていきましょう、理想を目指すのはそれ以降にしましょう、という態度をIASBはよくとります。今回もまさにそのようで、合意できるところからやりましょうというプロジェクトがSegment A、理想を目指しましょうというプロジェクトがSegment B、その2つにプロジェクトが分割された経緯があるようです。

(次回へ続く)

(参考文献 Performance Reporting

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監査、急に厳しく(11/21 日経金融)

下記記事。思わず吹いてしまいました。
いやぁ、こんなことを会社名+役職+実名入りでしゃべってしまうところがすごい。

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「監査法人が急に厳しくなった」とこぼすのは東亜道路工業(1882)の鈴木俊宏取締役。「当初想定していなかった」減損会計による損失や、関係会社への投資損失などが響き、九月中間期の連結最終損益は三十六億円の赤字に。「従来どおりの抗弁を準備したが本部の審査を通らないと通用しなかった」

会計士との"交渉"も「従来は一週間前には終わっていたが、今回は前日までやっていた」。取締役会では、他の役員から「なぜ損失を出す必要があるのかと、おしかりを受けた」と板挟みで疲れ切った様子。最後は「今損失を出せば、将来にとってはいいこと」と自ら言い聞かせていた。

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