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ライブドア 自社株不正売却80億円(1/20 日経)

ライブドアグループによる証券取引法違反事件で、虚偽情報を開示して買収した六社を巡る偽計取引の全容が十九日、明らかになった。株式交換の名目で新規発行した自社株の売却収入は約八十億円にのぼり、大半をライブドア本体に還流して不正に利益計上して粉飾してたという。


ライブドアの事件に関してはだいぶ情報が出てきたようで、日経新聞もようやく解読可能な日本語で記事を書いてくれるようになりました。前回の「関係会社の資産を売上高に計上」というのは結局何を指していたのでしょうか?

ただ、やることなすこと、すべて違法であるような書きぶりも散見されます。この見出しもそうで、別に売却自体が不正なわけではない。事前の開示や、事後の会計処理が疑われているということかと思います。投資組合やら株式交換やら株式分割やら、それ自体が違法のような印象を与えかねないような報道となっています。これも捜査の進展とともに正確な表現になっていくのでしょうか。

さて、会計ルールの「穴」をテーマに磯崎さんと47thさんが議論をしておられました。

47thさん曰く

とすると、決め手はむしろ当初の投資組合による取得を「連結すべきだったかどうか」というところのようにも思えるところですが、連結の対象になるかならないかというところでも、実務では色々な「割り切り」をしているところであって、そうした「割り切り」には、判定コストを下げるというメリットの一方で必ず「穴」が出てくるんじゃないでしょうか?

磯崎さん曰く

特に今回のことについて言えば、会社が行った処理が公正妥当なのかどうかをチェックするべき監査法人は、個々の取引(投資事業組合に出資するのがOKか?投資事業組合が自社株を取得するのがいいのか?等)を見るだけでなく、「取引全体の(経済的)意図」を見なければいけないハズだ、というのも一点。


このあたりの議論は、まさにどこぞのエネルギー会社が破綻したときに巻き起こった議論ですね。特別目的会社をどこまで連結するかという会計基準。当時は外部資本が3%以上入っていれば(かつ、他の要件を満たしていれば)特別目的会社の連結は必要ない、ということになっていました。この3%という基準があまりにも杓子定規なものであり、こういう数値基準を決めるから、一方で「穴」を探すやつが出てくるのだ。もっと会計基準は包括的に定めなければいけないのだ、という議論ですね。


ここで引き合いに出されたのが国際会計基準。国際会計基準は、実務指針や細かな数値基準が定められていない。大まかな基準があり、あとは取引の実質に基づいて専門家たる会計士が判断するものであり、こうすれば「穴」を見つけあういたちごっこはなくなるのではないか、というものでした。これを原則主義(principles-based accounting)と呼んでいます。ちなみに3%とか数値基準で決定するような考え方を規則主義(rule-based accounting)と呼んでいます。

もっとも、今でこそかなりステータスのあがった国際会計基準ですが、実は基準としての体をなしたのは、ここ数年のことに過ぎません。実務指針がないのは、単に実務の積上げのレベルが米国のそれとは比較にならないというというだけだったのではないかと思っています。

それはそうと、この原則主義というものは、Sarbanes-Oxley法に盛り込まれることになります。

SEC. 108. ACCOUNTING STANDARDS.

・・・
The Commission shall conduct a study on the adoption by the United States financial reporting system of a principles-based accounting system.

これに呼応して、SECが報告書を公表しています。

というわけで、国際的にはまず実質を見ましょう、という理想論が進んでいることにはなっています。

でも。個人的にはそれだけでは実務はまわらんだろう、という感想でしたし、こちらを見ますと批判的な意見が多かったようです。新しい基準については、そういった方向で定められているのかもしれませんが、過去から合った基準を直そうという動きには、少なくとも短期的にはなっていないかと思います。FASBの最後の資料であるこちらを見ますと、やる気があるんだかないんだか分からないようなコメントが出されています。(米国基準実務離れてちょっとたってしまったので最新動向を把握し切れていない可能性がありますが)

こう考えるとなかなか理想というものは追いきれずに、47thさんのおっしゃる「割り切り」がないとやはり実務は回らないのかな、などと考えています。

というのは、大雑把な感想であり、ライブドアの件をどうすべきだったか、ということとは直接関係ありませんので、念のため。

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