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【読書】「疾走」 重松清

昨年「流星ワゴン」で、私の枕を浮くばかりにしてしまった重松氏。今年はもっと小説を読もうと思っているのだが、何を買うか迷ったら、今年はまず重松作品にしよう、と決めた。本屋ではいつも優柔不断を発揮してしまうので、こういうポリシーを持っておくのもいいだろうと思った。

そして、重松作品は某進学塾でも推薦されていたし、高橋秀樹著「中学受験で子供と遊ぼう」でも、「エイジ」が薦められていた。重松作品なら子供に読ませても、なんて思っていた。

そのポリシー発揮第一作に「疾走」を選んでしまった。表紙に多少の不安があったが・・・

・・・とても子供にゃ読ませられないんですけど。特に下巻。

あのエログロシーンには退いた。もともとその手のシーンは苦手な私にとって重松作品は安心して読める作品であったのに。重松さんもああいうこと書くんだ・・・。

結局そのシーンのせいで、途中なかなか手に取るのが気が進まず、読了にやたらと時間がかかってしまった。ただ、それさえなければ、テンポ良くあっという間に読み進めることがでる。

テンポはよいが、ずっしりとした読後感。絶望感。

どこにでもある家庭が、あるきっかけからもろくも崩壊していく。弱い親は自分の息子を守りきることができず、息子は完全な「ひとり」となってしまう。「ひとり」を生ききった故の悲劇。

自分は親として、強くなれるのか。息子を「ひとり」にしないことができるのか?作品の趣旨とは違うかもしれないが、強く自問せざるを得ない。少なくとも今の自分の答えは「否」であるような気がするから。

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