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金沢出張

行ってきました。
例によって夕方到着して、夜仕事して、朝一に帰るという美味しさのない出張。

金沢の業務出張であれば、通常は空路であろうが、今回は行きは鉄路を選択。職場のロケーションと、羽田・小松の移動、そして到着時間の関係から、今回に限っては鉄路のほうが安く効率的であるという判断からである。新幹線で2時間、特急しらさぎで2時間。苦痛な方には耐えられないかもしれないが、私にとっては全然苦にならない。乗り物、とくに鉄道は(普段乗っている通勤路線を別として)乗っているだけで癒し効果がある。私だけ?

この経路であれば、米原乗り換え。米原での短い途中下車の間に「てき重」を購入。冷静に考えれば普段昼食に400円台の弁当を食べている私が1300円の弁当など絶対手を出すわけがないのだが、旅先だと抵抗なく手が出てしまう。恐ろしい。実はこういった加熱式の駅弁を食べるのは初めてなのだが、こういった冬の旅ではありがたい仕掛けである。合法的な底上げ(なんせ体積の半分以上は保温材なので)という気もするが。

米原は好きな駅。北陸路への交通の要所として作られた駅であるため、その重要度や利用客数の割には駅前がまったく開けていないという非常にアンバランスな駅なのである。この前まで米原町であったはずなのだが、ここも御他聞にもれず周囲と合併して米原市に昇格しているようだ。そして現在では千代生誕の地として観光客誘致に懸命である。

そして、その千代はJR西日本管内のいたるところで(そして税務署でも)、いつも出迎えてくれるのだが、金沢に行くと、別の女性芙美が出迎えてくれる。

そう、宿泊があのAPAホテルなのである。

今回は見識を疑われるので、東横インはハナから除外。前にも泊まったことのあるここを選んだのは、この時期にあえて田原俊彦をイメージキャラクターにしているという英断に敬意を表して、ではなく次の三点で私の小市民的欲求を満たしてくれるからである。

1.LANケーブルあり
もっとも今回はほとんど使わなかったが

2.大浴場あり
普通に金とって営業しているスパが併設。宿泊者は無料となる。この歳になってもいまだユニットバスに慣れない私には強力なアドバンテージ。朝からやっているところもいい。露天風呂もあるが、氷雨降る金沢の6時は強烈に寒かった。

3.朝食バイキングの充実
とにかく種類が多い。シェフが立っていてオムレツを作ってくれたりする高級感の演出もある。まあ味は並だが。

これで楽天トラベル経由6,500円は個人的にヒット。

ただ、部屋は日本の建築技術の極みともいうべきの狭さ。これに耐えられない人は避けたほうがいいかも。私は寝るだけなので気にならなかったが。

しかし、いつになったら私は高級ホテルを心ゆくまで楽しめる「大人」になれるのだろうか。一生なれないような気がしてきた。

(written on Mar. 5)

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EU、柔軟路線に傾く(2/23 日経金融)

欧州連合(EU)が域内で活動する日本企業に対し追加の決算開示を求める「会計の二〇〇七年問題」。EUが追加開示を見送る検討を始め、行方が混沌としてきた。二重開示によるコスト増などを懸念する日本企業にとっては当面の危機を回避できる"朗報"だが、EUが日本の会計基準を国際会計基準と完全に同じものと認めたわけではないからだ。「二〇〇九年問題」への単なる先送りになる可能性が高い。

日本とともに追加開示を求められているのが米国については、2009年までに国際会計基準との共通化を目指しており、追加開示についてはそれまで延期しようとする動きがあるようで、つられて日本についても同様の措置が認められそうとのこと。

ただ、日本については共通化作業を始めているものの、ターゲットが明確にされておらず、2009年には取り残されてしまう可能性が高いとの記事です。

当面掘り下げている暇(というより余裕)がありませんので、備忘のみ。

(追記)
米国基準と国際会計基準、一緒にがんばってます文書が公開されているようです。これも備忘。

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例えバトン

落ちているものは拾ってみましょう。

ということでろじゃあさんの
例えば・・・トン(東)(^^;)より。

自分を見つめなおすよい機会だし(大げさ)

★自分を色に例えると?

なんだろう。少なくとも仕事の関係でいまは灰色。早く終わらんかな。
なんか趣旨が違うような気がする。まあいいか。

★自分を動物に例えると?

カミさん曰く「タヌキ」
といっても古狸といった腹に一物ある、というイメージではなく
単なる「タヌキ」なのだそうだ。自分には良く分からず。


★自分を好きなキャラに例えると?

古くは源氏物語の薫中将
容姿はともかく、うじうじ理屈をこねている間に、女に死なれたり、寝取られたり。他人とは思えない。

新しくは「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の寺井
多くは語らない。

こうありたい、ってのは新庄
馬鹿さ加減に嫉妬すら覚える人というのはそういない。


★自分を植物に例えると?

シメジみたいに群れるのが苦手で、日陰で一人で毒吐いている、イッポンシメジ


★回す人5人を色に例えると?

人に物を頼むのは苦手。私もそのへんに落としておくことにします。

あくまで今の自己分析ってことで、こうありたい、ってのは全然別です。
しっかし暗いなぁ。やった時期が悪いかも。

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ライブドア 粉飾、会計士が関与(2/23 日経夕刊)-訂正

一つ前の記事の訂正です。

ライブドアの証券取引法違反事件で、2004年9月期の連結決算の粉飾に伴う不正な経理操作を、同社の経営企画室管理本部を担当する女性執行役が公認会計士に指示していたことが23日、関係者の話で分かった。

この次に以下の記載がありました。

横浜市のコンサルタント会社社長を務めていた会計士は、以前はライブドアの監査を担当するなど関係が深かったといい、執行役の指示に従って子会社化予定の二社の預金付け替えを実行したとされる

見出しの「会計士」ってのは、「会計監査の担当をしている会計士」ではなくて「会計士の資格をもった従業員(あるいは業務受託者)」であったのですね。「会計士が関与」?、うーん、日本語として間違いじゃないかもしれないけど・・・

まあ、よく読まなかった自分も悪いのですが。

というわけで、1つ前の記事は訂正させていただきます。

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ライブドア 粉飾、会計士が関与(2/23 日経夕刊)

ライブドアの証券取引法違反事件で、2004年9月期の連結決算の粉飾に伴う不正な経理操作を、同社の経営企画室管理本部を担当する女性執行役が公認会計士に指示していたことが23日、関係者の話で分かった。

某アルファブロガーが顔つきで掲載されている23日の日経夕刊。その一面記事です。

ところで、「執行役が公認会計士に(経理操作を)指示」というのはいったいどういう行為を指すのでしょうか?粉飾決算に対する会計士の態度として「見て見ぬふり」とか「やり方について助言」とかなら分かるのですが、会社の指示を受けて「不正な経理操作を実行」いるというのであれば、そもそも記帳から会計士がやっているということですね。

ライブドアの監査報告書にはこうあります(どこの会社もそうですが)

この連結財務諸表の作成責任は経営者にあり、当監査法人の責任は独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。

監査法人は意見の表明をするだけで、実際の財務諸表の作成に手を出してはいけないんですよ。たとえ正しい決算であっても。

まあこういう会社は結構あるのだろうと推測はしますが、「内部統制」を論ずる以前の状態ということになりますので、内部統制監査制度が導入されますと一波乱ありそうですね。

あと、どうでもいいことなのですが、なぜ「女性」執行役なのでしょう?女性であることを記載する意味はいったい何?いまどき。

(追記)
一部削除させていただきました。理由は次のエントリにて

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欧州上場企業の株価形成 国際会計基準の影響強く(2/21 日経金融)

雑感ということで。

国際会計基準(IAS)が欧州企業の株価形成へ影響を強めている。民間調査では機関投資家の二割強がIASに基づいた業績データを受け、保有株を売却したと回答。株価が乱高下するケースも目立つ。今後〇五年度決算発表が本格化するため、欧州市場の波乱要因になる公算も大きくなっている。

欧州の事情にはあまり明るくないのですが、今後05年度決算発表が本格化というのは日米の感覚からはずいぶん遅いような気がします。それとも、監督官庁に有価証券報告書のようなものを提出するのが今後本格化ということでしょうか?

大手監査法人プライスウォーターハウス・クーパースが欧州の株式運用担当者百八十七人に実施したアンケートでは、IAS導入で五九%が企業実態の透明度が高まっていると回答した。とくにIASに比べて年金債務など開示義務が緩やかだったイタリアやポルトガルの投資家から透明度向上を評価する回答が多かったという。

6割程度なんですね、高まっていると答えた方は。意外と少ないような。あとの4割は変わってないか、悪化ということなのでしょうか。それとも4割はまだ戸惑っている段階ということなのでしょうか。

ただ、影響の表れ方は個別企業で違いが大きい。昨年十一月末にIASベースの〇四年度決算を開示した英家庭修理サービス大手のホームサーブ株は逆に急騰した。合併会計の処理の違いから英基準の赤字から黒字に浮上したからだ。

とりあえず貼っておく

現在眠くて英語読む余裕なし。

アンケートでは二四%がIASの知識に乏しいと回答しており、当面は決算データの解読にとまどう投資家が広がる公算がある。

グラフを見ると逆に12%が強い自信、64%が自信ありと答えており8割弱は自信を持っている模様。なかなか自信家のアナリストたちなのでありました。

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今、、いろいろあって私明日から連絡できなくなっちゃうと思うから…今日お願いなんです

もう最後かもしれないから…お願いします。。

早く最後にしてくれ>伊藤晶子

(追記)
伊藤晶子さんと縁がない方へ
下記あたりを参照ください。
http://3amop.jugem.jp/?eid=490#sequel
http://www.us-vocal-school.sakura.ne.jp/weblog/music_life/archives/000289.html

ぜんぜん最後にならず、今日も8通きました・・・

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会社計算規則 P/Lに「包括利益」事項の表示を容認

会社計算規則 P/Lに「包括利益」事項の表示を容認

3本の法務省令のうち、会社計算規則には、計算省令案のほか、会社法施行規則案・組織再編省令案・持分会社省令案等における計算関係規定がまとめられた。

・・・

このほか、「損益計算書等に包括利益に関する事項の表示を容認している(126条)」ことや、「繰延資産の限定列挙が消滅した」点が注目される。

会社計算規則、ただいま格闘中であります。といっても直接は緊急性を要しない仕事でありますので、職場ではできずに、日曜の2時間くらいを使って細々と読んでいるだけなので一向に進みません。いやパブコメはもちろんのこと、会社法の計算規程すらろくにフォローしていないので余計に時間がかかるのですが。
(しかも組織再編関係と、LLC関係は後回しにしているのになかなか進まない)

さて、先週読んでてびっくらこいたのがこの条文

第百二十六条 損益計算書等には、包括利益に関する事項を表示することができる。

「包括利益」って何?いやそれなりに知っていますけどね。ただ公の文書に出てきたのは初めてではないかと。少なくとも正確な定義はないですよね。パブコメにこんなのありましたっけ?

あ、ひょっとしてこれですか?

8.包括利益(comprehenseive income)とは、特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主、および、将来それらになりうるオプションの所有者との直接的な取引によらない部分をいう。

しかし、これってあくまで討議資料ですよね。この定義でいいの?
実際には、当期利益に「評価・換算差額」の増減を加えたものになるのでしょうか。

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無題

特に通常と比較して忙しかったわけではないのですが、どうも筆が進まず、休日にまとめ書きする気力もなく、先週分は休載とさせていただきます。

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監査辞退の通知、港陽から受ける(2/11 日経)

ドリームインキュベータは十日、同社の会計監査を担当する港陽監査法人(横浜市)から八日付けで「(ライブドア事件の)捜査協力などに追われ、二〇〇六年三月期決算の監査業務を遂行できない」との通知を受けたと発表した。

同日会見した堀紘一社長は「あずさ監査法人など大手法人に監査を依頼したが、多忙などを理由にすべて断られた」と説明。「来週にも金融庁と公認会計士協会に大手監査法人の対応改善に向けた状況打開策を要請する」と述べた。

「監査法人問題」に関する記者会見のお知らせ

格好のネタということで、既にいろいろ書かれています(末尾参照)。
私からはそんなに付け加えることはないのですが、一点だけ。
重箱の隅をつつくような話かもしれませんが、ある意味本質かも。

各  位
株式会社ドリームインキュベータ
「監査法人問題」に関する記者会見のお知らせ

とはじめておいて、途中から

・・・私、堀紘一としては、・・・

となる件について。「私、堀紘一」って、あなた誰?

財務諸表を見ずとも、こういう「会社=俺」的感覚から内部統制環境を疑うに十分かと。

これでも誰か引き受けてくれますでしょうか?

(参考)
はたさんのところ
grandeさんのところ
あかさかさんのところ

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【読書】将棋の子 大崎善生

自分の中では高橋和女流二段の夫として有名な大崎氏。「パイロットフィッシュ」「アジアンタムブルー」は読んでいたが、将棋がらみの本は初めて。もともと「聖の青春」で有名となった方だが、村山聖のエピソードは多少将棋に関心があれば知っている話なので、あえて読むまでもないと思っていたためであろう。

加えて「パイロットフィッシュ」などの作品。春樹チルドレンの一員とも呼ばれているらしい彼の文体と「元将棋世界編集長」という肩書きがどうも一致しなかったのである。「将棋世界」は私のガキの頃の愛読雑誌。読んでいたわりには一向に強くならなかったものの、観戦記を読むのは好きだった。もっとも本書によると、大崎氏が将棋世界編集部に配属されたのは昭和59年。丁度私が読まなくなった頃から。私とはすれ違いのようである。

この作品にたまたま引っかかったのは、図書館の閉館時間ぎりぎりに窓口に行こうとしたらふと目に留まった。それだけのことである。最近「将棋」というキーワードに敏感だということもあるか。

そんな本書、自分の中では中倉彰子女流初段の夫として有名な(こんなんばっかり)中座真現五段の奇跡的な四段昇段シーンから始まる。まったくの他力本願での昇段。運命の女神が微笑んだ。そして同日、運命の女神に背かれた者が四人。愛達治、長田博道、渡辺恭位、瀬川晶司。その9年後、新たなドラマが生まれるが、そのようなことは当然作者も思いもよらぬことである。

この明暗を描いた後、旧知の仲でプロ棋士養成機関である奨励会を脱落した成田英二。彼の人生を中心に奨励会に絡むさまざまな人生のコラボレーションを描く。それは常に日当たりのいい高速道路の大渋滞を突っ走っていった羽生世代ではなく、高速道路から弾き飛ばされた数々の人生・・・

いや、単に弾き飛ばされているだけではない。司法書士となるもの、ブラジルから突然名が聞こえて来るもの。そして長い間底辺を這うも、立ち直りのきっかけを見せる成田。陳腐な言葉だが、人生いろいろ。

そして、彼らを優しく見つめる著者自身についても、幼少の頃の成田とのエピソードがあり、それに自らの人生をもからませる。そして成田との再会後将棋連盟退職。「将棋世界」では書かれることのなかった彼らの人生を書くために

大崎氏が将棋連盟に籍を置いた20年弱の期間。それはまたとない人間ウォッチの機会であったことを知る。「元将棋世界編集長」と「春樹チルドレン」のつながりの一端がやっと少し垣間見えたような気がした。

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【映画】博士の愛した数式

自転車で新たな勤務先に向う若い家政婦。
最終新幹線で別れを惜しんだ相手は結婚できない相手であったらしく、現在は未婚の一児の母。自らの唯一のスキルを利用して生計を立てる生活。

家政婦の新たな勤務先。
老いた数学者。
かつては2年の月日が流れ去ってもベージュのコートとルビーの指環を忘れなかった彼も、現在では80分しか記憶が持たないらしい。

そして、「一児」は成長し数学教師となり、生徒相手に博士との交流を語るとともに、原作の一つのテーマであった数学の美しさを簡易に表現する役割を担っている。

原作の一部、そしてエンディングを大胆にカットし、原作に登場しない成長後の「一児」を登場させる冒険を試みたわけだが、これが成功している模様。エピソードを盛り込みすぎると、この映画の持つテンポが崩れてしまう。原作のエンディングを忠実に再現すると「私の頭の中の消しゴム」とかぶってしまう。うまく仕上げていると思う。

ラスト、講義を終えた数学教師が、回想シーンに飛び込んでいく。それを見つめる家政婦の母と、義姉。それを見て思った。

「おお、満男とリリーさんの再会だ」
天国の寅さんの話でもしているのだろうか・・・

(レトロネタばかりで、全然映画の話になっていない・・・)

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ライブドアに融資、百億円返還要求 ライブドアオート

ライブドアに融資、百億円返還要求 ライブドアオート

ライブドアが、昨年9月に約135億円をかけて子会社にした中古車販売大手のライブドアオートから昨年12月に計100億円を借り、最近になって早期返済を求められていることが分かった。ライブドアはこの資金を別のグループ会社に貸し付けており、グループ内で資金を回していたことが明らかになった。

ああ、どうしよう。うちの親会社も確か「キャッシュマネジメントシステム」とかそそのかされて、余剰資金のある子会社から資金を吸い上げて、資金不足の子会社へ貸し付けていたっけ。これも「グループ内で資金を回してた」ことになるのかな。朝日新聞にばれたらどうしよう・・・

#ネタ書いている余裕がなくなるとすぐこの方向に走ってしまう。悪い癖だなぁ。

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会計処理にばらつき(日経金融 日付メモ失念)

自己資金投資が成果を挙げつつある一方で、各社の会計処理にはばらつきがあるという問題点が浮上してきた。投資家などには「比較が困難で、実態が見えにくい」といった声も出始めている。


既にいくつかのサイトで紹介されていますが、各証券会社が特別目的会社(SPC)を用いての投資を連結決算上どのように扱っているかが証券会社3社まちまちであるということです。

野村ホールディングスは米国基準適用会社であるため、事情が異なります。エンロン事件の反省から、SPC連結に関する基準が大幅に変わりました。「誰が主に利益を享受(損失を負担)するか」という観点から連結の範囲が決定されます。たとえエクイティとしての出資が少額でも、連結の対象となる可能性があるわけです。

したがって、野村が主導して組成したSPCは基本的に連結の範囲内になります。そしてそのSPCが保有する企業についても連結の対象となってしまいます。野村の連結財務諸表にミレニアムリテイリングが含まれる、つまり野村の連結売上高の中にはそごうや西武百貨店の売上高も含まれているというわけです。


一方、日本基準では投資育成目的であることが明らかである場合には、たとえその企業体を支配している実態があっても、投資対象を連結決算に含めなくてもいいことになっています。大和、日興はこれに従うことになります。

ただ、大和と日興の会計処理も異なっています。大和は投資育成目的であるのはあくまで投資先企業であってSPCではないとの立場から、SPCを連結、投資先企業を連結対象外としているようです。したがって、SPCが持っている投資先企業の株式の帳簿価額相当が大和の連結財務諸表に計上されていることになります。

日興はSPCも投資育成目的として、連結対象外としているようです。連結財務諸表上はSPCに対する投資額のみが計上されることになります。

どの処理が適切なのか、いろいろあるところでしょう。日興の処理の問題点を指摘する声もありますが、一方野村の売上高にそごうの売上高が含まれている現状もまた、私にとってはしっくり来ないのです。

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連結対象を厳格化 国際会計基準理(2/7 日経金融)

国際会計基準(IAS)を作る専門家組織の国際会計基準理事会(IASB)は、上場企業の連結決算の対象範囲を厳格にする方向で見直す。企業グループのお金の流れの実態を正しく開示するためには、特別目的会社(SPC)などの会計処理を厳密にする必要があると判断した。日本の企業会計基準委員会もライブドア問題を受け、連結ルールの明確化に動き出す方針で、日本の議論に影響する可能性もある。

IASBのサイトを見てもそれらしきことは書いていないので詳細は分かりませんが、本当だとすると日本にとってはタイムリーなネタですね。

この動きが本当だとすれば、おそらく米国の基準がベースになるかと思います。日本でもSPCの会計基準整備の動きがあり、当然このIASの動きを横目で見ながらということになるでしょう。

SPCの会計基準は、EUから指摘を受けているIASとの大きな差異の一つでした。これは米国も指摘されたことでした。これらが一体で動き始めると、国際的な会計基準収斂の動きは大きな一歩を踏み出すことになるでしょうね。

簡単ですが、本日はここまで。

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IASB publishes convergence proposals on segment reporting

IASB publishes convergence proposals on segment reporting


19th Jan 2006

The International Accounting Standards Board (IASB) today published for public comment proposals to improve segment reporting. The proposals are set out in an Exposure Draft of an International Financial Reporting Standard (IFRS) ED 8 Operating Segments.

本年はしばらく離れていたIFRS(国際財務報告基準、一般的にはまだ国際会計基準のほうが通りがいいか)の動きを追って行きたいと思っています なんていいつつ、1月から早くも乗り遅れています。追いつかなければ!というわけでいささか旧聞ではありますが、取り上げたいと思います(ざっとさわりを読んだだけですが)。

いわゆるセグメント情報の開示についての基準の改訂案です。セグメント情報とは、企業の業績を、事業区分別に開示するものですが、この区分の方法が国際財務報告基準と米国基準では現状大きく異なっています。

米国基準では「マネジメント・アプローチ」といった考え方が採られています。マネジメント、すなわち経営陣が業績管理上使用している区分をそのまま利用し開示を行うというものです。業績管理が商品区分ごとに行われているのであれば商品区分ごと、地域ごとに行われているのであれば、地域ごとの業績を開示するという仕組みになっています。

一方国際財務報告基準では、「事業ごとの区分」「地域ごとの区分」を両方定める必要があります。そしてどちらかの区分をprimary segmentsとして、より詳細な開示を求めることにしています。

今回公開された草案では、国際財務報告基準でも「マネジメント・アプローチ」を採用する、すなわち米国側に歩み寄ることを提案したのものです。

これに伴い、primary、secondaryという区別はなくなり、1種類のセグメントに統一されます。また、経営情報の公開という趣旨からか、大部分が社内向け売上で構成されているセグメントも、報告すべきセグメントとして認められるようになります(従来は、原則として外部向売上がある部門のみが対象であった)。さらに、経営者が使用してる数値を開示するというのが趣旨ですので、セグメント業績を測定する上で厳密に会計原則に従う必要はなくなるようです。(ただしどのように測定したのかを開示する必要がある)


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大河内清輝さんのお父さん

NHK将棋トーナメント、渡辺×山﨑の大熱戦をビデオ鑑賞後、教育テレビに映された画面。

いつの間にか重松清さんがインタビューをしている。
インタビュー相手は大河内祥晴さん。
故大河内清輝さんのお父さんである。

大河内清輝さん。
12年前(もうそんなになるのか!)にいじめを苦にし、遺書を遺して自ら命を絶った。享年13歳。

悲劇の後、いじめをしたメンバーととことん向き合った。そして、悲劇を繰り返すまいと、自ら住所を公開し、同じ悩みを持つものから手紙を募る。そして、全国講演行脚し続ける。定職の傍ら。

重松氏が問う
「私の娘がいじめにあって自殺などしたら、その首謀者がたとえ命日に手を合わせに来ても絶対許すことはできない。殺したいとさえ思うだろう。そんな感情はないですか?」

大河内氏
「そんな感情はないですね。清輝の分まで生きて欲しいと思いますね。」

(注:記憶によるものなので会話の内容は正確ではないです)

淡々と語る大河内氏。ここまでの心境に至るまでにどれだけの苦悩と行動があったものか。それを思わせるだけに、この言葉は重い。

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四日分かった・・・って誰が?

ライブドア 500億円社債引き受け 業務の柱は投資(2/5 神奈川新聞)

ライブドアグループが、昨年のニッポン放送株争奪戦の際に、多額の利益を得た外資系証券会社の手法をまねて、特殊な転換社債を昨年五月から半年あまりの間に五百億円超引き受けていたことが、四日分かった。

ライブドアネタに戻ります。ただ問題はライブドアではなく・・・

もう一つ、ちょっと前にラーメン屋においてあった新聞に書いてあった記事ですが

ライブドアグループの証券取引法違反事件による株価暴落で大損害を被った株主が、個人単位でもライブドア本体、堀江貴文容疑者(33)ら経営陣、監査役らを相手取った損害賠償請求訴訟を簡単に起こせることが26日、分かった。

いままで、私は新聞の「~が、○日分かった」というのは、いままで闇に隠されていた情報が、検察の捜査や、マスコミの取材で明るみに出たことを言うのかと思っていました。しかし、どうも違うらしいのです。

なぜなら、ライブドアがMSCBの引き受けを行っていたことは、ちょっと調べればすぐに分かることです。また法律の事はよく分かりませんが、訴訟法がここ最近大改正したわけではなさそうですから、損害賠償請求を起こせることは、これも公知の情報といえましょう。

ってことは、「~が、○日分かった」ってのは、書いた記者がそのことを理解した日、取材した日、勉強した日、それくらいの意味しかないことになります。この情報を読者に向って表現するということは、あたかも自分が知らないことは読者も知らないはずだ、といわんばかりではないでしょうか?

もちろん記者だって知らないことは多くて当然かと思います。自分が勉強して分かったことを読者に報告する。それも大事な機能でしょう。ただそれならそれなりの表現方法があるかと思います。

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改正企業会計基準第2号 「1株当たり当期純利益に関する会計基準」ほか

改正企業会計基準第2号
「1株当たり当期純利益に関する会計基準」、
改正企業会計基準適用指針第4号
「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」及び
改正実務対応報告第9号
「1株当たり当期純利益に関する実務上の取扱い」の公表

 企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)では、会社法(平成17年法律第86号)の公布及び企業会計基準第4号「役員賞与に関する会計基準」等の会計基準等を当委員会が公表したことに伴い、当委員会が平成14年9月25日に公表した企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」(以下「改正前基準」という。)及び企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」(以下「改正前適用指針」という。)並びに平成15年3月13日に公表した実務対応報告第9号「1株当たり当期純利益に関する実務上の取扱い」(以下「改正前実務対応報告」という。)について、所要の改正を行うために検討してまいりましたが、平成18年1月24日の第97回企業会計基準委員会において、標記の企業会計基準(以下「改正基準」という。)、企業会計基準適用指針(以下「改正適用指針」という。)及び実務対応報告(以下「改正実務対応報告」という。)を承認しましたので公表いたします。

こちらは、確定基準の公表です。

会社法施行、ストックオプション会計基準、そしてそれにかこつけた純資産の定義の変更など、激動しています貸借対照表の右下部分。その激動にあわせて、1株あたり純利益(以下EPS)の計算も整理しましょう、という改正です。


新旧対応表も公開されています。読んで見ると一見大量ですが、ほとんどが用語の修正であり、実務で変わるところはそう多くないはずです(ここでの実務はあくまで「計算」の実務という意味です)。

実務的に変わるところは、次の部分かと思います。

①役員賞与の扱い

従来(といってもここ2年くらいですが)、EPS計算における分子となる「純利益」からは役員賞与の額を控除していました。もともとEPSの趣旨は、株主が自分たちに配分されうる利益がどれくらいあるかを計算することにあります。役員賞与の支払額は会計上の純利益には費用として含まれていませんでした。株主が配分を期待できる額の中に、明らかに役員に渡ってしまい、配分されない金額があるのは不都合であることから、EPSの計算に当たっては、純利益の金額から役員賞与の額を控除していたわけです。

今回の会社法改正、および会計基準の改正により、役員賞与は明確に会計上の費用として認識されることになりました。すなわち「純利益」の計算に最初から含まれることになったため、今までやっていた調整が不要になった、というわけです。

②純資産の定義

先般の会計基準の改訂により、「純資産」の定義が変更されました。「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」「少数株主持分」との4区分に区分されることになりました。1株あたり純資産を算出するに当たって、純資産の額から「新株予約権」および「少数株主持分」を控除することになりました。もともと「純資産」に含まれていないものですので、この部分については影響はありません。ただし「純資産」の計算に含めることになった「評価・換算差額等」の中に「繰延ヘッジ損益」が含まれており、これは従来純資産に含まれていない部分であったので、この部分のみが従来との連続性がないことになります。

③未公開子会社のストックオプションの扱い

潜在株式調整後のEPSを計算する際に、行使価格が期中平均株価を下回っているストックオプションはすべて行使されたものと考えて計算します。それは子会社のストックオプションについても同様です。子会社のストックオプションが行使された場合、親会社の持分が減少しますので、連結としては純利益が減少します。その減少分は潜在株式調整後のEPSの計算に当たって考慮しなければなりません。
従来は、そのなかで未公開子会社のストックオプションについては、平均価格の算定が難しいとのことから考慮しなくてもいいことになっていました。ところが、最近公表されましたストックオプション等に関する会計基準により、未公開株式に係るストックオプションについても原則として公正価値による費用認識が求められることになったことに伴い、未公開株式であっても処理を区分することをしないこととしたものです。

まあ、そうは言っても未公開株式の期中平均株価をどうやって算出するのかという問題がありますが・・・

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企業会計基準適用指針公開草案第15号 「その他の複合金融商品(払込資本を増加させる可能性のある部分を含まない複合金融商品)に関する会計処理(案)」の公表

企業会計基準適用指針公開草案第15号 
「その他の複合金融商品(払込資本を増加させる可能性のある部分を含まない複合金融商品)に関する会計処理(案)」の公表

企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)では、企業会計審議会から公表された「金融商品に係る会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)及び日本公認会計士協会から公表された「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品会計実務指針」という。)が定めるその他の複合金融商品の会計処理について、公表時には想定されていなかった物価連動国債などに対しては必ずしも適当ではないのではないかという意見を踏まえ、現行の金融商品会計基準の下で、その他の複合金融商品を適用する際の指針について見直しを検討してまいりました。 今般、平成18年1月24日の第97回企業会計基準委員会において、標記の適用指針の公開草案(以下「本公開草案」という。)の公表を承認しました。 

1/27公表の公開草案の3本目です。

要は

27.前項で示した物価連動国債について、組込デリバティブのリスクが現物の金融資産の当初元本に及ぶ可能性が低いといえるものとして区分処理せず、その他有価証券とした場合には、他の債券と同様に、まず償却原価法を適用し、その上で償却原価と時価との差額を評価差額として処理する(金融商品会計実務指針第74項)

これを一般論で言いたいがためにずいぶん回りくどく、かつ難解な基準になっているようです。いろいろな記事の受け売りによると、物価連動国債を購入した場合の会計処理が複雑で、それが販売不振の原因となっていとの指摘を受け、企業会計基準委員会が改めてあるべき処理を検討して出てきた公開草案であるようです。


そもそも、物価連動国債が属すると思われる「組み込みデリバティブ」の会計処理について、「金融商品会計に係る実務指針」の規定では、以下の条件すべてを満たす場合については、元の金融商品(この例では国債部分)とデリバティブ部分(この例では物価連動部分)につき区分処理することになっています(同188項)

①組み込みデリバティブのリスクが現物の金融資産または金融負債に及ぶ可能性があること。
②組込デリバティブと同一条件の独立したデリバティブが、デリバティブの特徴を満たすこと
③当該複合金融商品について、時価の変動による評価差額が当期の損益に反映されないこと。

そして、組込デリバティブを区別して測定することができない場合には、全体で時価評価し評価差額を当期の損益に計上することになっています(同194項)


これらの細かい定義は長くなるので省きますが、物価変動国債の場合は、物価が変動することにより元本が変動する可能性があるわけですから①の要件は満たします。物価連動という一定の指数に基づいて上下するので、デリバティブとしての要件も満たします。そして、トレーディング目的で保有していなければ評価差額を当期の損益として計上する必要がありませんので、その場合は③の条件を満たします。

こうして①~③の条件が満たされた場合、デリバティブの部分を区分して処理するか、あるいは一括で時価評価し時価変動額を損益として処理するかどちらの選択を迫られるわけです。

この会計処理に関し、「区分は不可能だし実態には合っていない」、「長期保有を目的としているのに、毎期時価評価損益が発生するのはおかしい」などという批判が上がっているようです。

こうした現在の基準に対して、この公開草案ではどのような手当てがなされたかということですが、

現在の基準では、預金、債券等に金利に係るデリバティブが組み込まれた場合、現物のの経済的性格とリスクが密接な関係にあるため、通常デリバティブのリスクが現物に及ぶ可能性はない、と考えられていますが(同191項)それでも元本が毀損する可能性が少しでもあれば、リスクが現物に及ぶ可能性ありと判断されてしまいます(同)。

そこで、まず「金利に係るデリバティブが組み込まれた場合」の「金利」に「物価指数」もその範疇に加えた上で、次の文言を挿入しました。

ただし、契約上、当初元本を毀損する可能性があっても、組込デリバティブのリスクが現物の金融資産又は金融負債の当初元本に及ぶ可能性が低いといえるものについては、組込デリバティブのリスクが現物の金融資産又は金融負債におよぶ可能性はないものとして取り扱う(公開草案第6項)。

そして、物価連動国債については

この際、政府によって平成16年から発行されている物価連動国債(10年債)は、これまでの消費者物価指数の動向等を踏まえ、一般に、組込デリバティブのリスクが当初元本に及ぶ可能性は低いと考えられる(同26項)

と結論付けています。

と、いろいろ理論構成しているのですが、最終的には

「まあ、物価は安定しているんだから、いいじゃないか」

と、言っているようにも見えます。


なお、日経等の報道によりますと、米国では区分処理する必要がない、とされているようですが、大和証券吉井氏稿では、

・区分処理の条件として「保有者が、当初計上された投資額の実質的に全額を回収しないであろうような方法により、契約上決済されうること」とあること。

・「米国のインフレ債券は、わが国の物価連動国債と異なり、契約上の元本が額面を下回ることのないスキームとなっている模様」


とのことです。「決済されうる」のは「うる」なので、米国基準につき本当に報道どおりなのかはやや疑問です(現在原文に当たれない環境なので正確なことはいえませんが)。

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