FASF設立5周年記念講演会-資本市場のグローバル化と財務報告-
FASF設立5周年記念講演会-資本市場のグローバル化と財務報告-
前のエントリで、米国会計基準審議会(FASB)と企業会計基準委員会(日本)(ASBJ)が協議を開始したことを紹介しましたが、そのついで?に、FASBのメンバーの記念講演会が開催されました。
FASF設立5周年記念講演会-資本市場のグローバル化と財務報告-の開催について
当財団では、財団設立5周年記念事業の一環として、我が国の市場関係者に国際的な会計基準の最近の動向を身近に感じていただけるよう、第1回定期協議のために来日するFASB議長のロバート・ハーズ氏及びFASB委員のマイケル・クルーチ氏を迎えて、下記の要領で「資本市場のグローバル化と財務報告」と題する記念講演会を開催することと致しました。つきましては、諸事ご多用のことと存じますが、多数ご出席くださいますようご案内申し上げます。
このロバート・ハーズ氏の講演、まとめようとしていたところ、実はFASBのサイトに全文が掲載されているようです。「ようです」と書いたのは、ヘタレな私は同時通訳の方に耳を傾けていたため、英語でどう言っていたかは定かではないからです。
Tokyo International Conference May 19, 2006
On behalf of my fellow Board member Michael Crooch, our Director of Major Projects, Sue Bielstein, and myself, let me say how wonderful it is to be here. It is emblematic of our commitment to work with other standard setters around the world to both converge and improve accounting and reporting standards. And certainly we view the ASBJ as a key accounting standard setter given the importance of your economy and capital markets.
から、始まるこの講演。原文があると分かったらまとめるのが面倒になったので(笑)、興味のある方は原文を読んでください。来日スピーチですので、基本的には日本との協議開始について歓迎するというスタンスで話されています。根気の要る作業で、痛みも伴うかもしれないがとにかくやっていこうと。
次に、FASB委員のマイケル・クルーチ氏の「FASBの最近の活動状況」について。以下の活動について言及されましたが、とくに目新しい情報はなかったかとおもいます。
・概念フレームワークの改訂
分かりにくい部分、それぞれ矛盾する部分の改定を行っているとのこと。
・企業結合について
IFRSとの共同提案につき、全部のれんの計上(部分のれんからの変更)、買収費用の処理(取得価額処理から期間費用処理への変更)、少数株主持分の表示(明確にequityの一部として認識する)などの説明がありました。
・財務諸表の表示について
当期純利益を表示するのか、表示するのであれば包括利益との関係をどのように表示するのか、というあたりが論点となっているとのこと。決定しているのは期首のB/Sの表示を強制することであるそうな。つまり、規制当局が連続した2期間の財務諸表の開示を求めている場合、3種類(前期期首、前期=当期首、当期末)の貸借対照表が必要となるということになるのであろう。
そして、コンバージェンスについては、プロセスはうまくいっているものの、あまりに歩みが遅い、というコメントを発されていました。個人的には思ったよりテンポ良く進んでいると思っているのですが・・・。
最後はわが国ASBJ斎藤委員長のお話。日本におけるコンバージェンスの取り組みと、1年半くらい前に出た討議資料「財務会計の概念フレームワーク」についてのお話。日本のコンバージェンスの取り組みについてはこのブログでも何度か取り上げているので省略。討議資料についてはかなり前のエントリで紹介しております。今回改めてということになったのは、コンバージェンスの検討には概念フレームワークの明確化が不可欠という立場から、基本概念専門委員会というのが発足し、あらためて真剣に検討しましょうということになったからでしょう。これについてはこれからネタがいろいろ出てくるかと思います。
(written on May 28)
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