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熊本に来ています

出張中ですが、午前様を覚悟していた仕事が、あっさり19時30分くらいに終わってしまい、かなり拍子抜け。熊本の担当者と飲みに行き、現地のホテル到着。さんざん飲んだのにまだ11時ではないか。

しかし、このホテル。ロビーでネット接続パソコン使い放題なのに、一向に順番待ちとならない。自分でパソコンを持ってきて部屋でアクセスしている人が多いから(ここは全室LANの穴が開いている模様)かもしれないのだが。とにかく個人的には有難いことである。

ラーメン屋2件は巡ろうと思っていたのですが、想定外の飲み会が入ってしまったため、昼食代わりの1件のみ。それも「桂花」。桂花はどこまでも桂花であり、地元であろうとも変わらない。値段が若干安めであるが。

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【読書】ライブドア監査人の告白

ライブドア監査人の告白

つい買ってしまいました。
まだ読了していませんが、赤裸々な記載が興味深いです。

が、

これって守秘義務違反にならないのでしょうか?
ご本人は公認会計士資格を返上するとおっしゃっていますが・・・

(秘密を守る義務)
第二十七条  公認会計士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。公認会計士でなくなつた後であつても同様とする。

返上してもその義務は残るわけです。

第五十二条  第二十七条(第十六条の二第六項において準用する場合を含む。)又は第四十九条の二の規定に違反した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2  前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

まあ、告訴される可能性は低い(堀江氏が告訴する可能性は?)からいいという事なのでしょうか?なんか釈然としません。(だったら買うなといわれそうですが)

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会計基準に揺れるROE(5/17 日経金融)

・・・ただ、経営成績や財務体質が適正でも当てる物差しが変われば企業像も変化することはある。典型が会計基準だ。今月施行された新会社法に基づき、会計基準にはいくつかの変更点が待ち構えている。

多くの企業に影響を及ぼす変更点の一つが「少数株主持ち分」の扱い。今月以降に決算期末を迎える企業の貸借対照表では「資本の部」(株主資本)が廃止され、代わって「純資産の部」が新設される。従来「負債の部」に計上していた新株予約権のほか、負債と資本の中間に位置していた少数株主持ち分も、純資産に含まれるようになる。

これは、資本と負債を明確にする国際的な流れに沿った改訂とされる。だが、株主資本利益率(ROE)にはマイナスの影響が出かねない。少数株主持ち分などを含む新基準の純資産は、現行の株主資本より多くの項目を含むため、通常は金額が膨らむ。ROEの絶対水準が切り下がり、日本企業の魅力を乏しくさせかねないわけだ。「外国人投資家はとくにROEを重視するため、大幅に低下する銘柄には悪材料」との指摘があった。

東証一部上場企業を対象に、影響額が大きい少数株主持ち分に絞って「純資産」を試算してみた。それによるROEの変化が左の表だ。ROE低下幅の大きい五十銘柄でポートフォリオを組むと、昨年対比の投資リターンは足元でマイナス五.一%。東証株価指数(TOPIX)を七ポイントも下回る。

会計基準の変更ででROEが変わってしまうとのこの記事。引用はしませんが、具体的にROEの変動が予想される企業の表を掲げています。これらの株式のパフォーマンスは平均より下回っている、とのことですが・・・

あげられている企業は某スーパーとか、某ハウジング会社とか。これって、過去累損を重ねてきた会社で、株主資本自体がものすごく弱っているのではないかと。すなわち、単に過小資本だから株価のパフォーマンスが悪いだけ、というような気がします。分母がもともと小さいと分母が動いたときのインパクトが巨大になりますからね。

こうしてただでさえ個人的には胡散臭いと思っている指標であるROEがさらに少数株主持ち分によって暴れるということになると、さらに使いにくい指標になりますね。少数株主のいる会社に大損を出させれば、少数株主持分が減少し、純資産は減少するけど、連結純利益は少数株主損失分は含まれなくて底上げされる。これぞ究極の「分母対策」(これが言いたかっただけなんですけど・・・)。

もっとも、この記事中にもあるのですが、決算短信や、有価証券報告書に記載されるROE(自己資本利益率)の定義は、従来のものと変わらないものになります(正確に言うと若干違うのでまた面倒なのですが)。連続性は途切れないという建前です。変えないために「自己資本」という定義を新たに作りました。とはいえ実務家にとっては(利用者にとってもかと思いますが)純資産≠株主資本≠自己資本という定義は甚だ複雑であり面倒だなというのが率直な感想です。

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見かけの業績、株価かく乱(2)

見かけの業績、株価かく乱(2)

旭化成株をめぐり、誤解に基づく株価の波乱があったのは九日から十日にかけてのことだ。・・・

誤解の元は「年金数理差異の償却」。これまでは発生した翌期に一括計上していた差異を、今期から十年間での定額償却に変更。結果として、事前の予想で二百億円程度になると見られていた年金による利益上乗せ効果が、実際には二十五億円にとどまってしまったのだ

以前取り上げましたが、旭化成は保険数理上の差異の償却年数を1年でやってきました。これは2003年3月期から変更した処理です(同期の決算短信のp19参照)

今回の変更につき、決算短信(p26)では以下のように書かれています。

当社及び一部の国内連結子会社は、従来、退職給付会計における数理計算上の差異をその発生の翌連結会計年度に1年間で費用処理してきた。しかし、当初想定した範囲を上回る国内外の株式市況の高騰、下落などを背景に、毎期多額の年金資産運用の利差損益(数理計算上の差異)が発生した。数理計算上の差異を1年間で費用処理することにより、営業費用に多額の数理計算上の差異に係る費用処理額が含まれることとなった結果、営業利益、経常利益、当期純利益の変動要因の相当部分を数理計算上の差異に係る費用処理額が占める状態になっている。このため、利益水準の変化が必ずしも事業業績の動向・評価を端的に表さないこととなり、表示の明瞭性から望ましくない状況を招いている。
また、数理計算上の差異を長期間で費用処理する方法を採用することにより、株式市況の高騰、下落に起因する年金資産運用の利差益、利差損を長期的に相殺する効果が生じるが、近年の年金資産運用の利差損益(数理計算上の差異)の発生状況を鑑みると、数理計算上の差異を長期安定的に費用処理していく本来の退職給付会計の考え方に、より適合する経済環境になってきている。

前段は何を今更、という感じです。株式市況が想定の範囲で推定すれば苦労はありませんて。だからこそ、遅延認識という会計処理を認めているわけでして。3年で会計処理を元に戻す理由としては極めて弱いかと。
後段も同様。「より適合する経済環境」とはいったい何なのか。株価が乱高下する時代になったということでしょうか?説明が欲しいところですな。意地悪ですが。

まあ、過去の過ちを正したのだ、と前向きに評価しましょう。

もっとも以前の記事で書いたとおり、国際的には保険数理上の差異の遅延認識というものは廃止される方向で検討が進んでいるようです。現在の有価証券評価損益と同様の扱いとなる(実際IFRSではその処理もすでに認めています)というのが最終的な落としどころであると思っているのですが、こうなったら日本の資本の部、おっと失礼、「純資産の部」に多大な影響を与えるでしょうね。

(written on May 28)

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見かけの業績、株価かく乱(5/19 日経金融)

十八日の日経平均株価は一時、約二カ月ぶりに一万六〇〇〇円を割り込んだ。米国株の急落が投資家心理を冷やしたのが直接の原因だが、期待の高かった企業業績に不透明感が漂い始めたのも響いている。十八日時点の日本経済新聞社の集計では、二〇〇七年三月期の予想連結経常増益率はわずか一・二%。株価押し上げどころか、下支えとしても力不足に見えてしまう。
 だが、会計上の技術的な要因で表向きの予想数字が実態を反映していない企業がある点には注意が必要だ。決算発表シーズンに入って「会社側の予想が事前の市場予測を上回れば買い、下回れば売り」といった機械的な事例が目立つが、表面上の数字だけに着目した誤解に基づく株式売買では、やけどを負うことにもなりかねない。

槍玉に挙げられているのは二社。

新日本製鉄が先月二十八日に発表した今期の予想連結経常利益は、前期より八百七十四億円少ない四千六百億円。だが、前期に八百三十億円あった評価益を今期は見込んでいない。つまり減益の大半は会計上の要因だ。設備改修費など一過性の費用も加味すると、新日鉄は実質的に増益の予想を出したことになる。

ということなので、決算短信を見てみたのですが、今期多額の評価益が出ている旨の記載は見当たりませんでした。そこで決算発表資料のほうを見てみますと、6ページのグラフの説明において「上期原料キャリーオーバー+200、在庫評価差+400、下期在庫評価差+180」との記述があります。キャリーオーバーと在庫評価差の違いがよく分からない、830億円すべてが在庫評価益ではなさそう、などの疑問はありますが、まあ記事の内容に大差はなさそうです。プレゼンで発表しているからいいのかもしれませんが、短信でまったく開示がないというのは若干不親切である印象を受けます。すくなくともセグメント別に一過性のものがいくらであるのか、というのは発表資料からでは分かりません(まあほとんど鉄鋼分野であることは推定できますが)。

いろいろ書こうと思ったのですが、ちょっとまとまらないので備忘としていったん上げておきます。

(written on May 28)

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FASF設立5周年記念講演会-資本市場のグローバル化と財務報告-

FASF設立5周年記念講演会-資本市場のグローバル化と財務報告-

前のエントリで、米国会計基準審議会(FASB)と企業会計基準委員会(日本)(ASBJ)が協議を開始したことを紹介しましたが、そのついで?に、FASBのメンバーの記念講演会が開催されました。

FASF設立5周年記念講演会-資本市場のグローバル化と財務報告-の開催について

当財団では、財団設立5周年記念事業の一環として、我が国の市場関係者に国際的な会計基準の最近の動向を身近に感じていただけるよう、第1回定期協議のために来日するFASB議長のロバート・ハーズ氏及びFASB委員のマイケル・クルーチ氏を迎えて、下記の要領で「資本市場のグローバル化と財務報告」と題する記念講演会を開催することと致しました。つきましては、諸事ご多用のことと存じますが、多数ご出席くださいますようご案内申し上げます。

このロバート・ハーズ氏の講演、まとめようとしていたところ、実はFASBのサイトに全文が掲載されているようです。「ようです」と書いたのは、ヘタレな私は同時通訳の方に耳を傾けていたため、英語でどう言っていたかは定かではないからです。

Tokyo International Conference May 19, 2006

On behalf of my fellow Board member Michael Crooch, our Director of Major Projects, Sue Bielstein, and myself, let me say how wonderful it is to be here. It is emblematic of our commitment to work with other standard setters around the world to both converge and improve accounting and reporting standards. And certainly we view the ASBJ as a key accounting standard setter given the importance of your economy and capital markets.

から、始まるこの講演。原文があると分かったらまとめるのが面倒になったので(笑)、興味のある方は原文を読んでください。来日スピーチですので、基本的には日本との協議開始について歓迎するというスタンスで話されています。根気の要る作業で、痛みも伴うかもしれないがとにかくやっていこうと。

次に、FASB委員のマイケル・クルーチ氏の「FASBの最近の活動状況」について。以下の活動について言及されましたが、とくに目新しい情報はなかったかとおもいます。

・概念フレームワークの改訂
分かりにくい部分、それぞれ矛盾する部分の改定を行っているとのこと。

・企業結合について
IFRSとの共同提案につき、全部のれんの計上(部分のれんからの変更)、買収費用の処理(取得価額処理から期間費用処理への変更)、少数株主持分の表示(明確にequityの一部として認識する)などの説明がありました。

・財務諸表の表示について
当期純利益を表示するのか、表示するのであれば包括利益との関係をどのように表示するのか、というあたりが論点となっているとのこと。決定しているのは期首のB/Sの表示を強制することであるそうな。つまり、規制当局が連続した2期間の財務諸表の開示を求めている場合、3種類(前期期首、前期=当期首、当期末)の貸借対照表が必要となるということになるのであろう。

そして、コンバージェンスについては、プロセスはうまくいっているものの、あまりに歩みが遅い、というコメントを発されていました。個人的には思ったよりテンポ良く進んでいると思っているのですが・・・。

最後はわが国ASBJ斎藤委員長のお話。日本におけるコンバージェンスの取り組みと、1年半くらい前に出た討議資料「財務会計の概念フレームワーク」についてのお話。日本のコンバージェンスの取り組みについてはこのブログでも何度か取り上げているので省略。討議資料についてはかなり前のエントリで紹介しております。今回改めてということになったのは、コンバージェンスの検討には概念フレームワークの明確化が不可欠という立場から、基本概念専門委員会というのが発足し、あらためて真剣に検討しましょうということになったからでしょう。これについてはこれからネタがいろいろ出てくるかと思います。

(written on May 28)

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SEC、中小にも適用へ 内部統制ルール(5/22 日経)

米証券取引委員会(SEC)は企業改革法の柱である内部統制ルールについて、大企業に比べて費用負担が過大として焦点になっていた中小企業にも例外なく適用する方針を発表した。中小企業へのルール適用緩和や免除を訴える提案が諮問委員会から出ていたが、事実上却下した。SECは近く、規則を適用する際のガイドラインを企業に示す。

最近の報道などを見て、中小企業への適用緩和は既定の流れかと思っていたのですが、どうもそうではなかったようです。日本ではもともと中小企業への適用緩和という話はないようですが、多少なりとも期待していた方は落胆でしょうし、逆に商売につなげようという方には朗報でしょうね。

と、取り急ぎ備忘のみ

SECのプレスリリースはこちら

(written on May 25)

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企業会計基準委員会と米国財務会計基準審議会がグローバル・コンバージェンスを目指して協議を開催

企業会計基準委員会と米国財務会計基準審議会がグローバル・コンバージェンスを目指して協議を開催

5 月18 日及び19 日、企業会計基準委員会(ASBJ)と米国財務会計基準審議会(FASB)は、国際的なコンバージェンスを目指した相互の対話を促進するため、それぞれの代表者による協議を東京で開催いたしました。この協議は今後定期的に開催される予定であり、今回の協議はその第一回目であります。

これ以下の内容を見ると、お互いの自己紹介というような感じで、あまり具体的にどうこうといった話はできていないようですが、何はともあれ対話にこぎつけたということで画期的なことなのでしょう。IASBとの対話も回を重ねるうちにそれなりの成果が出ている(といっても日本側が歩み寄る話がほとんどですが・・・)ようですので、次回あたりからは具体的にどの会計基準を槍玉に挙げようかという話が決まってくるのでしょう。

この協議のあと、FASBメンバーを囲んだセミナーが開かれていますが、これについては別稿で。

(written on May 25)

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「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の公表(2)

「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の公表(2)


前稿の続きです。この基準ですが、一方で以下のように明記されています。


その場合であっても、次に示す項目については、当該修正額に重要性が乏しい場合を除き、連結決算手続上、当期純利益が適切に計上されるよう当該在外子会社の会計処理を修正しなければならない。なお、次の項目以外についても、明らかに合理的でないと認められる場合には、連結決算手続上で修正を行う必要があることに留意する。

「その場合」とは、IFRSや米国基準を適用している子会社の財務諸表をそのまま連結する場合のことです。日本基準とあまりに大きな差異がある項目については見過ごせないというわけで、ある程度の日本基準の矜持を保っているわけです。例示としてあげられているのは以下の6項目です。

1.のれんの償却

有名どころです。IFRSと米国基準ではのれんは償却せず、毎期減損テストを行い、減損していると認められた金額を損失計上するというもの。対して日本基準では、毎期定期的に償却する(ただし減損に係る会計基準の適用あり)ことになっています。米国で計上されたのれんについても定期的な償却が求められるというわけです。

2.退職給付会計における数理計算上の際の費用処理

IFRSでは、退職給付会計における数理計算上の差異、すなわち見積りの差額につき、損益計算書を通さずに、一括して利益剰余金の加減算項目として計上することを認めています。日本基準ではこの差額は一定の年数をかけて損益に計上していくことになっていますので、その差額分につき損益を修正する必要があります。これは損益の差は永久に整合しないことになります。

3.研究開発費の支出時費用処理

IFRSでは、資産性のある研究開発費については無形資産として計上することとなっています。日本基準(米国基準もですが)では資産性があるかないかなど区別できないので、すべて費用処理することになっています。

4.投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価

IFRSでは、投資不動産の評価について、時価(公正価値)評価を原則とする一方、取得価額で評価し、公正価値を注記するという方法も認めています。日本基準(米国基準でも)では投資不動産に関する特段の基準はありませんので、通常の固定資産同様、土地については取得原価、建物については償却後原価で評価することになります。

また、IFRSでは固定資産に関し、規則的な償却ではなく、定期的に再評価する方法も認めています。この場合も日本基準(米国基準とも)と差が出ることになります。

5.会計方針の変更に伴う、財務諸表の遡及修正

IFRSでは会計方針の変更があった場合、開示する過去の財務諸表については、すべて新しい会計方針に従って修正され、当期の財務諸表ではそのインパクトが期首剰余金の修正という形で計上されます。日本では変更のあった期の損益として計上されます。米国でもかつては日本基準と同様だったのですが、最近IFRSと同様の会計基準に改訂されています。

6.少数株主損益の会計処理

あれ、これって何か違うんでしたっけ?「在外子会社における当期純利益に少数株主持分損益が含まれている場合には、・・・当該少数株主損益を加減し・・・」とありますが、それは連結手続上当たり前のような気がしますが・・・。なんか私が勘違いしてるかな?

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【映画】ピンクパンサー

うん、こういうのを待っていたのかもしれない。

「笑わせてみようホトトギス」的な押しつけがましさは「プロデューサーズ」と変わらないかもしれないが、こちらのほうがずっと後腐れがなく、すっきりしている。(もっともHの発音云々は、仏人がみてどう思うか・・・)

正直思ったほどバカ笑いできたわけではない。
もう一工夫欲しいところとか、やり過ぎのところもあった。
そのあたりが持ち味なのでしょうが・・・。
ドリフのコントで育った人間としては、こちらのほうが性に合います。

黙々と演じるジャン・レノが笑えました。

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【映画】明日の記憶

うん、これはジャンル分けをするならば、私はホラー映画の所に入れたいです。これだけリアリティのある恐怖を描いた作品があったでしょうか?

これは若年性アルツハイマーに焦点を当てていますが、最近流行の記憶喪失もの。私が見ただけでも「私の頭の中の消しゴム」「博士の愛した数式」がありました。これらはこれらでそれなりにいい映画だと思いましたが、「明日の記憶」はその二番煎じくらいかな、くらいの気持ちで見に行ったのですが、やられました。打ちひしがれました。

とにかく、自らの身に照らしてたときのその圧倒的リアリティ。固有名詞が出てこないなどの症状、そろそろ気になる年齢です。主人公は私より10歳ほど上の設定ですが、いつでも同じことがわが身にも起こりそう。

そして、妻、娘、同僚、クライアント、決してみんな完璧な人間ではないけれど、主人公の状況に対する暖かい視線が印象的でした。主人公とて、彼らに完璧に接してきたわけではないはずなのに。主人公は周囲の人間に恵まれています。

そう。自分はどうなんだ、10年後、こんな恵まれた環境にいることができるのか?10年後、周囲が暖かい目で見てくれるような生き方をしているのか?そんな難問もこの映画は突きつけてくるのです。

いろいろな意味で、久々にずっしり来る映画でした

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「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の公表

「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の公表


連結財務諸表を作成する場合、在外子会社が採用する会計処理は、本来、企業集団として統一されるべきものであります。これまで日本公認会計士協会監査委員会報告第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する当面の監査上の取扱い」では、在外子会社の所在地国の会計基準において認められている会計処理が、企業集団として統一しようとする会計処理と異なる場合でも、当該会計処理が明らかに合理的でないと認められるときを除き、当面、親会社と子会社との間で会計処理を統一する必要はないものとされてきました。
 その後、我が国の会計基準は、国際的な会計基準と同等の水準まで整備されてきたことや、欧州をはじめ多くの国々において国際財務報告基準(IFRSs)が採用されつつあるなど、国際的な会計基準の適用にも変化が見られることから、企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)では、上述のようなこれまでの取扱いの見直しを検討してまいりました。今般、平成18年5月12日の第104回企業会計基準委員会において、標記の実務対応報告(以下「本実務対応報告」という。)を承認しましたので公表いたします。


連結財務諸表を作成する際に、海外子会社の財務諸表については日本基準に修正したうえで連結しなさい、ほかの国の基準で作成した財務諸表を連結したら、会計処理が首尾一貫しない財務諸表になってしまいますよね、という至極当たり前のことを言っている基準であります。

しかし、この至極当たり前のことが日本ではできていませんでした。というよりしなくても良いと明文で書かれております。

監査委員会報告第56号
「親子会社間の会計処理の統一に関する当面の監査上の取り扱い」

5.在外子会社の会計処理の統一

在外子会社の会計処理についても、本来、企業集団として統一されるべきものであるが、その子会社の所在地国の会計基準において求められている会計処理が企業集団として統一しようとする会計処理と異なるときは、当面、親会社と子会社との間で統一する必要はないものとする。なお、在外子会社が採用している会計処理が明らかに合理的でないと認められる場合には、連結決算手続上で修正する必要があることに留意する。

なぜこの当たり前のことをしなくてもいいという基準が設定されていたのか。「だってしょうがないじゃない」というのが本音です。

そもそも、日本基準なんてのは日本語と一緒であり、日本以外ではまず通用しません。それを在外子会社に強制できるのかというと。ただ日本人の経理担当が居ればいい、というだけであればまだしも、それをいったい誰が監査するのか。現地に日本基準に詳しい会計士がいるかというと、4大会計事務所の出先機関の出張者くらいでしょうから圧倒的に数が少ない。日本にいる会計士が出張ベースで対応する?それも数と費用の面から現実的ではない、というわけで、まあそれなりの国の基準で会計士からお墨付きもらってればまあいいんでないの?くらいのノリで決まったものと思います。

しかし、他国に自国の基準をグローバルスタンダードだと押し付けることに何の疑問も感じない方々にはそんな理屈は通用しません。IFRS(国際財務報告基準)と日本基準のコンバージェンスプロジェクトでは、真っ先にこの点が重要な差異であると俎上に上がっています。またいわゆる2007年問題といわれる、欧州での日本企業上場維持のための会計基準の検討においても、この点は槍玉に上がっています。

ここまで言われては仕方ないので、対応することにしたというわけです。何せ正論には違いないので、会計基準自体はあっという間にできてしまいます。ただ、きっかけがきっかけであるので、IFRSまたは米国基準で作成されている財務諸表については、「当面の間」従来どおりそのまま連結できるということになっています(ただし、一部の項目については修正が必要と明記されています。これについては別稿予定)。

さて、さしあたってどうするかですね。IFRS適用可能国は100国以上などとIASBは豪語しておりますが、あくまで適用可能というレベルであって、ローカルスタンダードが全廃されているわけではなく、中小企業には自国の会計基準が使用されている場合が多いかと思います。これらを平成20年度までに、IFRS、米国、日本、どれかの基準に対応させなければなりません。おそらくこれから例えば中国GAAPのReconciliationチェックリストなどというものが各会計事務所により作成されることになるのでしょう(今もあるのでしょうが、日本の監査が通るまでのレベルにブラッシュアップする必要があるでしょう)。現地に行かなければ対応できないと、会計士の出張要求が増えるんでしょうなぁ。ああ金がない金がない。

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中央青山監査法人ネタ 雑感

すみません、そろそろ止めますのでもう少し引っ張らせてください。

契約企業にも試金石(5/15 日経金融)

金融庁はこのほど中央青山監査法人に業務停止命令を出し、会社法に基づく監査などを七月から二ヵ月禁じた。二千社を超える企業が新たな監査先探しを迫られるが、企業によっては中央青山に監査を頼み続けざるを得ないところもあるという。理由は契約切り替えで"隠していた数字"が表に出るから。今回の処分は企業の透明性確保に向けた決意を問う試金石となる可能性を秘めている。

・・・日経が無責任に煽ってどうするよ。「決意を問う試金石」って、ここで監査人を変えなかったら「透明性確保に向けた決意」がないってことですかい?それは飛躍しすぎ。

東証社長、中央青山に早期対応を要請

東京証券取引所の西室泰三社長兼会長は16日の記者会見で、金融庁に業務停止処分を受けた中央青山監査法人に対し「厳粛に受け止め、職務を十分に果たせるよう全力で対応してほしい」と述べ、上場企業の情報開示や上場審査に支障がないよう早期に対応することを求めた。

まあ、それはそうと、あまり注目されている様子がないのですが、東証さんの会社法監査はどうなるんでしょうか?たしか会計監査人は中央青山監査法人ですよね(前年度の招集通知p30を参照)。総会で新たな監査人を選ぶのか、一時監査人の選任をするのか、はたまた留任なのか。上場スケジュールにも微妙に影響しそうで、判断が注目されます。

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中央青山監査法人の一部業務停止(3)

2.では何をしてはいけないの?

「一部監査業務の停止」の内容ですが、金融庁によりますと別紙1の通りです。

証券取引法に基づく監査業務(企業内容等の開示に関する内閣府令の規定が適用される有価証券報告書等に記載される財務諸表についての監査業務に限る)並びに会社法に基づく監査業務(旧商法特例法に基づく監査業務を含む)及びこれに準ずるものとして以下に掲げる法律に基づく監査業務の7月1日より8月31日までの停止

では、監査業務の停止とは言いますが、具体的に何をしてはいけないのか。

監査業務と一言に言っても範囲はかなり広いです。そもそも、監査法人のメイン業務は法定監査なわけで、極端な話出社すること自体が、既に監査業務といえるかもしれません。まあそれは屁理屈としても、例えば停止期間中に監査調書の整理をしてもいいのか、書類整理くらいよさそうなもですが、整理中になにか疑念事項が出てきてクライアントに問い合わせることはできるのか、といったあたりはかなり微妙なことになってきそうですね。

さしあたって気になるのは、前にも書きましたが、マザーズ上場企業については第1四半期の業績開示に当たって、監査法人の意見表明が東証の規則上求められています。これ自体は東証の規則であるので、法定監査の範囲外であり、意見表明自体は可能であるかと思います。しかしながら、意見表明に当たって必要な作業は法定監査に直接つながるものであり、それを明確に区分することは不可能と思われます。となると、マザーズ上場企業に関しては7月の監査業務停止、ということはあまり意味を持たないことになってしまいます。またマザーズに上場している企業に限り7月作業ができる、というのも何かおかしな解釈となるような気がします。このあたり実務はどうなるんでしょうかね。

一方、金融庁は、下記の業務については監査業務停止を免除しています。

・4月決算会社のうち、7月末日までに証券取引法に基づき有価証券報告書を提出しなければならない会社 7月
・5月決算会社のうち、8月末日までに証券取引法に基づく有価証券報告書を提出
しなければならない会社 全期間
・上記以外の5月決算会社 7月
・6月決算会社 8月

いちおう、監査報告書にサインできない、という事態を避けよう、という措置を読み取ることができます。しかしながら、当然サインをするためには監査手続が必要です。6月決算会社は8月のみが免除対象で、7月は業務停止ということになりますが、6月決算で7月に監査作業ができないのであれば、6月に決算締めたあと、クライアントは会計士の先生が出社してくるまでじっと待っていなければなりません。いや、7月1日の現金の実査ができないとなると、監査手続に瑕疵があることになってしまい、意見の質が落ちることになってしまいます。これは、12月決算会社の中間決算においても同じことが言えます。このあたりの実務がどうなるかも疑問です。

上のような例を考えると、業務停止期間中に監査手続自体ができない、と考えるのはいろいろ実務上問題が出てきそうな気がしますし、あまり現実的ではないような気がします。となれば、行ってはいけない監査業務というのは結局「監査報告書にサインすること」だけではないか、というような気がしています。

となれば、実務的にはほとんど影響がないことになります。この業務停止の意義は、一時的に監査人不在という法的不安定状態に置くことによる中央青山監査法人に関するレピュテーションの低下というところにあるのでしょうか。

ちょっと尻切れ状態ですが、時間の都合上いったん上げておきます。

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Google Trendsで「会計」検索

ガ島通信さんのところで知る。Google Trendsが話題とか。

早速「会計」をキーワードに入れて見る

1. Kizuki Japan
2. Shinjuku Japan
3. Minato Japan
(以下略)


・・・Kizuki Japanって何処です?

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中央青山監査法人の一部業務停止(2)

GW明けの週であるということと、京浜東北線の事故(木曜に半日止まったあと、金曜日にもマイナーな事故がありダイヤが多少乱れた)により、いつもは確実に座れる朝の通勤電車が5日中4日座れなかったということがあり、大して仕事をしていないにもかかわらず何か疲労感が漂う週末です。電車の中の睡眠時間というのは普段の睡眠不足の貴重な補充時間であったことを改めて認識させられています。

さて、中央青山監査法人の一部業務停止に関する件ですが、ブログでもだいぶエントリーが出てきたようです。全然まとまっていないのですが、思うところをつらつらと書き連ねていきたいと思います。

1.監査法人の処分理由について

監査法人及び公認会計士の懲戒処分について

(3)処分理由

カネボウの平成11年3月期、平成12年3月期、平成13年3月期、平成14年3月期及び平成15年3月期の各有価証券報告書の財務書類にそれぞれ虚偽の記載があったにもかかわらず、同監査法人の関与社員は故意に虚偽のないものとして証明した。

あくまで「関与社員は故意に虚偽のないものとして証明した」ことが処分理由なのですね。監査法人の内部体制がどうあろうと、社員の故意により虚偽の監査報告書が世に出てしまった場合、監査法人が処分を受けることになってしまいます。内部統制をいくら強固にしても100%虚偽を防ぐことは不可能ですので、この処分理由だと結果責任を問うているように読めます。そういうものなんでしたっけ?

なお、同監査法人に対する調査を通じて、別紙2のとおり、審査・教育体制及び業務管理体制を含む監査法人の運営に不備が認められたことから、同監査法人に対しては、責任の所在の明確化を含めた現状認識及び対応策について、公認会計士法第49条の3第1項に規定する報告徴求を併せて行っている。

別紙2とは、以下の通りです。

中央青山監査法人については、審査・教育体制及び業務管理体制を含む監査法人の運営に関し、主として以下のような不備が認められた。

① 審査体制が、レビュー・パートナーによるレビューに過度に依存し、審議会による審議やインターナル・レビュー、モニタリング等が有効に機能していなかった。
② 監査法人として、レビュー・パートナーが判断の拠り所とする基準・マニュアル等が適切に整備されておらず、レビュー・パートナーによるレビュー業務が有効に機能していなかった。
③ 投書への対応について、十分な仕組みが用意されていなかった。

レビュー・パートナー、インターナルレビューなどという言葉が、金融庁の処分理由に使われるほどのの正式用語とは思いませんでした。日本語で適正な用語はないんですね、という瑣末な感想はともかく、

審査体制を体制をちゃんとしなきゃならない、というのは下記の基準かと思います。
(あまり自信がないので、どなたかフォローしていただければ)

監査基準 第四 報告基準

5.監査人は、意見の表明に先立ち、自らの意見が一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して適切に形成されていることを確かめるために、意見表明に関する審査を受けなければならない。


監査基準委員会報告書第12号 監査の品質管理

17.監査事務所は第32項に規定する個々の監査業務における監査意見表明のための審査を効果的かつ効率的に実施するため、監査意見の表明に係る審査機能に関する方針と手続を策定しなければならない。

18.審査担当者は、審査の対象となる監査業務に従事せず、かつ、監査責任者と同程度以上の専門的能力と実務経験を有するものでなければならない。
監査事務所がどのような審査体制及び審査内容を確立・維持するかは監査事務所の規模、監査対象会社の数、監査業務の内容、監査リスク等を総合的に勘案して、それぞれの監査事務所が決定する

その付録として、監査事務所としての品質管理の方針と手続の例示として、以下のものが挙げられています。

4.監査意見表明のための審査機能

・審査の担当者又は部署若しくは機構を定め、その責任と権限を明確にする。
・審査担当者の資格・選任方法を定める。
・審査の方法、審査関連書類の様式及び審査の対象となる項目を定める。
・監査責任者と審査の担当者又は部署等の間に見解の相違がある場合の解決手続を定める。
・審査の過程と結果を適切に文書に記録し保管する方法を定める。
・審査に関する守秘義務を定める。

上記以外に根拠条文があるかどうかはよく存じませんが、いちおうこれが日本の一般に認められた監査基準であるかと思います。

中央青山はこの審査体制がなっていなかったということで、以下の処分を決めています


3.関係者の処分について 今回の処分に対する責任を明確にするため、以下の処分を実施いたします。

1)当時の審査関係者3名を辞職、2名を6ヶ月の就業停止とする。
2)金融庁に対する調査報告書作成に携わった者5名を減俸30%6ヶ月~減俸10%3ヶ月とする。

「辞職」が処分なのか、なんとなくピンときませんが、とにかく審査担当者の首を取ったことは確かのようです。

では、監査基準上実際にどんな審査体制を取ればいいのか、それは「それぞれの監査事務所が決定する」ことのようですので、実務に委ねられることになるかと思います。ただ、カネボウ事件の期間、そして現在もですが、失敗したら首が飛ぶくらいの機能を審査機関に求めているのかどうか、そこまでの実務になっているのか、ちょっと疑問のところがあります。
(ただ確かに、クライアントとしてこのところ年々審査の突込みが厳しくなっているという実感はありますが)

正直、いくら審査機能を強化したところで、keizokuさんがおっしゃる通り、虚偽報告の防止には限界があると思っています。

それにもかかわらず、金融庁が審査体制に問題ありとして報告を求め、監査法人側がその報告前に審査担当者の首を差し出す、ということは、監査法人側にも弁解ができないレベルで統制についての瑕疵があったのではないでしょうか。内部統制を理由とした処分の危険性を云々する以前の話のような気がしています(あくまで想像の産物ですが)。

ちょっと長くなってしまいましたので、いったんここで切ります。

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決算短信、訂正が急増(5/7 日経)

有価証券報告書の"速報版”ともいえる決算短信を発表後に訂正する上場企業が急増している。二〇〇二年度に五百件だった訂正件数が、三年後の〇五年度には二.九倍の千四百三十八件に達した。特に新興株市場で五倍弱となったのが目を引く。会計制度変更などで開示内容が増え、上場企業の負担が重くなったためだが、管理体制の不備も指摘される。

三年間で急速に管理体制が不備になった、ってことは考えにくいです。むしろそういうことにはいっそう世間がうるさくなっていますから。

むしろ「世間がうるさくなってきたから、今まではこっそり有価証券報告書で訂正していたものを、決算短信の修正も行うようになった」という見方のほうが正しいのでは?

ライブドアの決算短信の数値と有価証券報告書の数値が異なっていて、そしてそれが「風説の流布」の疑いをもたれたともなれば、いままで許されていた軽微な誤りすらも公表したほうがいい、という判断に傾くのは当然かと思います。

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新中央青山監査法人?

なんか、すごいことになりつつありますが、眠いので今日のところは寝ます。

ただ、気になる記事をとりあえず備忘のため・・・

PricewaterhouseCoopers Response to Sanctions Against ChuoAoyama in Japan

PricewaterhouseCoopers regrets the actions of the former ChuoAoyama partners in connection with the Kanebo fraud and will respect fully the requirements and the intent of the order by the Financial Services Agency.

遺憾の意を表しています、ってとこですか。

ChuoAoyama is committed to its previously announced reform plan. PricewaterhouseCoopers will continue to assist ChuoAoyama in the implementation of its programme to improve audit quality and will assist ChuoAoyama in managing through this difficult period.

この困難な時期に立ち向かう中央青山監査法人を支援し続けます、といっている。

しかしその一方で、

* A permanent new and independent audit firm is being created in Japan that will be a member of the PricewaterhouseCoopers global network.

* This new member firm will operate under a new management and governance structure, and will be of a sufficiently large scale to serve its clients. It will adopt international best practices in accounting and auditing to create a new distinctive firm that will meet high standards of audit quality.

* During its development, the new firm will have a high level of oversight by PwC.

新しい監査法人を設立して、PWCのメンバーファームとする。規模はそれなりの大きさにするとのこと。

ってことは、PWCは中央青山の切放しに動いているってことですか?

当面は受け皿を目指しているのでしょうが、中期的な姿をどのように描いているのでしょうか?

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中央青山の業務停止対象

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20060510AT1C0900X09052006.html

金融庁は10日、中央青山監査法人に対して上場企業など「法定監査」先企業を対象に監査業務の停止を求める行政処分を出す。不正を見抜くための内部管理の体制がずさんだったとの判断で、期間は7月から2カ月とする方向。2000社を超える企業が監査契約の見直しを迫られるとみられるうえ、中央青山の経営にも大きな影響を与えそうだ。

報道を見る限り、私の想定と異なった過激な方向に進みそうです。
取り急ぎメモということで。

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中央青山の一部業務停止

中央青山の一部業務停止、法定監査を軸に調整・金融庁

中央青山監査法人に対する一部業務停止命令の発動を検討している金融庁は、対象を「法定監査先」企業への監査業務とする方向で最終調整している。法定監査先は上場企業や資本金5億円以上の企業などで、中央青山の場合は今年1月末時点で約2821社・法人に上る。金融庁はカネボウの粉飾決算に絡み、中央青山に上場企業などに対する監査業務を7月から2カ月間停止する方針。


朝出社したら、メルマガのトップ記事も、日経のサイトも、周りの人が持っている日経の一面もすべてこの関係記事でした。一面の記事が違う・・・(うちの宅配は13版)。腐っても横浜市民。そんな田舎に住んでいるわけではないと思っているのですが・・・

ちなみに、うちに宅配されている日経の一面は「外国人投資家、内需企業の株保有拡大」という非常にのどかなものでありました。

そんなわけですっかり出遅れてしまい、既に多くの示唆に富むエントリが、あちらこちらそちらに出てきております。

私はしがない一クライアント(件の監査法人ではない)の実務担当であり、難しい話は皆さんに上の皆さんにお任せして、実務家としての感想を述べさせていただければ、巷間言われている2ヶ月の業務停止というのがいったいどういう状態になるのか、どうもぴんときません。

つまり、この業務停止ってのは、いったい何をやってはいけないのか、よく分かりません。

よほど小さいクライアントならともかく、いまどき3月過ぎてからのこのこやって来て監査が始まるなんてところはないわけで、上期の閑散期と言えども通常であれば多少は監査人はやってきて作業をするわけです。

こんな状態で、たとえばすべての監査業務につき行ってはならない、というのであれば、クライアントはどうすればいいのか。監査契約を継続すると仮定した場合、2ヶ月の空白期間が生じるわけです。だからといって、当然監査手続が減るわけでもなく、したがって監査報酬が減るわけでもありません。いや、件の監査法人は事件を受けて監査手続の更なる厳格化を目指しているわけですから、監査に要する時間は以前よりさらに増えると想像されます。その状態での2ヶ月の空白は、結局下期にそのしわ寄せが行き、10月になってゴルフ焼けして休養十分の会計士さんと「さあ、仕切り直ししてこれから始めましょう」なんていう皮肉な結果を招きかねないような気がします。クライアントにとっては結構負担増となるわけです。

じゃあ、監査法人を乗り換えればいいのか?ことはそう単純ではありません。監査基準委員会報告書第33号「監査人の交代」の公表についてという指針が公表されています(web上では読めません)。ここには引継ぎに関する手続が記載されているはずです(私も読んでいませんので想像です)。つまり、後任の監査法人が監査を受託するには前任者からの引継ぎ手続が必要なのですが、これも監査業務の一環でしょうから、件の監査法人はそれも2ヶ月間できないことになります。はれて業務停止期間が明けて10月になってから、新しい監査法人と1からやりましょう、というのではクライアントにとって前者の選択肢をはるかに上回る負担となります。

つまり、クライアントにとっては契約を継続するも破棄するも負担増で、踏んだり蹴ったり。クライアントにとって迷惑この上ない結果を招きかねません。


あと、3月決算にばかり目を向けているようですが、7月業務停止となった場合、四半期決算の問題があります。マザーズでは四半期決算においても監査人の意見表明が義務付けられています。これが件の監査法人では行えないとすると、大混乱になるでしょう。これをいまさら他の監査法人が行うことは、難しいのではないでしょうか。

また当然数としては僅少でしょうが、4-6月決算の上場企業も存在するわけですから、これらの企業についてはもう決算ができるかどうか、というような状態となってしまうわけです。こちらも大混乱でしょうね

というわけで報道されている通りの"「法定監査先」企業への監査業務"が全面停止されるのであれば弊害はかなり大きいと考えられます。10日にも公表されるという処分内容はもう少し限定されたものになると私は見ていますが、どんなものでしょうか。

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ニッシン(8571)の日米財務諸表

ニッシン決算短信をつらつら眺めてみました。

この企業、中小企業向けのファイナンスをメイン業務とする金融機関ですが、NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場していることから、米国会計基準による決算短信も作成しており、日本基準によるものと同時に公開しております。一般の企業は米国会計基準による開示のみでOKであるはずですが、三菱東京FGなども日本基準での開示をしているところをみると、金融機関は日本基準での開示が求められているということなのでしょう。

日本基準と米国基準の差はいまや限りなく小さい、ということになっていますが、ニッシンの財務諸表を見る限りではまだまだ差はかなりあるようです(どちらが良いとか、進んでいるとかそういうことは別として)。両方作成しなければならないスタッフの方々の苦労は並大抵ではないかと思います。

もともと金融機関の財務諸表については門外漢ですので、あまり詳細なコメントをすることができないのですが、一番差が大きいのはキャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」。日本基準が▲899億円と大きく出超であるのに対し、米国基準では243億円と入超になっています。日米間では(表示方法の差はあっても)キャッシュフローに関してはそんなに大きな基準の差はないと思っていましたので、ちょっとこの差にはびっくりしました。

大きな原因は、営業貸付金の扱いにあるようです。日本基準のキャッシュフロー計算書では、営業貸付金の増減について、支出と収入をグロス表示した上で、営業活動によるキャッシュフローに含めて表示しています。一方米国基準では支出と収入をネット表示した上で、投資活動によるキャッシュフローに含めて表示しています。この金額が▲800億円強あり、大きくはこの部分がいたずらをしているようです。

事業規模が拡大すると、貸付金が増加するため、貸付金関係の収支は出超となるわけですが、この支出の性質をどう見るか。確かに一義的には営業活動であることは間違いないのでしょうが、一般企業で言えば利息収入を得るための設備投資ではないか、という議論もできるわけで、そう考えれば投資活動によるキャッシュフローという考え方もできそうです。少なくとも財務諸表の見栄えは投資活動としたほうがすっきりしています。

日本のキャッシュフローの基準を作成したときは、米国基準を限りなく参考にしたはずですが、なぜこんなに大きな差が出ているのか、ちょっと興味深いところではあります。

感想レベルにとどまっていますが・・・

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GW終了

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自然の恵みの竹薮

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こんな筍が至る所に。

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そしてそばには清流

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そしてそのそばで火を焚く(写真取り忘れて燃えカスの写真になってしまった・・・)

とりあえず現世のあれこれはすべて忘れていたGW後半。

さあ、また励みますか(何に?)

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編笠山

5/4 編笠山登山(公式なサイトは見つからず)

万全を期して6時過ぎに出発。公式タイムは3時間20分ほどということだが、何せ「老人と子供のポルカ」状態のわが家族パーティ、結局倍の6時間をかけての登頂。

5月とはいえ、登山道の中腹からは氷が見え始め、頂上付近は1メートル近い積雪。4本爪の軽アイゼンでは少々きつい。素人集団では無事帰れただけで大成功かも。
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(写真は帰りの青年小屋付近)



しかし苦労しただけあり、眺望はすばらしい。北岳と甲斐駒ケ岳の勇士が一望に。
携帯のカメラと私の腕では伝えきれないのが残念である。
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お決まりに登頂の証拠など。
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【映画】プロデューサーズ

決算中は封印していた(というか、単に行けなかった)映画鑑賞。5月に入ってやっと見に行くことができるようになりました。復帰?第一作に選んだのは、The Producers。

実はここのところ相次いでいるミュージカル映画にはまってました。「CHICAGO」は映画館で3回見たかな、それ以外でも機上でも見てるしビデオでも見た。「オペラ座の怪人」も映画館で3回見た。それより前には「ウェストサイドストーリー」がリマスターされたときも2回見た。そんな私なので、この映画を見に行くことは既に決まっていたのでありました。

唯一の心配はおすぎが絶賛していることだったのだが・・・

【以下ネタばれ】

うん、心配が現実になってしまった。なんか面白くない。結構絶賛している人は多いようだが、自分の笑いのつぼからはかなり外れている。何だろうこの期待外れ感。いろいろ考えてみた。

1.ストーリーのつじつま

いや、こんなおバカな映画の細かい辻褄を問題にするほど野暮ではないつもりです。でも、根本的に「作品がこけた方が儲かる」という、ストーリーの大前提がどうしても理解できなかったんですよ。事実大ヒットしても金を持ち逃げできてるわけで。こけた作品には国税庁(IRS)は見向きもしない、との発言がありましたが、損出してても来るのが税務調査ってものなので・・・、ということを気になる人間が見る作品ではないってことですね。

2.楽曲のインパクト

「オペラ座の怪人」では、冒頭すぐのメインテーマのオルガン「びゃーー、びゃびゃびゃびゃびゃー」というところで既に戦慄が走りましたし、CHICAGOではキャサリンセダジョーンズの「All That Jazz」や「Cell Block Tango」に圧倒されたわけですが、それに匹敵するインパクトのある曲がないのである。見たあともあまり覚えていない。免疫ができて並みのことでは驚かなくなってきている、というのもあるのだろうが。

3.キャラの魅力

たとえばCHICAGOなどでは、自分がリチャードギアになったつもりで観ているわけですよ(こら、笑うんじゃない)。オペラ座の怪人でも役割はかっこいいわけでもないのですがジェラルドバトラーになりきって今にも歌いだしそうになりながら鑑賞しているわけです(迷惑な客だ)。これらに較べると、自ら手を上げて替わりたいキャラというのがいないんですよ。強いて言えば、一番最後の・・・いやこれは究極のネタばれだから止めておこう。

4.品性

いや、私とて決して上品な人間ではありません。でも、ゲイや老人は万国共通の問題だからともかく、ナチのネタは・・・。なんかこう、他国の古傷に塩をすりこんで痛がっているところを笑い飛ばしてるみたいな悪趣味感があります。よくも悪くもこんなことできる国はアメリカしかありません。心の底からは笑えないものがあります。

とつらつら書いてきましたが、個人的には認めたくないのですが、下記の要因も大きいのかなと。

5.会計士の描かれ方

まず、マザコンで女性に声かけることもできない。「Hitch」のときも書いたが、典型的な会計士像がこれらしい。そして、彼が事務所に帰ると「♪Unhappy、Unhappy」と歌いながら単調作業に従事する会計士たち。せっかく仕事忘れに観に来ているのに、なんだこの集団は。そして、夢見る副主人公は上司に辞表を叩きつけ、こう罵るのである

(CPA is)「Cetified Public A--hole!」

ああ、そうですかそうですか。

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監査法人への刑事罰焦点 金融審、不正防止へ論議スタート(4/27 日経)

金融審議会(首相の諮問機関)は二十六日、約四十年ぶりとなる監査法人制度の抜本改革に向けた議論に着手した。監査法人に刑事罰を適用すべきかなどが焦点。カネボウやライブドアなど上場企業をを舞台にした粉飾決算を踏まえ、監査法人の役割と責任を大幅に拡大し、不正会計を未然に防ぐことを目指す制度改革を年内にもまとめる。

40年ぶりですか。このまえ公認会計士法の改正があったばかりなのですが、あれは改革に入らないわけですな。

これに対して会計士業界は「監査法人に刑事責任を追及することは解散命令に近い」として慎重な議論を求めた。

個人的には会計業界の実感に近い感想を持っているのですが、実際にアーサー・アンダーセンがたった1度の失敗のために吹っ飛んだり、民間企業でも雪印食品などは食肉偽装だけで清算となってしまったわけで、不正があった監査法人など飛んでしまえ、という方向に議論が流れるのはある程度やむをえない面もあるかもしれません。

ただ、実務的な問題として、代替すべき監査法人が少ないという問題があります。事実ライブドア担当の監査法人が吹っ飛んだだけで、監査の受託先がなくて(その割には偉そうに)記者会見までしてなんとかしてしまった企業がありましたが、実際に大手が飛んでしまったら混乱はその比ではないわけです。実際にすぐに後任として別の監査法人が引き継げるかというと、後任者もリスクについては慎重に調べるでしょうから、全ての会社の公認会計士がすんなり決まるとも思えません。決まるまでにはタイムラグがあるでしょうが、そのタイムラグを市場は待ってくれるのでしょうか?

会合では監査報酬を企業から受け取る「直接契約」では不正に厳しい姿勢で臨みにくい、との指摘が出た。証券取引所や独立した第三者機関が報酬の仲介役となる「間接契約」の仕組みづくりが検討課題となる。

浅学にして知らないのですが、この「間接契約」とやらは実際にどこかの国で例があって実際にワークしているんですかね?いや、例がなきゃいけないと言っているのではなくて、これが実際に施行されたら、世界初になるのですかね?

これも、現在の監査法人のままでは難しいかと。国なりどこかの機関の仕事の割り振りに応じなければならないのであれば、監査法人は企業にリスクがあろうがなかろうが一定の報酬で監査を受託しなければなくなる。それで破綻したときには監査法人に責任有り。これでは割に合わないでしょう。かといって国に責任を負わすのであれば、監査法人のリスクがなくなるので監査自体がワークしないのでは?というわけで私には理想像がいまいちぴんと来ないのであります

顧客から報酬を受け取りながら文句を言うという、報酬の矛盾を完全に解消するには、国が監査する以外の方法はないかと思います。金融機関には金融庁や日銀といった採算性という概念をまったく無視した方々が監査にこられるそうで、それと同じような方々が通常の民間企業に入ってくるということになります。そうなると国が公認会計士を丸抱えして、民間企業に監査に行く。国が監査証明出して、その代わり企業が破綻したら、国が責任取る。かなりの予算増となりますね。企業は国に監査報酬を払うことになります。ん?こうなるともはや報酬ではなく、登録料?うーん、これもいまいち現実味がわかない。

まあどこの国も試行錯誤している話なので、ここは妙案が出るか、審議会のお手並み拝見と行きましょうか。

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蝶理株、管理ポストに(4/27 日経)

蝶理は二十六日、繊維資材営業部にいた複数の社員が取引の売り上げを過大計上するなど、過去に不適切な会計処理があったと発表した。二〇〇二年九月中間期の売上高が三億円、経常利益と純利益がそれぞれ五億円減少するという。

同社は〇三年三月期末には全て適切な処理は完了し、以後の事業年度への影響はないとしている。不適切な会計処理があったのは〇二年四月から九月末まで。当時営業部に在籍していた社員の関与について社内調査を続けている。

今社内調査を続けているということは、全貌が明らかにはなっていないということ。それでいながら2003年3月末には適切な処理は完了しているというのはどういうことか。おそらく9月以降の売上および収益をむりやり9月に押し込んだということと想像できます。それだけであれば、何もしなくても次の3月末には正しい処理となっていることになりますから。

なぜ今頃という批判もあるようですが、3年前の事が今明らかになったということであれば、止むを得ないのかなと思います。むしろ正直な態度でしょう。3年前のことであり、しかも現在の財務諸表が正しいのであれば、そのまま隠し通せば終わってしまう可能性もあったのでしょうが、いまでは隠し通すリスクのほうが大きくなってしまったということでしょう。

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三菱UFJの繰延税金資産(2)

三菱UFJ 4000-5000億円資本増強へ(4/26 日経夕刊)

ただ、三菱UFJは今回の繰り延べ税金資産計上に伴って決算が大幅に上ぶれするのは望ましくないと判断、バランスシート(貸借対照表)上で繰り延べ税金資産と資本を調整し、利益予想には影響しないようにする方向だ。

財務アナリストの雑感のdancing-ufoさんは「マジカルな会計手法」と称しています。確かに、決算はどうにでも操作可能な印象を与える記事です。これはどういうことなのでしょうか。

これは繰延税金資産が「復活」(件の記事の表現)したのはいったいいつか、という問題になるかと思います。

まず、実際の東京三菱銀行とUFJ銀行が合併し、三菱東京UFJ銀行が発足したのは2006年1月1日です。したがって、それ以前に繰延税金資産が復活する余地がないことは疑いのないところです。合併以前であれば税務申告は各行個別で行われるわけですから、UFJの繰延税金資産を東京三菱の収益で回収するということはありえないわけです。

それでは、いつ復活したのでしょうか?まず繰延税金資産の計上には将来の利益計上の可能性が高いことが必要であり、それを証明するにはある程度オーソライズされた中期の利益計画の存在が前提となります(事情により手元に資料がまったくなく記憶で書いていますので表現等不正確なものがあります。以下同じ)。その利益計画がいつ出てきたかということですが、これは三菱UFJ フィナンシャル・グループ(以下FG)のプレスリリースにあります。


株式会社三菱UFJ フィナンシャル・グループ(取締役社長 畔柳 信雄)は、平成18 年2 月17 日に金融庁に提出した「経営の健全化のための計画」を踏まえ、今後の繰延税金資産の回収可能額を見積った結果、繰延税金資産が増加することとなりました。なお、増加する繰延税金資産は、資本準備金として計上しますので、平成18 年3 月期の業績予想に影響はございません。

2月に提出した経営計画がいつ社内でオーソライズされたのかは不明ですが、おそらく遠くない時期でしょう。したがって、繰延税金資産が復活したとするのは一義的にはこの時でしょう。もし、2月時点で繰延税金資産を認識するのであれば、期中に起こった繰延税金資産の増減は損益計算書で認識するのが原則ですから、法人税等調整額として多額の税金勘定の利益を認識することになるはずです。つまり原則としては望ましくない「決算が大幅に上ぶれ」という状態になることになります。

が、これを監査法人側の立場から見るとどうなるか。

監査法人としては、合併後のFGの連結財務諸表等(以下単に財務諸表)に対してはまだなんらの意見表明もしていないわけです。したがって、合併時に遡って財務諸表を修正することも「あり」なわけです。

FGの3月末の財務諸表に意見表明をするためには、まず三菱東京UFJの合併時の財務諸表を正しく認識する必要があります。1月1日時点の財務諸表を正しく認識するためには1月1日時点で明らかになった情報のほかに、監査証明を出すまでに起こった事実、いわゆる後発事象を勘案する必要があります。

ではこの2月に提出した経営計画をどう考えるかということですが、この経営計画はUFJの公的資金が新銀行に移管したことに伴うものです。つまり合併を機にこのような利益計画となったということです。合併時にはその利益計画がオーソライズはされないまでも、既に収益計画が作成される前提となる事実は発生していたと考えることができます(いわゆる第一の後発事象)。

上記の考え方から、合併時に遡って繰延税金資産を認識し、資本剰余金として計上するのはむしろ正当な処理であると考えています。

もっとも、なぜ今になっての発表なのか、という疑問はあります。まあいろいろな可能性を検討していたのでしょうね。

ところで、FGは米国上場会社なので、米国基準でも財務諸表を作成しています。こちらではどうなっているのでしょうね。米国基準ではパーチェス法を適用して多額ののれんを計上しているはずです。ここで合併時に遡って繰延税金資産を計上するのであれば、のれんを減額して繰延税金資産を計上する、すなわち資産間の入り組みとなって資本の部には影響しないことになるかと思います。米国基準でどうやっているか、調べればわかるのですが、時間があったらということで、いったん終了させていただきます。

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三菱UFJの繰延税金資産(1)

三菱UFJ 4000-5000億円資本増強へ(4/26 日経夕刊)

三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)は二十六日、二〇〇六年三月期で自己資本を四千億-五千億円増強する方針を固めた。経営統合で将来の収益見込みが強まったと判断、旧UFJグループが経営危機に際して大幅に減額していた「繰り延べ税金資産」を資産に計上する。


いつも思うのですが、金融面担当の方が書いたこの手の記事を読むと、どうも本質を外しているという印象が否めないのであります。まず、見出しに非常に違和感があります。繰延税金資産の回収可能性が高まったことを「資本増強」と呼ぶのが正しいのか。貸借対照表の資本の部の推移と、BIS規制しか見てないのであれば確かに資本増強なのかもしれませんが、会計側から見ると実際に現金が動かず、単に資本剰余金と繰延税金資産が両建てになって膨らんだものを「資本増強」と呼ぶのはちょっとミスリーディングなのでは?と思います。

同じようなことが、次の記事にも

旧UFJ行員の心境複雑(4/27)

三菱UFJフィナンシャルグループ(FG)が二〇〇六年三月期で約四千八百億円の繰り延べ税金資産を積み増したことが明らかになった。旧UFJグループが旧三菱東京FGとの経営統合に追い込まれる原因となった繰り延べ税金資産が「復活」し、新グループを潤すという皮肉な結果となった。

三菱UFJの収益力から見て「復活」は当然だが、旧UFJの行員は複雑な心境だろう。復活した繰り延べ税金資産を削減せずに済んでいたら、旧三菱東京FG主導の経営統合に追い込まれなかったのではないかとの思いがよぎるからだ。

これもなんか変な話で、経営統合したからこそ資産計上できるわけであって、UFJ単体では資産計上できなかったという単純な話です。

繰延税金資産は将来の税負担を軽減させる効果を持って資産として計上できるわけですから、近い将来に一定の収益が上がることが前提となります。収益が上がらないとそもそも税金を支払わないわけですから、税負担の軽減は不可能。したがって資産には計上できないというわけです。

ですから、UFJ単体では将来の収益力が足りない。三菱東京と経営統合することにより将来の安定した収益が見込めるようになった。信用力が増した。それだけのことです。「削減せずに済んでたら経営統合に追い込まれなかった」という考え方自体繰延税金資産の性質をよく分かっていないのではないのかなと思います。ですから、以下のような表現になってしまうわけで、

・・・財務内容などを勘案し1:0.62という統合比率を決めた際にも、これほどの資産復活は想定外だったはずだ。

そんな間抜けなデューデリって・・・(笑)。当然繰越欠損金等の税効果は通常資産査定のうちの一つに入りますので、経営統合によって繰延税金資産が復活することは想定の範囲内であったでしょう。

ところで、この記事ですが、もう一つ気になる表現をしています。

ただ、三菱UFJは今回の繰り延べ税金資産計上に伴って決算が大幅に上ぶれするのは望ましくないと判断、バランスシート(貸借対照表)上で繰り延べ税金資産と資本を調整し、利益予想には影響しないようにする方向だ。

これについては稿を改めてということで。

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リニューアル

長らく自らの決算業務もあり、サボっておりましたが、5月1日、会社法とともに(まったく関係ありませんが)、当ブログもリニューアルさせていただきました。

この4月で、体力まかせの決算は年齢的に限界が来ていることを思い知らされましたので、平成18年度は、とにかく楽をすることを目標にがんばりたいと思います。ブログ書く時間をなんとか確保できるように。

といいつつ、まだ税務申告、株主総会と決算業務は残っていますが・・・

GWは書き溜めたものを自動エントリ機能でUPしていきたいと思います。

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