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中央青山 上級会計士に退社勧告(6/7 日経)

カネボウ粉飾事件で金融庁から二ヶ月間の業務停止命令を受けた中央青山監査法人は、上級会計士の人員削減を進める。改革への意欲や監査業務への取り組みが不十分と判断した会計士に退社を勧告する。パートナーと呼ばれ経営責任を負う社員会計士のうち、一割程度の四十-五十人が対象となる見通し。資生堂など顧客企業の監査契約打ち切りが相次いだこともあり、若手登用で内外に改革姿勢を示す。

厳しいことを始めるようですが、実際にはどういう手続になるのでしょうか?

社員といっても一般企業の社員と異なり実際に法人に出資している方々ですから、自主的に辞めていただけるのならともかく、強制的に辞めさせるのはそれなりの手続が必要になるかと思います。

第三十四条の十七
 監査法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。
一 公認会計士の登録の抹消
二 定款に定める理由の発生
三 総社員の同意
四 除名

記事によると中央青山の社員は450人いるそうですから、「総社員の同意」を取り付けるのは難しいような気がするのですが。1割の社員をクビにします、という議案を100%賛成できるのか・・・


そうなると「除名」に持ち込むのでしょうか。

「除名」の手続については会社法第859条~862条が適用されるそうです(公認会計士法第三十四条の二十二)

(持分会社の社員の除名の訴え)
第八百五十九条  持分会社の社員(以下この条及び第八百六十一条第一号において「対象社員」という。)について次に掲げる事由があるときは、当該持分会社は、対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって対象社員の除名を請求することができる。
一  出資の義務を履行しないこと。
二  第五百九十四条第一項(第五百九十八条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したこと。
三  業務を執行するに当たって不正の行為をし、又は業務を執行する権利がないのに業務の執行に関与したこと。
四  持分会社を代表するに当たって不正の行為をし、又は代表権がないのに持分会社を代表して行為をしたこと。
五  前各号に掲げるもののほか、重要な義務を尽くさないこと。

一~四までは当てはまりそうにありませんから、五を理由に社員の過半数の同意を取り付け裁判所に除名の請求を起こすことになります。これはこれで大変なことであると思うのですが・・・

以上、監査小六法を眺めながら書きました素人外部者の戯れ事です。何か勘違いがありましたら、ご指摘いただけるようお願いいたします。

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Comments

公認会計士法第34条の17の脱退事由は、本人の意思によらない強制的な脱退であり、本人の意思による退職は当然に認められています。ご紹介の記事では、退社の勧告ということなので、自主退職という名目によるのだと思われます。

ちなみに、監査法人の社員の氏名は定款記載事項ですので、加入・脱退は定款変更事由になり、原則としては社員全員の同意が必要とされますが、一般的には、定款の別段の定めにより要件を緩和しているようです。

Posted by: MO | 2006.06.10 09:28 AM

MOさん、ありがとうございます。
もちろん、自主退職は認められているでしょう。

ただ、退職勧告された方が駄々をこねた場合、その処置に困るのではないか、と思ったもので・・・

Posted by: KOH | 2006.06.11 09:51 AM

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