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【読書】ドナウよ、静かに流れよ 大崎善生

おおたさんのところから

ところで、千葉さんは、残念ながら数年前に結婚し、元の碓井涼子さんから千葉涼子さんになってしまった(旦那は若手棋士なのだが、「碓井涼子の夫」と呼ばれるのが嫌で、新妻に苗字の変更を迫ったそうだ)。もし、先に「ウ・ス・イ」という詰将棋を創ったのに、名前が「チバ」に変わったら、・・・ それこそガッカリだ。


碓井涼子さんが新姓を名乗ったのはそういう事情があったのですか。で、その結果、今では「旦那のほうの千葉」と呼ばれているような気が・・・

まあ、それでも今回の女流王将挑戦者の旦那よりはいいのかもしれない。呼ばれることすら少なくなるというのはそれはそれでつらいものであると思うのだが。

で、今回の本題は、なかなか高橋和の旦那と呼ばれることはなく、「自立した夫」である大崎善生さんの作品。


これはまた、偶然にも前エントリとつながる。「嫌われ松子の一生」で、だめ男になびいてしまう女性の心境ってどんなもんかと思っていることを書いたのだが、程近くして読んだ本書も、描き方は違えども、主題としては同じものを扱っているといえるのかなと思える。

両親のもと、何の不自由もなく育てられた少女が、ルーマニアに留学し、一人の寂しさに耐えられず、だめだめの男に尽くすようになり、そして自ら毅然として命を絶つ・・・

もちろん、これは残されたものの勝手な仮説であり、真相はまた別にあるのかもしれない。大崎氏の独特な筆致で、あたかも美しいフィクションのように描かれているものの、実際には悲しいノンフィクションであり、本来は美化すべき話ではない。

ただ、一つの解釈として読む分には、さすが引き込ませるものがある。おそらく大崎さんにとっては将棋関係以外(まったく無関係とは言い切れないが・・・)の初めてのノンフィクションであるかと思うのだが、丹念な取材と、あえて取材元(被害者の家族)に都合の悪い事実も赤裸々に書くことによって、仮説を肉付けていく。

このだめ男は自称指揮者であったとのこと。じゃあ私も指揮者の真似事はしたことがあるので、それをもって欧州を放浪したら、こんな献身的な女性に出会うことができるのかな。いや、出会ったとしてその献身に重荷を感じないで生きていくことができるのだろうか。自分だったら逃げ出してしまうだろうな。どうやら、だめ男には、それを愛することで生きがいを見出す女性たちがいて、需要と供給がバランスしているらしい。うまくできているというのか、悲しい性と言うべきなのか、私には分かりかねる。

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