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リース資産、計上義務付け(6/29 日経)

会計基準を決める民間組織である企業会計基準委員会はリース会計見直しの原案を固めた。リース取引で調達した設備機械を固定資産として貸借対照表(バランスシート)に計上しなくてよい現行の「例外規定」を廃止し、資産計上を義務付ける。ただ総資産が膨らむなど企業財務に大きな影響が出る上、リース業界も需要が激減しかねないと強く反発しているだけに、実現には曲折も予想される。

もう10年前から業界と会計基準設定主体の間で論争となっている、リース資産の貸借対照表計上問題。いよいよ、ASBJ側が公開草案を公表するようです。が、記事によると、今回の原案は適用時期を明示しない「試案」とのこと。税務面の取り扱いが決まれば、適用時期を盛り込んだ正式な「公開草案」として公表するらしいです。これだけ税制と業界に気を遣わなければならないというところが問題の根深さを感じます。90年代後半からいろいろな反対がありながらも、退職給付会計や減損会計といった企業に痛みを強いる会計基準をある意味強引に導入してきたのに比べると、大きな違いです。

ではそれだけの抵抗を受ける要因は何かと言うと、リース資産を貸借対照表計上する実務となると、リース取引離れが起きる。会計基準が一つの産業をつぶしてもいいのか?という問題意識があるようです。

ただ、業界の主張は以下の通りなのですが、いまいち説得力に欠けると言うのが正直な感想です。(参考文献はこちら

1.日本のリース取引の特質

 (中略)

* リース会社は、リース期間中は減価償却計算、固定資産税の申告・納付などを行い、リース期間終了後は、物件の返還を受け再リース・売却を行わない場合は廃棄コストを負うなど、所有者としての責任・義務を負っており、貸手の所有者責任を反映した会計処理とすべきである。
* 米国では、リース料は物件代金と金利で構成されるが、我が国ではリース料は物件の使用料であり、複合的なサービスの対価であるため、構成要素(物件代金回収、支払利息、維持管理費用、貸手利益など)に分割して会計処理を行うこと自体意味がない。

法的には確かに貸し手が所有者なのですが、そもそも財務諸表の考え方自体、法的な権利義務関係を表示するものから、経済的実質を表示すべきという考え方に変わって来ております。旧商法では法的債務とはいえない引当金についてはわざわざ注記(いわゆる旧施行規則第43条の引当金)を求めていたのに対し、会社法計算規則ではその条項は削除されていることがその顕著な例といえるかと思います。法的責任を過度に重視しすぎるのは現在の考え方とはあいません。また構成要素が異なるのであれば、構成要素ごとに無理やりでも分けて会計処理すべきと言う考え方が主流かと思います。


2 財務諸表の比較可能性

 現状、賃貸借処理を選択した場合には、注記により売買処理を行った場合と同等の注記が求められており、十分な情報開示がなされている。アナリスト等から情報開示に支障があるとの意見はあまり聞かれず、変更する実益が乏しい。
 借手が資産計上を行った場合には、米国でみられるようにオンバランス回避行為(5. 参照)が起こることが予想され、逆に開示が後退する可能性がある。

確かにこの点については情報開示自体はなされており、EUとの会計基準同等化の議論の際にも必要な情報開示が行われているために大きな差異とは認められないとの結論を出されています。ただ、貸借対照表に計上したらオンバランス回避行為が行われるが、注記だと正直に開示するからこの方がいい、という言い草はいかがなものでしょうか。じゃあ売掛金も棚卸資産も粉飾の疑いがあるから全部注記にしましょうか。いっそ貸借対照表をなくしてしまいましょうか。
こうまでおっしゃっているのですから、本会計基準施行後もよもや「オンバランス回避商品」を売り込みに来たりはしないでしょうね?

(長くなりそうなので以後次回)

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