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欧米の会計基準設定機関 財務諸表の区分見直しへ(9/28 日経)

欧米の会計基準を設定する専門機関が、企業が作成する貸借対照表など財務諸表の区分の見直しを検討している。区分変更は経営活動に影響しかねないため、日本を含む産業界には異論がある。

焦点の一つは貸借対照表の「資産」に関する区分変更だ。現行基準では、現金として回収される期間の違いなどにより、「流動資産」と「固定資産」に分けている。これに対し、新基準は売上債権や工場などを「事業資産」、預金や株式を「財務運用資産」に分ける方向。資産の保有に関する経営者の意図を投資家にわかりやすくするのが狙いで、米アナリスト団体などが支持している。

財務諸表の表示方法に関しては、常にいろいろアグレッシブなことをしようとしている国際会計基準審議会ですが、実際には実務の猛反対にあい、導入はされていない、という状況が続いています。最近の動きはフォローしていなかったのですが、損益計算書のみならず、貸借対照表にも斬新なことを主張しているのですね。

とりあえず備忘としてUPしておきます。

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企業会計基準適用指針公開草案第19号

更新が完全に不定期になってしまっています。

特に公私とも慌しいわけではないのですが、いろいろ生活パターンを試行錯誤しているうちに、アウトプットが後回しになっている状態です。

せめて公開草案が出たときくらいはということで


企業会計基準適用指針公開草案第19号
「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理(案)」の公表

企業会計基準委員会(以下「当委員会」という。)では、企業会計審議会から公表された「金融商品に係る会計基準」が平成18年8月11日に企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」という。)として改正されたことに伴い、実務対応報告第16号「会社法による新株予約権及び新株予約権付社債の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告第16号」という。)の内容について、これまで質問が多く寄せられた事項への対応などと合わせて、改正後の金融商品会計基準の適用上の指針として新たに定めるため、審議を重ねております。 今般、平成18年9月19日の第113回企業会計基準委員会において、標記の適用指針の公開草案(以下「本公開草案」という。)の公表を承認しましたので、本日公表いたします。

大きくは二つの論点があるようです。

■取得条項付の転換社債型新株予約権付社債の会計処理

会社法により定められた、取得条項付の転換社債型新株予約権の会計処理について規定しています。取得条項が発動される前はもちろん普通の転換社債として処理してよいのですが、取得条項が発動された場合の会計処理は以下のとおりになっています、

取得の条件が「自社の株式の市場価格が転換価格を上回ったとき」であり、かつ取得と償却が同時に行われるような場合は

・発行者
 対価現金の場合 繰上償還に準じて処理
 対価自己株式の場合 転換社債の帳簿価額を持って資本金及び資本準備金を増額(一括法の場合)

・社債権者
 対価現金の場合 譲渡に準じる
 対価株式の場合 新株予約権の行使に準じる

上記以外の転換社債型新株予約権の場合

・発行者
 対価現金の場合 自己社債の取得に準じて処理(→有価証券の取得)
 対価自己株式の場合 社債もしくは株式の時価のどちらか信頼性のあるほうで資本金及び資本準備金を増額するとともに、自己社債の取得に準じて処理する

・社債権者
 ・・・書いてない様に思えるのですが。上の場合と同じかな?

■ 外貨建転換社債型新株予約権付社債の会計処理

区分法のみの変更なのであまり興味ないのですが(笑)

社債の対価部分
→発行時は発行時の相場、決算期は期末の相場、転換時は転換時の相場

新株予約権の対価部分
→すべて発行時の相場

転換=社債の現物出資という考え方を通したもの、らしいです。株式は新たに取得するものなので、転換時レートで評価するとのことのようです。

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建設会社、低価法前倒し導入(9/14 日経金融)

販売用不動産への低価法の導入など、会計処理を変更する建設会社が相次いでいる。鹿島、小田急建設は2007年3月期に販売用の土地などに低価法を導入し、含み損を処理する。財務の透明性を高め、投資家からの信頼確保を目指す。

鹿島は販売用不動産への低価法導入で、今期に五十億円前後の特別損失を計上する。販売用に手当てしてきた土地などが対象。従来も保守的時価が大幅に下落した土地などは保守的に評価、含み損を処理してきたが、低価法の導入でより健全性を高める。

「保守的時価」というのがよくわかりませんが(誤植?)、時価が大幅に下落した土地は時価で評価するのが会計基準なので、別に鹿島だけが特別保守的に処理してきたわけではないでしょう。低価法の導入も、2009年3月期から強制適用されるので、それを前倒して適用しようというだけのことですが、先取りできるということは、それだけの時価の把握ができているということであり、かつ株主資本にも余裕がある、というところなのでしょう。固定資産の減損会計の適用でも、余裕のあるところから早期適用していきましたので、棚卸資産の低価法適用でも、同じような動きが見られるのかもしれません。

それにしても、

青木あすなろ建設は会社法施行で企業の内部統制の強化を求められたのを機に、建設工事の受注計上基準を見直した。従来は担当者が受注の可能性があると判断すれば、受注高に計上していたが、近隣住民の反対などで、現実には事業の見通しが立たないものなども含まれ、基準があいまいだった

「会社法施行で」というか、それ以前の問題のような気が・・・
受注高は監査対象ではないのですが、あまりに大雑把な基準。
これにより繰越受注高を275億円減額したとのこと。担当者が判断した金額は半端ではないようです。

大林組は05年3月期まで有価証券の売却損益を保有目的に応じ、営業外収益と特別損益にそれぞれ計上していたが、06年3月期からすべて特別損益に計上するように改めた。アナリストらから「分かりにくい」との指摘が出ていたのに対応した。

確かに「分かりにくい」。ゼネコンだから売買目的有価証券は持っていないでしょう。どのような保有目的で区分していたのかが興味ありますが、その辺の開示はざっと見た限りではなさそうです。

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監査・保証実務委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針」の改正について(公開草案)の公表について

監査・保証実務委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針」の改正について(公開草案)の公表について

日本公認会計士協会(監査・保証実務委員会)では、会社法及び関連法務省令の平成18年5月1日の施行を受け、臨時会計年度に係る臨時計算書類の監査に対応するため、監査・保証実務委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針」について所要の改正を検討の上、去る8月2日に草案を公開しました。その後、監査・保証実務委員会において、同草案に対して寄せられたコメントを詳細に検討の上、再度草案を公開することとしました。
 8月に公表した公開草案では、注記は直接的に監査の対象とはならない等の記載をしていましたが、本公開草案では、一般に公正妥当と認められる監査の基準に鑑み、継続企業の前提の開示等重要な注記については、臨時計算書類の監査範囲に含まれるとの整理のもとで検討を進めております。


日本公認会計士協会の委員会報告の公開草案が短期間のうちに出し直しとなるというのもあまりないことではないでしょうか。

そもそも臨時計算書類。これは配当可能額の計算が主たる目的なのであるから、注記は不要というのがそもそもの会社法の考えであったかと思います。事実、会計制度委員会研究報告第12号「臨時計算書類の作成基準について」では、

注記については、会社法上求められているものではないため、あくまでも参考情報として取り扱うこととした。

と書いてあるではないですか。それが、何をもって注記が監査対象となってしまったのか。そもそも会計士協会の研究報告が注記を定めるほどの規範性があるのか。そのあたりの関係がどうもあやふやであるような気がします。
(written on Sep.14)

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業種別委員会報告「消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い」(公開草案)の公表について

業種別委員会報告「消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い」(公開草案)の公表について


日本公認会計士協会では、消費者金融会社等の平成18年3月期決算における利息返還請求に係る処理等への監査上の対応に関し、平成18年3月15日付けでリサーチ・センター審理情報〔№24〕「「貸金業の規制等に関する法律」のみなし弁済規定の適用に係る最高裁判決を踏まえた消費者金融会社等における監査上の留意事項について」を公表しました。しかしながら、審理情報№24は、平成18年3月期決算の監査に当たっての当面の留意事項を示すに止まることから、業種別委員会の下に消費者金融等監査対応検討専門部会を設置し、改めてこの問題への監査上の取扱いの検討を行ってまいりました。
 このたび、一通りのとりまとめが終わったため、草案を公開し広く意見を求めることといたしました。

巷で話題になっている、消費者金融会社のグレーゾーン金利部分の返還請求権にかかる会計処理が公開草案となっています。

なにせ、特殊な業界のことで、実務には全く無縁でありますので、ふむふむと勉強させてもらっている次第。

具体的計算式については、グレーゾーン金利にかかる貸付残高がある場合とない場合で以下の処理となっているようです。

(残高がある場合)
区分ごとの延滞債権口座数×合理的見積期間に係る返還実績率×平均返還額
正常債権口座数×合理的見積期間に係る返還実績率×平均返還額

(残高がない場合)
過去完済・償却件数×合理的見積期間に係る返還実績率×平均返還額

(最初読んだときよくわからなかったのですが、「返還額」とは返還実績のことではなく返還すべき額のことのようです)

企業会計原則注解18に照らし合わせれば、「発生が当期以前の事象に起因」し、「発生の可能性が高」く「合理的に見積ること」ができる金額が、これで算出できるということなのでしょう。口座数と実績率と平均返還額というファクターは素人目には大雑把に見えるのですが、おそらくこれが実務上の限界なのでしょう。

しかし、合理的見積期間に係る返還実績率というのをどう算出するのか。返還実績率はたぶん捉えられるのでしょうが、グレーゾーン金利の存在がクローズアップされ、返還請求のレベルもアップするでしょうから今までの実績率と、今後の予想される実績率では明らかに水準が異なるような気がします。とはいっても、そこまでを合理的に見積もるのは困難でしょうし・・・

それにしても、9月13日に公開草案を出しておいて、適用時期は「平成18年9月1日以後終了する・・・事業年度に係る監査から適用する」ですか。いや、緊急に適用しなきゃならない事情は理解しますが、こういうバックデートっていいんでしょうかね。ちょっと疑問なのですが。

(written on Sep.17)

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内部統制システム-会社法と証券取引法の不連続(9/10 旬刊経理情報)

・・・このように会社法と証券取引法(金融商品取引法)が内部統制システムに法的に介入する趣旨は異なっている。・・・頭の整理としては、両者を関係付けようとすると混乱するので、両者の関係を無理に整理したりすることはやめたほうが気が楽になってよい。

神田先生、最高です(笑)。
先生にこう言っていただけると安心いたします。

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四半期開示は上場企業の96%(9/8 日経)

2006年4-6月期に「四半期財務・業績の概況」を開示した企業が上場企業の96%、1669社に上ったことが東京証券取引所の調べでわかった。前回の四半期開示に比べて4ポイント向上した。

今年度まで四半期開示は売上高だけにとどめることが可能ですが、実際に売上高のみ開示している企業は4%のみで、ほとんどの企業が現在強制はされていない四半期財務諸表を開示しているということになります。

さて、そんななか、まだ売上高のみの開示にとどめている企業はどこか。記事によると71社(東証一部または二部上場会社のみ)ということですが、これを秘密の検索ワードを使って探してみました。

世紀東急工業

日本興和損保

あいおい損保

ミレアホールディングス

ニッセイ同和損保

鉄建建設

西部電気工業

ナカノフドー建設

共栄火災海上

北陸電工

エスバイエル

図研


保安工業

真柄建設

千歳電気工業

もともと、四半期開示は、建設業界が強い警戒感を抱いていたといわれています。売上高が期末集中であり、四半期では赤字になる場合が多いというものでした。しかしながら、それでも大手は四半期開示を行いつつありますが、まだ準備が整っていないところもあるようです。

しかしながら、意外なことに、大手保険会社で、四半期財務諸表の開示を行っていないところが散見されます。業績に四半期ごとのボラティリティがあるとはあまり思えず、かつ金融のプロであるこれらの会社が、四半期フル開示に対応できないとは思いがたいのですが、何か事情があるのでしょうか。あまり報道された記憶がありません。

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山口先生の名文

このめでたき日に際し、ぜひ山口先生の名文にあたっていただきたいと思う。このあまりの筆才に接し、本日は文章を書く気がしません。

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旧中央青山の顧客企業「監査に空白」3分の1(9/6 日経)

カネボウ粉飾事件で金融庁から業務停止処分を受けた「みすず監査法人」(旧中央青山監査法人)の顧客の約3分の1(274社)が、業務停止期間の7、8月に一時会計監査人を置いていなかった――。5日、日本経済新聞社の集計でこのような結果が分かった。会計士不足に悩む大手監査法人に断られ、監査の空白を埋められなかったケースが目立つ。

やっと、正常状態に戻ったみすず監査法人。

しかし、「監査の空白」などとこの二ヶ月間仰々しく報道されてきましたが、一般の3月決算企業にとってどれくらいの影響があったのでしょうか。

市場では「監査の空白期間があるのに監査人が期末に財務諸表を適正などと判断するのは問題」との懸念もある(同記事)

このように監査実務をわかっていないのに無理やり火の粉を上げようとする意見もあるようです。では、個人事務所が2ヶ月間一時監査人に就任したところでいったい何ができるのでしょうか。まじめにやっていれば、引継ぎだけでも終わらないでしょう。遵法精神が旺盛であることは認めますが、単に形式を整えているだけであり、実質的に監査の補完になっているのかな、上の方の怒りを静めるほどの効果がどれだけあるのかというとはなはだ疑問であります。

事実うちの先生方、7-8月はほとんど来なかったし・・・

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将棋二題

訃報
芹沢九段ら育てる 高柳敏夫氏(9/5 夕刊)

5日、急性呼吸不全のため死去、86歳。連絡先は東京都渋谷区千駄ケ谷2の39の9の日本将棋連盟総務部。告別式は7日午前11時から品川区西五反田5の5の12の安楽寺別院五雲閣。喪主は妻、ヤヱ子さん。

なぜ、「中原永世十段ら」ではなく、「芹沢九段ら」なのであろう。
永世名人資格保持者で連盟前会長を差し置くとは。
林葉事件の影響が大きいのか、はたまた「アイアイゲーム」が偉大なのか・・・

伊奈川愛菓新女流2級の紹介

9月3日に女流育成会12・13回戦が行われ、伊奈川愛菓(いながわ・まなか)育成会員が2度目の昇級点を獲得し、女流2級昇級を決めた。昇級日は10月1日となる。

「アイアイゲーム」などという古ネタを振っているうちに、女流とはいえ90年代生まれの棋士が誕生してしまったらしい。考えてみれば、今年はきっと息子と同級生の奨励会員が誕生するであろう。夢を子供に託すことすら遅れをとってしまった。

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札幌へ出張&逃亡

先週末は札幌へ。木金は仕事。土日は現実逃避に行ってまいりました。
いろいろありました。仕事についてはかけませんので、現実逃避についてはぼちぼち書いていきたいと思います。

そのため、先週水曜までは猛烈労働、今週明けは逃亡ぼけで気合が入りませんです。
ネットには復帰したものの、なかなかブログ更新する習慣に乗り切れずにおります。

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