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レナウン今期 最終赤字24億円(10/14 日経)

レナウンは13日、2007年2月期の連結最終損益が24億円の赤字(前期は30億円の黒字)になりそうだと発表した。期初予想は5億円の黒字だった。海外事業で新たに経営者を招いたり、大規模な宣伝広告活動を展開するなど期初に予定していなかった販売管理費が約14億円が発生したほか、婦人服小売の子会社が好調で税負担が増加した。

この記事の表現はよくわからないですね。
小売子会社の業績が好調であれば、確かに税負担は増加するでしょうが、それ以上に税引前利益が増加するはずですので、最終損益の悪化理由には通常ならないはずです。

レナウンのプレスリリースの表現は以下のとおりとなっています。

一方、連結については、経常利益が予定を上回るものの、中間純利益は当初予定を下回る見込みであります。これは、国内子会社における法人税等が約8億円増加したことによるものであります。

事実経常利益は予定より超過するようですが、それ以上に最終損益が悪化する理由は直接的には記載されていません。経常利益以上に法人税を支払うように見えます。税効果会計のいたずらから、過年度の法人税負担が計上されているのかとも思ったのですが、昨年末の決算短信を確認すると、将来の課税所得についてはかなり悲観的なようで、繰延税金資産がほとんど計上されていません。過年度の税負担が発生する余地もなさそうです。

その原因は想像するしかないのですが、一つのヒントは以下にありそうです。

なお、当中間期において、保有不動産の減損により約13億円の特別損失を計上する見込みであります

これは税額悪化の理由になりそうです。保有不動産の内容に関する情報はないのですが、通常固定資産の減損損失は税務上否認されますから、この13億の悪化はそのまま税負担の悪化となります。通常であれば税効果会計によりその負担の悪化は翌期以降に繰り延べることができるのですが、この会社の場合、繰延税金資産の計上自体が認められていないようですから、繰延は認められず、税額の悪化がそのまま最終損益に効いてくるのでしょう。

以上の仮定が正しいとすれば、最終損益の悪化理由のメインは「保有不動産の減損」によるものであり、「子会社が好調で税負担が増加した」からではないはずです。理由をポジティブにしたい気持ちはわかりますが、プレスリリースは言葉足らずですし、日経の記事もミスリーディングであるような気がします。

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