TV番組 資産価値に統一基準(2)
(前回の続き)
そして、この日本においてその処理を定めている研究開発費会計では「本報告におけるソフトウェアには含めない」「その性格に応じて関連する会計処理慣行に準じて処理すべきものと考えられます」とされています。
では、日本における会計処理慣行とはどのようなものでしょう。
たまたま、「コンテンツビジネスの会計実務」(2002年 中央青山監査法人)が手元にありますので見てみますと、
「番組勘定」の費用化は、最初のオンエア時に全額費用処理する方法(オンエア基準)もしくは法人税の映画フィルムの償却に準じて費用処理する方法(税法基準)のいずれかの方法によって行われています。(p37)
と書かれています。「番組勘定」とは制作費を集計したものであり、メーカーの仕掛品もしくは製品にあたるものです。そして、
・・・地上波放送局では、番組とコマーシャル収入の対応関係が明確であるために、棚卸資産としての番組勘定を番組放送時に一時の費用津する実務(オンエア基準)が定着しています。(p67)
との記載があり、制作費はすべてコマーシャル収入により回収することを前提とした上での処理のようです。では、コマーシャル収入ではなく、視聴料で回収する有料放送の場合はどうなのかといいますと、これはいろいろなことが書いてあるのですが、最終結論としては
番組の収益獲得能力の実態に合わせてそれぞれ適切な償却方法を採用することが望まれます(p69)
と逃げられてしまうのでした。
どちらにしても、かかった制作費をどの期間に対応させるかの問題で、日経が書いているように番組資産の公正価値を見積って資産計上という話にはなりそうもありません。ただし、将来の収益性を図る共通の物差しができれば、それにより費用処理の方法が変わるという、固定資産の減損会計の例もありますから、この官民共同のプロジェクトやらの成果がでるのであれば、それは会計実務にも影響する可能性は高いといえるのでしょう。
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