TV番組 資産価値に統一基準(10/19 日経)
大手放送局が過去に放送し、現在は再利用されていない番組について、どの程度の収益を生み出す価値があるかを判定する基準を官民が共同して作る。
・・・問題はこうした番組を評価する基準がないこと。会計上は資産には計上されておらず、実際の価値が外部からは分かりにくい。
米国では、企業はは番組制作費などを資産計上し、一定のルールに従い償却する会計処理を義務付けられる。番組などの権利を持つ企業を買収する際の処理も、米国ではその価値を時価評価して無形資産として計上しなければならない。
これに対し、日本では明確な基準がなく、一般には作品が完成・公開した時点で、制作費などを一括して費用として処理している。収益を生む無形資産に反映する仕組みになっていない。結果的に無形資産の価値は、のれん代(買収額と買収先純資産の額)の中に明確に区分されずに含まれる形になる。
テレビ局などの過去の映像が再利用できるよう、その価値を明確化しようとの動きのようです。素人的には、こういう価値は実需が決めるのであって、総務省が基準を策定して、そのとおりにディールが行われる、というイメージがどうしても湧かない、というか将来の利用方法による収益を見積り、コストを差し引いて割引く、という結論以外に何があるのか?という気もしますが、まあ議論のたたき台としてはいいのかもしれません。
ただ、それが会計基準に直結するのかというと、また別問題かと思います。あくまで会計は取得原価主義が大原則ですから、たとえ米国といえども、収益を生み出す価値を見積もって資産計上する、ということにはなっていません。
私もコンテンツ商売とは無縁なもので、詳しくはないのですが、米国ではSOP00-2という公認会計士協会が公表している実務指針がありまして、映像権の会計処理はこれにしたがっているようです。
Summaryしか読んでいませんが、映像権に関しては、かかったコストを資産計上して、将来の収益見通しと当期の収益の発生見合いで費用に計上していく、というのが原則のようです。ただし、簿価に計上した以上のコストの回収が見込めなくなった場合は、回収可能価額まで減額するということのようです。これを読む限りでは、日本における販売用ソフトウェアの会計基準をほぼ同じ処理のように思えます。そして、この日本においてその処理を定めている研究開発費会計では「本報告におけるソフトウェアには含めない」「その性格に応じて関連する会計処理慣行に準じて処理すべきものと考えられます」とされています。
続く(予定)
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